Take me to・・・ 作:ENDLICHERI
沙綾さんと有咲さん、それから楓さんには少し離れていただいて、僕たちは前回最後に現れた人物と話を始める。
「久しぶりだね。元気にしてたかい?」
「・・・・・・はい。お久しぶりです、お義父さん。」
「・・・・・・・・・・・・。」
横にいるウィズは、ずっと黙っている。怒りのようなオーラを感じるのは、僕だけじゃないはずだ。
「やっぱり、嫌われてるよな~。」
「当然でしょ・・・。『連絡する』って言ったアンタが、一切連絡しなかったからね!」
ウィズが心に溜めていたであろう言葉を口にし始めた。
「携帯の使い方を知らなかったアタシたちに渡すだけ渡して、連絡しなかった!そんな人間が平気な顔してアタシたちに会いに来たんだから!」
「ウィズ・・・・・・。」
ウィズは体が弱い方だ。でも、あの頃はウィズがずっと僕を守ってくれた。そんなウィズも、この人から連絡から来ることを信じていた。
「・・・・・・ごめん。」
「・・・っ!そんな言葉で済むんだったら・・・・・・アタシは怒ってないわよ!」
ウィズの怒りは、収まらない。
「だったらあの女の目を盗んで連絡しなさいよ!・・・・・・どれだけアタシたちが苦労したと思ってるの・・・。」
「本当に申し訳なく思っている。でも、連絡をしなかったのは、
「・・・・・・え?」
「どういう事ですか?」
「・・・・・・彼女は、君たちがいなくなった後にすぐ僕を疑った。そして、1日に3回くらい僕の携帯の着信・発信履歴を確認していた。だから、連絡も出来ずにいたんだ。・・・・・・ごめん。」
あの人は、そこまで僕を・・・・・・。ってか、ただの縛りの強い女の行動じゃない、それ?
「分かりました、許しますよ。あの人の監視下にいたのなら仕方ないですね。」
「・・・っ!ありがとう、映司君。」
残念ながら、僕はこの人に悪い印象はあまり持っていない。連絡が無かったのも、あの人の近くにいたからと思っていたしね。
「それで、僕たちの医療費はどこから払ったんですか?」
「君のお母さんが社長を務める場所から。」
おいおい・・・・・・。
それより、
「ウィズ。」
「・・・・・・え、いじ・・・?」
「僕たちの辛い人生は、今日で終わりだ。だから、ウィズもお父さんの事を許して、ね?」
「・・・・・・うん・・・。」
「ほら、ハンカチ。綺麗な顔が台無しだよ?」
ウィズは首を縦に振って、ハンカチを受け取り、涙を拭う。
「映司君、本当にありがとう。」
「いえ。・・・・・・ウィズにはこれまで守られっぱなしだったので。このくらいはしますよ。」
「そうか・・・。君なら、ウィズの隣に相応しいね。」
・・・うん?
「あの・・・、今なんて?」
「うん?・・・・・・『君ならウィズの婚約者に相応しい』って言ったんだが?」
・・・は?
「いやいや!確かに僕たちは義理の姉弟だけど、「~~~!!」・・・・・・ん?」
なかなか表現のしにくい音が後ろから聞こえてくると思って、後ろを向くと、ウィズが僕のハンカチで鼻をかんでいた。
「・・・・・・僕、こんなお嬢さんと婚約はちょっと遠慮したいですね。」
「・・・・・・ウィズ、もうちょっとデリカシーを覚えようか?」
「・・・・・・ふぇ?」
その間抜けな返事に、僕は限界を迎えたんだろう。
「ウィズ、覚悟はいいか?」『Are You Ready?』
「え?映司さん、バキバキ拳を鳴らさないで!そんな覚悟したくありません!」
「うっさい。今どつくから・・・・・・そこ動くなよ!」『オーバーフロー!』
「ちょままー!」『ヤベーイ!』
「くしゅん!誰か噂して・・・・・・何してんだ?」
「退院してすぐがこれなの?」
「あはは・・・・・・。」
今日、僕は母親の呪縛から解放され、新しい人生を迎えた。
綺麗に締まらないけどね・・・。
いかがでしたか?
今回のタイトル、見覚えありますよね~。無かったらYouたちは何を見ているのかしら?
映司がある意味『生まれ変わった日』ってことでね、このタイトルを付けました。
これでも、この作品のサブタイを付ける時のルールには当てはまっているんです。・・・・・・これで察したんじゃない?今までのタイトルがどこから来たのか?
それと・・・・・・知らない人は気にしなくていいですが、別作品ネタぶちこんですんません!考えながら書いてたら書いちゃったのよ~。
では、また次回!