ちょっと大人なインフィニット・ストラトス 作:たんたんたんめん@オルコッ党員
ラウラが転校してきてから二週間。最初こそラウラの軍人然とした固い空気に気圧されていたクラスメートだったが、話してみると意外に気さくだったり、教え上手な一面があったりと概ね好意的に受け入れられていた。
そして、その教え上手という一面は、一夏にも少なからず影響を与えていた。
今まではセシリアがメインで一夏を教えるという事をしていたのだが、そこにラウラが頻繁に顔を出すようになったのだ。
セシリアも教えるのは下手ではない、むしろ上手い方ではあるのだが、いかんせん近接戦に難がある。
しかし、ラウラは遠近共に戦うことが出来る
今までセシリアが教えてこられなかった近接戦を教えてもらえるという意味で、一夏もラウラの指導を有り難く受けれていた。
ただ、ときおり一夏とラウラが険悪と言うか、言い合いになる場面がチラホラ出てきていた。
そうなる時は決まって──零落白夜についての話になった時だ。
「だから、お前はなぜ零落白夜を使わない!?」
既に一戦、手合わせをしたのだろう。
ISこそ展開していないが、ISスーツを纏ったラウラの額にはうっすらと汗が滲み、顔も赤らんでいた。もっとも、声に込められた怒気から察するに頭に血が上って上気している可能性の方が高いか。
まあ、頭に血が上っているのはラウラだけでは無いのだが。
「毎度毎度うるさいなあオイ! 俺は使わないって言ってるだろうが! お前はその質問を何回すれば満足するんだ!?」
「私が納得するまでに決まっている! もしくはお前がおとなしく使うようになるまでだ!」
「お前が納得するかどうかなんて俺には関係ないんだよバーカ!」
段々とヒートアップしていく言い合い、もとい怒鳴り合いに水を刺すように、セシリアは手をパンと鳴らす。
乾いた音が、ピットに響き、一夏とラウラは口を閉ざしセシリアの方を向く。
見ると、セシリアは呆れ混じりの様で、どこか疲れた様な表情を浮かべている。
近くを通りすぎる生徒が「いつものアレか」と苦笑いを浮かべながら通り過ぎていった。
「落ち着いて下さい。なんか日に日に精神年齢が下がってませんか?」
初日はセシリアの目から見ても良い関係だと思った。
だが、二週間程たった今では、たまにこうなってしまうのだ。
まあ、お互いに相手を嫌ってというよりは、どこか兄妹喧嘩の風ではあるのだが。
「感情に身を任せての言い合いをしていては解決するものも解決しませんわ。ラウラさんから、もう一度 使った方が良いと思う理由をどうぞ」
ラウラは気分を落ち着けるためか、目を閉じ大きく息を吐く。
再び開いた目には、興奮の色は見えない。
「何度も言っているが、相手のエネルギーをゼロにすれば勝ちになるというIS戦において、文字通り『一撃必殺』となる零落白夜は大きなアドバンテージとなる。勿論、使いにくい
ラウラの並べる言葉は理路整然という言葉がしっくりくる。
感情ではなく、一人のIS操縦者として説いているの彼女の言葉はセシリアとしても納得出来るものだし、同意したいところではある。
だが、それはあくまでも武器の性能だけを見て言っているのであって、振るう者の気持ちまでを考えている言葉ではない。
「ラウラさんの言い分はわかりましたわ。では、それを踏まえた上で一夏さんの言い分をどうぞ」
だからセシリアは、一夏にも反論の機会を与える。
彼がそもそも使いたがらなかった理由。それを知っている身からすれば、心情的には使うのは反対なのだ。
「……零落白夜の威力の調整を間違えると相手の操縦者を傷つけるかもしれない。だから使ってないんだ」
一夏が選んだのは、理知によって説くことだった。
だが、それでは……とセシリアは思わず歯噛みする。
自分の口で説明してやりたいところなのだが、それは一夏の心情的な問題だ。他人が言うべき事ではない。
「調整を間違えなければ良いだけだろう」
