ライネス・エルメロイ・アーチゾルテの真似をする性転換少女   作:ピトーたんは猫娘

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第23話

 

 お風呂から上がり、メンチ君が作ってくれた歓迎用のご飯を食べる。どの味も美味しくて、怖がっていたネオン君は恐る恐る食べ始めると気に入ったようでどんどん食べていく。エリザ君やスクワラ君も一緒で安心しているようだ。

 ただ、ネオン君は時折、腕や足を撫でていてホッとしている。もちろん、接合部には触れないようにしているようだ。順調にトラウマになってくれたようでなによりだ。これで彼女は人体を収集するなんてことはないだろう。手に取ろうとするだけで今回の事が思い出されるだろうしね。

 

「ところで、マチおねえちゃんは泊っていくのかな?」

「そうね……依頼は終わったから、帰るわよ。団長に伝えておく仕事はある?」

「ああ、あるよ。資料を渡しておこう」

「わかったわ」

 

 食事が終われば、マチおねえちゃんを見送る。それから、メンチ君は片付けをしてお風呂に行くので、その間にジャック、ネオン君、エリザ君、スクワラ君、犬達を地下にある訓練所に連れ込む。地下に向かうにつれて三人は不安がっていたが、気にしない。

 

「ここで訓練をする。エリザ君を覚醒させ、ネオン君には正しい力の使い方を教える。スクワラ君は犬達を操作して念能力者にするんだ。ジャックはトリムと訓練をしようか」

「は~い」

 

 ジャックをトリムマウに任せ、私はエリザ君とネオン君に触れながら、彼女達に打ち込んだ水銀からオーラを供給し、身体中に行き渡らせる。しかし、この水銀はまるで間桐が使っている虫のような感じだな。

 

「んっ、んんっ! こ、これはっ……」

「あっ、あぁっ、身体がっ、熱く……」

 

 荒い吐息がえっちぃ。二人の女性が見悶える姿を見ながら、彼女達の身体を操作する。操りながらしっかりと彼女達のオーラと私のオーラを捏ねて捏ねて混ぜ合わせ、全身にオーラを細胞の一つ一つまで染み込ませていく。モモゼお姉様に使った念の応用で彼女達も覚醒させることができる。

 

「私が生命力、オーラを操っている。この感覚を慣れてくれ。慣れたら次は自分の身体に纏う感じで──」

 

 身体で体験させながら色々と教えていくと、二人はおっかなびっくり頑張って纏をしていく。纏の次は錬をさせていく。しばらくはこれの訓練だ。エリザ君は初心者なので時間をかけないといけないが、ネオン君は知識はなくても占いで念能力者を使っていた。だからか、習得が早い。

 スクワラ君の方もそう簡単にはいかないようだ。まあ、犬を念能力者にするなど普通は無理だが、操作系であり、犬を自由にできる彼なら可能だろう。それに犬の食事に魔獣や幻想種の肉体を与えれば面白い変化が起きるかもしれない。

 ジャックの方は楽しそうにトリムマウと戦っており、トリムマウと高速で斬り合っている。トリムマウの方は腕を剣に変え、ジャックのナイフでだ。有利なのはジャックで、トリムマウには一切手加減する必要がない上に強いのでどんどん成長していっている。斬り刻まれながらも反撃する上に復活してくるので、実戦形式の特訓相手に丁度いい。ただ、ジャックが身体能力という意味で全力を出してきている。私のオーラだけでなく、自分のオーラも使っているから禍々しい気配が辺りを覆っている。

 

「さて、私は……」

 

 携帯を取り出して調べてあるゾルディック家に連絡を入れてみるが……繋がらない。繋がったとしても執事がでてきて繋いでもらえない。手紙で出しても返還されてくるか、返事がこない。まるで誰かに止められているかのようだ。かと言って、飛行船に乗ってまで遠くには向かえない。

 ネオン君を回収するのにも仕事の予定を頑張って空けたが、予想以上にジャックの件で仕事が増えすぎた。本国からジャックに関する追求を受けて説明したり、復興支援の手配や被害者に対する治療費などなど、本当に大変なのだ。それに加えて会社を奪い取り、改めて不正経理や犯罪があれば告発して処分し、複数の会社を統合して複合企業を作成したのも理由の一つだ。企業の名前はエルメロイにしてある。何れは時計塔も作りたいね。

 しかし、こうなるとゾルディック家に対する監視強化をしておかなければならない。明らかに誰かの意図が介入している気がするし、さっさとお宅訪問するべきか。誰かに暗殺依頼でもされたらかなわないしね。シルバ・ゾルディック相手ならトリムマウは吹き飛ばされて終わる可能性がある。いや、ゼノ・ゾルディックもそうか。こちらで戦えるのはジャックぐらい。そうなると、私は外部の戦力に頼るしかない。幻影旅団とハンター協会だ。

