キングダム 〜俺は俺の為だけに生きるぉ!〜 作:丸の内 幹太郎
「死ねぇぇ! 」
──速……
貴皇の手元に反応できたのは一瞬であった。
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数秒、自分が死んだことがわからないほどの速さで首を飛ばされたのだ。
「あぁぁ 」
「
「ウォォ貴皇様!! 」
「クッ、クソが! 」
"四番槍"賀洸がやられたことに怒りを覚え、他の"十槍"が四方から攻めたてる。
「あ! 貴皇様! 」
「く、割ってはいるぞ! 」
「ダメだ間に合わん 」
「失せろこのクソガキィ! 」
もう一度構えを取る貴皇。素早く手元を動かしたが……"十槍"には貴皇の型を見切っていた。
貴様の型は見切っ──ー!?
しかし、その槍を流そうとしたが……グン、と槍が曲がった。
槍が曲がっ──ー
正面から攻める"十槍"の頭を大槍が貫通した。
「尚相様あれは! 」
「…………りゅ、"
「あ、貴皇様後ろ!! 」
前に気をとられたら後ろが開くよなぁ!?
「"
そう思った時にはすでに腹に槍が貫かれていた。
「ブフッ……」
──ー化け物、め……
「
「クソ! 奴を殺せ! 」
『オオオ! 』
趙兵達が一気に貴皇を狙おう。それを止めようと貴皇軍も騎馬隊を動かし、乱戦になった。
「貴皇様の周りを固めろ! 」
「オオ! 」
ここで始めて脚を止めた貴皇は遥か先に目をやった。
「尚相、隊を分ける……二千をお前が引き連れろ」
「……ハッ」
「お待ちよ! それでは貴皇様を守る兵が千しかおりません! 」
「いや、これでいい……」
「尚相殿! 」
「今から狙うのは中央本陣に趙奢の首……それにたどり着く前に必ず後ろから崩される。それをやるのが趙左翼・藺相如だ」
「頼むぞ尚相」
「全てを納得したわけではありませんが……心得ました」
それから二つに別れ、快進撃を続ける。 尚相率いる二千はその場で広く広がり乱戦を繰り広げる。
「怯むな! ここに攻め入ったことを思い知らせてやれ! 」
『オオ! 』
その乱戦の中で天高く
「尚相様あれをッ」
「! 」
────『堯』の旗……"
「フ……行くぞ」
「尚相様!? 」
「尚相様に続け!! 」
先頭に立つ大男。尚相よりもふた回りある巨漢の男に向け馬を走らせ……
矛を構える。
「ルオオ! 」
「ぬおおお! 」
その頃、貴皇軍千人は数を減らしながらも中央本陣へ近づきつつあった。
だが、本陣に近づくたびにその勢いは止まりつつあった。
「く、クソ」
そこまで見えてるのに……あと一歩なのに……このままでは!
貴皇様だけ──ー……!?
「フハハ、見てください趙奢様! もうすぐ潰れますぞ! 」
「趙奢様が送った軍は魏の敵も脚を止めたらしいぞ! 流石は"十傑の超峩龍"だ! 」
「よし! 右の予備騎馬隊五十を送って血祭りにしろ! 」
趙奢側近達が喜ぶ中、一人黙り込む趙奢の姿があった。
──なんだ、何かが引っかかる……
『おお! 』
側近達の歓声が広がる。
「どうした? 」
「ハ、騎馬百程度が後方に逃げていきます! 」
「あの逃げた所に将軍首があるぞ! 追え! 」
「あの
──ー杞憂だったか……
と不安が心から抜け、笑みをこぼした瞬間──
ドッパァン!!
「な、なんだ!? 」
「どうした! 」
本陣右で兵が吹き飛ばされたのだ。それを見た趙奢は立ち上がりその場所に目をやった。
飛び散る兵の中から騎馬隊がこちらに向かって馬を走らせる。その先頭の黒甲冑の男の目は趙奢の顔を捉えていた。
──ーなんだ!?
趙奢の背筋がゾクっとした瞬間、月明かりが赤くなる。兵の血を飛び散らせながらこちらに向かってくる軍の目が爛々とした不気味な赤い光を放っていたのだ。
趙奢は恐怖のあまり地から足が離せなくなっていた。
──ーあれがお前の言っていた魔物かッ!!
