Take me to・・・   作:ENDLICHERI

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第33話 この恋眠ろう

 文化祭も終わり・・・・・・翌日にはいじめかのようにバイトのシフトが入っている今日この頃。

 

 

「2人共、歌わない?」

「「歌わない(よ)。」」

 

 

日曜日に揃ってバイト。ここまでは良かった。・・・・・・だけど、最近まりなさんがやけに僕たちにライブをさせようとする。あの事件が起きたライブ以降、2人共シフトが入っている日は特に。

 

 

「あの・・・。」

「はい?・・・・・・あの時の。」

 

 

声をかけてきたのは、ウィズが風邪を引いた時に会った氷川紗夜だった。

 

 

「氷川さん、なんの用ですか?」

「えっと・・・、私はあなたたちと話がしたくて・・・・・・。」

 

 

あ、ヤバ。ウィズに話すの忘れてた・・・・・・。

 

 

「氷川さん、ちょっとすみません。ウィズ、ちょっと来て。

「え?ちょっ、映司!?」

 

 

今からウィズを機材倉庫に連れ込んで、状況説明しまーす。

 

 

「え!?そんな事があったの!?なんで言ってくれなかったの~。」

「あなた風邪だったから。」

「気を使ったの?」

「うん。・・・・・・ただ、その後忘れてたけど。」

「・・・・・・ハァ・・・。でも、ちょっとは相談してほしかったな~。」

「・・・・・・ごめん。」

「なんで氷川さんの誘いを受けたの?」

「・・・・・・僕たちも、変わらなければいけないって思って。」

「っ!?」

 

 

僕は氷川紗夜の誘いを受けた理由を話す。

 

 

「今まで散々な目に遭ったけど・・・・・・でも、僕は全ての人を信じないなんて出来ない。だから、晴斗と友達になった。自分を変えるって意味も含めて。」

「・・・・・・・・・・・・。」

「・・・・・・ウィズも、変わるために友達の1人くらい、作ってみたら?」

「っ・・・。」

「ダメだったら、僕がずっとウィズのことを守るから。」

「・・・・・・分かった、映司を信じるよ。」

 

 

話も終わり、受付に戻る。

 

 

「・・・・・・ん?」

「あれ?氷川さんは・・・・・・どこ?」

「あ、2人共~。」

 

 

まりなさんが何故かやって来た。

 

 

「2人共、早くステージに行って。お客さん待ってるから。」

 

 

またこの人は・・・!!

 

 

 

 

 

ってことで、結局ライブとなりました。

 

 

「・・・・・・映司。」

「ん?」

「今日さ、映司の作った曲と・・・・・・これ、やらない?」

 

 

見せてきた楽譜には『作詞曲:葛城ウィズ』と書かれた楽曲、『この恋眠ろう』だった。

 

 

「・・・・・・うん、温めただけあって良い曲だな。」

「でしょ~?」

「それじゃ、行きますか?」

「・・・っ!」

「ん?」

「う、ううん!なんでもない!さ、行こ!」(映司の笑顔、久しぶりに見た気がする・・・。ドキッとしちゃった・・・!)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

まりなさんの誘いで、葛城さんたちのライブを最前列で見ることとなりましたが・・・・・・今回は湊さんや今井さんたち、知り合いが周りにいないので黙って見ることになりますね。

 

 

『キャアアア!!』

 

 

あ、葛城さんたちが・・・・・・ってなんで弟さんだけアコースティックギターを?それに、お姉さんの方はキーボードの所にいますし。

 

私はこれから起きる演奏がどういう形なのか、正直分かっていません。

 

すると、お姉さんがキーボードを弾き始める。綺麗なピアノの音を・・・。

 

 

「Oh~・・・」♪

 

 

すると、音源からドラム音を出して、ギターとキーボードで音を奏でる。

 

この曲『I(アイ)』は2回目ですが、何か心に来る曲だと思っています。

 

 

「抱いて抱いてよ 壊れるほどに もう1人にしないで

夢ならもう このままでいい I'll take chance」♪

 

 

・・・・・・まるで、弟さんが女性視点で『恋』という思いを伝えているようで。

 

 

「ねぇお願い 私だけ見て 2人きりでいてよ

言葉はいらない 甘いKissで Speechless love」♪

 

「もう1人にしないで

ねぇお願い 私だけ見て

言葉はいらない いらない いらない 甘いKissで」♪

 

 

私はこの時、何かを感じていた。前に聴いた時より、お姉さんの歌声が心に響いてくることを。

 

 

「何度も聞かせてよ

真実(ほんとう)のアナタ 見破れない

いつもと変わらない態度

いたくて 痛くて 切なく愛おしい」♪

 

 

そして、『I』が終わる。

 

すると、ステージに明かりが灯され、2人がMCを始める。

 

 

「皆さんこんにちは、『Quartzer』です。」

 

『キャアアア!!』

 

「普段は路上ライブをしていますけど、最近はここでライブをすることが多くなっていますので、こっちがメインのライブ場所となると思います。」

 

 

・・・・・・そういえば、花咲川の前の公園で路上ライブがありましたね。もしかして、葛城さんたちが・・・?

 

 

「そんな僕たちの・・・・・・新曲を今から披露します。先程の曲は僕が作詞作曲しましたけど、新曲は・・・・・・ウィズの作詞作曲となります。」

 

 

え?2人共、曲を作れるの?

 

 

「それじゃ、ウィズ。」

「うん。・・・・・・聴いてください。」

 

「「この恋眠ろう」」

 

 

曲のタイトルを言うと、弟さんがギターを弾き始める。途中、お姉さんがキーボードで音を奏でつつ、

 

 

「君が勝手な 視線で見つめたとしても 見つめ返す」♪

 

 

お姉さんがメインで唄う。

 

 

「問い責めるより 耳を傾けることが 光だろうから」♪

 

 

なんでしょう。この曲も、『誰かを愛しているのに報われない』・・・・・・そんな気持ちが綴られた歌詞だった。

 

 

あーいしてーるー(愛してる)

 だーいじょーうぶー(大丈夫)

 あーいしてーるー(愛してる)

 今はこの恋 眠ろう~」♪

 

「Fu~Fu~Fu~」♪

 

 

弟さんはまるでコーラスのようにハミングを入れる。そして、Cメロも終わり、大サビに入ると、

 

 

「あーいしてーるー」♪

  「愛してーるー Ha~ah~」♪

 

「だーいじょーうぶー」♪

 「だいじょーうぶー Ha~ah~」♪

 

「あーいしてーるー」♪

  「愛してーるー Ha~ah~」♪

 

「今はこの恋 眠ろう~」♪

      「眠ろう~ Fu~Fu~Fu~」♪

 

 

弟さんのハモリが綺麗にお姉さんの歌声と重なり、綺麗な音色で奏でるバラード曲がさらに綺麗に聞こえていた。

 

 客席からは歓声ではなく、ただただ拍手が送られていた・・・・・・。

 

 

 

 

 




いかがでしたか?
今回は作中に曲名をタイトルにしただけです。


では、また次回!・・・・・・次回こそ紗夜さんと仲良くさせます!

姉弟と深く関わってほしいのは誰?(11月6日23時59分まで)

  • 美竹蘭(※彼氏います)
  • 青葉モカ
  • 上原ひまり
  • 宇田川巴
  • 羽沢つぐみ

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