キングダム 〜俺は俺の為だけに生きるぉ!〜   作:丸の内 幹太郎

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すみません。無双は次回になるかも………ごめんなさい


9話 "再び"

 

 

 

 

 

あれから五年後

 

 

「おいそっち持て! 」

 

「こっちに早く人まわせ! 」

 

 

 貴皇は趙魏軍との戦のあった山道に来ていた。貴皇らが馬の脚を止めるとそこには上を見上げるほどの城壁が建設されていた。

 

 

「すごいですな大将……国門よりあるんじゃないですか? この鬼氣門(きぎつもん)は……やはり実力主義に変えた甲斐がありましたな」

 

 

 尚角が驚きのあまり声を詰まらせたような口調に。現在建設中の鬼氣門の高さは60メートルにもなるもので秦国では二番目に巨大な門となる。

 

 これを成し得たのも貴皇が進めていた身分、国籍問わずの実力主義に変えたからである。

 おかげで国々から人が集まり、秦国内でも今一番経済が活性化している。

 しかしその一方で、無能な官僚達や中央と関わりのある人材は解雇、もしくは粛清された。

 

 

「貴皇様! 」

 

 

 正面から数十騎の騎兵が馬を走らせ、こちらに向かってきた。先頭を走るのは雁翔であった。

 身体は返り血で真っ赤にさせ、貴皇に付き従っていた文官達は袖で口を覆うほどの姿だ。

 雁翔達騎兵は馬から降りると膝をつけた。

 

 

「このような姿で申し訳ありません、魏軍五千を殲滅しておりましたので御容赦を……」

 

「気にするな、やはり頻繁に攻めてくるか? 」

 

「はい、門の完成が近づく度に敵は増える一方です」

 

雁翔(だんな)、あと数日の辛抱だ……ここが完成すれば落城も幹城もすぐ奪い返せる」

 

「尚角の言う通りだ、ここが完成すれば大きく前進できる」

 

 

 上を見上げ、門の上で働く男達に目をやった。

 

 

「彼奴らも明るい未来を信じてよく働いてくれている、裏切ることはできん……頼むぞ雁翔」

 

「ハッ、この命に代えましても! 」

 

 

 そして奥から伝令の旗を持った兵が走り込んできた。

 

 

「幹城から趙・騎馬隊二千を確認! 」

 

 

 慌てるように雁翔は馬にまたがった。

 

 

「貴皇様、万一がありますので退避を……」

 

 

 文官達の声に鼻で笑った。

 

 

「万一が起きるか、雁翔?」

 

「御安心を、一匹たりともここは通しません」

 

「頼んだ! 」

 

「ハ、いくぞ! 」

 

『オオオ! 』

 

「大将これからどうします? 」

 

()()に向かう」

 

 

 南城とは論功行賞で手に入れた城の一つ。鬼氣門とは逆の位置に存在する小城、城壁は剛城の半分程度の高さしかない。

 鬼氣門から半日で到着した貴皇らは城には入らず、少しそれた状態で馬を走らせると大きな建築物にたどり着いた。

 

 

「う、なんですかこの匂い! 」

 

 

 一定の位置に入った瞬間、尚角が鼻を曲がる程の臭いを感じた。

 

 

「流石に臭うな〜」

 

 

 建築物の中には一列に並ぶ牛の姿があった。

 

 

「牛をなぜあんなに買われたのですか? 」

 

「食うんだ」

 

「え! 食べるんですか!? 」

 

「あぁ」

 

 

 この時代、牛を食べるという概念は存在していなかった。牛は雑草を食べることや農作をする為の価値だけしかなかった。

 

 

「こんな臭いを放って食えるのですか? 」

 

「食えんならやるわけないだろ、食べてみるか? 」

 

「いえ私は……」

 

「私も遠慮します……」

 

 

 だが逆に手を上げた者がいた。

 

 

「はいはい! 俺が食います! 」

 

「さ、流石ですな尚角殿」

 

 