「……伝来、旗を掲げろ! 」
「オオ! 」
「ここが正念場だ! 俺と共に来るものは命を捨ててついてこい!! 」
『オオオ!!! 』
ここに来て士気の爆発。進撃する中、掲げた"貴"の旗を合図に逃走したと見えた騎馬隊が反転し、追ってきた兵と衝突した。
「ええい! 予備隊を出せ! 」
「既に出してます! 」
「急報! 防御陣を突破されました! 止められませんッ 」
「報告! 魏軍が抜かれ、一万程度の騎馬隊がこちらに向かっています!」
「貴皇様を援護しに行くぞ! 」
『オオ!! 』
魏軍を抜いたのは主人・貴羅を失った貴羅残党軍であった。
「な、何!? 超峩龍が止めたのではないのか! 」
「……クッ……ここまで来ては……趙奢様だけでもお逃げを! 」
「我々が時間を稼ぎます! 何卒ッ」
「……趙奢様? 」
「もう遅い……逃げても後ろを突かれ無様に散るなら──」
「お待ちよッ……何卒、何卒ッ! 」
「三大天の最後が無様では趙人に顔向けできん! 矛と馬を!」
騎乗した趙奢は矛を手にした。
「お前達は生きて帰れ」
「な、何を我々も共に! 」
「趙奢様! 」
「次の三大天に最後とあの男の情報を持ち帰れ! いいなぁ!? 」
そう言い残し、たった一人で馬を走らせた。
「趙奢様ッーーーー!! 」
◆
「! 」
「貴公様あれを! 」
「あぁ、自ら出てきたか……」
敵兵の中で一際高く上がった旗があった……その旗には"大天"と書かれていた。
"大天"と"貴"の旗が横に並ぶ
「尚相様、あれを……」
「たどり着いたか……」
「堯雲様! 」
「…………」
藺相如本陣にも──
「藺相如様! 」
「……趙奢」
魏軍と衝突している尚深・雁翔軍にも……
「どうやら貴皇様がたどり着いたようです! 」
「当たり前だ! あの方はやると言ったらやるさ! さぁこちらもやろうか……超峩龍! 」
「……まずいな」
戦が始めて止まった瞬間でもあった。趙兵も道を開き、趙奢を通した。そして始めて両方の総大将が対面した。
「お主の名は……」
「剛城・"城主"……貴皇だ」
「まだまだ若いようだが……もはや"大天"の"知"も喰らおうとする魔物なり……」
「…………」
「行くぞぉ!! ハッ」
趙奢を合図に同時に馬を走らせ、趙奢は矛を、貴皇は槍を振りかぶった。
「オオ! 」
「ウォオオ!! 」
同時に首を狙って振りかぶった……がしかし貴皇は左肘を後ろに引いた。貴皇が狙っていたのは首ではなく、手首……
趙奢の手首が宙を舞い、バランスを崩した趙奢の首目掛け、また槍を振り下げた。
──ー"知"も"武"通じぬ……化け物め
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趙奢の首は高く飛んだ。
「趙奢様ぁぁ!!! 」
「うぉおおおおおおおお!!! 」
「ヌォォ! 貴皇様ぁぁぁあ!! 」
「楽天、首を」
「オオ! 」
矛に趙奢の首を刺し、上へと上げた。
「剛城・城主、貴皇自らが趙・三大天を討ち取ったぞ!! 勝ち鬨じゃ!! 」
『オオオオオオオ!! 』
貴皇軍は拳を上げ歓喜し、趙奢軍は膝を地につけ泣き崩れた。"大天"の旗も地面へと倒れた。
それは後方の戦場全てに伝えられた。
「尚深様! 貴皇様が見事に趙奢を討ち取りました! 」
「よし! 」
「! 」
「バカな! 」
「超峩龍様! 藺相如様から全軍撤退の命令が! 」
「…………ッ 」
「またやろうぜ超峩龍殿、俺たちもいくぞ! 」
少し睨み合った後、両軍戦さを解き、超峩龍は先に撤退した藺相如の後ろを追い、趙全軍撤退を行った。
それを見た魏軍も撤退、前に取り残した魏軍を見捨てての撤退であった。
尚相軍は藺相如の背を追おうとしたが
主人の仇を打とうと貴皇に襲いかかったが雁翔率いる貴羅残党軍がそれを殲滅した。
「貴皇様! 」
「来たか、雁翔……取ったぞ! 父上の仇」
「……ハッ、ッ……見事で、ございます……うぅ貴羅様ぁ……」
貴羅残党軍はその場で泣き崩れた。
「……父は今も天で笑ってる気がする……だから泣くな」
「……ハッ、うぅ」
「だから泣くなって……」
「うぅ……お許しよ」
「貴皇様! 」
「尚相、尚深無事だったか」
「ハッ、お見事です」
「申し訳ありません……藺相如の首を取り損ねました」
「いい構うか……それよりよく堯雲を抑えた……後で褒美をとらす」
「私は超峩龍を抑えましたぞ! 」
「偉そうに言うな尚深! 尚角みたいだぞ 」
『フハハハ!! 』
「……見ろ、日が出たぞ」
山から太陽が昇り、戦場に光と勝利をもたらせた。この戦さは後に
"大戦"
と残り、貴皇の名を中華全土に広めるとはまだ誰も知らない。
「急報! 」
「! 」
「! 」
「どうした! 」
「前方で戦っている尚角軍と魏軍ですが……」
「どうなった! 」
「ハッ、初めは互角であったのですが……
「どこの軍だ」
「旗には"王"の文字が……」
「王? 誰だ、六将の
「王騎将軍かだ……」
「ここまで早く援軍を送ってくれるとは助かった……流石は母上だ」
「貴華様が……」
「尚相、この戦少しおかしい……」
「はい、色々不明な点があります……」
「王騎将軍に会いにいく……色々聞きたいことがある……」
「戻るぞ」
「ハハッ」
「しかしその前に兵達に……」
「あぁ」
丘の先に立ち、ここまで来た兵達に顔を見せた。
「お前達よくやってくれた! この戦さに勝ったことは大きいぞ、お前達が秦国の危機を救ったのだ! 褒美は私自らが与える! 死んだ者もだ! 」
「! 」
「この戦──ー」
「!! 」
「我々の大勝利だぁ!! 」
『ウォオオオオオ!! 』
ヒロインは………
ドルドルドル、ジャン!
よーーー
ヒロインどれがいい?
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ハンコック
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楊端和
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