Take me to・・・ 作:ENDLICHERI
映司さんのやりたい事を探していますが、なかなか見つからずに店内を歩き回る私たち。
「映司さん、何か気になるものはありましたか?」
「・・・・・・それが・・・。」
「まだ見つからない、ですか・・・・・・。」
「うん、ごめん・・・・・・。」
「あ、謝らないでください!こういうのはゆっくり見つければ良いのですから。」
「・・・・・・そう、だね。」
こんな映司さんを見ると、なんだか守ってあげたくなったり、正しい方向に導いてあげないと、って思いますね。ウィズさんがべったりくっついているのも分からなくはないですね。
「よろしければ、別の場所に行きますか?今までやったことないものがあるかもしれませんし。」
「やったことないもの・・・・・・あ。」
「?・・・・・・何かありましたか?」
「・・・・・・紗夜、この後の予定は?」
「特に細かい時間はありませんよ。暗くなる頃には帰ろうかと思っているだけですが。」
「それじゃあ・・・・・・これ、なんてどうかな?」
映司さんがショッピングモールのマップで見つけて、私に教えてくれたのは、モール内にある映画館でした。
そして、映画館スペースに来た私たちは・・・・・・
「・・・・・・・・・・・・。」
・・・・・・いえ、映司さんは入口で固まってしまいました。
「映司さん?ここで感動していたら、後が持ちませんよ?」
「・・・・・・ッ!ご、ごめん!」
まさかそこまで気を取られていましたか・・・・・・。私もそんなに映画館には来ませんが、ある程度は分かるので。
「それで、映司さんはなんの映画で見たいのですか?」
「え?・・・・・・これ、かな?」
指を差したのは黄色い文字でタイトルが書かれた、昔放送されたドラマの20年後の物語を映画にしたものでした。
「紗夜はこの映画知ってる?」
「あらすじを少しくらいは・・・・・・ですね。」
「そっか・・・・・・これで良い?」
「はい。構いませんよ。」
そして、映司さんはSサイズのポップコーンとドリンクを、私も
「・・・・・・紗夜、ポテト多くない?」
「そんな事はありません。」
「いやだって・・・・・・、それ一番大きいサ「そんな事はありません!」はい、そうですね!」
そして、
『えっと・・・・・・どちら様でしたっけ?』
『・・・・・・ヤマト。』
『え?トマト?』
『ヤ・マ・ト!』
主人公の2人の再開のシーン、これは20年前のドラマの出会いのシーンとほぼ同じだとか・・・。
この映画は、20年前のドラマ内であった大人だけを殺すウイルスが再び発生して、それに20年前関わった主人公2人が再び関わっていくというお話です。
私たちは静かに見ていました。・・・・・・と言っても、私は時々映司さんを見ていました。彼がどんな風にこの映画を楽しんでいるのか、それが少し気になって・・・・・・。
『謎は全て解けました。』
・・・・・・あ、気づけば早くも終わりのようですね。
『お二人の幸せは、このわたくしが保証します。・・・・・・じっちゃんの名にかけて!』
・・・・・・これ、言っていいんですか?
『・・・・・・俺に不可能はない!』
・・・・・・これも、別作品の決め台詞ですっけ?
半分以上映司さんの顔を見ていた気がしつつ、映画は終わり、私たちはスクリーンを出ました。
「映司さん、初映画はどうでしたか?」
「・・・・・・うん、悪くなかったね。」
「そうですか。」
「・・・・・・あのキャストさんたちが、20年前にも同じような作品のキャストだったんだよね?」
「えぇ。ポスター等を見るかぎり、そう書いてありますね。」
「・・・・・・
「何か言いましたか?」
「ううん、なんでもない。それじゃあ行こっか?」
(僕も・・・・・・つまらない大人にはならないように、悔いのないように生きよう・・・・・・。)
何を言ったのか分かりませんでしたが、私たちは再びショッピングモールを歩き始めました。
「ところでさ、ずっとポテト食べながら僕を見るの止めてもらっていいです?凄く気まずかったんだけど?」
「す、すみません・・・。でも、そんなに見てましたか!?」
いかがでしたか?
今回のタイトルは、映司が何か・・・・・・『こたえ』を見つけたから、付けました。
それと、作中に出てきた『映画』・・・・・・分かる人います?・・・・・・だいたいの人が分からないと思うけど。
では、また次回!