痛みを抑えて、体を起こす。
体は思ったよりも無事なようだ。痛みはあれど、意識はしっかり保てる。
その理由を考えて、自分に覆いかぶさっている誰かに気付く。
考えるまでもない、ベルナデッタだ。
「……無事か?」
「はい、なんとか」
脂汗が滲んでおり、明らかに無理をしている。
だが後だ。ベルナデッタは本質的にはとても強い人間なのだから。
「頭を下げたままで休んでろ。ちょっと見てくる」
ベルナデッタを寝かせてから、辺りを確認する。姿勢を低く、すぐ動けるように魔力を流すようにしようとして
「……ッ⁉︎」
自身の体の、無くなっているモノを思い出した。
魔力が、思うように流れない。
「……よし、まだいける」
だが、問題はない。根性入れて魔力を使えば、暴発みたいなことはできるのだから。
まず、レア様のベッドを見る。カトリーヌさんが倒れているが、レア様は無事なようだ。
窓があった場所を見る。そこには、一体の魔獣がいた。見た目は竜型だが、感じる力はネメシスのもの。
潜んでいたのだろう。力をつけるために。
レア様と俺を殺す為に。
「ジョニー。前言の撤回を許していただけますか?」
「一緒に死んでくれってんなら御免ですよ」
「分かっています。アレを始末する為の犠牲など価値はありません」
……これは、本当にただの直感でしかない。
エガ姉が起こしたこの戦いを泥沼化させようとしたのは闇に蠢く者達だろう。
だが、それを想定できていないエガ姉ではない筈。計算外の力があったのだ。
『ネメシス』という、計算外の要素が。
「参りましょう。たとえエーデルガルトに降る事になったとしても、アレにだけは屈してなるものか!」
レア様が窓から飛び出していく。
俺もそれに続いていく。
竜の形をしたニンゲンと、人間の形をした竜の殺し合いに積極的に巻き込まれていく俺は、何なんだろうか?
そんな事が、頭をよぎった。
一体の異常な竜が放った火炎弾は、大司教の部屋に直撃した。
帝国側の大部分は、恐ろしい力に恐れその力が自分達に向けられることを恐れた。
教会側の大部分は、大司教すらも殺し得るその恐ろしい魔獣を、恐れた。
二つの陣営の中で暗躍する者たちは、自分達の誘導から完全に離れた魔獣を恐れた。
その時、全ての陣営が同じ向きを見て、同じモノを敵にした。
「今だ!」
その機を、逃さなかった者たちがいる。
同盟の次期盟主、クロードは避難民を抱えての大脱出を開始した。
王国の次代の王、ディミトリは竜を恐れて戸惑っている帝国兵の包囲を食い破った。
そして帝国の新たなる皇帝、エーデルガルトは帝国兵の指揮系統を完全に掌握し、戦場を彼女の手に取り戻した。
竜の火炎が放たれてから僅かな時で、戦場の風向きは完全に変わっていた。
暗く澱んだ暗闘から、英雄達が力を振るう英雄譚へと。
「使える魔獣をあの竜へ! よそ見をしているうちに首を獲れ!」
帝国の魔獣達が竜へと襲いかかる。竜の身体から生えた刃にて魔獣は切り刻まれたが、その動きは止まった。
そして、魔道部隊や弓兵隊の計略が襲いかかる。対大司教用に温存されていた彼らは、人間の自負を持って竜を殺しにかかった。
竜の身体中に傷が付く。多くの矢が刺さり、体の多くは焦げつき炭化して崩れていく。
やったか! との声とともに竜の身体は崩れ落ち、
その羽から伸びた刃は、魔道部隊の者達を切り刻んだ。
天帝の剣のようだ、と見ていた生徒達は思った。
そして小型の竜が2本の足で立ち上がる。尾も羽も、腕も全てが刃の竜は、ギラリと目を向けた。
見られたのは3人。
エーデルガルトは不敵に笑った。何するものぞ、と。
