Take me to・・・ 作:ENDLICHERI
ライブの後、客席の最前列で見てた氷川さんを捕まえて、ロビーでウィズを交えて会話する事に成功した。
「まさか、僕たちのライブを最前列で見てたとは・・・。」
「すみません、まりなさんに言われて・・・。」
「でしょうね~。」
「それで、僕たちと話がしたいってことでしたけど?」
「それは・・・・・・その・・・・・・。」
なんでさらっと言えないの?・・・・・・恥ずかしがり屋さん?
「あ、あなたたちの曲について、色々聞きたくて・・・・・・。」
「曲?」
「アタシたちの?」
「はい・・・。」
氷川さんは言葉を続ける。
「あなたたちの曲は、全て自分たちで作ったオリジナルだと聞きました。素敵な・・・・・・恋の歌です。それで、」
「「・・・・・・それで?」」
「あなたたち・・・・・・
「「・・・は?」」
え?何?この人何言い出すの?
「まりなさんから姉弟だというのは聞きました。でも、姉弟だとしても近すぎませんか!?」
「あの・・・・・・なんの事ですか?」
「・・・・・・あ、もしかして・・・・・・こういう事、とか?」
「なっ・・・!?」
ウィズが人の腕に抱きつく。そんなの見せられた氷川さんが顔を真っ赤にして驚いていた。
「・・・・・・ハァ。ウィズ、離れて。」
「そうです!離れてください!」
なんで氷川さんがムキになるの?
「え~?アタシにとって映司はこういう「うるさい。」イテッ!?」
「・・・・・・あのね、ウィズとは確かに姉弟だけど、恋愛どうこうの相手ではない。姉弟で恋愛なんて、アニメや小説じゃあるまいし。」
「そ、そうですよね!」
すっごいホッとしてる・・・・・・。
「あの氷川さん。」
「は、はい?」
「よければ、僕たちと友達になっていただけませんか?」
「え?」
「うぅ・・・・・・って、え!?映司さん!?」
僕の発言で2人が驚く。
「ウィズの教室での態度を見れば分かる通り、僕たちは自ら友人を作ることはしません。・・・・・・いえ、出来なくなってます。」
「・・・?」
「でも、こんなウィズに何度も話しかけてくれるあなたを《信じて》、僕からお願いします。」
「・・・・・・。」
「せめて、ウィズとだけでも良いので。」
「ちょっと、映司・・・・・・。」
僕は氷川さんに頭を下げる。
「映司、もう「葛城さん。」・・・っ!」
「・・・・・・映司さん、でよろしいですか?」
「は、はい・・・。」
「私で良ければ、お2人と・・・。」
僕は頭を一度上げ、氷川さんから差し出された手を見る。その意味が『OK』って意味だと知っていた。
「ありがとうございます。」
「いえ。・・・・・・それと、ウィズさんでよろしいですか?」
「・・・・・・映司も同じ名字だから、それでいいです。」
「分かりました。では、ウィズさん。私と友達になってください。」
「・・・・・・・・・・・・。」
「ん?・・・・・・ウィズ?」
「その前に1つ。」
ウィズが珍しく、真剣な感じで話し始めた。
「アタシたちの過去を知って、それでも尚、友達になる気があるか、それで決めさせてもらうよ。」
「っ!」
「・・・・・・過去?」
まさか、ウィズが昔の話を持ち出してくるとは・・・・・・。
ウィズは僕たちの事を話し始めた。僕の目で他人から嫌われてきた事、親からも見捨てられた事、どうしてここに来たのかって事を、全て話した。
「・・・・・・これが、アタシたちの過去。」
「・・・・・・・・・・・・。」
「こんな過去持った人間と仲良くなったとしても、アナタはほぼずっと、心から信頼される事は無い。」
「・・・・・・ごめんなさい!」
「「・・・え?」」
僕たちは、また彼女の発言に驚いてしまった。・・・・・・あ、僕も一応左目は見せた。
「まさか、あなたたちにそんな事があったとも知らずに簡単に『友達になりたい』なんて思ってしまって・・・・・・。」
・・・・・・なんだろう、若干デジャヴを感じてる僕がいる・・・。
「ですが、それでも私はあなた《たち》と仲良くなりたいんです。」
「・・・・・・だってさ、ウィズ。どうする?」
「・・・・・・分かった。出来る限り、裏切らないでよ?」
「っ!・・・・・・はい!」
・・・・・・これさ、絶対僕と晴斗の展開を流用しただけでしょ!?
「・・・・・・さてと、そんな姉弟の過去を盗み聞きしてた方。」
「ギクッ!?」
「この話、大人相手だと高いよ?・・・・・・ま・り・な・さ・ん?」
「え!?ちょっ、映司さん!?」
これで、次回の給料は少し高くなったかな?
これでウィズも、1歩歩み出した訳だ。昔みたいに・・・・・・いや、昔以上に明るい生活が送れるといいな。
いかがでしたか?
今回のタイトルはご存知の通りです。・・・・・・まぁ、『紗夜から見たら』だけどね。『S』が付いてるし。
では、また次回!