「そんな簡単に言ってくれるんじゃねえよ。自慢じゃないが俺は風呂のお湯加減ですら安定しない男だぞ。いや、まあ、コーヒーの場合なら間違えんがな!」
「私は、出来ない者にやれと言うほど理不尽な性格では無いと思っている。その上でお前を『ある程度の腕を持った』と評したつもりだが?」
後半の冗談をまるっと無視された一夏だったが、それ以上に自身の腕前を褒められたという事に、一夏はどこかこそばゆい感情を抱く。
「一つ聞く。お前は、零落白夜を使えないのか使わないのかどっちだ?」
質問の形が変わった。
そういえば前にも似たような問答をセシリアとしたなと一夏はぼんやりと思い出した。
あの時と今を比べると、非常時だったとはいえ、使えたというのは幾分か折り合いがつけれる様になったからだろうか。
とはいえ、のべつ幕なしに使いまくろう、という気持ちはサラサラ無いが。
「誰かを傷付けるために使いたくないんだよ、この力は」
だから、ラウラにも包み隠さず言おうと思った。ラウラも、自分の事を想って使えと言ってくれているのだから。
そんな一夏の答えに正直な奴だとラウラは思わず苦笑を漏らす。
嘘でもいいから、使えないと言っておけばいいものを。
使えないと使いたくないでは、まるっきり別物なのだ。
軍人でも、いや、軍人の方が多いかもしれないが、心理的な問題で銃を取れない者もいる。
そうした者たちは、使いたくないのではなく使えないのだ。
(使おうと思えば使えるのであれば、無理矢理にでも使わせるが……)
おそらく、自分が何を言っても一夏を翻意させる事はできない。
ただ単にわがままで使いたくないと言っているのなら話は別だが、一夏がそこに確固たる信念を持っているのはなんとなくわかった。
(教官が自分を守る為に使った力で誰かを傷付けたくない、か)
言い訳、と言えばそれまでだろう。
千冬とて、試合においては零落白夜を使い、雪片を振るった。そう一夏に言ったとしても彼に届く事は無いだろう響くことは無いだろう。
「……お前の言いたい事はわかった。だが、だからといって弱いままで良いという訳ではないぞ」
「わかってるっつーの。ほら、エネルギー回復させてもう一回やんぞ」
☆☆☆
「ぬう、どうにも勝てん」
何回目かの手合わせの後、再びピット戻ってきて頭を抱えて呻く一夏の姿があった。
「お前はAICに気を取られ過ぎだ。AICは強力だが、なにも万能の武器って事はない」
同じくピットに戻ってきていたラウラがそう言いながら一夏に近づく。
ほら、とタオルを投げ渡しながらラウラは先程の言葉に重ね、零落白夜がそうであるようにな、と続けた。
「零落白夜も攻撃力こそズバ抜けているが、自身のシールドエネルギーを転化させている。相手に刃を届かせられなければ、自分のシールドエネルギーを失っただけ、という事もある」
「それと同じ様にAICにも弱点があると?」
「勿論だ」
言いつつ、ラウラは一夏の持ちタブレットを操作する。
映し出されたのは、明らかにAICを意識しすぎて動きがぎこちなくなっている一夏の姿だった。
「一夏に限った話ではないがな、一度でもAICの網に掛かった敵はこれを打ち破らねばならないと動く。その結果、普段の姿とはかけ離れた動きをしてしまう」
「そりゃそうだろ。動きを止められたらどうしようも無いんだからな」
一夏がお前は何を言っているんだと言わんばかりの呆れ混じりの視線を向けるが、それをラウラは「ふん」と鼻を鳴らせて受け流す。
「そう思った時点で、私の術中に嵌っているんだ」
「はあ? それがお前の切り札なんだからどうにかするしかないだろ」
「別に切り札という訳では無いが……では、具体的にどう対処する?」
「それがわからないから苦労してるんだろうが」
この二週間ずっとそれを考えていたが、コレだという答えは出なかった。
そして、AICばかりに囚われた影響か、最近の戦績は散々なものだった。元々勝ててはいなかったが、更に苦戦するようになったのだ。