ディミトリは殺意を滾らせた。次はあいつだ、と。
クロードは淡々と思考を巡らせる。アイツの行動の理由は何か? と。
そして、その竜は視線を戻して構えをとる。音もなく降り立った大司教を敵と見て。
大司教レアは、教会の至宝セイロスの剣と盾をごく自然に構えた。
だがその身体に力はなく、弱っているのが見てとれる。
ネメシスは、それを見逃さない。休息を与えず、一息に殺す為に踏み込んで。
「落ちろ、『スワンプβ』」
レアに隠れていた男の魔法、沼を作る自作魔法に踏み込んでしまった。
レアはその一瞬に全てをかけ、竜へと身体を変じブレスを解き放った。
ネメシスの身体は天帝の剣のように刃を伸ばすことはできるが、盾のように体を守ることはできない。
避けられず、防げない。そんな状況で竜のブレスを受け
なんの手傷も負わずに、鼻を鳴らした。
「雑魚が」
声を発した訳ではない。そんな意志が伝わっただけだ。
竜の身体を突き刺す刃。
ネメシスの尾が、あっさりとレアの体を貫いていた。
そして、レアは人へと戻り──────その尾を掴んで離さない。
踏み込んだ足の力は緩まず、その尾は動かない。蛇腹剣のように自在に動く刃なれど、その性質故に停止した状態なら力はあまり入らない。
そこに、ヒト型の弾丸が着弾する。
風の魔法により吹き飛んだそれは空中で構えて、解き放つ。
心に焼き付いた、竜すら屠る聖拳を。
その渾身の一撃は必中だ。
防御手段は間に合わず、回避も迎撃も手が足りない。
……だが、そんな程度の『当たり前』で負けるような者が王とまで呼ばれるだろうか?
断じて、否である。
ネメシスがその聖拳に対して行った事はシンプル。
耐える、それだけだ。
当たった衝撃で吹き飛んでいくネメシス。
胸には紋章が浮かんでいる。その力は竜の体を蝕んでいき、末端は崩壊していく。
しかし、大元はまだ起爆していない。
紋章が原因でもうすぐ死ぬとしても、それは今ではない。
『ならば、嫌がらせの一つや二つしたくなるのが人間というものだ』
そんな
それを、見ていた。
ごく当たり前のように放たれた魔法が、ジョニーの胸を貫く。
本当にあっさりと、ジョニーは死んだ。
「させない!」
何も躊躇う事なく、刻は巻き戻す。
『天刻の拍動』時を巻き戻すというソティスの力をなんとなくで起動させる。
その力でジョニーを守る為に、守れる位置まで移動できるように刻を巻き戻し
「……だろうな」
ジョニーの呟きが聞こえる。不気味なほどに静かになった戦場でその平熱の声は不思議と響いた。
「ジョニー、今は下がりなさい」
「突ける不意はなさそうなんで、そうします」
レアが構えを取り直す。弱っていることには変わりはないが、歴戦の気迫が見えるようになった。
「皆、アレをやる」
近くにいた生徒たちにそれを告げ、陣を整える。
ガルグマクの脱出の為に戦力の大半は割かなければならない。故に動ける戦力は自分を含めて2、3人が限界だ。後の合流を考えると、機動力の高い者が。
「……クロード、指揮をお願い。ユーリス、フェルディナント、一緒に来て」
「ジョニーを頼む、先生」
クロードはそう言うとすぐに走り出した。
「……ったくあの馬鹿、寝てろっての」
「ジョニーくんの策をアイツが破ったと考えるべきだ。あの魔獣の正体は分からないが、只者ではない」
フェルディナントは鋼の槍を持ち、ユーリスはサンダーソードを構えて走り出す。
行くぞ、などの合図は要らない。
ユーリスがサンダーソードの雷撃と、ウィンドの風での同時攻撃を放つ。
直撃すれど効果は見えない。避けようとする素振りすらしなかった。魔法は効果がない?
