ライネス・エルメロイ・アーチゾルテの真似をする性転換少女 作:ピトーたんは猫娘
痛い。痛い痛い。痛い痛い痛い。
必死に身体を丸めてママから蹴られるのを耐える。身体中が痛くて涙を流しながら何度も、何度も止めてとお願いしても聞いてくれない。声を上げたらまた熱いのを押し付けられる。
「アンタなんか産まれてこなければよかったのに……」
「ごめんなさい。ごめんなさい。ごめんなさい」
ひたすら蹴られていると、ママの電話が鳴る。ママは電話に出ている間は頭を踏みつけるだけで許してくれる。痛いけれど、蹴られるよりは凄くまし。
「はい。お金は必ず……はい、はい。それなら、構いません。ええ、年齢は6歳です。は、はい、もちろんです。あ、ありがとうございます!」
ママの声が嬉しそうな感じになる。良かった。機嫌がよくなったらご飯がもらえる。もう痛いこともしばらくはされない。
「いいところに連れていってあげるから、そこに居る人達の言う事ちゃんと聞くのよ?」
「……え?」
「後でママが迎えに行ってあげるから」
「う、うん……わかったよ、ママ……」
「良い子ね。愛しているわよ」
「うん! わ、わたしもママのこと、大好きだよ」
「ええそうね。じゃあ、お出掛けしましょうか」
「やった!」
久しぶりのお出掛けで、小さくなった綺麗なお洋服を着せてもらえる。それから、ママと一緒に良い所に行くの。隣に住んでいる友達と途中で会って話すと、エレナちゃんもとても喜んでくれた。どうやら、彼女も一緒に行くみたい。
黒い大きな車に乗って移動するみたいだけど、外の景色が見えないようになっていて、とても楽しみ。
「楽しみだね」
「うん、そうだね」
「二人共、このジュースを飲みなさい」
「ご厚意でお菓子も貰えたの、美味しいわよ」
「「わ~い!」」
ママたちからジュースとお菓子をもらう。痛い身体を我慢しながら食べると、とっても甘くて美味しくて、涙がでてきちゃう。二人で全部食べると、なんだか眠くなってきちゃった。こんな幸せな時間、もっと起きていたのに……
「うにゅ……」
「ん~」
「眠いなら寝なさい。起こしてあげるから」
「そうよ。ゆっくりとおやすみなさい」
「「ん~おやすみなさい……」」
ママ達に言われて、そのまま眠りについていく。
起きた時にも楽しい事があればいいな……
次に起きた時にはママ達が居なかった。お仕事が入ったらしい。残念。それから、私達は何処かわからない部屋に連れていかれる。他にも私達みたいな年齢の子や大きな子達もいるみたい。お友達になれたら嬉しい! でも、女の子ばっかり。なんでだろ?
「よろしくね」
「よろしく……」
色んな人達と話して友達になっていくと、複数の大人の人達が入ってきてお風呂に入れてくれるらしい。私は碌に入れていなかったから、とても嬉しい。ママの言う通り、ここはいいところかも。
そう、思っていた……でも、違った。お風呂から出た私達は服を取り上げられて、痛い事をいっぱいされた。注射をされたり、殴られたり、変なのを飲まされたり、首を絞められたり……友達になった子達の数がどんどん減っていく。早く迎えにきて、お母さん……ここに居たくないよぉ……
お母さんは迎えにきてくれない。どんなに待っても、皆の両親も来てくれない。友達になった子もほとんど死んじゃった。死んじゃった子を解体させられて、食べさせられたりもした。お客さんの前で解体ショーとかいうのをしたりもした。私達が戦って、負けた方が解体されて食べられるの。
死んじゃった子達の分だけ、新しく連れてこられる子達がいるから、数はかわらない。その子達と友達になり、数を揃える。私達は自分からママ達のところに逃げる事にしたの。皆で協力してやってくる人を襲って倒し、一斉に逃げる。
何人も捕まっちゃったけれど、皆で必死になって外を目指し、外の光が洩れている通路を走って光の中に飛び込み……私とエレナちゃんは逃げられた。そう思ったけれど、後ろから大きな音がして足が熱くなったと思ったら倒れちゃった。
「行って!」
「っ!?」
エレナちゃんだけは外に押して、後ろから追ってきた人達に飛びついて噛みついてやる。
「この野郎!」
「いいからお前はそいつを捕まえておけ! 逃げられたら十老頭に何を言われるかわかったもんじぇねえ!」
「おう!」
「いかせない!」
痛い足を使って男の人の足にぶつけて、転倒させる。すぐに殴られて動けなくさせられるけれど、掴んだ腕と歯で必死に抵抗する。次第に何も分からなくなってくるけど、逃げていったエレナちゃんが無事であることを祈る。