 陽気な尚角がいてよかったと誰もが思ったのであった。城内へ移動した貴皇らは城には入らず、下町の食堂にいた。

 

 

「お、お待たせいたしました! 」

 

「ありがとう」

 

「い、いえ! 」

 

 

 看板娘は逃げるように立ち去った。店の中には誰もおらず、外を歩いている民はチラチラこちらを伺うように歩く。

 

 

「これはなんという料理ですか? 」

 

「ん、あー……ステーキって奴だ」

 

「おお〜! ()()……いい名ですな 」

 

 

 一切れ摘んで口に入れた尚角に注目が集まる。

 

 

「う、うまい! これは美味いですな! 」

 

「だろ? 」

 

「この肉は今まで食べたことのない柔らかさだ! 脂もしつこいない、何枚もいける! 」

 

「しょ、尚角殿私にも! 」

 

「主人、我々にも同じ者を……」

 

「は、はい〜! 」

 

 

 一向はもぐもぐと食べる中、尚角が何かに反応するかのように目が鋭くなった。

 

 

「何者だ! 」

 

 

 振り向いた尚角は腰につけた剣の鞘に手を掛けた。目の前にはボロ布で身体を厚く覆い、顔には仮面をつけていた。

 文官達も貴皇の前に立つ。

 

 

「ん? 此奴は確か……」

 

「作戦会議に現れた貴皇様直属の……」

 

 

 趙魏との戦いで作戦会議に現れた人物と同じ仮面をつけている。だが黙ったままだ。

 ジッと見つめていた貴皇はあることに気がついた。

 

 

「ん? お前は誰だ……」

 

 

 貴皇の様子により警戒を露わにする側近達、尚角は飛びかかる勢いできていた。

 

「! 」

 

「貴様は何者だ! その仮面を外せ! 」

 

 

 素直に仮面を取った。尚角程の若い男で、顔に刺青が入った。貴皇直属は間違いないが主人ですらわからない人物であった。

 

 

「影楼暗部部隊副官の清流員(せいりゅういん)と申します。緊急の為、影楼様の代わりにまいった所存にございます」

 

「何かあったか」

 

「ハッ、それが魏国を見張っていた間者から一斉に連絡が途絶えました」

 

「最後に来た報告は? 」

 

「中央に不審な動きありとの報告が……」

 

「影楼はどうした? 」

 

「ハッ、自ら魏国内に赴き調査しています。それで先程報告があり、中央の洛陽から五千騎がこちら方面に向かっていると」

 

「? 」

 

「首都から騎馬五千だけだと? 」

 

「……! 」

 

「!! 」

 

 

 ダンッ! 

 

 

「ビクッ」

 

「!? 」

 

 

 何かを考えた後、目を見開き机を叩いた。

 

 

「清流員!! 」

 

「! 」

 

「影楼にすぐさま知らせを出せ……ここまでの進路上にある城から兵が集結する可能性ありとな! 」

 

「! 」

 

「今すぐ官僚達を出来るだけ集めろ! 残りの尚達も集めろ、我々も剛城に向かう! 」

 

「ハッ! 」

 

 

 マズイ……ッ洛陽からここまで五日で来る、ここまでの進路上には二十を超える城がある……そこから兵が出てくれば少なくとも三万の軍になるッ

 

 唯一の救いは報告が早かったことだ……助かったぞ影楼──……

 

 

 

 魏国では貴皇の予想通り、洛陽から出てきた騎馬が城前を通ると門が開き二千程度騎馬が合流していた。

 

 

「隊長、騎馬二千が本体と合流しました……報告は? 」

 

「必要ない……貴皇様はこのことをよまれる」

 

 

 と木に寄りかかっていた影楼は騎馬の軍を横目でチラッと見た時、ある旗が掲げられていることに気がつく。

 

 

「…………あれは」

 

「! 」

 

「"紫"の旗……ッ」

 

 

 

 魏火龍七師──……紫伯(しはく)

 

 

 

 




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