「こちらを見るが良い! このフェルディナント=フォン=エーギルを!」
フェルディナントの放つ戦技『連撃』が敵を捉える。しかしその槍は羽を小さく動かすことで弾かれた。羽か刃かの違いはあれど、武器で槍使いを仕留める時の技だ。
尾を剣のようにしてフェルディナントを攻撃してくる。天帝の覇剣にて迎撃するも武器の質は互角。切り落とせはしなかった。
そんな攻防の最中ですらレアの方から視線を逸らさない。よほど警戒をしているようだ。レア……というよりもその影に隠れたジョニーを。
思考を纏める。奴はかなりの戦闘巧者だ。喰らっても問題ない攻撃をあえて受けること。敵の攻撃を最小限の動きで躱すこと。それらをとても高いレベルで行なっている。
動きに違和感を覚えるのは、体の動かし方に慣れていないからだろう。武術を使う人間には羽も尾も生えていないのだ。
身体に慣れられる前に始末する。
踏み込み、天帝の覇剣を振り下ろす。
様子見ではなく、必殺の意思をもって。
それに合わせてレアが踏み込む。
レアは剣を叩きつけるが腕を盾にして防がれる。その反撃として放たれた手刀に盾を叩きつけた。
盾に深い傷はついたが、壊れていない。
対して竜の体は、盾とぶつかった時に
そして、理解した。おそらく長らく使っていた私だからこその感覚を。
剣が無理やりヒトの形を取っている。生き物ではないのだから首を落としたりしても死なないし、化け物じみた頑丈さを発揮できる。
「──態勢を整える」
天帝の剣で地面を叩き土煙を起こす。
追撃してくるかは微妙だったがして来ない。煙の中で不意を突かれるのを嫌ったのだろう。
ユーリスとフェルディナントが前めに立ち、レアは息を整えながら魔法の構えを取る。
ジョニーの姿は見えないが、何処かで聞いているだろう。
「……アレを殺す策が見えたのか?」
ユーリスの問いに肯定する。
「アイツを掴む。それだけで奴は無力化できる」
「……は?」
「理解できないが、そう断じれる根拠はあるのだな?」
ユーリスは疑ったが、フェルディナントは迷わず信じた。私の策でなく、私の事を。頼もしい生徒だ。本当に。
そして、攻撃を再開する。
付け入る隙はいくつかある。まず、天帝の剣は物理的な干渉以外の力を持たないこと。
だから遠距離からの攻撃には、自身の刀身を伸ばすしかなく、その刃はは速いが鞭のように軽くなる。
「舐めるな!」
フェルディナントほどの技量と『受け止める鋼の槍の重さ』があれば、剣の動きは着弾後緩くなる。
「このチャンスは逃さねぇ! 『エクスカリバー』!」
そして速度が緩くなれば軽さの影響が出てくる。風魔法の最上級『エクスカリバー』に煽られた剣先は一瞬奴の制御から完全に外れた。
そこを、レアが掴み取った。
第二に、刀身を伸ばす機構。刃を蛇の様に自在に伸ばせるが、それは魔法などで伸びるのではなない。
剣の形を整えている噛み合わせを外し、糸に付いている刃の集まりとして振るっているだけでしかないのだ。
当然遠くに伸ばせば
そこは、
「離すものか!」
そして奴は天帝の剣そのものであるから
そして竜の力を持つレアの手から離れることは不可能だ。
すると奴は飛び込んでくる。刀身を巻き取る力に乗って、超スピードで。
「今」
その瞬間が、狙いだった。
刀身を巻き取っている間は、無防備だ。防御を放棄して近づいても反撃を行えないほどに。
そして私は剣を掴み、天帝の剣を操る要領で力を込めた。剣の形に戻れと。
その『持ち主の命令』によって剣の余分なパーツを放棄され、天帝の剣に瓜二つのものへと変わった。
「……誠に、剣だったのだな」
フェルディナントの驚きはもっともだ。天帝の剣に魔獣の遺骨を継ぎ接ぎして辛うじて動いていたのが先程の竜だ、などとは相対した私たちでも納得はいかない。
「……これで、終わりです」
そうレアは言い、セイロスの剣を紋章石に叩き込んだ。