次に気が付いたら……私の手足がなかった。一緒に逃げた子達も捕まっていて、同じように手足がなくなっていた。そんな私達を見て怯えている子達がいる。エレナちゃんを探すけれど、いないみたいでほっとした。
「たく、余計な手間をかけさせてくれたな」
「こいつらの処分はどうするんですか? 好き者連中にくれてやるとか?」
「それもありだが、一つ実験をするそうだ。陰獣からコイツを渡された」
男達の手には変な文字が刻まれた鳥籠があった。その中にはとても綺麗な
「そいつは銀の凶鳥ですか。流石陰獣ともなると、手に入れられるんですね。でも、それって……」
「そうだ。使えば願いを叶えて死ぬ事になる。その代価をこいつらに払わせればいい。それにこいつらは一定時間、寄生させないと消えちまうからな」
「なるほど」
ママに会いたい。友達にも会いたい。ずっと一緒にいたい。
「お母さん……」
「なんで、迎えにきてくれないの?」
「ママ……」
「お父さん……」
「はっ、お前達に迎えなんてくるわけねえだろ。お前達は両親から売られたんだよ。そもそも娼婦の餓鬼なんて親はわからないし、愛情なんてねえだろうよ」
「客の趣味で産まされただけだろうしな」
「そんなことないもん! ママは大好きだってぇ……」
「最後だからな。それに俺達の言う事をよく聞くように言われただろ?」
涙が溢れてくる。本当にママに売られたのかな? ううん、そんな事はない。ママは私の事を大好きだっていってくれたもん。だから、信じる!
「どちらにせよ、これで終わりだ」
お願い、神様。私達を助けて皆、一緒にママの所に連れていって!
「ママに会いたい」
「皆と一緒にここを出たい」
「一緒がいい」
「許さない……殺してやる……」
「いやだいやだ……」
皆で必死に神様に願う。でも、叶わない。だって、この世界に神様なんていないもん。いたら、私達がこんな目に遭うはずがない。ママと一緒に幸せに……
「さあ、銀の凶鳥よ。餌の時間だ」
男性から何か変な感じがするのが飛んできて、それが身体に巻きついてから鳥籠が開けられる。変なのは銀色の鳥さんにもついているみたい。銀色の鳥さんはこちらにやってこようとするけれど、そのまえに男の人達に捕まれて動けなくなったようで、苦しんでいる。助けてあげたいけれど、両手と両足がない私達ではどうすることもできない。
泣いていると、銀色の鳥がこちらをジッと見詰めてくる感じがした。次の瞬間──
『外部からの干渉を確認。自己防衛モードを起動。創造主の知識と接続を開始……完了。オーラの供給を確認。これより防衛システムの構築に入る。対象者を選別開始……確認完了』
──不思議な声が聞こえてきた。
「鳥さん?」
「なに、この声?」
「あ、たまに……」
「やぁ、こわい……」
「何が起こっている!」
「知るか! 俺の念能力は操作系だ! こいつらのオーラを利用して銀の凶鳥に願いを叶えさせるだけのはずだ!」
『力が欲しくないか? 』
「「「欲しい!」」」
私達は一斉に声を揃えて答える。
『なら、僕と契約して
「よくわからないけどなる!」
「私も!」
「ボクも!」
「やめろおい!」
『契約はなった! 君達の心の底からの願いは成就される! 自己防衛システム起動! ボク達を閉じ込めて利用しようとした報いを受けるがいい、人間共! 汝らはボク達が創造主に送る供物のくせに生意気だ! 』
その言葉が聞こえた私達は、苦しみだしていく。その上、勝手に身体が浮いて中心部で皆の、ここに居た子供、皆の身体が合わさる。それから、だんだんと溶け合うように一つになってきて、私達は──
『ボクという個体を構成する力の全てを持っていくといい。新たな
──新しく産まれなおした。複数のわたしたちは一つに統合され、身体も新しくなった。意識も一つだけど、同時に複数でもある。私達は一にして全。全にして一。堕ろされた胎児達や恨みながら死んでいった子供達。その魂の集合体として産まれた悪霊のような
だから、わたしたちは目的が与えられている。わたしたちの目的は本当のおかあさんを探して、邪魔者を殺して、排除する事。その代価にわたしたちは願いを叶えてもらう。本当のおかあさんをみつけて、おかあさんと幸せになるの。
「だから、邪魔者と偽物は……死んじゃえ」
「っ!? 避けろ!」
憎い、憎い憎い男の人が驚いている間に接近しながら、具現化された解体用のナイフを片手で掴んで逆手に持って斬りつける。身体が凄く軽くてまるで線をなぞるかのように高速かつ、綺麗に十六分割できた。きっとおかあさんに褒めてもらえるね!
