Take me to・・・   作:ENDLICHERI

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第10話 消えない悲しみ 消せない記憶

アタシと映司は自宅に帰って、それぞれの荷物を自室に・・・・・・アタシが置いた。映司はリビングのソファーに座らせて落ち着かせている。

 

 

 

「映司、ご飯食べれる?何が食べたい?」

 

「・・・・・・そばにいて・・・。」

 

「・・・・・・分かった・・・。」

 

 

 

か細い声でそう言った映司の側にいることにした。明日は学校は休みだから、映司の要望に応えることにした。

 

 

 

「大丈夫。お姉ちゃんがずっと側にいるよ。」

 

「・・・・・・うん・・・。」

 

 

 

映司は落ち着いてきたのか、アタシにもたれかかって眠りについた。

 

映司はいつも目のことを赤の他人から言われるとこんな風に精神不安定な状態になって、アタシ以外のものに怯えるようになってしまう。こうなってしまったのは、今から10年前に遡る。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

アタシたちは、実の姉弟ではない。だから、1話2話で言ってた『双子』ってのも嘘。アタシの父と映司の母が結婚して、当時物心付く前に出会ったから、互いに姉弟だと思っていた。しかも、同い年だから双子とも思っていた。

 

その頃からだった、映司の左目の色が右目と違ったのは。後から知ったけど、映司の目の色が左右違うのは生まれつきらしい。そのせいで、映司は友達がいなかった。

 

 

 

アタシからすれば、映司の目はとても綺麗だと思って、それを映司に伝えた。・・・・・・映司からすればコンプレックスなのに、その事に触れるなんてデリカシーが無かったと今は思う。

 

でも、映司は・・・、

 

 

 

「・・・・・・ほんとうに、ぼくのめってきれい?」

 

「うん!あたし、えいじのめ、だいすきだよ!もちろん、えいじもだいすき!」

 

「・・・・・・ありがとう、おねえちゃん!」

 

 

 

嬉しそうに、笑顔で答えた。・・・・・・あ、誕生日はアタシの方が早いから、アタシが姉ってことになっていた。

 

それから、映司は他の誰かと友達になれず、代わりにアタシと仲良くしていた。本当の双子くらい・・・・・・いえ、それ以上に。

 

 

 

 

 

でも、映司の・・・・・・いや、アタシたちの生活を変えるイベントがあった。

 

それは、アタシが偶然聞いてしまったアタシと映司の親の会話だった。

 

 

 

「映司君、なかなか友達が出来ないみたいだね。」

 

「仕方ないわよ。()()()()()()()()()()()()()()()()()。」

 

 

「・・・!?」

 

 

「ちょっと、あの子にだって幸せになれる権利はあるんだよ。」

 

「あんな子なんて、()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()わよ。」

 

「コラ!なんて事を言ってるんだ!」

 

 

「・・・・・・!」

 

 

 

映司の母の言葉を理解したアタシは、すぐに映司の下に向かって、

 

 

 

「えいじ、おかあさんがえいじをすてようとしてるよ!」

 

「・・・・・・しってるよ。」

 

「え?・・・・・・つらくないの?」

 

「うん、つらいよ・・・。」

 

「そう、なんだ・・・。ねぇ、ていあんなんだけど、」

 

「・・・?」

 

「いっしょに、いえをでない?」

 

 

 

・・・・・・改めて振り返ると、とんでもない事を言ったな~。でも、映司の口から出たのは、

 

 

 

「・・・・・・うん、ただ・・・おねえちゃんといっしょがいい。」

 

「っ!・・・・・・うん、わかった!」

 

 

 

映司は幼いながら知ってたんだと思う。自分の目のせいで、母から愛情を注がれていないことを。だから、幼いながらの無茶な提案に乗ってくれたんだと思う。

 

でも、ただ家出するだけではすぐにこの家に帰ってきてしまうと思い、映司と一緒に家出するために計画していた。そんな時だった。

 

 

 

「ウィズ、映司君、ちょっといい?」

 

 

 

突然、アタシと話がしたいと言い出したお父さんは映司の母の耳には届かないアタシたちの部屋に来た。

 

 

 

「・・・・・・2人とも、家出しようとしてるでしょ?」

 

「「・・・!」」

 

「・・・・・・やっぱりか。僕たちのお話を聞いちゃったんだね。」

 

「ごめんなさい!えいじはわるくないの!あたしがきいたのがわるいの!」

 

「ウィズ、落ち着いて。僕はね、怒りに来たんじゃないんだ。」

 

「え・・・?」

 

「2人に協力したいんだ。僕はお母さんをなんとかするから。」

 

「でも・・・、いいの?」

 

「僕はね、2人の味方だから。」

 

「うん・・・。ありがとう、お父さん。」

 

「・・・・・・。」

 

 

 

お父さんの提案を受けて、アタシたちの家出は実行される。そして、家を出る時に、お父さんから、

 

 

 

「2人にプレゼントがあるんだ。・・・・・・これ、持っていって。」

 

 

 

お父さんが持っていたアコースティックギターをアタシたちにくれた。

 

そして、1話のような出来事が起きて、その後には・・・、

 

 

 

「お前ら、気味悪いんだよ!!」

 

 

 

映司の目を見て、突き放す人や、

 

 

 

「君たち、うちで働かない?」

 

 

 

そう言って、アタシたちに近付いては利用して、アタシたちはお金を騙し取られたりした。

 

そうして、アタシたちは他の人を信じられなくなり、アタシにだけ携帯をくれたお父さんからは何も連絡は無かったから、父さえも信じられなくなっていた。

 

ただ、父に言われた通り、東京に来たアタシたちは公園で寝泊まりしてるうちに、錘さんに拾われて、住む場所とかを提供してくれた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

過去のことを思い出していると、気付けば朝の日射しの眩しさに、目を開けた。・・・・・・寝てたみたい。

 

 

 

「ん~、ふぁ~・・・。」

 

すぅ・・・、すぅ・・・、」

 

「ん?・・・・・・ふふっ、まだ寝てる。」

 

 

 

アタシは、膝の上で寝ている映司の頭を優しく撫でる。

 

今日は、良い1日を過ごせそうかも♪




いかがでしたか?今回のタイトルは、ウィズ視点でお送りする2人の過去でした。・・・・・・薄々気付いていたと思うけど、こんな感じです。

映司は自身の左目のせいで周りからいじめられ(?)、ウィズは映司を守るために大人たちから散々な目に合う。そして、そんな2人の親は知らぬ間に空気と化したとさ。チャンチャン!


では、また次回!・・・・・・アンケート取らせて!15話までやります。

セリフの「」の前にキャラの名前の一文字目はいりますか?(例:映「~~。」みたいな)

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