ライネス・エルメロイ・アーチゾルテの真似をする性転換少女   作:ピトーたんは猫娘

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第24話

 

 

 ジャック

 

 

 

 霧を出しながら、隠し通路に陣取ってやってくる人達を待つ。わたしたちからおかあさんを奪おうとする人達なんて、許しておけない。だから、わたしたちは全力で排除する。

 

「はやくこないかな? こないね。なんでかな?」

 

 霧で充満させた地下に来ないなら、このまま外に広げちゃえ。ゆっくりと、確実に家の中も満たして外に出る。

 お外には護衛の二人が倒れているだけで、他に人はいない。手を触れてみるけれど、ちゃんと息をしていた。広げた霧で確認してみるけれど、やっぱり誰もいない。

 

「えっと、おかあさんに伝えないと……う~ん、これ、どうするんだったかな?」

 

 小さい箱を取り出してポチポチ押してみるけど、わからない。教えてもらったけれど、よくわかんない。うん、仕方ないよね。だから、走って行こう。

 

 

 隠し通路を駆け抜け、おかあさんの下へと急ぐ。出口を通ると、そこは何処かわからない場所だけれど、おかあさんの居場所はなんとなくわかるから大丈夫。待っていてね、おかあさん。

 

 

 

 

 

 

 ???? 

 

 

 

「失礼します」

「首尾はどうでしたか?」

 

 ライネス・ホイコーロの下へと送り出した部下が戻ってきました。私はワインを楽しみながら聞かせてもらいます。

 

「警備の二名を無力化しました。しかし、家からは出てきませんでした」

「そうですか。ですが、こちらの予定通りに動いているようですよ。護衛を増やしてハンター協会に来ましたから」

 

 どうやら、あちらの手はこちらには及んでいないようですが、色々と符合しないことがあります。依頼した時間から侵入者がゾルディック家だと思うはずはありません。ですが、実際に行った行動は即座に撤退。まるで相手がゾルディック家だとわかっていたかのように。まあ、この情報は予測できます。彼女、ライネス・ホイコーロは占いが百発百中のネオン・ノストラードを手に入れていますから、占いの可能性は否定できませんね。

 しかし、彼女からの報告ではあそこには神字が大量に刻まれ、ライネス・ホイコーロの念能力をかなり増幅する仕掛けになっているようですが……先の戦いで水銀が足りないのかもしれませんね。彼女の発注は私が手を回して封鎖していますから。

 

「地下通路ですか」

「こちらが知らぬ間に色々とやってくれているようですね。まあ、それも予想していましたが」

 

 王族が脱出用の隠し通路を用意するのは当然ですから。

 

「追った方が良かったですか?」

「いいえ。追えば貴女達は殺されていたでしょう。その時点で襲撃者がゾルディック家ではないとバレてしまいます。ですので、撤退で構いません。後はゾルディック家に予定通りだと告げれば問題ありませんので」

「かしこまりました。そのように手配します」

「お願いしますね。私は特等席で見学させていただきますので」

「わかりました」

 

 さてさて、巨人とゾルディック家を相手にお二人がどう戦うか、非常に楽しみですね。

 

 

 

 

 

 

 ライネス・ホイコーロ

 

 

 

 

 

 ハンター協会に逃げ込み、飛行船に乗り込むとジャックが追いついてきた。彼女の情報を教えてもらうと、護衛の念能力者は気絶していたらしい。そう私に抱き着きながら報告してくれた。

 

「ああ、くそっ! してやられた!」

「おかあさん? わたしたち、何か駄目なことしちゃった?」

「いや、ジャック達はなにもしていないよ。ありがとう」

 

 占いの結果から急いで出て来たが、アイツの狙いは私達をこの飛行船に私を乗せる事だろう。それも私がネテロ会長を頼る事を知って、巨人討伐の依頼を投げてきた。実際に銀の鳥で確認しよう。