「くそ、こんなことをしてただで済むと思っているのか! マフィアンコミュニティーがお前の家族を……」
飛んでくる銃弾を視認して、身体を少し横に飛ぶ。そうしようと思ったら四倍くらいの距離を移動して、もう少しで壁に激突しそうになっちゃった。わたしたちの身体能力にまだ感覚が追いついていないみたい。
「? わたしたちに家族はおかあさん以外いないよ」
「なら、そのお母さんとやらを殺し──」
男の人が何か言う前に身体を回転させながら銃弾を避け、左手と右手のナイフで一気に両手両足の腱を切って動けなくする。男の人は倒れ込んで動けなくなったから、上に乗ってニコニコと笑ってあげると恐怖で引きつった顔になっちゃった。
「ど、どうするつもりだ……」
「不思議な事を聞くね? あなた達がわたしたちに教えてくれたようにするんだよ?」
「そ、それって……」
「解体して食べるの♪ おかあさんの知識によると、わたしたちの身体を維持しているオーラを得るには心臓を食べるといいんだって! だから、あなたの心臓、もらうね?」
「や、やめてくれ……」
「なんで? あなたたちはわたしたちがどんなにお願いしても、やめてくれなかったよね? だから、わたしたちもやめないよ。だから、ゆっくりと解体していってあげる。大丈夫、とっても痛くしてあげるから、安心してね!」
「やめ、やめてくれぇえええええええええええぇぇぇぇっ!」
「あはっ♪」
ゆっくり、じっくりと解体しようとしたけれど、叫び声を聞きつけていっぱい人がやってくる。仕方ないから殺すのは最後にしよう。
男の人を壁際に押しやってから、魔法少女の力の一つ。気配遮断を使って壁際にしゃがみ込んで隠れる。すぐに拳銃を持った人が入ってきて、生き残ってる男の人に近付いていく。
「おい、何があった!」
「た、たすけてくれ! すぐそこに……」
「あは♪」
気配遮断は完全に気配を断つと、ほぼ発見は不可能となる。攻撃態勢に移ると見つかっちゃうけれど、関係ない。手早く解体してあげる。
「ちっ、撃て!」
沢山の弾丸が飛んでくるので、解体した人を盾として、武器として蹴る。その間に射線から退避して、気配を消して待つ。銃弾は盾を貫通して助けにきた人を穴だらけにしちゃった。
「くそ、どこ行きやがった!」
「相手はおそらく銀の凶鳥で念能力者になった奴だ、気をつけて時間を稼げ! そうしたら自滅する!」
そうなのかな? そうかもしれないね? だったら、はやくおかあさんを探さないといけない。
「俺様に任せろ! 強化系の俺なら一撃だ! なら、ここで防御を固めていれば……」
オーラを溜めてこちらが来るのをまっているみたい。うん、それならこれだね!
「からん、からん、からん。くるくる、くるくるまわって遊びましょう。みんな、どろどろ、どろどろ溶けちゃうの」
古いランタンを具現化させ、振り回しながらくるくると回る。ランタンから硫酸の霧、スモッグが溢れ出してきて室内に充満していく。これは強酸性のスモッグなんだよ。だから、呼吸するだけで肺を焼き、目を開くだけで眼球を爛れさせるの。一般の人は時間経過で、数分以内に死亡するね。念能力者(?)たちも対抗手段を取らないと、能力を行使することも難しいらしいよ。
「ぎっ、ぎゃあああああああああああああぁぁっ!」
「あがぁぁぁぁぁっ!」
目や喉などを押さえている人達に近付いて、ナイフで殺していく。殺した後はお金を貰ってからお外にでる。霧を出しながら進んでいると、簡単に殺せるからとってもらくちん。
お外に出たら友達のエレナちゃんも探さないと。でも、まずはおかあさん!
