ファイアーエムブレム風花雪月 双紋の魔拳   作:気力♪

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前半が煤闇のプロローグです。後半は、お宝を使った新たな発明シリーズ+白鷺杯となっています。


第27話 灰狼達/発明と金儲けと舞踏会

 アルファルドさんとの戦いは終わり、始原の宝杯は破壊された。

 これで、彼の足を踏み間違えた野望は終わったのだ。

 

「ジョニー、流石」

「ええ、あなたの奇跡じみた気合い。実際に見るとすごいものね」

「ダスカーの時といい、本当に無茶をするな。それが心地いいのだが」

「おいおい、他人事だからって気楽にいいやがって。俺は一応盟主としてコイツのことを多少は舵取りしないといけないんだぜ?」

「それが重荷なら、私が背負ってあげましょうか?」

「いや、それには及ばないさ。重荷のない人生ってのは軽すぎて駄目だ。空から戻ってこられなくなっちまう」

「いい事言いますねクロさん」

 

 

 そんな軽口を叩きながら、リンハルト達に介抱されているユーリス達を見る。

 

 全員気力が足りなくて立てずにいるが、その顔は満足気だ。

 

 そりゃ、あれだけ心を解き放てば満足もするだろう。

 

「それじゃあレア様、聞かせてもらえますね? そこにある、彼女の遺体の事について。先生には、聞く権利があると思います」

「そう、ですね。それではベレス。私の部屋に来てくれませんか?」

「質問がある」

「……何でしょうか?」

「ジョニーを連れて行って構わない?」

「それは何故ですか?」

「ジョニーなら、私たちの考えつかない落とし所を見つけ出してくれると思うから」

 

「先生、それは評価しすぎですよ」

「適切な評価だ」

『業腹じゃがの』

 

 なんかそんな感じで、皆のことをやってきた騎士団の方々に任せてレア様の部屋に行く事になった。

 

 アルファルドさんの想いを受け止めた今。やらねばならないことがある。だが、流石に人目につく所では後々が面倒なのだ。

 

 だから、これは渡りに船である。

 

 

「着きましたよ、2人とも」

「「失礼します」」

『邪魔するぞ』

「お二人とも、かしこまる必要はありませんよ」

 

 見えないもう1人が割と傍若無人だから相対的に頑張ってまともに振る舞わなきゃという心ができるのだ。そんなことを考えていたのが同じだったのか、先生と自然と目があって苦笑した。

 

「それでは、話しましょう。私の弱さが導いた今日の事を」

 

 そうしてレア様は語り出した。

 

 先生のお袋さんの体は弱かったということ。

 自分の娘の命を救うために、心臓を捧げた誇り高き母親がいた事。

 己の弱さが故に、彼女の死を受け入れられなかった事を。

 

 だから、その体を保存したのだと。

 

「私には、耐えられなかったのです。我が娘同然のシトリーが、暗き土の中に閉じ込めておくことなど私には出来なかったのです。だから埋葬したと偽りその体をアビスに隠したのです」

 

『この、戯けが! 命で人形遊びをしているつもりかこ奴は!』

 

 叫ぶソテっさん。ああ、今回に限っては完全に同意だ。だから、泥は俺が被るよ。

 

 その思いを、先生の飛び出しそうな体を止めるために掴んだ腕から伝える。そうして帰ってくるのは、“それ許さないような狭量な方だったのなら、私がもう一発やる”との事だった。

 

 それは、とても笑える話だ。だから、行くとしよう。

 

「レア様、先に申しておきます」

「……なんでしょうか、ジョニー」

「これからの失礼を、先にお詫びします。なので、歯を食いしばれ」

 

 そうして俺は、この世界の最大権力者、セイロス聖教会大司教レア様に

 

 一発、想いを込めた平手打ちを叩きつけた。

 

