ライネス・エルメロイ・アーチゾルテの真似をする性転換少女   作:ピトーたんは猫娘

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第2話

 

 諸君、元気か。私は頗る元気だ。気分は非常に悪いが、欲しい物のためならば我慢しよう。私が私であるがために必要な道具が手に入るのだからね。まったく、愚かにも私を侮って水銀を引き渡してくれればいいのだが、残念ながらそうはいかなかった。だから、水銀を渡すかわりに出された条件である晩餐会に出ることとなった。

 

「服装はどうしましょうか、ライネス様」

「黒で頼むよ。その方が私の綺麗な金髪が映える」

「畏まりました」

 

 姉上とは違う色の髪の毛に不貞の子供だと疑われたりもしているが、私が母親である第7王妃セヴァンチの胎からでてきたことは確実だ。まあ、このライネス・エルメロイ・アーチゾルテの身体なのだから仕方があるまい。

 メイドに着替えさせてもらい、黒いドレスを着てから晩餐会に移動する。晩餐会ではお父様であるナスビー・ホイコーロはもちろん、7人の王妃と13人の子供が席についている。モモゼもすでに席についているようだ。

 

「おお、ライネスではないか。よくきたホイ」

「お招きにより、参上いたしました。お父様」

「そんな形式ばった挨拶はいらないホイ。我等は家族だからな」

「はい、ありがとうございます」

 

 完璧な宮廷作法で挨拶をし、席につく。すぐに私の分も料理が運ばれてくるけれど、毒物が入っている可能性がある。まあ、食べるのだが。

 

「うむうむ。久しぶりに家族全員がそろった今日は良い日だホイ!」

「その通りですね、お父様」

「はい」

 

 王子の一部がこちらを睨んでくるが、無視して食事の挨拶を待って食事を始める。毒物が含まれていようと転換の胃袋という念能力を使って食事をしているので、全てが生命力や栄養に変換される。この能力はある人物が毒物しかない場所で、飢えをしのぎ、食事をするために作られた念能力だ。銀の鳥から得た情報を基に再構築したおかげで毒物も平気になったというわけだよ。他にも隠された庭園(シークレットガーデン)という能力を用意してある。これは絶を使えない代わりに用意した念能力で、自分の円という範囲を自らが支配する庭へと変化させ、外にオーラを出来る限り漏らさないようにする力がある。これによって私のオーラがほぼ外にでる事はないし、大量の水銀を花という形で隠してもおける。

 さらにさらに私の可愛い鳥達を収納できるのだ。というか、この能力が無いと鳥達が戻ってくることはないし、オーラが尽きるか半径1キロ以内に生命体がいなければ消えることもない。1キロ以内の生命が死滅することなどまずない。きっと多分。

つまり、ライネス・エルメロイ・アーチゾルテの固有結界モドキとして発動できる。この能力の代価として銀の鳥達が消費され、巣である庭に強制転移されるということだ。このせいで私がこの五年で手に入れたスペックを月霊髄液と合わせればほぼ使い切ってしまう計算だ。

 

「ライネス、勉強をしているそうだが、順調か?」

「はい、順調ですよ、ベンジャミンお兄様」

「そうか。どんな勉強をしているのだ?」

「おや、不思議な事をお聞きになられますね。護衛を使って私の事を監視しているのですから、全てが筒抜けではありませんか?」

 

 私に声をかけてきたのはベンジャミン=ホイコーロ。第1王子にしてウンマ王妃の第一子。筋骨隆々の巨体の男性でカキンの軍事最高副顧問。その力はライオンを素手で絞め殺す程の筋力で、至近距離から拳銃で撃たれても無傷で済むほど強力なオーラを纏える。直情型な性格だが、部下の進言を受け入れ、適宜に方針を転換できる柔軟性も併せ持つというこの国でやばい奴の一人だ。つまり、私の敵だ。

 

「……」

「な、何を言っているのですか? そのようなことは……」

「カミーラお姉様。私達はこの国の王になるように教育されているのですよ。誰もが自分こそが王に相応しいと思っているでしょう」

「そんなことは……」

「無いとのことですよ、お父様。どうやら、カミーラお姉様は王位継承権を破棄なさるようです」

「なにを!」

「くっくく」

 

 からかって遊んでいるがベンジャミン達、上の王子や王妃の視線がやばい。ああ、なんて面白いのだ。

 