 情報から銀の鳥の視界で巨人の居場所を確認すると、山に手をかけ()()()()()()()()街へと向けて進んでいる。進むにつれて植物が絡みついていく。そう、植物が。おかしくないかね。なんで巨人の足に植物が絡みついているんだ。

 これはもしかして……と、思ったら面白い物が居た。巨人だけではない。そう、巨人だけではないのだ。それはそうだ。一匹ずつ相手できるなど、運がいいだけだ。巨人だけが存在するわけがない。山とは動植物の楽園なのだから。それにしても、私の知識から進化先が選ばれるのなら、なにもFateの世界から選ばれることはない。()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()。なら、強力な植物の魔物が選ばれてもおかしくはない。植物は生命力が高いしね。

 まあ、危険な巨人と植物が居ることもわかった。いや、それ以外にも居る可能性があるし、襲われる可能性が高い。これなら死の予言も納得できるのだが……銀とその眷属。これが私を殺しに来る存在なのだろう。だが、巨人も植物も銀ではない。いや、銀の鳥という意味なら間違いではないかもしれないが……ないだろう。わざわざ眷属と書かれているのだ。

 なら、私が彼等をゾルディック家だと判断した理由が正しい可能性がある。銀とはシルバー。更に彼の髪は銀色だ。つまり、シルバ=ゾルディックが銀色だと判断した。その眷属とはゾルディック家の事だと考えると納得できる。そして、王族である私の暗殺ならば相手はシルバ・ゾルディックだけでなく、ゼノ・ゾルディック。今の年代から考えるとイルミ・ゾルディック。また、最悪の可能性としてはマハ・ゾルディックが来る可能性がある。

 この四人の相手をするとなると、生半可な手段じゃ生き残れない。ジャックやメンチ君が居ても死ぬはずだ。よし、ならば私も手段を選ばないでいこう。さて、どんな感じにしようかな。やはり、ライネスとしては罠に嵌めるべきだろう。うん、それなら誘導しようか。

 

「ジャック、おかあさんの言う事を聞いてくれる?」

「うん! わたしたちはお母さんの言う事なら、なんでもするよ!」

「本当に良い子だね。それじゃあ、今から指示する通りにしてくれるかな?」

「任せて! でも、おかあさんは大丈夫? 魔力、いっぱい使うよ?」

「平気へっちゃらさ。おかあさんだからね!」

「そっか。やっぱりすごいね、おかあさん!」

「そうだろう、そうだろうとも」

 

 ジャックに褒められて、私は撫でまくる。ジャックは嬉しそうにスリスリしてくる。本当に可愛い子だ。

 

「さて、ジャック。少し離れてくれ」

「うん、わかった」

「月霊髄液、私を取り込め。トリム、形態変化だ」

「かしこまりました」

「ジャック、頼むよ」

「任せて、おかあさん!」

 

 さあ、殺ろうか。相手にとって不足はない。全てを騙し、罠に嵌めるだけだ。今までと何も変わらない。私を演じ、演じさせるだけだ。まずは精神力を高めよう。

 

 

 

 

 

 飛行船が目的の空域に到着した。巨人は大分森に近付いており、私達は飛行船から飛び降りて戦場に突入することになる。

 

「さて、どうするかのう……」

「まずは俺が突っ込む」

「それはいいんだがね。クロロは何か提案はあるかね?」

「相手がでかすぎるから、まずは一撃で押し倒したいが……」

「それならいい手がある。おじいちゃんがウボォーギン君をぶん投げて、加速を乗せた私の水銀と合わせた全力の一撃を足に決める。これで倒れるだろう」

「おもしれえ。まずは全力攻撃か」

「確かに開幕で足を崩せるとかなり楽だな」

「外は毒で攻撃すればいいだろう。もしくは窒息させるとかね」

 

 霧の巨人ならフレーバーテキストが適応されて物理攻撃が効かない可能性がある。そうなるとお手上げかもしれない。現在、私達の戦力は物理攻撃に偏重しているからね。百式観音は微妙かもしれないけどね。

 

