ライネス・エルメロイ・アーチゾルテの真似をする性転換少女   作:ピトーたんは猫娘

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ゾルディック家

 

 

 

 

 ゼノ・ゾルディック

 

 

 

 

 知らされた場所にわしの念能力、龍頭戯画(ドラゴンヘッド)で移動する。龍頭戯画(ドラゴンヘッド)はオーラを物理的攻撃力を持つほどに圧縮し、龍の形に顕現させる変化系能力じゃ。移動に便利なんじゃ。

 

「目標を見つけたぞ」

「爺ちゃん、本当かい」

「ああ。あそこじゃ」

「シルバ、双眼鏡をくれ」

「ああ」

 

 息子のシルバから双眼鏡を貰い、強化系である爺ちゃんから教えられた場所を確認する。かなり距離が離れている場所では数人の念能力者による激しい戦いが行われとる。濃い霧が出ていて、見えにくいがその中に金色の髪を持つ一人の幼い少女が居る。

 

「顔はよく見えんの」

「参加しているメンバーからしたら、おそらくアレじゃろうて」

「確かに可能性があるか」

「近づけばわかるだろうが、あの霧は……」

「念能力じゃの」

 

 凝で確認すると隠で隠されてはいるが、オーラが確認できる。霧はまず間違いなく、あの巨人か討伐メンバーの誰かじゃろうて。

 

「で、あの銀色がライネス・ホイコーロの念能力か」

「そう聞いているが、どうじゃシルバ。殺れるか?」

「余裕だ。とはいえない。奴はマハ爺と戦えるネテロの弟子なのだろう。なら、油断はせん」

「それが正解じゃな。爺ちゃんはどうする?」

「ネテロの相手をしたいが止めておくかの。巨人はタフなだけじゃし、攻撃も遅い。潰す方法はいくらでもあるから、急がねば機を失うぞ」

「そうか。まあ、そうじゃの。なら、行くとするか」

「ああ」

 

 全員で地上に降りようとしたタイミングで、ライネス・ホイコーロがこちらに振り返り、ニヤリと笑った。

 

「っ!?」

「親父、どうした?」

「視線が合った。気付かれたわい」

「この距離でか。彼女は強化系なのか?」

「依頼主から渡された資料では不明じゃが、特質系だろうとのことじゃ。具現化系か操作系の可能性もある」

「この距離で気付くということはおそらく、この霧は円も兼ねておるんじゃろう」

「ま、それしかないかの」

「なら、さっさと強襲するべきだ」

 

 相手を確認すると、即座に討伐メンバーから離れて逃走にかかっていた。他のメンバーを守るためにしても怪しい。自分が狙いだとわかっているかのような動きじゃな。

 

「罠、じゃな」

「だろうの」

「どうする?」

「わしらの依頼はあくまでもライネス・ホイコーロの暗殺。なら、罠でも行くしかあるまいて」

「このまま引いてはゾルディック家の名折れじゃ」

「では、狩りの時間だ」

 

 わしらは森に降りてから、絶をして森の中を駆け抜ける。目標のライネス・ホイコーロは絶を使わないようで、一般人のようなオーラしか感じないが、そんなことはありえない。おそらく何かの制約と誓約じゃろう。

 

「しかし、霧は害がないとはいえ鬱陶しいの」

「そうじゃな」

「確かに」

 

 走り続けること数分。ライネス・ホイコーロはかなりの速さで森の中を駆け抜けておる。わしらとしても、討伐メンバーから離れてくれる方が暗殺の確率が上がるので泳がせておるが……嫌な予感がするの。

 

「ゼノ。そろそろよいか?」

「そうじゃな。爺ちゃん、先行してくれ。シルバは少し離れておれ」

「了解した」

 

 森の中、巨人が歩いて木々を踏みつぶしたような歪な広場に到着し、そこにある折れた木にライネス・ホイコーロが肩を揺らしながら座る。周りを確認するために円を展開するも、霧が邪魔をして精度が著しく弱い。阻害されておる。地形から山と山の間にある谷間じゃが……ここに何かがあるのかの? 

 わしらが確認しながらライネス・ホイコーロの様子を伺っていると、緑色の服についているポケットに手を入れてから、こちらを振り返る。彼女の手には試験管が握られておるの。中身は揺れる銀色……おそらく水銀かの。

 

「居るのはわかっているよ。ゾルディック家の諸君。こんなか弱い幼女を相手に三人とは、伝説の暗殺一家と聞いたが、随分とまあ落ちた物だね。これは前評判に踊らされたかな?」

 

 クスクスと楽しそうに笑っている小娘。わしらは奴の挑発には応じず、オーラを練って最高潮まで上げる。

 

「やれやれ、本当に出てこないとは。なら、出てこざるをえないようにしてあげよう」

 

 警戒するが、奴が取り出したのは携帯と薔薇だった。助けを呼ぶのか? 