「別に、難しく考える必要はない。私がAICを発動するより早く攻撃をする、認識外のところから攻撃を与える、同じ場所に留まらない。……とまあ、今のお前に出来るのはこのくらいか」
「いやでもそれって──」
「そう、お前がいつもやっている事だ」
本来の一夏であれば、ラウラに手を差し出されたとしても立ち止まるという事はない。
思い切り引くか、いっそ距離を詰めて打ち込むか。その二つのどちらかを選ぶはずなのだ。
一番最初に手合わせした時、体勢を崩した一夏に二度、追い打ちをかけた。
そのどちらもラウラの攻撃を防ぐのではなく、あえて攻撃に転じるという方法で難を逃れた。
「AIC対策と言いつつもなんて事はない。言ってしまえばいつも通りの事をすればいいだけなのだ。だが、それを理解していない者だとそうはいかん」
お前みたいにな。と言われているような気がした。
まさしくその通りなのだが。
「AICを使われたらどうしようと受け身の考え方をしている時点で後手に回ってしまっている。使われたらどうしよう、ではない。使わせない為にどうするかを考えろ」
何もAICに限った話じゃないぞ、とラウラが続ける。
「代表候補生と比べ、技術で劣るお前が勝つためには絶対に後手に回っては駄目だ。常に先手を取ることを意識しろ」
「いやでも、今までだって俺は先手を取ろうと思ってやってきたつもりだぜ?」
「それは違う。大事なのは、どう先手を取るか意識する事だ。漠然と先手を取ろうと思っていては駄目だな」
「夢は語ってるだけじゃ叶わないって事と一緒か……」
夢はいつか叶うというが、ただただ言っているだけでは叶わない。
夢を叶えるために何をするか考え、行動を起こす必要がある。そういう意味では同じだろう。
「近接戦だけだからこそ、考えるよりも早く身体が動くようになれ。だが、闇雲に動けという訳ではないぞ? 私が言いたいのはだな──」
「──考えなくとも常に最適解の動きを出来るようになる事、か」
ラウラの言葉を遮り一夏が言葉を紡ぐ。
遮られたラウラは気を悪くした風もなく肯定の意思を示すように頷く。
「言葉にすると簡単だが、実際にやるのは難しい。特に極めようとすればするほどな」
なぜなら、その戦法を極め抜いたのが千冬という操縦者なのだから。
世界大会に出場する相手ですら、零落白夜の一振りで決着がついた試合も多かった。
「……教え過ぎでは無いですこと?」
と、二人の会話が終わったタイミングでセシリアが口を挟んだ。
その表情は苦々しいモノだった。
「そうか? 到達点を教えておくのもいいと思うが」
「ですから、教え過ぎだと申し上げたんですわ。実際に戦うのは一夏さんです。彼が実際に気付き、自分で目指すべき場所を決めなければならいとわたくしは考えます」
セシリアの言葉を噛みしめるようにして聞き終えると、ラウラは口角を吊り上げた。
その表情に、一夏は悪戯を企んでいる時の千冬の姿が何となく重なった様に感じた。
「なるほど、な。どうやらお前を師に仰いだ一夏は正しかったようだ」
「なんか茶化してませんか?」
「そんな事はないさ。一夏と手合わせをしてな、不思議に思っていたんだ。基礎はしっかりしている癖に、どういう戦い方をしたいのかが見えてこなかったからな」
ある程度成熟したIS乗りであれば、方向性もある程度定まってくるものだ。
セシリアが、精密な狙撃によって遠距離での戦いを優位に進める為に戦術を練るように。
鈴が、近中距離どちらも十全に対応出来るが故に、その為の武装をするように。
だが、一夏にはそれが見えない。だからこその伸び悩みなのだろう。
「わたくしに出来ることは手段を増やして差し上げる事ですから。戦い方はご自身で決められるべきですわ」
「そして自分らしい戦い方がが見つかった時、その道にたどり着き易くする為に取れる手段を増やしておく、か。中々どうして、献身的じゃないか」