「貴様っ!」

「何を怒っているのか私にはわかりませんね」

「そうかそうか。それで何を勉強しておるホイ?」

「軍事について勉強しております」

「軍事だと?」

「はい。これは必要な事でしょう。ベンジャミンお兄様が順序通りに王になられたとしても、病気や事故にあって死んでしまうかもしれません。ですので、予備として勉強は必須。軍事とは国を守るために必要な事です。そこに穴を開けるべきではありません」

「おお、そうかそうか。確かにベンジャミン以外は軍事の勉強をしておらんかったか」

「俺が居るのだから、必要あるまい」

「あくまでも予備ですよ。私の興味がある事でもありますから。それとお父様。後でお願いがありますが、駄目でしょうか?」

「何か願いがあるのかホイ?」

「留学などをして勉強してみたいのです。この国で学べる事は限界もありますし、なにより国外の事も勉強する必要がありますから」

「考えておこう」

「ありがとうございます。それと動物を飼いたいので庭を用意してもらいたいのですが」

「誕生日にプレゼントしてやるホイ」

「助かります」

 

 さて、暗殺者でも送られてくるか、毒物でも送られてくるか、とても楽しみだ。ああ、楽しみだとも。それと私の可愛い鳥達は今も元気に働いてくれているし、数も順調に増えている。それはもう、数えるのも馬鹿らしいほどで、私の軍団ともいえる。銀の鳥達を放出する場所は私の旅行先で、放出したりしなかったりしている。

 

 

 

 

 

 

 

 アイザック・ネテロ

 

 

 

 

 

 

 わしがいる場所はハンター協会の飛行船じゃ。現在、わしらはある依頼について行動している。

 

「で、状況はどうじゃパリストン?」

 

 わしが聞いたのはハンター協会副会長。三ツ星ハンター。パリストン=ヒル。協会の副会長にして、わしがもっとも苦手とする相手じゃ。

 

「発端の場所は判明しました」

「本当なのか?」

「ええ」

 

 パリストンの言葉に答えたのは二ツ星のクライム(犯罪)ハンター。民間警備会社経営、弁護士じゃ。二人共男性じゃし、女性が欲しいのお。

 

「カキン帝国です。五年前、そこからはじまっています。まだそこまでしか判明しておりません」

「カキン帝国か。やっかいじゃな」

「しかし、処理しなければいけません。今まで起こった事件の件数は71,178,961件。この全てに寄生型の念獣が関わっています」

 

 五年前のあの日から、視認不可といえるほど小さな小さな寄生型の念獣は生物に寄生し、寄生した者の願いを叶えていく。その特性からわしらが気付くまで遅れた。最初は魔獣の暴走だけだと判断したハンターがおり、わしらのところまで情報がくるのが遅かったからじゃ。

 

「対処が遅すぎたのお」

「はい。数が多すぎるため、一体や二体を除念したところで無駄です。目に見えないので見つけて殺すことも難しい。それに加えて除念した存在に念能力が残る事も確認されていますから、保護しないといけません」

「厄介じゃな」

「しかし、そうも言ってられません。どうするのですか会長。V5の方からもせっつかれております」

「暗黒大陸から飛来した新たな災厄か。ガス生命体のアイだったか。そいつに似ておるから、そう考えるのも無理はないが……カキン帝国から始まっているのが不思議でならん」

 

 連中の増える速度と、わしらが討伐する数に限界がきている。わしらが見えるほどに大きくなったものは寄生された者が死んだ時だけだ。その時は膨れあがり、次の瞬間には無数の鳥となって消えていくことが判明しておる。

 

「銀翼の凶鳥。願いを叶える反面。寿命を削る。そして死んだら寄生主のオーラを吸収して身体を分裂させて次の寄生主に向かう。本当によくできとるのお」

「増殖性と見えないほど小さいというのは本当にやっかいです。いっそ都市ごと滅ぼしますか? 活動範囲に限界があるでしょうから、広範囲を殲滅すれば撲滅が可能かもしれません」

「駄目に決まっとるじゃろう」

「ですよね~。では、術者を殺すしかないですね」

「問題の術者はわかっているのか?」

「やだな~わかるはずないじゃないですか。目下捜査中です」

「探知系は?」

「対策されていますね。逆探知に反応なし。注意喚起をして願いを叶えないようにすることもできません」

「深層心理からも読み取るんだったな。人は大丈夫でも、動物などはそうもいかん」

「はい。というわけで、現状はどうしようもありません」

「……もしくは、命を使って願いを叶える事を伝え、叶えた後の行動を促すかじゃな。おそらく、重い制約が使われとるはずじゃ」

「でしょうね」

 