 

「さてさて、綺麗だろう? 君達は貧者の薔薇という物を知っているかな? 知らなくてもいいが、そいつをククルーマウンテンにぶち込む用意をしてある」

 

 貧者の薔薇。戦略級の兵器じゃな。国際条約では禁止されているはずじゃが……。

 

「ああ、もちろん。私が関与した証拠は残していないし、依頼したのは流星街の住民だ。君達の行動次第でこいつをぶっ放すし、私の体内にも仕込んである。意味がわかるかな? 私を殺した瞬間。君達は家とここに居るメンバー全員が死ぬ事になる。ああ、一人を残して逃がしもしないよ。わかっているとは思うが、この霧は円の効果もあって君達の動きは全て把握している」

 

 ハッタリの可能性があるが、どうじゃろうな。オーラは何の変化もないし、事実か? ここは出ていって会話するかの。

 シルバとマハ爺に合図を出してから森から出ていく。龍頭戯画(ドラゴンヘッド)を発動し、横に現しながら、ゆっくりと出ていく。

 

「やあ、初めまして。私はライネス・ホイコーロ。カキン帝国第13王子だ」

「わしは……」

「ああ、知っているよゼノ・ゾルディック殿」

「ほう」

「こちらから接触しようと思っていたが、誰かに妨害されているようでね。執事にも面会のアポイントメントを断られたし、メールも届いていない。せっかく手土産にベンズナイフまで用意したというのに」

 

 やれやれと言った感じで手を振るライネス・ホイコーロの表情は変わっていない。無機質な物だ。まるで作り物みたいじゃな。

 

「それは調べないといけないのう」

「そうしてくれたまえ。さて、では交渉と行こうじゃないか」

「交渉か」

「そうだ。貴方達が望むのは共倒れか? それとも共存かな?」

「お主が持っているそれが事実だという証拠はどこじゃ?」

「なら試してみるといい。その時は全滅だろうがね」

「命が惜しくないのかの?」

「惜しいとも。だから、こうして交渉している。私にスイッチを押させないで欲しい。というか、君達は何故私の暗殺を受けたのかな? カキン帝国を甘く見るなよ、ゾルディック! 報復の為に数億人程度、殺してやるぞ」

 

 彼女が盛大に両手を広げると、周りの霧から禍々しいオーラが無数に発せられる。普通の念能力者なら、受けるだけで気絶したり死ぬような念じゃ。

 

「貴様等が手を出したのは民主主義の国ではなく、帝政を敷いている国だ。当然、何を置いても報復する。私はお前達の家族構成も粗方把握している。故に今いる場所も知っている。イルミ・ゾルディックはN市で暗殺の仕事中だな。その建物ごと爆破する準備もしてある。キルア・ゾルディックの居場所も把握しているし、こいつはまだ念能力者じゃない。殺すのに軍人を数人で狙撃させれば可能だ」

 

 こいつを殺すのは容易い。自らの命すら、こちらを滅ぼす手段とすることで攻撃を封じておるの。何故、こちらの場所を知られているかはわからんが、少なくともイルミの居場所は合っておる。

 

「これは確かに安請け合いし過ぎたの。じゃが、そちらこそ舐めるんじゃないわい。わしらゾルディック家は一度受けた依頼は依頼主が死なない限り、キャンセルはせん」

「そうか。つまり交渉決裂ということかな?」

「そうじゃ。故に──」

「まあ、待ちたまえ」

「なんじゃ。死が惜しいか?」

「いやいや、その心情に敬意を表して賭けをしないかい?」

「賭けだと?」

「ああ、そうだ。勝負内容は簡単だ。私が生き残れば君達ゾルディック家は私に仕える。キルア君を私の姉であるモモゼの婚約者にする。これで君達は私達の血も入るし、我々は戦力が手に入る。もちろん、暗殺を続けてもらっていい」

「お主が負けた場合は?」

「私は大人しく死のう。今から貧者の薔薇を解除し、今出しているここに居るメンバー以外へのゾルディック家への報復を無しとする。悪い取引ではなかろう?」

 

 ニヤリと笑う表情はまさに悪魔そのもの。だが、こいつは現状をしっかりと理解しておるのか? もしかして、銀翼の凶鳥を頼るつもりか? わからぬが、どちらにせよ、わしらが取る手段は変わらぬ。