「やっぱ茶化してますわねあなた!?」
お硬そうに見えて、こういう冗談も言えるのか。
そんな風に一夏は他人事の様に思った。
☆☆☆
「どうしてそこまで一夏さんに関わろうとしますの?」
今日の訓練を終え、このままでは夕食を摂り損ねると言うことで、一旦は終わった。
セシリアのこの発言は、ラウラと二人で更衣室で着替えている最中に出た。
「それはお前も同じことだろう」
タオルで汗を拭いながら、短くラウラが答える。
どことなく、拒絶されている様な感じはするが、これが彼女の平常運転だという事はセシリアもこの二週間でなんとなく分かってきたので特に怯むことは無かった。
「私はな、落ちこぼれだったんだ」
いきなり何を言い出すのだろうか。一夏に構う説明と上手く繋がらなかったのだ。
というより、ラウラが落ちこぼれだったと言われても、素直に頷けないところがあるのが正直な思いだった。
「私が眼帯をしている理由を知っているか?」
「いえ」
正直に首を横に振ってみせると、ラウラがおもむろに眼帯を外した。
落ちこぼれだったという言葉から、怪我でもして潰れているのかと思ったが、そうではなかった。
眼帯の下に隠されていた瞳は、眩いばかりの金色を放っていた。ラウラの髪が銀色に生えるのと対象的なのも、どこか神秘的に感じる。
「きれい、ですわね」
「ありがとう。……まさかそんな反応をされるとは思っていなかったな」
どこか照れたように、苦笑交じりに呟くラウラ。
「特に、異常はなさそうな……。今も視線は合ってますし、見えていない様ではなさそうですが」
「その通り、この瞳は見えないという事はない。だが、見えすぎてしまうのさ」
そう言って、ラウラは再び眼帯を装着した。
ふぅ、と小さく息を吐いた姿は一夏との戦闘を終えた時よりも憔悴している風に感じた。
「
元々は、ISの適合性向上の目的ではなかったのだが、結果として向上する事が分かった。
そうなれば、操縦者全員に手術をするのは自然な流れだった。
「勿論、私も例外ではない。私はその手術を受けて──失敗したんだ」
「失敗……ですか? このような言い方が適切かわかりませんが、動いているように見えましたわ」
「そう。動くことは動くんだ。言っただろう? 見えすぎると」
動体視力の向上はたしかに実感できるし、ISを纏っていなくとも2キロ程度先の目標すら目視で見つけることが出来る。
だが、肝心の機能が働かなかったのだ。
「制御できないんだこの瞳は。本来は任意で発動出来るはずなんだが、私のは何故か出来なくでな。常に発動しっぱなしさ」
「それは……」
遠くのものが視える。それは一見、有利に働きそうだが、その限りではない。
ISを纏えばまだしも、生身の肉体では持て余すだろう。それこそ、無い方がマシなくらいには。
そういう事情なら、落ちこぼれだったという言葉がしっくりと来た。
「そんな中だった。織斑先生が、ドイツ軍に教官としてやってきたんだ」
当時を思い出してるのか、懐かしそうに目を細めるラウラ。
事情を知らなければ、なぜ千冬がドイツに、とも思うがセシリアはすでにその事情を知っていたので不思議には思わなかった。
「一夏さんがおっしゃってましたわ。自分のせいで織斑先生が現役を引退して、ドイツに行かせてしまったと」
セシリアがそう呟くと、ラウラが「ほう」と唸った。
一夏と仲が良いとは思っていたが、そこまで話している仲だとは思っていなかったのだ。
まあ、実態としては聞かされた訳ではなく盗み聞きしただけなのだが。
「教官に指導を受けた私はみるみる成績を伸ばしてな。教官が任期を終える頃には再び部隊長の地位に返り咲いていた」
その中で、一夏とも電話でだが出会い、まあ色々とあったなと思い出し苦笑を浮かべた。
ラウラとしては、若干の黒歴史の様なものだからだ。
「? どうされました?」
「ああ、すまない。ちょっと昔を思い出していてな」
