Take me to・・・   作:ENDLICHERI

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第54話 Father

 ライブも終わり、冬休みも明けて、バイトのない日の放課後。

 

 

「さ、寒い・・・!映司、もうちょっとスピード落として!風が冷たすぎるよ!」

「無茶言うなよ。これ以上落としたら歩くのと変わらないよ?」

「でも・・・!」

「それに、早く行かないと間に合わないかもよ?」

「・・・・・・映司のイジワル!」

「イジワルで結構。・・・・・・僕のマフラーでも使う?」

「え?でも、寒くならない?」

「自転車漕いでるからだいぶ暖まってきたんだ。」

「・・・・・・ありがと。」///

 

 

そう、僕たちは学校終わりに自宅ではなく、()()()()に向かっていた。

 

 

 

 

 

「・・・・・・ほら、着いたよ。」

「ありがと。はい、マフラー。」

「どうも。」

 

 

やって来たのは空港。

 

 

「・・・・・・お、ウィズ。それに映司君も。見送りに来てくれたのかい?」

「はい。・・・・・・あなたには、助けられたので。」

「・・・・・・そうか。」

 

 

ウィズのお父さんの見送りに来た。はるばる北の方から飛んできて、僕たちの医療費を出してくれたんだ。これくらいの事はしないとね。

 

 

「・・・・・・・・・・・・。」

「?・・・・・・ウィズ、何か言ったら?」

「っ・・・・・・。」

 

 

・・・・・・仕方ない。

 

 

「僕、ちょっと飲み物買ってくるね。」

 

 

僕は席を外して、親子だけの空間にした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 全く・・・、本当に映司はイジワルになったよ・・・!

 

 

「ウィズ?」

「・・・・・・ごめんなさい・・・。」

「え?」

「その・・・・・・色々誤解してたから・・・。」

「なんだ、そんな事ね。・・・・・・むしろ、謝るのは僕の方だよ。ウィズだけじゃない、映司君にも迷惑をかけてしまったからね。」

「でもそれは「分かってる!」・・・っ!」

「・・・・・・彼女の近くにいたからね。」

「お父さん・・・。」

「・・・・・・久しぶりにウィズの口から『お父さん』って言葉が聞けた。」

「なっ!?いきなり何よ・・・!」///

「父親として、嬉しくてね。・・・・・・あの人にも、良い土産話が出来そうだ。」

「『あの人』って、もしかして・・・・・・。」

「・・・・・・それじゃあね。」

「・・・・・・うん、()()()()()()()!」

 

 

落ち着いていて明るい笑顔に、アタシは最大限の笑顔で返した。そして、お父さんは受付に向かった。

 

 

「・・・・・・ん?」

 

 

そんなお父さんに声をかけたのは、飲み物を買いに行ったはずの映司だった。

 

 

(・・・・・・何話してるんだろう?)

 

 

500mlのペットボトルジュースは渡したのは分かったけど、何を話してるのかは分からなかった。

 そして、しばらくしたら映司がアタシの方にやって来た。

 

 

「お待たせ。はい、カフェオレ。」

「ありがと。・・・・・・お父さんと何話してたの?」

「さぁ。・・・・・・男同士のなれそめだよ。」

「何それ?・・・・・・まぁいいや。帰ろ?」

「うん。」

 

 

話の内容は、後で聞けばいいか!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 さすがに、ウィズには教えれない内容なんだよね。

 

 

「・・・・・・ん?映司君。」

「どうも。よろしければ?」

「良いのかい?・・・・・・ありがとう。・・・・・・ん?」

「その紙に、僕の今の携帯番号が書いてあります。」

「映司君の?・・・・・・なんで?」

「ウィズにいきなり電話するのは、ちょっと恥ずかしいかと思いまして。」

「・・・・・・確かに。」

「だから、代わりに僕に電話番号を。近況なら報告しますので。」

「・・・・・・ありがとう。ウィズの事、頼むね。」

「えぇ。()()として、ですが。」

「今はそれでも良いよ。またね。」

「はい。・・・・・・また。」

 

 

 

 

 




いかがでしたか?
タイトルの理由は言わなくても分かるでしょ?


では、また次回!

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