「巨人って言っても生物にはかわりねーか」

「だろうな」

「なら、早速行かせてもらうぜ! おい、寄越せ」

「はいはい。くれてやるから受け取れ」

 

 水銀をドリルにしてウボォーギンに装備させる。もっとも、何時もより込められている魔力の量は少ないのだがね。

 

「なんか弱くなってないか?」

「残念ながらどっかの誰かのせいで素材不足だ。オーラも回復しきっていなくてね。だから、私はあまり戦力にならないと思ってくれ。サポートはするがね」

「ちっ、役に立たねえのかよ」

「そもそも私は後衛だよ、後衛。本来は前線に出ること自体が間違いなのだよ」

「いやいや、ありえねえだろ」

「まったくだな」

「ひどいな! 私はまだ七歳で王族だぞ!」

「確かにここに来るのはおかしいが、今更だな」

「そうじゃな」

「まったくだな」

 

 まあ、仕方ない。私が望んでいることでもあるしね。全ては借金が悪い。自分で動かないといけないしね。

 

「んじゃ、行くぜ!」

「行って来い」

「じゃ、ぶん投げるぞ!」

「おうよ!」

 

 ネテロ会長がオーラを練りまくったウボォーギンを百式観音で投げ、全力で巨人の足へと攻撃を放つ。一撃は見事、足の関節を砕き、破壊した。巨人は倒れ、土煙をあげる。そこにネテロ会長達と一緒に降下する。

 ネテロ会長は起き上がろうとする巨人に連打を叩きつけていく。ウボォーギンは必死に逃げ、巻き込まれないようにしている。しかし、私達が地上に降りるころには足が再生し、巨人は起き上がろうとしていた。

 

「おいおい、まじかよ」

「再生能力がすさまじいな」

「じゃが、やりようはあるの」

 

 あちらは三人をメインにメンチ君たちで頑張ってもらおう。他のネオン君達は飛行船で待機だ。

 私も水銀を操作して爪の間に差し込んで痛みを与えていく。メンチ君も同じだ。ウボォーギンも攻撃を再開して()()()()()()()()()()攻撃していく。ジャックは周りに薄い霧を展開しているので、カンテラを持って踊っているようだ。

 

「連打では効かんの」

「こっちも毒はあまり効かないな……」

「俺の一撃でふっ飛ばしても再生されるが……」

 

 馬鹿みたいな再生能力だけじゃないんだよね。巨人本来の強みは圧倒的な物理攻撃力だ。

 

「「「再生を超えればいいだけだ(じゃな)」」」

「そう上手くいけばいいけどね」

 

 巨人が寝返りを打ちながら、百式観音を吹き飛ばす。そのついでに地面を掌に打ち、巨体を浮かび上がらせて膝立ちになる。

 

「──■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■!!!!」

 

 雄叫びを上げて拳を地面に叩き付ける。私達は飛び退く。その場所が半径数十メートルが陥没する。その衝撃波だけで私達は吹き飛ばされ、ジャックの霧も移動していく。

 

「ああくそ、どう考えても化け物だろう!」

「いいじゃねえか、だんちょー! 無茶苦茶楽しいぞ!」

「そうじゃな。限界を超えればいいだけじゃし」

「この脳筋共め!」

 

 メンチ君はマチの護衛をしているが、その表情は暗い。まあ、私も同じだがね。あんなのにまともに挑もうとは、おかしすぎる。まあ、私にとって、今回の依頼はどうでもいい。問題はゾルディック家だ。そちらの対処はジャックと罠でどうにかするしかないが、やってみせよう。

 

 

 

 

 

 




霧の巨人ってどうやって倒すんだろうか? やっぱり百式観音って命中するのかな? まあ、今回は普通の巨人ですけどね!

邪ンヌの家族が死亡しているかどうか。クルタ予定なので両親は確実に死亡

  • 三姉妹全員生存
  • 姉のみで生存
  • 邪ンヌのみ生存。姉妹死亡
  • 聖女とリリィの姉妹。リリィが邪ンヌ化
  • いっそ邪ンヌとアルトリアオルタのペア

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