キングダム 〜俺は俺の為だけに生きるぉ!〜   作:丸の内 幹太郎

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7話 "咸陽"

 

 

 

趙魏連合との戦から数日後、貴皇は咸陽本殿にいた。

 

 

「くれぐれも無礼のないようにお願いしますよ貴皇さん……」

 

「…………」

 

「では行きますよ」

 

 

 なぜ咸陽にいるのか……それは王騎から聞いた信じがたい事実を確かめに行くからであった。

 

 

 ──二日前……

 

 

「王騎将軍……援軍痛み入ります」

 

「コココ……まさかあの"三大天"の首を上げるとは、ねぇ謄」

 

「ハッ、中々のものです」

 

 

 少し世間話をする中、貴皇の後ろから一頭の馬が横にずれる、馬上していた尚相は王騎を睨みつけた。

 

 

「王騎将軍……我々は()()()ことはせず、()()()()()()()()()()()()()()()()

 

 

「……尚相……」

 

「!! 」

 

「! 」

 

「おい貴様、誰に向かって──ー」

 

「お待ちなさい録鳴未(ろくおみ)……貴皇さん、お二人で話したいことが」

 

「……尚相」

 

「ハッ」

 

「部隊を二つに分けろ……負傷してる兵は尚深が引き連れて剛城へ、咸陽へ向け鳩を飛ばせ……お前は尚角と残りの兵を連れ、周辺を警備しろ」

 

 

「謄、指示は貴方に任せます」

 

「ハッ……」

 

 

 王騎と貴皇は少し景色のいい丘で馬を止めた。

 

 

「私の部下に色々と調べさせました。裏で動いてたのは六将・"胡傷(こしょう)" ですね? 」

 

「……その通りです」

 

 

「まさか剛城一帯を囮にする作戦を考えるとはッ 」

 

 

「いつから気付いていたのですか? 」

 

 

「戦をする前に……三大天が二人いる時点で確信しました。軍師・胡傷が趙国に間者を忍ばせてない訳がない。趙三大天が二人も動くとなると趙王は気が気でなくなる……それは中央も同じく……それを好機と思った故傷は偽の情報を間者に持たせた"秦国は剛城一帯を落とされることを恐れている"と……そして──」

 

「見事な考察ですよ貴皇さん……」

 

「今頃"六将・白起(はくき)"か誰かが大軍を率いて趙都市へ攻め入ってるはず、三大天を秦国へ引きつけて趙を落とす……飛んだ博打だ……」

 

「ええ、ですがこの博打は当たらなかったようです……」

 

「! 」

 

「どうやら"廉頗(れんぱ)"にやられたようです 」

 

 

 結果に怒りを露わにした貴皇の反応は当然であろう。父や兵達の死は犬死になったからだ。

 それともう一つ衝撃の事実を知る。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「父上・貴羅殿はどうやら……知っていたそうです」

 

 

 

 

「!! 」

 

「どうやら我等が王から直接聞かされたようです……」

 

「バカな……父は承認したのか……」

 

「だから今に至ります……最後まで"忠義"を貫く立派なお方でした……」

 

「…………」

 

 

 貴皇は馬を一歩前に動かした。貴皇の心には父への"思い"とそして"怒り"が湧き上がった。

 

 

「我等が王は"戦神"とか言われているらしいが前線を知らぬ、ただのバカか……」

 

「……無礼ですよ流石に聞き捨てなれません……」

 

「 私はこの秦国に忠誠を誓った! バカは国とは王というが私は民があり王がいる、民があって国と思っている」

 

「! 」

 

「気に入らないのなら斬ればいい王騎将軍! 」

 

「…………」

 

「"武"で生きた父がどんな気持ちで散ったか……昭王は忠誠をいいことに父を利用したのだ! 」

 

「貴皇!! 」

 

 

『貴皇様! 』

 

 

 その時下から馬が駆け上がってきた。

 

 

「! 」

 

「! 」

 

「咸陽から伝達がッ 」

 

「早いな見せてみろ」

 

「ハッ」

 

 

 渡された手のひらサイズの紙を確認をすると貴皇はすぐさま指示を出した。

 

 

「尚達を呼べ、雁翔には兵を連れここへ来いと伝えろ」

 

「ハッ! 」

 

「あちらからの誘いだ、兵を引き連れ咸陽へ乗り込む!」

 

「ハハッ! 」

 

 

 マズイですね……今の貴皇さんを王に合わせる訳にはいきません。

 

 

 王騎の大矛を握る手に力が入る。

 

 

「王騎将軍……不安ならついてくればいい……下手なことはせんよ 」

 