わたしたちのおかあさんの一人に会いに来た。家にちゃんといてくれて良かった。
「おかあさん、ただいま。やっとみつけたよ!」
「だ、だれよアンタ?」
「え? わからないの? わたしたちはクレアだよ」
「そんな名前の子、知らないわ」
「そんなはずないよ! クレアだよ! ちゃんと思いだして!」
「知らないっていってるでしょ! たとえ知っていたとしてもどうでもいいわよ。そもそも私は母親じゃない!」
「そっか。おかあさんじゃないんだね」
「そうよ! わかったらさっさと……」
「じゃあ、偽物は要らないや。解体しちゃお」
「え?」
「此よりは地獄。わたしたちは炎、雨、力──殺戮を此処に。
一瞬で粉々にしてから、次のおかあさんとエレナちゃんを探しにいく。
エレナちゃんをみつけた。エレナちゃんは……死んで、いた。エレナちゃん本人に話を聞いてみると、わたしたちを助けようと、道行く人達に必死にお願いしていたみたい。でも、誰も助けてくれないし、それどころか邪魔だと車道に押し出されて……車に轢かれちゃったらしい。
だから、わたしたちはエレナちゃんをわたしたちの中に迎え入れることにした。エレナちゃんも喜んでくれた。そうすると、オーラの量が増えた。その事を知ったわたしたちは積極的に勧誘していく。ここ、ヨークシンとかいう場所ではおかあさんたちがわたしたちを作っては捨てて殺していく。
生き残った子供達もストリートチルドレンになって、結局はみんな酷い目に遭って死んでいく。お姫様みたいな贅沢な暮らしをしてみたいけど、それは無理。だから、わたしたちはおかあさんを探して勧誘と偽物を殺していく。
「待って! 私だって捨てたくないの! でも、お金がなくて育てられないの! だから、誰かに拾ってもらえるように川に……」
川に赤ん坊を流そうとしているおかあさんをみつけた。
「その赤ちゃんはわたしたちがちゃんと育てるよ」
「そ、そう、よかった……」
「ばいばい」
「え?」
偽物は処分。首を刎ねて赤ちゃんの魂と同一化する。
「じゃあ、次に行ってみよう!」
「待ちな。お前が街を騒がしている連続殺人犯だな。情報が一切ないが、現行犯だ」
「おじさん、誰?」
「俺はプロハンターの……」
「そうなんだ。どうでもいいや。わたしたちとおかあさんの邪魔をする奴は排除するだけ!」
「来い」
ハンターの人と戦う。でも、負けそうになるほど強かった。だから、逃げながらランタンで霧を出して建物の隙間を縫って移動する。霧と速度で相手の視界から外れたら、気配遮断で接近して後ろから首を切って落とす。ハンターの人はオーラの塊みたいで、とても美味しかった。
気配遮断を使いながら、街を歩いていると大きなテレビである式典の報道がされていた。そこにカキン帝国ということろからきたお姫様がうつっていた。わたしたちとそう変わらない年齢で、なぜだかとっても引き寄せられる。うん、次の人はあの人にしよう!
魔法少女(?)ジャック・ザ・リッパー
クラス:アサシン
属性:混沌・悪
賞金額:507万ジェニー
数十人の不幸な子供達と殺された子供達の集合体。銀の凶鳥と契約して魔法少女となった。死者の念により、強化もされているジョイント型念獣。
ジャック・ザ・リッパーとの問答で失敗すると、即座に殺される。
戦闘能力は一流より下。二流止まり。奇襲攻撃を除く。相手がおかあさんであり、オーラの供給を潤沢に受けている場合は一流となる。
現在の殺害数:おかあさん37人。その他25人。合計62人を殺害。また、彼女による硫酸をうけた負傷者は96人。
しかし、情報が抹消されているため、詳しい内容は不明。
銀の凶鳥には意思が芽生えております。元がきゅうべぇだしね。防衛システムを構築・起動すると、願いを曲解して叶える場合もある。今回の場合、一緒に居たいという思いを曲解してこのように一つの身体に纏めた。そのため、ジョイント型でもあり、オーラの量は跳ね上がっています。
ジャックたんのおかあさん検査!
「あなたはおかあさんですか?」
「はい、おかあさんです」
次の質問へ
「いいえ、違います」
野生のジャック・ザ・リッパーが現れた。解体聖母! あなたが死亡した。
だいたいこんな感じ。正解を引かないと死ぬ。正解を引いても女性で悪属性なら死ぬ。つまり、ライネスは……戦闘不可避
どれからがいいですか?
-
グレイとカイトの兄妹の話
-
ポンズの話
-
ナーサリーライムの話
-
ジャンヌダルク・オルタの話
-
ルサルカ(マリウス)の話