Take me to・・・ 作:ENDLICHERI
ライブも終わり、冬休みも明けて、バイトのない日の放課後。
「さ、寒い・・・!映司、もうちょっとスピード落として!風が冷たすぎるよ!」
「無茶言うなよ。これ以上落としたら歩くのと変わらないよ?」
「でも・・・!」
「それに、早く行かないと間に合わないかもよ?」
「・・・・・・映司のイジワル!」
「イジワルで結構。・・・・・・僕のマフラーでも使う?」
「え?でも、寒くならない?」
「自転車漕いでるからだいぶ暖まってきたんだ。」
「・・・・・・ありがと。」///
そう、僕たちは学校終わりに自宅ではなく、
「・・・・・・ほら、着いたよ。」
「ありがと。はい、マフラー。」
「どうも。」
やって来たのは空港。
「・・・・・・お、ウィズ。それに映司君も。見送りに来てくれたのかい?」
「はい。・・・・・・あなたには、助けられたので。」
「・・・・・・そうか。」
ウィズのお父さんの見送りに来た。はるばる北の方から飛んできて、僕たちの医療費を出してくれたんだ。これくらいの事はしないとね。
「・・・・・・・・・・・・。」
「?・・・・・・ウィズ、何か言ったら?」
「っ・・・・・・。」
・・・・・・仕方ない。
「僕、ちょっと飲み物買ってくるね。」
僕は席を外して、親子だけの空間にした。
全く・・・、本当に映司はイジワルになったよ・・・!
「ウィズ?」
「・・・・・・ごめんなさい・・・。」
「え?」
「その・・・・・・色々誤解してたから・・・。」
「なんだ、そんな事ね。・・・・・・むしろ、謝るのは僕の方だよ。ウィズだけじゃない、映司君にも迷惑をかけてしまったからね。」
「でもそれは「分かってる!」・・・っ!」
「・・・・・・彼女の近くにいたからね。」
「お父さん・・・。」
「・・・・・・久しぶりにウィズの口から『お父さん』って言葉が聞けた。」
「なっ!?いきなり何よ・・・!」///
「父親として、嬉しくてね。・・・・・・あの人にも、良い土産話が出来そうだ。」
「『あの人』って、もしかして・・・・・・。」
「・・・・・・それじゃあね。」
「・・・・・・うん、
落ち着いていて明るい笑顔に、アタシは最大限の笑顔で返した。そして、お父さんは受付に向かった。
「・・・・・・ん?」
そんなお父さんに声をかけたのは、飲み物を買いに行ったはずの映司だった。
(・・・・・・何話してるんだろう?)
500mlのペットボトルジュースは渡したのは分かったけど、何を話してるのかは分からなかった。
そして、しばらくしたら映司がアタシの方にやって来た。
「お待たせ。はい、カフェオレ。」
「ありがと。・・・・・・お父さんと何話してたの?」
「さぁ。・・・・・・男同士のなれそめだよ。」
「何それ?・・・・・・まぁいいや。帰ろ?」
「うん。」
話の内容は、後で聞けばいいか!
さすがに、ウィズには教えれない内容なんだよね。
「・・・・・・ん?映司君。」
「どうも。よろしければ?」
「良いのかい?・・・・・・ありがとう。・・・・・・ん?」
「その紙に、僕の今の携帯番号が書いてあります。」
「映司君の?・・・・・・なんで?」
「ウィズにいきなり電話するのは、ちょっと恥ずかしいかと思いまして。」
「・・・・・・確かに。」
「だから、代わりに僕に電話番号を。近況なら報告しますので。」
「・・・・・・ありがとう。ウィズの事、頼むね。」
「えぇ。
「今はそれでも良いよ。またね。」
「はい。・・・・・・また。」
いかがでしたか?
タイトルの理由は言わなくても分かるでしょ?
では、また次回!