「ジ、ジョニー?」

「ふざけてんなよあんた。あんたは、何もしていない。命をかけて戦ったシトリーさんに対して、侮辱以外の何もしていない!」

「……私は!」

「長生きしてるからとかそれがどうした! あんたは今いるアンタで、今を生きてるアンタだ! 大切な人を失った痛みから逃げ出して過去に留まる事は、自分を傷つける以外の何の意味もないんだよ!」

 

「誰かが! 大切な誰かが死んで心が痛いのは! それがその痛みと同じくらいに、それ以上に大切な人だったからだ! だから! 残された俺たちはその事をただの過去にしちゃいけないんだよ! 語り継いで、思い出して! 同じ人を想う人と一緒に泣き合って! それを乗り越えて! 自分の心の大切な古傷にしないといけないんだ! それが、今を生きる俺たちが死んだ人たちを尊ぶ事だから! 死んだ人たちの誇りを尊ぶことだからだ! そして何より、俺たち生きてる奴が彼らに報いることができる唯一のことだからだ!」

 

「だから、生きてる俺らは死んだ皆の事を忘れないで、奴らは天国で笑ってるさと信じて、笑って生きなきゃならないんだよ。あるかわからないあの世でも、生まれ変わった次の世でも、いつか会えるその大切な人に“俺はお前のお陰でお前より幸せだったぞ! ”って伝える為に」

 

「……」

 

 黙り込むレア様。

 

「だから、アルファルドさんの古傷になったそれをただの自己満足未満のために開いたあなたを俺は許さない。絶対の絶対に」

 

 言いたい事は言い終えた。さて、この部屋からの逃走経路を考えつつ、選手交代といこう。

 

「私があなたを許せないのは、きちんと母を埋葬してくれなかったことだけ」

「ベレス?」

「それからの事は間違いだらけだったけど、これだけは言いたい」

 

「私を救いたいという母の祈りを想って、母たちの心臓を私にくれてありがとう。お陰で私はまだ生きているし、夢もできた。だから、ありがとう」

 

 その言葉が堰を切ったようにレア様に響き、彼女はまるで子供のように涙を流し始めた。

 

『……泣く子には勝てぬか。仕方あるまい。歌でも歌ってやれお主よ。なに? 聖歌すら実はうろ覚えじゃと? 仕方あるまい。小僧、妾と繋がれ。一曲吹くぞ』

 

 そうして、ソテっさんの願いを受けて俺の笛を吹く。先生はレア様の背を撫でて、俺とソテっさんが奏でる。

 

 大切な、子守唄を。

 

 

 そうしてレア様は落ち着き、少し眠り、そうして目覚めた時には「シトリーの埋葬をしましょう。本当に彼女を想っている方々の為に。そして私の誤ちを告げる為に」と言った。

 

 そして静かに行われた葬式の夜。レア様とジェラルトさんとアルファルドさんは夜遅くまで酒を嗜んだらしい。と、しれっとお茶で居座っていた先生から聞いた。

 

 全く、()()()()調理当番でつまみを作る身の事を考えて欲しいものだ。他人の味に似せるのって結構難しいんだぞコイツらめ。

 


 

「じゃあ、灰狼の学級(ヴォルフクラッセ)はなくなっちゃうんだ」

「本当にびっくりだよ。ハピはもうちょっとかかると思ってたんだけどねー」

「まぁ、流石に想定外の事は多いがな。あいつの持ってきた話に乗るにはまだ金が足りねぇから、アビスから離れられねぇし」

「それに、浮いたアビスの事を心良く思わない方も多いでしょうから……まぁ、その全てを解決するジョニーは本当に意味がわかりませんけれど」

 

「ジョニーくん、なにかしたのー?」

「それは僕も気になります」

「何て事はねぇよ」

 

「ただ、今いるアビスの連中やユーリスの仲間達、大体をコーデリアで雇おうって話だ。技術の売買で金は作れるようになったからな。つぎに欲しいのは使える人手なんだよ」

 