 カキン帝国、カキン帝国か。ふむ。もしかしたら、あの国の王子がかかわっている可能性があるな。よし、調査を開始しようかの。

 

「一つ思い付いたのだが、わざと寄生させて願いとして凶鳥について聞くのはできないのか?」

「心の底から願えますか?」

「無理だな。探し物の念能力をみつけるしかないな」

「うむ。どちらにせよ、我等は念能力者の保護と原因の究明、根絶を行う。全ハンターに指示を出すのじゃ。十二支んも星もちも全てじゃ」

「かしこまりました」

 

 やれやれ、どんな化け物か、楽しみじゃのう。いや、待てよ。

 

「パリストン。この念能力は念獣を育てるものじゃ。それでいいよな?」

「はい。そうですが……」

「じゃあ、育った念獣はどうなるかの?」

「それはもちろん、術者の下へと還るでしょう。そうでないとせっかく育てた念獣が……なるほどなるほど。この凶鳥の特性を考えると大半は増殖と再生に使われていますが、その一部は術者に還っている。そう考えるのは必然です。そうなると還る条件は寄生主の死亡ということですから、作戦は──会長」

「やれ。協会全てをあげて一斉に行うのじゃ。そうでないと意味がないからの」

「わかりました」

「詳しく説明してくれ!」

 

 術者がどんな化け物かわからぬが、ようやく尻尾を掴めるぞ。

 

 

 

 

 

 

 

 

「くちゅん! む、誰かが私の噂をしているな」

 

 しかし、そろそろハンター協会がこちらを嗅ぎつけてくる可能性がある。鳥達の進行方向をメビウス湖の外へと向けよう。なに、もはや管理もできないほどの数になっている。これ以上、こちらで活動するには限界があるからね。

 ベッドに寝転びながら兵法書を読みつつ脳裏に浮かぶ銀の鳥達への指示を出していく。しかし、流星街がやばい。人外魔境になっているじゃないか。その分、寿命も短いが、とても楽しい事になっている。

 

「ライネス様。水銀が届きました」

「ああ、ありがとう」

 

 起き上がって扉を開けると、メイドが水銀の入った浴槽を運んできた。ああ、本当に素晴らしい。綺麗な水銀がちゃぷちゃぷと揺れている。

 

「ライネス様。水銀は飲んだり入ったりするといいらしいです。不老長寿になると言われておりますから。どうかお召し上がりください」

「ああ、あとでいただくよ。それからしばらく一人にしてくれ。この水銀で遊ぶからね」

「そうですか。かしこまりました」

 

 私がいそいそと服を脱いでいく姿を見て、メイドは服を受け取っていく。

 

「ああ、なんなら君も一緒に入るかい?」

「い、いえ、大丈夫です。仕事がございますし、王族の方と入るなど恐れ多いです」

「そうか。それじゃあ助かったよ」

「はい。失礼いたします」

 

 メイドが出て行ったので、思いっきり声をあげて笑いながら水銀風呂に入る。

 

「くっくく、あはははは! やっとだ、やっと手に入れた!」

 

 皮膚を通して身体の中に水銀がたっぷりと入ってくる。掌で水銀をすくい上げ、身体に塗り込んでいく。当然だが、水銀は毒物だ。なので良い子は絶対に真似してはいけないよ。私がライネス・エルメロイ・アーチゾルテだからこそできるのだ。

 水銀をオーラで包み込んで融合させ、コントロールする。月霊髄液を造るための自らの肌で、全身で感じる。ついでだから穴という穴にも入れてみる。けっしてエッチなことではない。

 

「さて、ここからが勝負だな。死ぬか生きるかの瀬戸際だ。よし、やるぞ。何も問題はない。私の身体はライネス・エルメロイ・アーチゾルテ。ましてや司馬懿までいる。ならば成功する未来しかありえない。Fervor,mei Sanguis(沸き立て、我が血潮)——術式起動」

 

 そういいながら、掌で掬った水銀を飲み込み大人用の浴槽で私の身体より大きな水銀風呂に全身をつける。頭も含めてだ。生き残るためには月霊髄液を使い、自らの物として操作するしかない。

 全能力と隠された庭園(シークレットガーデン)を使い、水銀を全力で操作する。物質にオーラを纏わせる纏と練の応用技、周を使って水銀を我が物とした。私はライネス・エルメロイ・アーチゾルテなのだから扱えないはずがないので当然だ。次のステップとして、自分の身体のように操作できなくてはライネス・エルメロイ・アーチゾルテとはいえない。

