Take me to・・・   作:ENDLICHERI

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第9話 足音

今日は突然、ウィズが妙なことを言い出した。

 

 

 

「路上ライブしに行こ!」

 

 

 

・・・・・・どっか頭ぶつけておかしくなったか?

 

 

 

「おかしくなってません!!」

 

 

 

うっ、バレてる・・・・・・。

 

 

 

「それはそうと、なんで急に『路上ライブ』するんだよ?」

 

「う~ん・・・、なんとなく?」

 

「あっそ。」

 

「アタシも自転車ゲット出来たし!」

 

「そうだね。これで花咲川まで毎日送り迎えする必要はなくなる訳だ。」

 

「え?」

 

「え?」

 

 

 

まさか・・・!?

 

 

 

「送り迎えしてもらう気でいるのか?」

 

「うん、そうだけど。」

 

 

 

今から殴ってやろうか・・・!

 

 

 

「とりあえず、学校終わったら家に帰ってきて、その後路上ライブしに行こ!」

 

「ハァ・・・。」

 

 

 

溜息しか出なかった・・・。

 

そして、学校から帰ってきて、それぞれのギターを持って、()()()()の自転車に乗って公園に向かう。

 

 

 

「それで、どこの公園に行くの?」

 

「う~ん・・・。なんとなく良い場所で。」

 

 

 

ほぉ~、つまりノープランだと?

 

 

 

「・・・・・・あ、ここにしよ!」

 

「・・・・・・ここね。」

 

 

 

人の通りがそこそこの公園に自転車を止めて、楽器の準備をする。

 

 

 

「それで、何弾くの?」

 

「う~ん・・・、」

 

 

 

そこまでノープランだったか・・・。

 

 

 

「そうだ!『愛のかたまり』でどう?」

 

「・・・・・・まぁ良いけど。」

 

「決まりだね!じゃあ、映司は今までと同じ下のパートね。」

 

「了解。」

 

 

 

こうして、姉弟による路上ライブが始まった。

 

 

 

「心配性すぎなあなたは」♪

 

 

 

昔と変わらない演奏パートに歌唱パート。

 

 

 

「あなたと同じ香水を」♪

 

 

 

だけど、あれから10年も経っているから、歌い方やギターの技術は違う。

 

 

 

「「教えたいもの 見せたいもの たくさんありすぎるのよ」」♪

 

 

 

でも、僕たちの間には昔と変わらない時間が流れていた。

 

 

 

「「X'masなんていらないくらい日々が愛のかたまり」」♪

 

 

 

そして、1番を歌い終わると同時に演奏を終了した。

 

 

 

「・・・・・・なんだろうな。」

 

「?・・・・・・映司、何かあった?」

 

「いや。・・・・・・昔と変わらないパートを演奏して、技術もそれなりに上がったはずなのに、流れてた時間が昔と変わらないって思ってさ・・・。」

 

「・・・・・・確かに。初めて弾いた時と同じ時間が流れてた気がする・・・。」

 

\パチパチパチパチ/

 

「「・・・ん?」」

 

 

 

演奏に集中し過ぎて周りが見えなくなるのは僕たちの悪いクセだ。でも、この場所だと路上ライブしても足を止める人がいなさそうな場所だとはなんとなく分かってた。

 

 

 

「凄く良かったです!」

 

「あ、ありがとう~・・・。」

 

 

 

姉よ、若干苦笑いは止めなさい。

 

でも、この黒髪ロングの人はいつからいたんだ?

 

 

 

「前奏は聞けなかったですけど、こんなに素敵な演奏が出来るなんて・・・!」

 

 

 

あ、Aメロから聞いてたんだ・・・。

 

 

 

「普段からライブしてるんですか?」

 

「いや、たまにだけど・・・。」

 

「どこでライブしてたんですか?お客さんは多くて何人ですか?」

 

 

 

グイグイ来るな・・・。

 

 

 

「えっと・・・、アタシたち、もうおしまいだから。」

 

「え~!?・・・・・・そうですか・・・。」

 

 

 

面倒くさいな~。ウィズ、ナイスプレー。

 

僕たちはそれぞれギターをしまった時、この女性は急に僕の顔を覗きこんできた。

 

 

 

「な、何か・・・?」

 

「目の色、()()違う。」

 

 

 

僕はこの瞬間から、記憶が無かった・・・。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「目の色、()()違う。」

 

「っ!?」

 

「っ!映司!?」

 

 

 

アタシも油断していた。この人はちょっと危ない感じだったけど、まさか映司の目のことを言うとは思わなかった。

 

とりあえず、映司を落ち着かせないと!

 

 

 

「ゴメンね、映司疲れてるみたいだから。・・・・・・それと、」

 

 

 

アタシは映司のギターも持って、映司の腕をアタシの肩に回して映司を連れていくようにする。

 

 

 

「この事は・・・全部忘れて。」

 

「は、はい・・・。」

 

 

 

アタシは彼女にそれだけ言って映司を連れてどこか休む所に連れていく。

ちらっと彼女を振り返って見たら、動揺しつつも申し訳なさそうにこっちを見ていた。・・・・・・この事、誰にも言わないでほしいけど。

 

 

 

 

 

アタシは公園内で人通りの少ない所のベンチに映司を座らせた。

 

 

 

「映司?」

 

「ハァ・・・、ハァ・・・、お姉、ちゃん・・・?」

 

「そうだよ、お姉ちゃんだよ。」

 

「ハァ・・・、ハァ・・・、ゴメン、取り乱しちゃって・・・。」

 

「大丈夫、映司は悪くないよ。映司は何も悪くない。」

 

 

 

アタシはいまだに震えている映司を抱きしめる。

 

 

 

「大丈夫、大丈夫。お姉ちゃんがずっと一緒にいるから。」

 

 

 

映司が落ち着くまで、周りの目を気にせずずっと抱きしめ、落ち着いたら、一緒に帰った。・・・・・・もちろん、映司の心配をしながら。




いかがでしたか?今回のタイトル『足音』はどんな意味だと思っていたでしょうか。・・・・・・まぁ、映司に関係することなんですけど。

それと、『黒髪ロングの女性』は一応バンドリキャラです。突拍子の無い発言や行動をする感じを頑張って出してみたんですが・・・。

そして、映司に一体何があるのか!?あったのか!?


では、また次回!
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