Take me to・・・   作:ENDLICHERI

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第58話 to Heart

 楽器店を出た僕たちは、意外と時間が経っていた事に気付き、今から昼食を取ることになった。場所は、フードコートだ。

 

 

「ちょうど良いタイミングで席が空いて良かったよ。」

「そうですね。」

「紗夜は何か食べたい物はある?良かったら買ってくるけど。」

「いえ!そんな事はさせれません!・・・・・・それぞれ別のタイミングで買いに行くのはどうでしょう?」

「・・・・・・仕方ない。それにするよ。」

「決定ですね。では、まずは映司さんから。」

「いやいや、そこはレディーファーストで紗夜から。」

 

 

順番を決めるのに、2分くらいかかったのは・・・・・・察して。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 映司さんと氷川さんがフードコートで昼食を取っている時、わたしたちも少し離れた所で昼食を取っています。

 

 

「う~ん・・・。」

「紫音さん、どうかしたんですか?」

「映司君、ちょっと引き過ぎない?」

「・・・・・・確かに。アタシもそれは思った。」

「全て紗夜の行きたいところだものね。彼、自分の行きたいところが無いのかしら?」

 

 

わたしも、それは思いました。・・・・・・蒼空君も、そんな感じだったような・・・。

 

 

「ここは男子が引っ張っていかないと、女子はキュンとしないよ!ね、燐子?」

「え・・・・・・?」

 

 

今井さん・・・・・・何故こっちに答えを求めるんですか?

 

 

「確かに。ここは恋愛では先輩の燐子様に伺いましょう!」

 

 

紫音さんまで・・・・・・。

 

 蒼空君、助けてーーー!!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 昼食を終えた私たちは、今はショッピングモールを見て回っています。

 

 

「映司さん、どこか気になるところはありましたか?」

「う~ん・・・・・・これと言って、かなぁ。」

 

 

私もこういうのは初めてで、正直何をすれば良いのか分かりません。それでも、映司さんが先程から全く自分の意見を主張しないのです。

 

 

「・・・・・・紗夜、どこか行きたい場所はある?」

「・・・・・・・・・・・・。」

「・・・・・・ん?紗夜?」

「すみませんが、映司さん。」

「はい・・・。」

「映司さんは自分の意見が無いのですか?」

 

 

私は彼の前に立ち、真っ直ぐに彼の目を見ました。

 

 

「・・・・・・無い、ことは無い。」

「でしたら、何故言わないのですか?」

「・・・・・・否定されるのが、怖いから・・・。」

「・・・っ!」

 

 

忘れていました。彼は、普通とは言えない生活を過ごしてきたことを。・・・・・・だから、他人に自分の意見が言えない。

 

 

「・・・・・・私が、映司さんの意見を否定すると思いますか?」

「っ・・・・・・。」

 

 

何も言わないってことは、その可能性が少しあるのかもしれませんね。()()()()()

 

 

「私は、あなたの全てを否定しません。絶対に。」

 

 

私は彼の両頬に手を当て、

 

 

「だから、あなたのやりたい事を教えてください。ね?」

 

 

私の目を見るようにした。私は、彼を安心させるように、出来る限りの微笑みを見せました。

 

 

「・・・・・・分かった。ありがとう、紗夜。」

「いえ、それほどでも。」

 

 

彼が笑ってくれたのが嬉しくて、頬が緩んでしまった。

 

 

「それにしても、紗夜がここまで大胆だったとはね~。」

「・・・っ!こ、これは・・・・・・その・・・・・・忘れてください!!」

 

 

少しからかわれたのは、ちょっと悔しいと思いましたけど・・・・・・。

 

 

 

 

 




いかがでしたか?
今回は『心に』って意味ですが、紗夜が映司の心に・・・・・・って感じですよ。


では、また次回!

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