 

「ら、ライネス様……?」

 

 水銀その物になるような感覚の中、メイドが部屋の中に入ってきて浴槽の中に沈んでいる私を見る。

 

「あは♪ 死んだ。死んだ。死んだっ! これで私は王子様の嫁に──」

Fervor,mei Sanguis(滾れ、我が血潮)

「──え?」

 

 水銀が私の言葉と意識に従って動き、柱状の棘へと変形してメイドの身体を貫く。貫かれた腹部から血液が溢れ出し、水銀を通って私に流れ込んで来る。

 

「王子の暗殺は極刑だぞ、メイド君」

「な、なんで生きて──」

 

 浴槽から顔を出し、全身で水銀を楽しむ。

 

「ああ、しかし人を殺すのは初めてだな。これが童貞喪失か。いや、処女になるのかな。ああ、嫌だ。やはり童貞でいこう」

「た、たすけ──」

「裏切り者には死を。残念ながら私は甘くはないのだよ。もっとも、殺しは初めてだから罪悪感がわかない方法でいかせてもらおう」

「そ、そんな、お願いします! なんでも、なんでもしますから!」

「そうか、なんでもか。わかった。安心したまえ」

 

 水銀塗れの身体で引き寄せたメイドの頬を撫でながら、私は彼女の瞳をみつめて笑顔で告げる。

 

「君の身体はしっかりと使わせてもらうよ。私はお兄様と違って人体収集家ではない。だから、無駄にはしないとも」

「な、なんで、たすけてくれるって」

「そうはいっていないさ。君はここで死に、君の身体は私が私であるために隅々までしっかりと使わせてもらう。王子の、カキン帝国の王となる私に使われるのだから本望だろう?」

「ひっ、いやっ、いやぁぁぁぁぁっ!」

Fervor,mei Sanguis(沸き立て、我が血潮)——術式起動。取り込め、トリムマウ」

 

 ライネス・エルメロイ・アーチゾルテにとって、月霊髄液のトリムマウがいるのは当然の事だ。だから、彼女を月霊髄液に取り込ませて使わせてもらう。湯船の水銀に浸かりながら、空中に浮かんだ水銀達がメイド君の身体を覆って取り込んでいく。絶望の表情を浮かべさせながら取り込まれていく姿は見ないようにする。

 

「さてさて、水銀の量が全然足りないな。もっと作らないといけない。しかし、生命力の量にも限界がある。やはりライネス・エルメロイ・アーチゾルテの域にはまだまだ届かない。彼女みたいに魔術刻印が……待て。あるはずだ。無いのはおかしい。つまり、この身体はまだ魔術刻印……魔術回路が開いていないのか。よし、開こう」

 

 全身に魔術回路を作成する。イメージはFateに出てくる聖杯少女イリヤスフィール・フォン・アインツベルン。私もある意味では願いを叶える聖杯少女だ。何も間違いではない。というわけで全身に大量の魔術回路を作成し、月霊髄液専用にする。生命力を魔術回路に通して魔力を生成する。この魔力は高純度のオーラの塊として精製された感じだ。これで私はよりライネス・エルメロイ・アーチゾルテとなった。

 

「トリムマウ、私はしばらく水銀風呂を楽しむ。君は溢れた水銀を吸収してくれたまえ」

「畏まりました」

 

 イメージ通り、喋れるので月霊髄液は完璧だ。さて、全身で感じている水銀を具現化していく。魔力を使って水銀を増やす。ああ、水銀にも色々と付与しよう。まず水銀からイメージできるのはスライムだ。スライムといえば吸収能力。オーラを吸収する能力を与え、除念というか無効化できるようにする。念弾とかを吸収して自分のオーラへと変更するのだ。

 この世界で本当に恐ろしいのは念能力だ。だからこそ、吸収して無力化できる力が必要だ。物理攻撃は元からある月霊髄液の水銀で防げばいい。防御能力も戦うかもしれないメルエムを考えると、最低でもネテロ会長の百式観音に対応できる自動防御を作成しよう。私が知覚できない速度でも絶対に防いでみせる。ああ、やはり毒性も強化しておこう。吸収した念能力や毒性などを再現できるようにすれば完璧だ。作ってみたが、メモリがオーバーした。考えれば当然だ。流石に念能力の再現や吸収はやり過ぎだったか。今は諦めよう。王や護衛軍を吸収すれば問題ないだろう。

 