 

「良かろう。その契約、わしが生き残っておれば叶えてやろう」

「あはは、生き残っていたらかね。じゃあ、精々頑張って生き残ってくれ」

「まるで勝つことが確定しておるようじゃの」

「ああ、そうだとも。ここに来た時点で私の勝ちは揺るがないさ」

「ほう……」

「まあ、私が用意した宴を楽しんでくれたまえ。それでは解除スイッチをそちらに投げる。スタートは好きにしたまえ」

 

 本当に機械を投げてきおった。受け取ると画面とボタンがあり、画面には解除コードと書かれている。罠かも知れぬが、押さねば始まらぬな。ボタンを押そうとすると、その前にライネス・ホイコーロが動き、そちらを警戒する。彼女は手を上げただけだ。手の甲には()()()()。だが、嫌な予感がしてボタンを押す。しっかりと機械の画面には解除されたと映った。

 

「その件に関しては事実だよ。さて、ゲームスタートだ。令呪を以て命ずる。降参するまで誰一人として逃がすな。重ねて令呪を以て命ずる。計画通り勝利せよ、ジャック・ザ・リッパー」

「任せて、おかあさん!」

 

 その言葉と同時に声が聞こえ、禍々しい気配がより一層強くなり、霧の性質が変化した。周りの木々が溶けだし、わしらの身体も少しヒリヒリしだした。ライネス・ホイコーロを見ると、その背後から爺ちゃんが迫っていて、拳を振るう。相手は拳が届く前に後ろに倒れて回避しようとするが、その前に拳が届いて顔を貫通する。

 

「ちっ、そういうことか!」

 

 貫通された拳は銀色に変化した肌により高速回転し、爺ちゃんの腕を切り裂き、身体を覆っていく。奴の体内から確かに貧者の薔薇と思われる機械と携帯がでてきた。

 

『あはははは、私は罠に嵌めるのが大好きでね。最初からそこには居ないのだよ。そもそも私がそこに居るとは言ってないだろう?』

「お主、性格が悪いといわれんか?」

『よく言われるよ』

 

 話していると、オーラの爆発が起きておそらく水銀であろう物が吹き飛ばされる。爺ちゃんはピンピンしておるが、再度からみついてくる水銀を鬱陶しそうにしておる。

 

「大丈夫か、爺ちゃん」

「うむ。体内に入られん限りは大丈夫じゃな」

『やれやれ、流石はネテロ会長と渡り合えるだけはある。私ではどうしようもないようだ』

「諦めるのかの?」

『まさか。だからこそ、罠に嵌めたと言っただろう? ちゃんと相手は用意しているさ。諸君等の健闘を祈るよ。本当に』

「む?」

 

 地面が、大地が揺れていく。次第に地割れが起き、内部から無数の植物の蔦や蔓がでてくる。それはわしらに襲い掛かり、龍頭戯画(ドラゴンヘッド)を使うが、どんどん増えてきて襲い掛かってくる。

 

「シルバ!」

「わかった!」

 

 シルバがオーラの塊を放ち、地面を盛大に破壊する。すると、中から悲鳴が聞こえ、煙と同時に巨大な何かが浮き上がってくる。それは色とりどりの巨大な花束に緑髪の女性の上半身が付いたような、華美かつ派手な姿をしている存在だった。

 

「人間共、よくもやってくれたわね! ここは我らの領域! 巨人も含めて我等の敵め、もはや容赦はせぬ!」

「ぬう! これは魔獣か?」

「警戒せよ。生半可な手段で倒せるかはわからんぞ」

「シルバは行け! 術者であるライネス・ホイコーロを殺せば止まるかもしれん!」

「わかった」

 

 シルバを行かせるが、これはちと不味いかもしれんの。本当にここでわしらを殺す気なようじゃの。

 

「というか、こいつは念獣のようじゃが、ライネス・ホイコーロの物とは思えんな」

「おそらく違うかの」

 

 植物でできた触手の攻撃だけではなく、様々な状態異常の攻撃をしてくる。霧が濃霧に変わり、それと合わせてわしらのオーラを削っていく。オーラを節約した瞬間に動けなくされて耐性をつけた毒の上から殺される事は確定じゃ。

 

「ぐっ!」

 

 シルバがこちらに吹き飛ばされてくる。周りを見ると、完全に触手の壁に覆われていて、逃がすつもりはないみたいじゃ。

 

