キングダム 〜俺は俺の為だけに生きるぉ!〜   作:丸の内 幹太郎

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4話 "趙・三大天"

()()()()()副官の雁翔(きりしょう)であります……」

 

「…………父の最後はどうだった? 」

 

 

 顔を伏せたまま、雁小は答えた。

 

 

「……バラバラになった我々……を助ける為に……自ら──ーぐッ」

 

 

 貴皇は深く座り直し、上を見上げ目を瞑った。

 

 

 ……──父上らしい最後か……

 

 

 

 抱拳礼のまま、挨拶をする雁翔のやっていることは無礼に値するが、それを誰も正すかたなく、それからは息の詰まる時間が流れる。

 集められた文官、将校らは玉座に座る貴皇に視線を向けていた。

 

 

 なんの前触れもなく貴皇は立ち上がり、階段を降り始めた。

 

 

「…………」

 

「! 」

 

「貴皇様……? 」

 

 

 そして雁翔の前でドスンと床に腰を落とした。

 

 

「! 」

 

 

 雁翔はその行動に顔を上げた。

 

 

「フッ、ようやく顔を上げたな」

 

「ッ、失礼を! 」

 

 

 自分の失礼に気付きそれを正すようにもう一度顔を伏せた。

 

 

「………………雁翔」

 

「……ハッ」

 

 

 

 

 

「無念だったな……」

 

 

 

 

 

 

 その言葉に雁翔は顔をハッと上がる。そして目の前の光景に眼を見開き、涙が溢れた。

 その光景とは、幼い頃から自分達の前で弱さを見せなかった貴皇の頬を伝う涙……──ー

 他の将校達も諸涙する程の悲しみであった。

 

 

「……ーぐッ……ううぅ、申し訳……ありませ……ん。主人を……失って……のうのうと生きて──」

 

 

 その後の言葉を雁翔の肩をガッ、と掴む。

 

 

「生きているから観れる景色もあるかもしれんぞ? 」

 

「へ? 」

 

「意味がわかるか? 雁翔……お前に、"三大天"の首を飛ばす瞬間を見せてやる」

 

「!! 」

 

「? 」

 

「ん?」

 

「!! 」

 

「まさか、討っ手出るのですか!? 」

 

「な……!」

 

「なんですと!? 」

 

「"籠城"の筈では!」

 

 

「……──影楼」

 

 

 裏で動かせていた影楼になぜ"籠城"の策をこの混乱を収めようと呼ぶつけた。

 

 

「ハッ」

 

「! 」

 

「この城内には数名の間者を確認しました」

 

「やはりいたか……」

 

「! 」

 

「もう忍び込んでいたのか!? 」

 

「影楼とやらそれで間者は始末したのか? 」

 

「…………」

 

「お、おい! 」

 

「貴様! 」

 

「……──影楼、皆に説明を」

 

「貴皇様は説明しなくてもわかっているはず……貴皇様のみ知っていればよいのでは? 」

 

「軍を動かすのは私だけではできない、いいから皆に説明を……」

 

「ハッ! 」

 

「間者は二人ほど始末し、他は泳がしております」

 

「なぜ全員始末しない! こちらの情報が敵に筒抜けになっておるのだぞ!? 」

 

「間者達はお互いに定期連絡を取っており、それが一人一人途絶えれば残ってゆく間者はどうなります? 」

 

「? 」

 

「……──敵が間者に気付き始め次は自分かと勘違いを起こし、より多くの情報を外へ漏らす、か」

 

「そうだ! 一度に始末しなければ──ー」

 

「ゆえに、城を警護する兵にはとある情報を流しました……──"籠城を選んだ"と……」

 

「! 焦った間者はその偽の情報を疑うことなく、外へ流す! 」

 

「(そうすればここを迫る直前まで幹城からここまで敵は油断する!)」

 

 

 その時を攻めれば"大天"の首も──ー! 

 

 

「ほかの間者はギリギリまで生かしておくのがよいかと思い始末はまだ」

 

「よし、よくやったぞ影楼殿! 」

 

「しかもそれぞれの城から兵が集まってきている! 」

 

「集まれば四万にもなる、山道で奇襲を行えば勝機はあるぞ! 」

 

「オオオオ! 」

 

 

 勝利への光が見え、歓喜する者を置いて一人黙り込む貴皇がいた。それに気付いたのは尚相であった。

 

 

殿()どうなさりましたか? 」

 

 

 

「その作戦では"大天"の首は取れんな」

 

 

 

 その言葉に誰も言い返せず黙り込む。

 

 

「"三大天"だけならまだよかったが……そこに魏軍がいる。しかも将は未だに不明だ……」

 

「…………」

 

「…………」

 

「他の城からも兵を集めて多くて四万五千……」

 

 

 この数の上に立つのは貴皇である。初陣にして"将軍"の地位に立つのは無謀である。

 それを一番わかっている貴皇は、戦をする前以前の話であることが頭から離れない。

 

 

 軍をほぼ尚相に任せるしか……

 

 

「尚深、尚角、雁翔」

 

「ハ! 」

 

「これから伝える"()"を実行するにはお前達の力が必要だ。頼めるか? 」

 

『ハハッ! なんなりと! 』

 

「殿……」

 

 

 一歩歩み寄ってきた人物がいるそれは正壁の将に任命された尚相であった。

 

「……私をこの城に残すのですか!? 」

 

「尚相! 無礼であるぞ!! 城主自ら任命されたことを全うしろ! 」

 

「…………」

 

「尚相!!! 」

 

 

「下がれ尚深! 」

 

 

「! ハッ」

 

「尚相、()は"大天"の首を飛ばすといったな? 」

 

「……」

 

()が前線に出たら軍の指揮は先の三人に任せるつもりだ」

 

「! 」

 

「! 」

 

「優秀な将校達が指揮を取れば私の護衛はいなくなる……その三人分の仕事をお前に任せたい尚相! 」

 

「!! 」

 

「お前が大天の元まで私を連れて行け! 」

 

「ハハッ!!! 」

 

 

 バッと立ち上がった貴皇は全員に劇を飛ばす。

 

 

「狙うは三大天・趙奢の首だけだ! 今から"策"を伝える! 」

 

「オオッ!!!! 」

 

 

 

 

 

 

 幹城を進んで所にある山岳に魏趙連合が集結していた。

 

「趙奢様! 全軍揃いました。 」

 

「忍ばせた者達からは? 」

 

「ハッ、報告によれば剛城の城主は籠城すべく兵を集めてるとのこと!」

 

「城主は殺したはずだが……」

 

「息子が指揮を取っていると聞きましたが……」

 

「ハッハッハッ、それでは簡単に落ちてしまいますな! 目星将校はもう死んでいる。袋の鼠とはこのこと! 」

 

「お〜い趙奢! 」

 

「ん? 」

 

 

 貴皇達には誤算があった。大天の旗は一つではなく()()掲げられていた。つまりそれは

 

 

「きたか……"藺相如(りんしょうじょ)"」

 

 

 趙三大天が二人いることになる意味を示していた。

 

 




次回、"決戦"

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