 逃走経路はすでに作成しているし、ジャックをちゃんと運用すれば勝てる可能性はある。正面から挑んだら確実に負けるだろうけど、何も戦う必要はないのだ。相手が私を殺しに来るというのなら、私も容赦なく相手の嫌がる事をしよう。

()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()。私の策が発動すれば、撤退か壊滅を相手は選ぶ事になるだろうし、引いてくれるとありがたい。まあ、しばらくは雲隠れするけどね。

 

「……あの、これでいい……?」

「ふむ。素質はあるようだね。よろしい。では次だ」

 

 さて、ネオン君が順調すぎるので、コップと水、葉を用意して水見式をしてみる。私もやるので、メンチ君が降りてくる前に終わらせないといけないからね。

 

「両手を当てて増やしたオーラを流し込むんだ。すると系統がわかる」

 

 私のオーラはかなり特殊だ。水は黒くなり、渦を巻く。葉は中心に進むに連れて黒と溶け合って銀色に変化していく。混沌といった感じだが、最終的にそこから、小さなトリムマウがコップの縁に手をつけて外に出てくる。

 また、私は全ての特性が常に変動する。これは私の中には三人が居るからだ。まず、私、いや、この場合は俺だ。もう一人は私、ライネス・エルメロイ・アーチゾルテ。最後の一人は俺、司馬懿。この三人を混ぜて人格を形成したということではない。俺と私を合わせてライネス・ホイコーロという感じだ。司馬懿殿は別人格みたいな形で実行しているが、その領域まで私は進んでいない。

 何れは司馬懿殿を作成するつもりではあるので、その生涯をトレースしなくてはいけない。これはライネス・エルメロイ・アーチゾルテも同じだ。基本的な資料はロード・エルメロイ二世の事件簿とFGOのレディ・ライネスの事件簿だ。

 まあ、なんというか、パーソナルデータが三人+複合一人という意味の分からない状態になっている。念能力で作り出しているのだから、尚更だろう。銀の鳥によってオーラとメモリが運ばれてくるから、変化が起きていたのかもわからない。どちらにせよ、私の水見式は過程はどうあれ、最終的にトリムマウになって机の上をゴロゴロしてからぐてーと溶けてメタルスライムみたいになると消滅する。

 

「では、やってみたまえ」

「は、はい……こう?」

 

 全力で錬を行うと、葉が分解されて破片が星図に変化していく。やはり彼女は特質系だ。まあ、これは原作通りなのでわかりきっていたことだ。

 

「こ、これって何?」

「君は特質系だ。占いなんて特殊な事をしていたのだから当然だね。ネオン君は占い師に興味があるのかな?」

「ある……あります」

「じゃあ、ネオン君。私を占ってくれ」

 

 隅に置かれている机に案内し、そこに座らせてペンと私の名前、生年月日、血液型を書いた紙を渡す。

 

「わ、わかりました……では、はじめます……」

「頼むよ」

「はい」

 

 彼女の手が勝手に動き、紙に詩が書きこまれていく。ネオン君の能力は天使の自動筆記(ラブリーゴーストライター)

 自動書記による詩という形式で、他者の未来を占う特質系能力だ。予言を書き込む紙に、予言する対象者の名前、生年月日、血液型を書いてもらい、本人もしくは本人の写真を目の前に置いて能力を発動する。

 予言詩は四〜五つの四行詩から成り、その月の週ごとに対象者に起こる出来事を暗示している。悪い出来事には警告が示され、その警告を守れば予言を回避できる。ただし、自分の未来は占えない。

 自動書記であるため、書かれた詩の内容は書いている本人には分からない。本人はなるべく自分が関わらない方が当たる気がする。との理由で、占った結果を見聞きしないようにしているが、これはポリシーなのかもしれない。また、自分の能力が念であることを自覚していないが、私が説明してしっかりと理解させる。

 

「おそらく、占いの結果を知らない事と、自分を占えないのは制約と誓約によるものだろう」

「なんですか、それ?」

「自分で決めたルールを守る事で念能力が強化される。君の場合は先程言った感じだろうね」

「なるほど……はい、できました」

「ありがとう……ほほう、これはこれは……」

 

 不幸な少女達は願いを叶え、切り裂き魔として街を彷徨う。

 空高くで行われる交換に油断してはいけない。

 貴女の隣には死が這い寄っている。

 切り裂き魔の願いを叶えるしか貴女が光を得る道はない。

 

 貴女は新たな駒を手に入れて順調だと思われるが、貴女の横には変わらず死が這い寄っている。銀とその眷属が現れ、貴女達を地獄へと誘うだろう。狩人達は時間に間に合わずに野に咲く花を咲かせ、新たなる生を得る。

 

 

 三週目と四週目は存在していない。新たな生を得るというのは、サーヴァントとして蘇るということだろう。つまり、三週目には私は死んでいる。残り三日。それが私の命のタイムリミット。やれやれ、本当に人気者だ。

 携帯を取り出して連絡を入れる。まずは一応、ハンター協会からだ。予言では間に合わないと言われているが、どうかな? 