その赤い石の力によって天帝の剣は動いていたのだから、砕かれればただの剣でしかない。そう思って──────違和感に気付いた。
違和感が確信に変わったのは、剣がレアの腹に刺さった時。
「は?」
「惚けるなユーリス!」
その剣はそのままレアの身体を振り回して私たちにぶつけてきた。
それを受け止めてしまったフェルディナントとユーリスは追撃を受けて重傷を受けた。
即死でないのは、私を迷わせるためだろう。
放棄された遺骨の中の青い石が輝きを放ち、体が出来上がっていく。今度はかなり人型だ。羽はなく、腕があり、天帝の剣を握れている。
互いに一瞬も躊躇うことなく同じ戦技を繰り出した。『破天』天帝の剣を最大限に活かしたそれこ撃ち合いで力負けした私は
吹き飛び、どこかへと転がり落ちていた。
瓦礫の中に隠れて思考を整理する。
紋章の名残だけで動いている化け物、それがネメシス。赤い紋章石は着ていた魔獣のモノで、そいつを支配することで弱点の位置を偽造していた。
最初の1回目は隠された弱点ごと紋章の力を叩き込めたので殺せたが、今度は逃げられた。
先生は天帝の剣を自在に扱える。それはソテっさん由来の炎の紋章の力が遺骨を自在に動かしているからだ。
あの偽物の天帝の剣の素材はそこらの魔獣のモノであり、ソテっさんは関係がない。だから、炎の紋章では操れない。ネメシスは、それを使って騙し討ちを決めたのだ。
「つまり、アイツを殺すには……」
紋章の活動を停止させるしかない。そのための手段は、懐にある竜奏の笛
竜奏の紋章の力を、小細工なしで叩き込むのだ。最初にやった時と同様に。
当然果てしなく危険だがやるしかない。やらなければ未来はない。
たとえもうすぐ死ぬ命だとしても、生きることを諦めるつもりはない。
そうやって特攻の構えをとったその時に
「それをしたら、アンタは私の弟じゃなくなりますよ」
そんな声が聞こえた。
振り返ると、姉さんがいた。
制服はボロボロで、顔は煤だらけ。
目元にはクマがあるし、髪だってボサついてる。
そんな、姉さんが。
「やらなきゃ、死ぬ。ユーリスもフェルディナントも、まだ生きてる。俺も姉さんも殺されるよ」
「やっても殺されますよ。戦っても無駄です」
「……なら、どうしろって言うのさ」
「わかりません」
姉さんは、優しい言葉で同じことを言う。
「何をすると道が開けるとかはわかりませんよ。アンタほど頭柔らかくはないですし」
「けど、嫌なんですよ。アンタが死ぬのは。だから来ました」
感情だけで、俺のところにきた。「死なないでくれ」という事を言いに。
「アンタ無茶しないでも生きられるように一緒に考えますから。休んでて下さいよ」
その声の優しさは心地良かった。本当に俺のことを愛してくれているのだと確信できるほどに。
「だとしても」
それでも、今できるやらない理由にはならない。やるべき事をそこに居る人間がやらないと失われるのは自分の命だけではない。
いつだってどこだってそうなのだ。
「そうやってジョニーが無茶をして死んだら、私は後を追います。それでもですか?」
「そもそも死ぬつもりはない」
「俺は、俺のできる無茶をしたいんだ。今日のことを『馬鹿やったな』って思える話で終わらせたいから」
そう言って、視線をネメシスに戻す。
ネメシスは、悠々と構えているようで
周囲の音を聞くと、先端は再び開いていた。教会側の自滅すらしかねない猛攻を受け流している帝国だが、一部の部隊は食い破られていた。
紙一重で持ち堪えていた要因がなくなり、大勢は決した。帝国の勝利は明らかだが、食い破った部隊に便乗して逃げなくてはならない避難民は逃げられただろう。クロさんならやる。
これで帝国はセイロス教会を破壊できた上にレア様は重傷。当たり前のようにあった『フォドラの歪み』を維持していたモノは崩れ去った。