「ああ、しかし良い夜だ。そう思うだろう、トリムマウ」

「はい、マスター」

「では、今日は記念日としようか。君の誕生日でもあるしね。おや、おやおや?」

「どうしましたか?」

「私の可愛い鳥達が凄い速度で捕まって一斉に殺されだした。うん、これは‥‥流石はハンター協会。もうたどり着いて来たか。私の予想では後二年ぐらいは大丈夫だと思ったのだが……これは困った。困ったから処分しよう」

 

 全ての鳥達に指示を出し、殺された時に向かう方向を変えさせる。向かう先は例のアソコだ。ネテロ会長達はどう対処するか、私は高みの見物としゃれこもうじゃないか。

 

 

 

 

 

 クロロ

 

 

 

「団長、願いを叶える鳥って知っている?」

「ああ、知っている。それが原因か」

「そう多分それ。そのせいで何人かやられた」

「どうする?」

「これ以上の被害は困るな。クルタ族の一部は見逃す。一時撤退だ」

「了解」

 

 炎に包まれる村の中では現在も戦いが続いている。最初の相手はそれなりの手ごたえがあったが普通の程度だ。だが、中には強かった一人がいた。そいつを殺すと、殺した奴の身体から銀の鳥がでてきた。するとそれが弾けて無数の鳥となり、他のクルタ族の者達へと入っていった。その後は格段に強くなり、こちらの被害が馬鹿にならないほどになってきた。

 

「俺達を殺す事か、退ける事を願ったのだろう」

「だよね。こっちの攻撃がほとんど効かない上に殺しても鳥がでてきて、そいつが他の連中に入って酷いことになる。それに先に操作されているから俺の能力も受け付けない。本当に厄介だよ」

「次のターゲットが決まった。術者を探せ」

「了解。あ、いい情報ゲット。どうやらハンター協会が仕掛けているみたいだよ。って、この進路はまずい!」

「どうした?」

「流星街だ! 流星街に銀の鳥とハンターの大部隊が向かっている!」

「……全員で戻って援護する。これはおそらく、流星街とハンター協会をぶつけて処理するつもりなのだろう」

「流星街にいるかもしれないよ?」

「居ない。それはすでに確認した」

「……じゃあ、戻るしかないね。マチ達に連絡を急いで撤退させるよ」

「頼む」

 

 相手は厄介な奴のようだ。すくなくとも、オート型でありながら、ある程度は操れるのがわかった。ぜひとも欲しい能力だな。寄生される気はないが。

 

 

 

 

 

 

 

 

「くそったれが! してやられたわい」

「ですねえ。絶対にこれ、流星街に居ませんよ」

「お前はわかっとったようじゃがな」

「あははは、やだな~」

「撤退しますか?」

「流星街からも防衛にでてきていますが……」

「一応、話をつけてくるかの」

「お願いします」

 

 そうしようとした瞬間、銀の鳥達は巨大化してわしらの方から流星街に攻撃を仕掛けた。突撃しただけだといえるが、奴等からしたら攻撃にかわらんじゃろう。突撃していったのじゃから。そうなるともう戦いは止められん。流星街を突き進み破壊した後は分散して我等の方向に戻ってきては再度突撃するといういやらしさ。こちらが攻撃しようにもその巨体でこちらの攻撃を見えないように隠す。まるで掌で踊らされているようだ。

 

「パリストン、わしじゃ無理だ。任せるぞ」

「かしこまりました。こういうのは得意です」

 

 騙し合い化かし合いは任せればよい。ハンター達には攻撃を控えるようにパリストンが言って、ある程度戦ってから白旗をあげて互いに話し合いを設ける。そこで銀の鳥について話していると、上空で集合して巨大化していく。それから鳥はメビウス湖の外へと飛び出していった。

 

 

 

 

 

 

 

 以降、第六災厄として銀翼の凶鳥が登録されることとなった。

 

 

 

 

 

 

 




なんでネテロ達は勝てないし見つけられないの?
膨大な数まで膨れ上がってメビウス湖全域で活動しているからです。移動方向はコントロールできるので、それを利用することである程度は操作可能です。ネテロ会長と正面から今戦うと確実に敗北します。だから戦いを避ける。軍師としては当然ですよね。
第六災厄認定はアイちゃんがいることからです。そこまで能力は高くはないが、無差別に生物なら願いを叶える可能性から考えてです。どう考えてもこの念獣って災害ですよね。インキュベーターなわけですし。
ただしカキン帝国在住はバレたのでこれからも警戒が必要です。

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