ライネス・エルメロイ・アーチゾルテの真似をする性転換少女   作:ピトーたんは猫娘

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毎日投降間に合わなかったぁぁぁっ!


第11話

 

 

 

 

 アイザック・ネテロ

 

 

 

 ライネス・ホイコーロを連れてハンター協会にある訓練所まで移動していくのじゃが、彼女はあっちにふらふら、こっちにふらふらと興味がありそうなところに意識がやられておる。見た感じは本当に七歳の子供じゃが、そのオーラは一切乱れていない。

 演技かと思えるが、それもない。本当に楽しそうに笑顔でくるくる回りながら見学しておる。こんなところ見ても何も面白い物はないと思うんじゃがな。

 

「そんなに興味深いかの?」

「もちろんだとも! ハンター協会だよ、ハンター協会! まっ、ま……」

「ま?」

「こほん。お母様にハンターの事を教えられてから、とても興味深くてね。是非とも自分の眼で見てみたいと思っていたのだよ。いやぁ、願いが叶ってよかったよ」

 

 ママと言いかけて慌てて戻したんじゃな。今のように楽しんでいるところで不意を突けば情報をボロっと零してくれるとありがたいが……流石にありえんか。そのような奴を外交特使にするはずもないの。

 

「ネテロ会長の……ああ、差し支えなければおじいちゃんと呼んでいいかな? それとも師匠の方がいい? どちらがいいだろうか」

「そうじゃなぁ……」

 

 アイツ、孫を作ったのか知らんし、このぐらいの子供におじいちゃんと呼ばれるのもいいものではあるが、本性がわからんしの。

 

「とりあえず一ヶ月は師匠じゃな」

「なんだ、おじいちゃんが良かったんだが、仕方ないね。祖父というのは私に居なかったから、少し楽しみだったんだがね」

「そうじゃのぉ……わしに勝てたら考えてやってもよいぞ」

「無理難題だね。いや、もちろんそのつもりではあるがね」

 

 クスクスと笑いながら表情豊かに接してきおる。

 

「お主はオーラを隠蔽しているのかの?」

「ん~ライネスでいいよ、師匠。師匠だから教えるけれど、その答えはイエス、だ。念能力者はオーラを見て色々と判断できると聞いた。だからさ、外交特使になるという事で教えてくれた者達に言われたんだ。私はまだまだ念の初心者で子供だ。だから、オーラを読まれない発を作れとね。もっとも、メモリの関係で制約と誓約をしたがね。私の力はほぼトリムマウに注ぎ込まれているから当然だ。この効果はすでに実証された。あの幻影旅団だって油断してくれたんだ。おかげでこうして私は今も生きている」

「確かに一般人のように偽装されておるのぉ。整いすぎている感はあるが」

「そこは修正すべき点だね。私の環境では念能力者を見る為には危険を冒さないといけない。だから、今まではできなかったが、ここでなら他の念能力者と一般人を見て統計が取れる。後はそれに合わせて微調整をすれば何処にでもいる七歳の幼くか弱い女の子の完成だ」

 

 両手を合わせて言ってくるが、内容がとんでもないの。こいつを本当に鍛えていいのか、悩むのぉ。

 

「どうしたのかな? 悩み事なら聞いてあげるよ? 解決できるかはわからないがね」

「そうじゃな。まあ、それは後じゃ。お主の系統は?」

「それは秘密だ。いや、答えてもいいんだが……実は私も知らないのだよ。なんせ念能力者というのは相手に特化すればジャイアントキリングが可能だろう? だから、こちらに来てからやろうと思っていたんだ。まあ、操作系か具現化系だと思うけどね」

「なら、まずは水見式からじゃな」

「水見式ってオーラの系統を調べる方法だね。それは時間が勿体無いからトリムの相手を頼むよ。一ヶ月でどれだけ強くなれるか、そこで私の生存戦略が変わってくるんだ。時間が無い」

 

 どんなタイプか教えるつもりはないということか。互いに警戒しながらやっとるしの。

 

「あ、やっぱりやろうか。師匠がトリムと戦っている間にすればいいだけだしね。師匠になら教えても大丈夫だろう」

「用意はさせるかの」

 

 思い直したか。次の願いを叶えやすくする手段かもしれんが……どうでるかの? 