部隊長に返り咲いたという話をしていながら、苦い表情をしたから不思議に思ったのだろう。セシリアはラウラに伺うような視線を投げていた。
「私としてはなその恩返しをしたかったのだが、私が教官に返せるものは殆ど無くてな。あるとすれば──」
「一夏さんですか」
そうだと言わんばかりにラウラは大きく頷いた。
「教官にとって一夏はすべてを投げうってでも守りたい存在なのだ。ならば私は、教官の為に一夏を守る盾になろう。とはいえ、守られてばかりというのも問題だからな。アイツも相応に強くなって貰わねばな」
ようやく、腑に落ちたようにな感じがした。
セシリアがずっと気になっていた「どうして一夏に構うのか」という疑問もこれで解消できた。
もっと複雑な事情もあるのかと思ったが、実態はもっと単純だったという事だ。
「さて、私の方は答えたぞ。お前も答えて貰おうか?」
「えー……やはりそうなります?」
「私だけってのはフェアじゃ無いだろう?」
口調こそ砕けた風だが、セシリアに向けられた視線は厳しいものだ。
とぼけてみようか──そう考えて、やめた。
「本国から、そう命令されていますので」
ラウラは、自身の過去を隠すことなく話してくれたのだ。それなのにこちらは誤魔化す、なんて事はセシリアには出来なかった。
「お前は……もう少し取り繕うとか思わないのか」
心底呆れたと言わんばかりのラウラに、セシリアとしては苦笑するしか無い。だが、正直に言った理由は他にもあるのだ。
「それ、似たような事を一夏さんにも言われましたわ」
なぜなら、既に一夏にその事を伝えてしまっているのだから。
まあ、だからといって誰彼構わず言うつもりは無いが、ラウラになら良いと思ったのだ。
「一夏も一夏だな。そんな目的の者が近くにいると知りながらのままというのは」
そう呟くラウラだったが、口調とは裏腹にどこか楽しそうだった。
とりあえずは、近づくなとは言われなさそうでセシリアとしては一安心である。
と、そういえばセシリアとしては気になっていたことは他にもあったのを思い出し、口を開く。
「ドイツからは一夏さんについての指示は何も無いのですか?」
そう、セシリアにイギリスから指示が出ているように、ラウラにも指示が出ているのではないかと思ったのだ。
「確かに、本国からは一夏を、そして教官をもう一度本国に連れ来るようにと要請はある」
「やはりそうなのですわね」
「私としては二人がドイツに来てくれるのが理想ではあるがな。だが、本人の意思を無視してまでとは思わん」
「なるほど……」
そう呟きながら、セシリアは先程あった一夏とラウラの言い争いを思い返していた。
(零落白夜の問題も、最終的には一夏さんの意思を尊重してましたわね)
そもそも、使わせようとしたのは一夏の為を想ってというのもある。
セシリアとしては指導のペースは気になるが、的はずれな事をしている訳ではないのだ。
などとセシリアが納得していると、何かに気付いたかのようにラウラがポンと手を叩いた。
「本人の意思を無視して連れて行く気は無いと言ったが、恋人同士になれば関係ないのか」
「んん!?」
「そうすると教官もついてきて頂けるかもしれん」
「にゃにを」
「うん?」
「何を言っておりますのあなた!?」
「半分冗談だ、安心しろ」
「半分本気って事ですわよねそれ!」
セシリアが唾を飛ばしそうな勢いでラウラに詰めるが、それを受けたラウラは怯むことなく、それどころかどこか挑戦的に口角を吊り上げて口を開いた。
「ああその通りだとも。お前の言う通り私は本気だ。本気で教官に恩返しをしたいと思っている。本気で一夏を守ってやろうと思っている。その為なら祖国を敵に回す覚悟は出来ているさ」
すう、とラウラの目が細くなる。
「──イギリス代表候補生、セシリア・オルコット。お前はどうなんだ?」
その問いかけに、セシリアは返す事が出来なかった。
バトルが書きたい今日この頃