「親父、この濃霧は生きている」

「……濃霧とこの植物の怪物で確実にわしらを降伏させる、または殺すということかの」

「おそらくな。ふむ。触手程度はどうにもなるが……物量が厄介じゃ」

「うん、そうだよ」

 

 真後ろの濃霧から子供が現れ、わしらに斬りかかってくる。少し身体を動かして回避しながら回し蹴りを放って粉砕するが、霧となって霧散する。周りをよく見れば沢山の子供が居た。彼女達も触手に攻撃されているが、身体が霧のせいか効いていない。

 

「ねえねえ、お姉さん。お姉さんはあるるんって言うんだよね?」

「否。我に名はない。我は植物たちの代弁者。踏みにじられ、殺され、燃やされる同胞の恨みを晴らす者」

「そっか。でも、今はわたしたちと協力してこの人達を倒そう? そうすれば、わたしたちはここから撤退するし、巨人を倒したら帰るよ?」

「ふむ……汝らは人ではない。だが、我らを攻撃したことはかわらぬ故に排除する」

「そっか。なら、皆で遊ぼう! 此よりは地獄。殺戮をここに! わたしたちの遊びを始めよう! 全てはおかあさんに褒めてもらうために! だからね。死んで?」

 

 濃霧で覆われているありとあらゆる場所から複数の子供達がナイフを持って襲い掛かる。その上、彼女達の後ろから触手や葉の攻撃が飛んでくる。一人一人は雑魚じゃが、どちらも数が多い。植物の化け物に近づこうにも、その前に冷気を発して凍らせてくる。おかげで気温もどんどん下がっておる。

 

「二人共、こいつらはちと不味いぞ。植物よりも餓鬼に警戒せねばならぬ」

「どういうことだ?」

「こいつらの動きはキレを増し、攻撃力が高くなってきておる」

「「「「「おかあさんから言われてるの。あなたたちを見て、体験して学習するようにって。だからね? わたしたちは強くなるよ。それとね? あなたたちが殺してきたわたしたちも復讐するんだ♪ 」」」」」

「こやつら、死の念が集合した存在か」

「厄介な……」

「「「「「わたしたちを消費し、殺してきた人はみんな、みんなね? 死んじゃえ」」」」」

 

 身体が急激に重くなってくる。わしらの腕や足に子供達が縋り付いて噛みつき、爪を立ててくる。同時にどんどん身に纏う黒いオーラによって浸食されていく。わしらの中では爺ちゃんが一番多くて、次にわし。最後にシルバじゃ。

 

「こいつは殺した子供の数だけ動きを阻害するか」

「因果応報じゃな」

「くだらぬわ!」

 

 爺ちゃんがオーラで逆に子供達を吹き飛ばし、接近して植物の怪物を殴り飛ばす。身体の半分以上が消し飛んだが、植物が周りから生えてきて身体を再生していく。霧の子供も同じじゃ。

 

「こやつらのオーラが切れるまで殺しまくれば良いだけよ」

「それもそうか」

「うむ」

 

 本当にとんだ依頼じゃな。割に合わなさすぎるわい!

 

 

 

 

 




ライネスちゃんの影武者レシピ:ジャックの霧による誤認。トリムマウを等身大ライネスへ変化。かつらとなどをつけ、基本的にジャックの霧と化粧で肌色を誤魔化し、音声は喉に仕込んだ携帯。ご本人様は月霊髄液を身に纏い、トリムマウの姿で巨人戦。

あるるん:世界樹の迷宮シリーズにでてくるアルルーナ(弱体化)。無数の植物たちが意思を持ち、銀翼の凶鳥によって生み出した守護者の念獣。ちなみに意思を持ったのはとある植物学者などが、心の底から植物を慈しみ、彼等と対話できたらいいなと願ったから。だから、銀翼の凶鳥は植物に意識を与えた。そうした植物たちは環境破壊などで怒り心頭。つまり、アルルーナが生まれる事は必然(ぁ
現状のメビウス湖内部はハンター達が本気で冒険し、様々なリターンが回収できる大冒険時代である。正直、暗黒大陸に無理していくより、ある程度、リターンが近くで見込める上にハンター達は着実に強化されていっているのでハンター協会的にはかなり儲かっている模様。ジンさん大歓喜

探せ! お宝は転がっているぞ! なお、死亡率は……おさっし

邪ンヌの家族が死亡しているかどうか。クルタ予定なので両親は確実に死亡

  • 三姉妹全員生存
  • 姉のみで生存
  • 邪ンヌのみ生存。姉妹死亡
  • 聖女とリリィの姉妹。リリィが邪ンヌ化
  • いっそ邪ンヌとアルトリアオルタのペア

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