 

「話している間に到着じゃ。ここが訓練所じゃよ」

「ありがとう」

 

 ハンター協会にある地下訓練所。ここは神字を使って強化を施してあるから、簡単には壊れん。

 

「ふむ。中には誰も居ないが、これが神字か。大変興味深い」

「さて、まずは着替えるとするか。お主は着替えはあるかの?」

「私はないが、見ているだけなのでいらないよ」

「ふむ。それならまずはこのままでやって実力を見るか」

「了解した。それじゃあ、始めよう」

 

 わしが真ん中に立つと、彼女は端に移動して試験管を取り出す。その中身は水銀じゃな。蓋を開けて中身を床に零しながら可愛らしい声でつぶやく。

 

Fervor,mei Sanguis(沸き立て、我が血潮)―術式起動。さあ、訓練の始まりだ。相手は格上だが、全力で相手をし、技術を盗めトリム」

「かしこまりました、お嬢様」

「その呪文みたいなのはいるのかのう?」

「何を言っているんだい! 魔法少女みたいでカッコイイじゃないか」

「そ、そうかの……」

 

 やっぱり子供じゃな、うん。

 

「それで師匠。一つ聞きたいのだが、こちらは殺す気でいいのかな? どうせ敵わないのだから、殺す気でいきたいのだが……」

「もっともな意見じゃが、あくまでも訓練じゃしの。うむ、互いの念を攻撃対象としようかの。わしも間違って王族を殺してしまうのはまずいしの」

「了解した。では、よろしく頼むよ」

「行くぜ」

 

 合掌して自らの背後に血涙を流す巨大な千手観音像を顕現させる。幻影旅団を退けられたのなら、百式観音(ひゃくしきかんのん)を使わないと危ない実力じゃろう。まずは様子見として壱乃掌じゃな。

 

「何時でも来るといい」

「トリム、行け」

 

 わしを指さしたライネスの指示に従い、水銀でできたメイド、トリムマウというらしいのが突撃してくる。わしは百式観音を動かし、掌打を叩き込む。0.1秒未満の攻撃に対応できずに粉砕される。床は陥没し、手応えがあったが、果たしてどうなるかのお。

 

「流石だねぇ。私のトリムが瞬殺か。うん、とっても素晴らしい。これがかの英雄が至った領域なんだね。目指しがいがあるよ」

 

 何時の間にか銀色の椅子を生み出し、そこに座りながらこちらを鑑賞……いや、観察しておるライネスが拍手をしながら声を発する。すると陥没した床の周りから中心部に弾け飛んだ銀色の粒が集まっていき、メイドの女性へと姿が元に戻っていく。

 

「それじゃあ、続きをお願いしようかな」

 

 まあ、潰せんよな。水銀は水と金属の性質を持つから、蒸発させたりせんかぎりは潰しようがないか。こういう時こそ、念能力者を狙うのが一番じゃが、今回はそういう戦いではないしの。狙うはライネスのオーラ切れじゃが、試してみるか。考えようによっては無限サンドバッグのようなもんじゃし。

 

「やるぞ」

「では、行こうか。トリム、今度は潰されても突撃してみてくれ。もちろん、回避も試みるように」

「かしこまりました」

 

 突撃してくるので、参乃掌を発動する。観音像が二つの手を打ち合わせて挟み込んで潰す。トリムマウと呼ばれた念獣が回避のためか、姿が瞬時に崩れる。だが、崩れ切る前に挟み込むが、掌から抜け落ちる。

 逃れた部分は別に動いてこちらに突撃してきている事から、あくまでも水銀の集合体と考えるべきか。これはかなり厄介じゃな。物理攻撃がほぼ意味をなさん。

 