 

 そして今に至った。

 

 

「昭王様、王騎様がお着きになりました 」

 

「うむ、通せ……」

 

 

 正面の扉が開くと入ってきたのは王騎ではなく貴皇を先頭とした貴皇側近達数人であった。

 

 

「お……」

 

「! 」

 

 

 デ、デカイ……

 

 

 脇に控える文官、武官達は一眼で確信した。"たまたまではないと"……貴皇に取り付く"武"の圧……それは側近達にも感じかれた。

 

 

「(あれは……尚相!) 」

 

「(なぜあの一匹狼が貴家に……)」

 

「(まさかここまでとは……ヒョッヒョヒョ) 」

 

 

 貴皇一行は王座の前で止まり片膝をつけた。

 

 

「お初にお目にかかります王よ……貴羅の子にして剛城城主・貴皇に御座います」

 

「私は第32代秦王・昭襄王である、今回の戦見事であった。貴羅のことは無念であったな」

 

「ッ…………その前に一つよろしいか……」

 

「おやめなさい貴皇……」

 

「なんだ? 」

 

 

 何を言うか先程の言い合いから察していた王騎は小声で静止を試みるが──

 

 

 

「貴方方の無謀な作戦により父が死んだことを知っていっていますか?」

 

 

「! 」

 

「き、貴様無礼であるぞ小童! 」

 

「三大天を討って調子に乗りおって! ただではすまんぞッ」

 

「ここで斬り捨ててやる! 」

 

 

 立ち上がった武官達と同じように尚相ら側近が立ち上がり剣に手をかけた。

 

 

「あらら、大将やっちまいましたね」

 

「尚角、お前は……」

 

「それよりも貴皇は先にお逃げを……」

 

 

「貴様ら側近もただではすまんぞ! 」

 

 

 一触即発の中、昭王と貴皇は視線を離さなかった。

 

 

「待て」

 

「っ……大王様? 」

 

「この者と少し、二人で話したい」

 

 

 静まり返った謁見の間で昭王は貴皇と同じ目線で座った。

 

 

「赤ん坊だったお主が懐かしい……」

 

「──! 」

 

「お主は覚えていないだろうが、お主を最初に抱いたのはこの私だった。貴羅は私を長年支えてくれた"友"であった……そんな奴に死ねと言えようかッ……」

 

 

 大粒の涙が昭王の頬を流れていた……それは貴皇ですら想像がつかない程の友情があると感じ取れた。

 

 

「あの夜の話をしよう──……」

 

 

 私は貴羅をここへ呼んだ……剛城一帯を犠牲にした奇襲作戦を剛城城主・貴羅に話すためだ──……だが──

 

 

「無理だ──……私はお前を殺さないッ! 」

 

 

 私は作戦を伝えた後、心が揺らいだのだ。そのせいで貴羅には辛い思いをさせてしまった。

 

 

「殿──……私は貴方に命を救われ、貴方の為に死ぬと今日までもっとうとしてまいりました」

 

「すまぬッ! 」

 

「ですが最後に貴皇へ遺言を……彼奴はここへ来るでしょう」

 

 

 

「父からの遺言……」

 

 

 

「"お前は自分の世界に閉じこもっている。世界へ目を向けろ──……」

 

 

 

『そうすれば己を知り、世界を知り、強くなれ──……共に世界を歩む者を見つけ、次の世代へとその光を輝かせ続けろ……貴華と剛城を頼むぞ』

 

 

 

「──父上……」

 

 

 貴方は自分の死を無駄死にとは思ってなかったのか……次の世代の光を輝かせる為に──……

 

 

「すまないッ」

 

「私は愚か者です……父の意思を受け取らず、我等が王に無礼を働きました。お許しを……」

 

「いいのだ……貴羅は言っておったぞ。頭が切れすぎる小童で、誰にも平等だと」

 

「ありがとうございます……」

 

 

 この時も父の顔が浮かんでいた。

 

 

『フハハ、どうじゃこの筋肉は! 』

 

『お前と風呂は久しいの〜』

 

 

 

『己の光を次の者へ──』

 

 

 

 ポタポタと床に滴り落ちる。

 

 

「父上ッ」

 

「泣くな貴皇! 貴羅はあの世でも笑ってみておるぞ? 酒を飲んで忘れよう! 」

 

「ぐっ……うぅ 」

 

 

 このことが今後の貴皇の人生を大きく変える出来事とはまだ誰も知らない

 

 




遅くなりました。土曜日まで山にこもるので電波が届かなくなります投稿できません(リアル

ごめんなさい……

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