それが良い変化になるかどうかはこれからの戦争の結果次第だ。とはいえどうせ変わってしまうのなら良い方向になるようにしたいとは思う。
だから──────お前は邪魔だ。
「父さんと母さんと、皆によろしく伝えておいて」
「待って!」
その声を振り切って、飛び出していく。
風の音で察したのか、ネメシスは動きを始め俺の方へと飛び込んでくる。
その姿は今度こそ天帝の剣。青い紋章石はそこで輝いていた。
『ライナロック』
そして、自身を魔法にて加速させる。その余波で地面がガラス化していた。
「やるだろうよ、その程度はささぁ!」
俺は残った魔力で
奴の刃の直撃コースからは逃げない。俺が力を叩き込む方法はただ一つ。
着弾する場所にこの拳を置く。
軌道を変えられて困るのは俺も同じだ。だから加速した。
そして、刀身に俺の拳が触れた時『紋章共感』が始まった。
俺はネメシスを見た。
大柄な男で欲に塗れたその瞳で
『人間』という夢を見ていた。
そ紋章の力が完全に決まった時、俺の体の右腕は消し飛んでいた。俺の体から生命というものが消え去っており、十中八九まぁ死ぬだろう。
「……こんな、終わりかよ」
相打ち。
勝算はあったのだ。
犠牲にするのを拳だけに留めて、生命を繋ぐ。そうすれば姉さんが延命処置をしてくれるだろうし、エガ姉なら実験ついでに治療を試みるだろうと。
それができなかったのは、
「ジョニー?」
姉さんの声がする。
悪い夢を見ているかのような声だった。
「ねえ……さん……」
死ぬ時に後悔したくないと思っていた。だからいつだって全力を尽くしてきたつもりだし、いつだって楽しく過ごしてきた。
だけど死ぬ時は死ぬと知っていたし、命を捨てなければ何もならない事は分かっていた。だから、多分口だけだった。死にたくないなんて言葉は。
だけど今、姉さんの涙を見て。
『死にたくない』
心から、そう思った。
ガルグマク攻防戦、それはアドラステア帝国がセイロス教会を陥落させた電撃戦である。
『教会の歪みを正す』や『貴族による支配を破壊する』といった言葉は伝聞でその戦を語る者からは語られるが、その戦を経験した者たちからはその正義は語られない。
帝国兵とセイロス騎士団、双方の犠牲を合わせれば二百を超える。そしてその大半は魔獣によって殺されたモノだ。
竜型の魔獣は教会から現れたのか、帝国から現れたのか、その真実を知る者は誰もいない。
今は誰もが、開いてしまった戦端に対して最良の結果を得るために動くしかないのだ。
闇に蠢く者達でさえも、それは同様だった。
「……さて、これで8体目だが起動はするかな?」
水の中で声が聞こえた。
楽しそうなその声が癪に触ったのでなにかやり返そうと思って目を開く。
目が見えなかった。
右手と右足は動かず、心臓の鼓動が激しい。
息が苦しくてたまらない。
ひとまず脱出しようともがくが、左手が触れるのはガラスだけ。
「おぉ! 起動した! これが起動したのならもう少しミスリルを増やしてみるかな」
死にたくない、助けてくれ。そんな思いは言葉にならず、意味もわからず俺は死んだ。
それからすぐに、また目が覚めた。
「よし、起動成功。3番の仮説はとりあえず正しいと見て考えよう。この個体の運動性能はゴミクズだけどそれはこれから足していけばいいね」
何を言っているのだ? との言葉は音に成らなかった。口になにか詰められている。チューブか何かだろうか?
「あ、そういえば材料の追加はしばらくないんだった」
再利用しよう。そんな言葉が俺が死ぬ前に聞いた言葉だった。
死ぬ前に、思う。
あぁ、姉さんは無事だろうか? と。
第一部完結しました。
同窓会が楽しみですね。
作者の活動報告に追加の言い訳を書きました。気が向いたらどうぞ
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