「乱打ならどうじゃ?」

 

 叩き潰し、弾き飛ばし、一切近づけない。全てライネスの方向へと帰していく。だというのにライネスは楽しそうにこちらを見詰めている。

 

「トリム、散弾だ。全てを高速で撃ちだしてみてくれ。そうだね。大きさは一ミリだ」

「イエス、マスター」

 

 今度はメイドの身体が無数の粒となって高速に飛んでくるが、対処は可能だ。全て壱乃掌で叩き落してやる。するとライネスは口元に手をやりながら笑いだす。

 

「次だ。加速が足りない。速度が圧倒的に不足している。前に球体を一つ形成。後ろにも爆発用の球体を形成。発射後、後者を爆破してみてくれ」

 

 ライネスが言った通りにメイドが行うと、加速が急激に上がった上に部屋中に散らばって室内をボロボロにしていきやがる。

 

「ううむ、これはコントロールが無理そうだね。トリム、速度を覚えて通常でも出せるようにしたまえ。それとその状態から百式観音に向かって収束してみたまえ。私の方への被害は気にしなくていい」

「ほう」

 

 百式観音の名を知っておるということは誰かから聞いたか、調べたか。それとも見て判断したか。わしのファンじゃと言うておったし調べたのが濃厚そうじゃな。色んなところでわしは戦ってきたのじゃし、どこで漏れていても不思議ではない。どちらにしても油断はできんがの。

 部屋中から、床も合わせてほぼ全方位からの攻撃。しっかりとわしは避けられておるが、まだまだ甘いの。全て掌打の連打で撃ち落とす。

 

「なるほど。現状では私に勝ち目はないようだ。面制圧でも駄目となると、奇襲攻撃や罠の必要性もある。うん、これは後々考えよう。トリム、人型で挑んでくれ。そうだね、打ち返してみようか」

「かしこまりました、お嬢様」

 

 メイド姿で突撃してくるので、掌打を放つ。相手は反応して腕をハンマーへと変化させて殴ってくる。威力が足りずにそのまま叩き潰したが、次の瞬間には百式観音の手が無数の銀の杭により串刺しになり、出てきた杭から人型へと戻る。こちらも手を消せば何の問題もない。

 

「私の場合は攻撃の瞬間を知覚してからでは遅いな。予測しなくてはいけないが、トリムなら可能だろう。君は城だって数秒で探査できるんだ。その精度を全て百式観音に向けてくれ」

「本当に優秀な奴じゃな」

「だろう? トリムは私の至高だとも。自己学習もしてくれるからね。この一カ月で百式観音と同等の力を与えてみたいと思っている。まあ、無理だろうが」

「やられたらたまったもんじぇねえよ」

「まったくだ」

 

 切り札は切らずに戦いながら攻略法を探すかの。この嬢ちゃんは黒の可能性が高い。ただの契約者かもしれないし、同じホイコーロだからこそ、スケープゴートとしているのかもしれないしの。銀色を使うとか、あからさますぎるじゃろ。それにそもそもハンター協会まで乗り込んで来るというのも変な話じゃ。大人しく王宮に籠って居ればバレる可能性は低いんじゃからの。それにこやつはまるで操り人形みたいにも見える。

 どちらにせよ、わしがやることはかわらん。こいつを徹底的に鍛えぬいて信頼を勝ち取り、情報を引き抜く。そして、カキン帝国の内部へ探りを入れる足掛かりとする。利用させてもらうぞ、小娘。それがお主の望みでもあろう?

 

 

 

 

 

 




ネテロ会長から見たライネス。まるで人形。間違っていない。理想の自分。ライネス・エルメロイ・アーチゾルテになるためにロールプレイをしているので、誰かの操り人形にみえてしまうという感じ。

戦えているようにみえますが、あくまでもこれは本体、ライネスへの攻撃が禁止だからです。ライネスに攻撃がありになると瞬殺に近いことになります。

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