ライネス・エルメロイ・アーチゾルテの真似をする性転換少女   作:ピトーたんは猫娘

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身近いです。次はどれぐらいになるかわかりませんが、旅団サイド


第12話

 

 

 

 あははは、素晴らしい! 本当に素晴らしい! これが百式観音! 鍛え抜かれて圧縮された膨大なオーラ。それに伴う確固たるネテロ会長の自信。ああ、確かに念能力とは想いの力で強化される。それを行うためには確固たる自分の主柱がないといけない。

 おそらく、ネテロ会長の主柱は一日一万回の正拳突きだろう。私にとっての主柱とは私がライネス・エルメロイ・アーチゾルテであるということ。しかも英霊と至った司馬懿がライネス・エルメロイ・アーチゾルテを器として乗り移った疑似サーヴァントだ。また、トリムマウと月霊髄液はエルメロイの至上礼装だ。それも脈々と受け継がれてきた魔術刻印を利用し、稀代の天才魔術師ケイネス・エルメロイ・アーチボルトが作り出した様々な魔術礼装のなかでも、最強の一品だ。

 そのようなエルメロイの至上礼装は百式観音に劣るだろうか? 否! 断じて否。エルメロイは延々と十世代も根源を目指して延々と魔術刻印を強化してきたのだ。

 ホイコーロも同じであり、その質はエルメロイに劣るかもしれないが合わせれば十分だ。だからこそ、素質という面では私はネテロ会長に劣っていることはないし、トリムマウが百式観音に劣っているとも思わない。

 劣っているのは念の習熟度と戦闘経験などだ。操っているのが私という劣化コピーだからこそ、起こりうることは理解している。ならばやるしかないだろう。

 圧倒的な気配と殺気に押し潰されそうになろうと、屈服などしない。ましてやHUNTER×HUNTERの漫画でも好きだった人が相手だ。こんなところで終わっては勿体ない。そうだろう、私。

 

「さあ、どんどん行こうじゃないか。私のオーラはまだまだあるぞ。トリム、君ならできるはずだ。受け取るがいい」

 

 私のオーラは膨大だ。本当に膨大だ。もうすぐ億に届くほどの生命体から願いの代価として死者の念を貰っている。代償の数はかなり酷いが、それでも集めている桁が違う。例え八割が消えたとしても、残り二割は相応に膨大な量になる。それこそネテロ会長の総量を超えるほどに。

 

「まあ、扱いきれないのだがね」

 

 私の使えるオーラの半分を与えたトリムが先程よりも高速で移動し、身体を壊しながら前に進み、その度に破壊され、再生する。その間に私は四分の一を瞳に回してネテロ会長の操作能力をお手本にしていく。

 

 

 

 

 

 三時間。ネテロ会長とのバトルで私のオーラが切れた。正確にはトリムマウに与えた半分のオーラが、だ。まだ余裕はあるが、流石に私が使える全オーラの四分の一では何かあれば危険だ。

 トリムマウの動きは開始とは違い、拙い攻撃手段だったのが洗練されてきていた。まあ、それでもネテロ会長の百式観音には届かない。

 

「いやはや、とても素晴らしい時間だ。私のトリムは耐久性は高いが速度と火力が不足しているね」

「わしからしたら、その年齢でここまでやれるのは末恐ろしいんじゃがな」

「何を言っているんだい。実際の戦闘になったら、私は瞬殺だろうよ。トリムごと殴り飛ばされたら終わりだ。吹き飛ぶ方向が壁なら本当に終わりだろうよ」

「じゃが、そのままで終わるつもりはないんじゃろ?」

「当然だとも。私は負けず嫌いでね」

「まあ、わしも楽しませてもらえとるしいいがの。続きはしなくていいのかの?」

「私も流石に疲れたよ。もうオーラがほぼ無い。それに開始からそろそろ三時間だ。料理ができているんじゃないかな?」

「それもそうじゃな。食堂に案内するかの~」

「頼むよ、師匠。トリムはお休み」

 

 試験管にトリムマウを吸い込ませ、蓋を閉じる。随分と小さくなってしまったが仕方があるまい。

 

「こっちじゃよ」

 