 もっとも、アルファルドさんのような恩赦の無い罪人は連れて行く事はできないのだが。それは良いだろう。アルファルドさんはこれからのアビスを運営していかなければならないのだから。

 

「ちなみに、名目上は私が管理するということになっているので、皆しばらく宜しく」

「はーい」

「あ、それならペトラをアビスに連れて行きたいかも。ブリジットの方の鈍りの人がいたからねー」

「あら珍しい。リンハルトがそんな事を言うなんて」

「だって、僕とジョニーはしばらくアビスに篭るからね。適当な事を言って善意で手伝ってくれる人を多くしたいんだよ」

「そりゃどうして……ってアレか! よし、ラファエルは飯で釣るとして……俺も噛ませろよジョニー!」

「せっかくだ。力仕事しかできないが俺達も皆を誘ってみよう」

「ですね!」

 

 そんなこんなで皆を巻き込んだお宝回収大会は行われた。ちなみに優勝(特に商品賞金はまだ無い)はバルタザール。あの野郎借金以外ふつうに有能なんだよなー。

 

 そうしてそれを分解して、内部に使われている技術のわかるところを逆算してみると、面白いものを作り上げることができた。魔法水晶を使ったレンズによって受け取れる特定魔力の光を熱に変える技術と、熱によって簡単に形が変わる性質のこの弱ミスリル合金を使えばできるものがある。

 

 今回の作成には真面目にリンハルトがいてくれて良かった。まさかリザイア未満のあの魔法の特性を昔調べたことがあるとかおまえ最高かよマジで。

 

 

 そしてその発明のお披露目はもうすぐあるのは白鷺杯というダンスコンテスト。そしてその先のダンスパーティー

 

 

 金儲けの時間だぜ! 

 

 


 

 そうして白鷺杯の当日。俺は優勝間違いなしと目されているドロテアとある密約を交わしていた。500Gで、発明の最初に1人のなる事を。

 

「白鷺杯、優勝は黒鷲の学級(アドラークラッセ)!」

 

 当然のように優勝するドロテア。まぁ彼女に舞台の上で勝てる生徒は多分エガ姉くらいだから当然なんだけども。ね。

 

「さて、ドロテアさん。あなたの姿を記録に残す新発明があるのですが、よろしいですか?」

「ええ、もちろんよ」

 

 そうしてドレス姿で華麗にポーズを決めるドロテア。

 

 それに魔力を使った光を当てて、手に持った黒塗りの箱で受け止める。

 

 そうするとレンズは帰ってきた光により形通りに拡散した熱を作り、その熱が弱ミスリル板を変形させる。

 

 そして、その板を素早く取り出してインクを均等につけ、トンと紙に置く。

 

 そうして出来上がるのは、ドロテアが華麗なポーズを決めて佇んでいる絵だった。

 

 つまり、これがこのフォドラで作った一枚目の写真である。

 

「さぁさぁ、寄ってらっしゃい見てらっしゃい! 白鷺杯の女王、ドロテアの真の姿を写した絵、写真を一枚20Gで配るぜ! 気になる奴は手に取りな! 本物とは違って絵の中の彼女は逃げないからな!」

「ジョニーくん、もう!」

 

「さらにさらに! 2000Gでこの写真に描かれる権利をやろう! 自分の姿を誇りたい貴族さん! 先着5名だやってきな!」

「「私が買おう!」」

「オーライフェルディナント、ローレンツ! 決定だ! 残りは3枚! 誰が買い取る?」

 

「私が買い取る。金鹿の皆でやってみたい」

「なら儂もそうしよう。青獅子の皆の今の姿を残せるのは悪くない」

「あらあら、考えることは一緒なのね。黒鷲も当然買うわ! 思う存分描くと良いわ!」

 

 そうして集まったのは1万ゴールド超大金である。しかも、材料費を考えたらホクホクの大儲けである。まぁ、色々手動のなんちゃってカメラなので騙して金を取っているといえば言い訳はできないのだが、そこは技術料として受け取っておこう。うん。