 

「あの、どうでしたか……?」

「すまないが、用事ができた。訓練を続けていてくれ。ジャック、全力で周りを警戒。霧を薄く出しておいてくれ」

「了解だよ、おかあさん」

 

 コールが複数鳴り、相手が出た。

 

『わしじゃ』

「今、何処にいるのかな、おじいちゃん」

『うむ。ハンター協会じゃが……』

「今すぐそちらに行く」

『構わんが……む?』

「どうしたのかな?」

『どうやら緊急案件が起きたようじゃ。わしは飛行船に乗って出かけることになる』

「なら、同行させてくれ。こちらも緊急事態なんだ」

『わかった。迎えに行ってやるか』

「いや、こちらから行くから、準備だけしてくれれば……」

『む。部外者は駄目とのことじゃな』

「誰がいっているのかな?」

『パリストンじゃが……』

 

 そういうことか。なら、いいだろう。もう一つの電話を取りながら、会話を続ける。

 

「どこの国でどこの組織かな? こっちで話をつけるよ」

『だそうじゃよ?』

 

 あちらもとても嬉しそうに話している。おじいちゃんも理解したようだ。電話で教えてもらった国に連絡して、脅して同行を認めさせた。依頼内容は単なるハントだから、大丈夫だ。これでこちらは問題ない。後は隠し通路を使って移動すればいい。保険としてクロロ達も呼び寄せておこう。

 

「政治能力で劣っていても、権力は私の方が大きい!」

 

 クロロ達に連絡して、即座に蜘蛛を集めてもらう。とりあえず、マチおねえちゃんとクロロ、それにウボォーギンが近くにいるそうですぐにこれるそうだ。これで大丈夫だろう。隠し通路はハンター協会に知られていない。国の上層部にも作ることだけは伝えて、一部以外は知らないようにしてある。

 

「あっはっはっ。本当は教えるつもりなんてなかったけれど、これは仕方ない!」

「大丈夫です、か?」

「大丈夫じゃないさ。全員、逃げるから、そのつもりで」

 

 指示を出してから、メンチ君と合流して急いで準備する。いざとなれば邸宅ごと爆破だね。

 

 

 

 

 六時間後にクロロ達を迎え入れ、地下に運び込んだ車を使って移動する。他の人はウボォーギンに怖がっているが、私は大歓迎だ。

 

「おい、今回の相手は強いんだよな?」

「ああ、相手は特大の大物だ。どちらにしてもね」

「お前、相手は誰だ」

「ゾルディック家だね♪」

「帰るぞ」

「ニガサナイヨ」

 

 トリムマウで、クロロを拘束する。これでどう足掻こうが巻き込める。

 

「大丈夫、大丈夫。ネテロ会長も巻き込むから」

「それならなんとかなるか」

「ちなみにその代わりに討伐依頼が来ている巨人を狩りに行くが、大丈夫だろう」

「ほう、巨人か! いいねいいね! 滾ってきたぜ!」

「そうだろう! 君ならそう言ってくれると思っていたよ!」

「待て。巨人、だと……」

「私、医療班ね。前衛は任せるわ」

 

 クロロが驚愕している中、マチおねえちゃんはさっさと逃げる。ネオン達は震えているけれど、知らない。

 

「あ、おかあさん。侵入者が来たよ」

「なら、ジャック。頼むよ。後で合流しよう」

「は~い。行ってくるね!」

 

 ジャックが走っている車から飛び降りて、カンテラから霧を放出しながら外へと向かっていく。殿はジャックに任せる。死なないだろうし、大丈夫だと思う。後は護衛の二人がどこまで頑張ってくれるかだね。彼等が稼いだ時間の間に霧を充満させつつ本気で暗殺させる。

 

 

 

 

 

「くそっ、胃が……巨人なんてどうすればいいんだ……」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




ちなみに相手の方が上手です。基本的に相手の掌の上。
幻影旅団を三名、呼び寄せました。参戦はマチ、クロロ、ウボォーギン。ウボォーギンはライネスからの依頼が基本的に無理難題に近く、狩り系統が多い為に積極的に参加。戦闘狂にとってはとっても嬉しい相手ばかりをチョイスして投げてくれるから、近くにいます。
クロロはマチと別れてホテルで本を読んでいただけ。ライネスから希少本を何個か提供されているので、近くにいます。マチはホテルに戻ってから少ししてとんぼ帰り。

邪ンヌの家族が死亡しているかどうか。クルタ予定なので両親は確実に死亡

  • 三姉妹全員生存
  • 姉のみで生存
  • 邪ンヌのみ生存。姉妹死亡
  • 聖女とリリィの姉妹。リリィが邪ンヌ化
  • いっそ邪ンヌとアルトリアオルタのペア

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