 ネテロ会長の後ろを歩きながら、食堂を進んでいく。

 

「そういえば、お主はわしの百式観音を知っておったようじゃな」

「ああ、もちろんだとも。私は貴方のファンだからね。国の諜報部まで使って出来る限りは調べたよ。もちろん、他のハンターについても調査している。その中でメンチ君について知ったんだ」

「カキン帝国の諜報部は優秀なようじゃの」

「もちろんだとも。国を維持し、大きくするには情報が何よりも大事だ。そちらに関してはどこの国も力を入れているだろう? むろん、ハンター協会もね」

「ああ、そうじゃな。パリストンが詳しいはずじゃよ」

「なら、色々と教えてもらうのもありかもしれないね」

「アイツに教えを乞おうとするとはライネス嬢ちゃんはチャレンジャーじゃな」

「否定はしないよ」

 

 話している間に食堂に到着した。ネテロ会長が扉を開けると、とても良い匂いが漂ってくる。部屋の中には女性と大きな、巨大な男性が待っていた。

 

「来たわね」

「メンチ、言い方に気をつけないと」

「そうだった。お待たせ致しました」

「別に普段通りで構わないよ。私も堅苦しいのは苦手でね」

「それは助かるわ」

 

 自己紹介を聞いていく。彼女はメンチ。彼女は一度食べたものの味は忘れない。短気で食に対するプライドが高く、キレると殊更に融通が利かなくなる。もう一人はブハラ。大柄な体格で、恐ろしいほどの大食漢だ。

 

「フルコースを用意してみたけど、口に合うかしら?」

「大丈夫だとは思うが、量はあまり食べられないよ」

 

 この身体になってから小食になっている。女の子だし、あまり食べて太るのも困る。太ったライネスとかありえない。

 

「それはわかっているわ。会長も食べますよね?」

「よいかの?」

「もちろんだとも。一人で食べるよりも皆で食べる方が美味しいからね」

 

 席について皆で食事を開始する。私はカキン帝国の王子であり、専属の料理人もいる。だけど、毒物が入っている可能性もあるし、警戒しながらマナーを守りつつの食事はとても大変だ。だが、今は少なくともマナーを守るだけでいい。

 メンチは料理に対する情熱は何があっても信頼できる。彼女は料理に毒なんて絶対に入れない。だからこそ、私の料理人とするに相応しい。そして、何より──

 

「うん、あまり食べられないがとても美味しいよ。これほどの料理を食べたのは生まれてから初めてだ」

「本当!」

「もちろんだとも。なので、これからしばらくよろしくお願いしたい。私達王族にとって信頼できる料理人というのは得難いものでね。もちろん護衛としても期待しているよ」

「それは……」

「だが、王族を殺すには食事に少量ずつ毒物を混ぜるのが手っ取り早く安全なんだ。バレない程度に毒物を蓄積させる。私もこれをやられていた。だから、メンチ君を雇っている間に私の念獣に料理を教えてやってくれ。もちろん、相応の礼金は支払うし、私が居ればハンターでも入りにくい場所だって入れる可能性がある。どうだろうか?」

「わかったわ。いいわよ、乗ってあげる。私の料理の腕を気に入ってくれたみたいだしね。ただ、数日いなくなる日があるのはいいかしら? 食材の確保に行ったりもするし……」

「それはむろん、私もついていくとも」

「ちょっ!」

「なに、護衛は気にしなくていい。一ヶ月間、ネテロ会長に鍛えてもらうからね」

「会長、大丈夫なんですか?」

「ああ、現状でも普通の魔獣なら相手にもならんじゃろう。メンチ君でも勝てないかもしれないぞ」

「そ、そんなに……」

「そういうわけでよろしく頼むよ。なに、どうしても嫌ならついていかないから安心してくれたまえ」

「そういうことならわかったわ」

 

 そのまま食事を行い、楽しい時間を過ごす事になった。

 

 

 

 

「メンチ、大丈夫なの?」

「パリストンからは彼女を餌付けしておけって言われたから、できる限り頑張るわよ。護衛の時は一緒に頼むわね」

「任せておいて」

 

 

 

 

 

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