 

 

 そうして楽しんで写真を取り、5種類の写真(スタンプだけれども!)が出来上がった。金鹿の時は第二カメラマンであるユーリルの技術のせいか子供が混じってたけどそれはそれ。きっと彼女も写りたかったのだろう。お祭り好きなやつだし。

 

 しかし見た目がイメージ通りすぎて笑うわ、ちんちくりんなのなー。

 

『お主よ! 奴に侮辱された気がするぞ! 一発蹴りを入れてくるのじゃ!』

 

 そして、決めていた最後の一枚。それは、クロさんとエガ姉とディミトリの3人が並んでいる絵。

 

 エガ姉のことを考えると、これから先の数年で誰かが命を落としてしまってもおかしくないこの3人は、しかし今、同じ方向を向いて笑顔を浮かべていた。

 


 

 そしてフィルム代わりの弱ミスリル合金が尽きたことで俺の役目は終わった。せっかくだし音楽に合わせてタップダンスでもやろうかと思った所で、エガ姉がリシテア姉さんと一緒に外に出ていくのが見えた。そういえば先生もいない。せっかくだし一曲踊ろうかと思ったのに残念だ。

 

 流石に義理の姉弟で踊って邪推されるのはダメだから、姉さんは誘えないんだよなぁ……まったく悲しい限りだ事で。

 

 そんないない3人になんだろなーと思うも、女子のこう言ったことをデバガメして良いことは何もない。なので。

 

 どうしておまえパーティーに出てきたと言いたい奴と絡むとしよう。

 

「何やってんのおまえ」

「ジョニーぐぅううん!」

「え、何⁉︎ていうか何だベルナデッタお前⁉︎縋り付くな鼻水をつけるな!」

「わ、わた、私!」

 

「最近会えなくて、嫌われたかと思ってましたぁ!」

 

 その言葉に、ちょっと思う。よく考えろベルナデッタお前。

 

「いや、お前を嫌いになるなら最初からつるんでねぇよ。単に最近忙しかっただけだ。ほら、さっきの写真機作ってたからさ」

「そ、そうなんですか?」

「というか、おまえ嫌われる理由の心当たりとかあるのか?」

「はい。ジョニーくんと話そうとするといつも誰かに邪魔されてて! これはもしかしてジョニーくんの遠回しな“近寄るな”宣言ではないかと!」

「被害妄想な。声かけてくれりゃ行くから俺は」

「そ、そうなんですか?」

「そうなの。こっちは初対面からお前のダメっぷりを知って、それでも普通に友人やってんだからさ、気にすんな」

「ジョニーぐぅううん!」

 

 なんだか久しぶりな気分だ。まぁ、これからは反省してちょくちょく様子を見に行くとしよう。うん。

 

 じゃなきゃ、着れる制服がなくなる。

 

「それじゃあ景気付けに一曲踊ってくれませんか? 引きこもりのお姫様」

「え、嫌です」

「即答かよ」

「だってだって! 踊るのなんて練習した事もないですから!」

「んなもん気にしなくても良いだろうにさぁ!」

 

 なんて話をしながら、写真を捌いてる部下共を見つつ壁の花としてちょでと賑やかな会話をしていた。

 




女神の塔にジョニーくんは行けませんでした。なんせお祭り大好き男。離れるわけがありません。存在しない後夜祭すら作り出します。そしてセテスさんに怒られます。

ダンスの最中に色々やってないのは、楽団の方々の曲に文句を付けさせないため。普通に良い曲だなーとか思いながら写真を売り捌いてました。

ちなみに写真はフィルム表面のミスリル鉄が熱でいい感じに荒くなって、明るいならほぼインクが付かず、暗いならたっぷりインクがつくようになってます。要はスクリーントーンみたいになってる白黒のスタンプです。
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