ライネス・エルメロイ・アーチゾルテの真似をする性転換少女   作:ピトーたんは猫娘

28 / 38
修正しました。

魔眼アンケートの場所を勘違いしておりました。本文に載せるのが駄目だったのですね。申し訳ございませんでした。
後書きとかにアンケート内容を乗せるのはせーふみたいなので、これからはそちらにさせていただきます。
今から魔眼アンケートを追加しますので、少々お待ちください。それとページが長くなるので、効果を知りたい方はGoogleで検索してください。もし訳ないです。

検索ワード:魔眼 TYPE-MOON Wi○○

そしてもう一つ。邪ンヌちゃんの前にこの方。許してください。なんでもしますからぁ

※ポックルに関する捏造設定があります。本SSのみの設定です。以下略




狩人の少女1

 狩人の少女アルテミシア

 

 

 

 

 

 私の名前はアルテミシア。16歳になる。親には捨てられ、拾ってくれたシスターの下で過ごしていた。私が過ごしている教会は孤児院も兼ねていて、そこでは沢山の子供達と一緒に過ごしているのだ。

 ただ、貧しいためにまともな食料を得ることもできない。だから、年長者である私がどうにかしないといけない。このままではまた誰かが餓死するし、都会に働きに出ないといけない。

 都会に行った兄や姉達達は誰も帰ってきておらず、手紙とお金が最初に来るだけだった。

 私達の事を忘れて幸せに生きていてくれればいいと、毎日シスターや子供達と祈り続けていた。

 だが、信仰で腹は膨れない。いくら願っても神様は助けてくれない。だから、幼馴染であるポックルの親であるクックルさんに頼み込んだ。クックルさんは村の狩人をしていて、弓の名手だ。

 そんな彼に弓を教えてもらい、狩人として生活を始めた。幼い妹達を食わせるためだ。シスターは動物を殺す事に良い顔はせず、教会から出て行くことになったが構わない。

 私が取った獲物を寄付として教会に渡し、兄弟達と一緒に食事を取る。肉が並んだ食卓を囲む子供達の笑顔をみればシスターも渋々だが納得してくれた。貧しくとも信仰を大事にしながら一生懸命に生活している。

 朝から弓の練習を兼ねてポックルとクックルさんの三人で、狩りを行い、午後からは取った獲物を解体して、それから水浴びをして子供達と一緒に遊ぶ。

 森の中での追いかけっこをしたり、おままごとをしたり、私には子供達の笑顔が何よりの幸せだ。子供達も私によくなついてくれる。この子達のためなら生涯を賭けてもなんの後悔もない、私の大事な妹や弟達。こんな日が続き、私は老衰ともいかずとも子供達に看取られて眠りにつくと思っていた。あの時までは──

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ──子供達と平和に過ごしていたなんの変哲も無い日。思えばあの日に狩った猪が原因だったのかもしれない。

 私とポックル、クックルさんの三人は雪が降り積もる雪の森に入り、食料を求めて村の近くにやってきた巨大な黒い毛皮の猪を数日かけて追い詰めて、毒まで使って何とか追い詰めて討伐した。

 罠を喰い破られ、目の前までやってこられた。両目を潰し、鼻から矢を入れたというのに、木々を粉砕し、岩を砕いて迫ってくる光景に私は死んだと思った。だが、子供達の笑顔や待っている子達の為に私は一か八か、身体を後ろに倒しながら雄叫びをあげながら突撃してくる大猪の鼻に矢を放った。

 矢は先に突き刺さっていた矢を貫通し、鏃を喰いこませて脳まで到達できずとも、近くまでは到達させることができた。そのお蔭か、毒が効いてきて私が倒れた上を通ってから倒れた。

 奴はそれでも必死に立ち上がり、空虚な瞳でこちらへと見詰めてくる。私は起き上がり、同じように見詰め返し、しばらくすると奴は咆哮を上げてから座り込み、頭を差し出してきた。まるで勝者の私に敬意を表するかのようだ。

 だから、私は油断せずに矢を射る。今度こそ脳へと矢を到達させ、大猪は死んだ。

 

「やっぱり変異種だったな」

「ああ、そうじゃないとここまで強いはずはねえよ」

「変異種、か。原因はわかるか?」

「わからん。お偉方はわかっているのかもしれないがな」

「オレ達が住んでいるような田舎まで情報はこないんだろうよ。本当、ハンターになって都会に出たいぜ」

「ポックルはそればかりだな」

「アルテミシアこそ、俺と一緒に都会に行けばいいじゃないか」

「私はここにいる。子供達を養わねばならない」

「捨てられた奴を見つけたら、毎回拾って連れて帰っているな」

「当然だ」

 

 育てられないのに子を作り、捨てるなど大罪だ。子供に罪はないというのに、なんと酷い事だろうか。だから、私は見つけたら連れて帰ってきている。もちろん、より多くの食料やお金が要ることになるが、私が頑張ればいいだけだ。

 

「それよりもコイツをどうするかだ」

 

 変異種は肉体が光り、消滅するという不思議な光景が起こる。こいつも例外ではない。いや、例外だった。毛皮が残ったのだ。

 

「あ~最後のアレを見る限り、アルテミシアが持つべきだろう」

「え、オレも欲しいんだけど……」

「止めをさしたのは私だ。だから、私が貰おう」

「ちぇ~」

 

 クックルさんは私が貰うべきだと言っているし、ポックルが反対してもこれは私の物だ。子供達に見せてやった後は服にするか、好事家連中に売り払おう。やはり売るべきだな。売れば今年の冬は誰一人として子供が死なずに越せるだろう。

 

「何時ものルートで売り払う。確か、明後日までは商人が滞在しているはずだ」

「確かにそうだな。それがいい」

「自分達で売った方が儲かると思うがな」

「それができれば苦労しないさ」

「難しいことはわからん」

 

 大きい毛皮を持ち、村へと戻る。村にはすでに商人達がやってきていた。何時も商人達と、普段は見かけない商人達まできていた。そいつの護衛はどうやら、狩人ではない本物のハンターのようだ。

 

「おお、戻ったか! クックルさん! 大猪はどうだった!」

「この通り、アルテミシアが倒した。もう大丈夫だろう」

「それは良かった! ぜひ見せてくれ」

「ああ、わかった」

 

 私はやってきた村長に見せる。村長はしっかりと見てから、私達に聞いていく。

 

「肉はどうした?」

「変異種だった。これしか残っていない」

「やはりそうだったか。わかった」

 

 村長は振り返ると、大猪の毛皮をハンター達に見せる。

 

「皆さん、折角お越しいただいたところ、申し訳ございません。ですが、どうやら大猪は無事に退治されました。せめてものお礼として今日は歓待させていただきます」

 

 村長の言葉に不思議がっていると、クックルさんがボソっと呟いた。

 

「まさか、村長の奴。オレ達がやられると思ってハンター達に依頼を出していたのか?」

「かもしれないな」

「まったく、ふざけた奴だな」

「だが、これで村長の計画はご破算だろう」

 

 村長は何かと私達の、私の獲物を格安で奪い自分の物にしようとする。当然、私は断固として拒否する。余るのならちゃんと売るが、買い叩かれるのは困る。こちらも食料や金に余裕はないのだ。やばい時など一週間どころか、一ヶ月以上も山に籠って獲物を取らねばならないんだ。ましてや税金でかなり取られているのだから、渡すつもりはない。

 

「そちらのお嬢さんが討伐なされたのですかな?」

「そうだ。私が討伐した」

 

 毛皮を村長から取り戻し、商人達にしっかりと見えるように毛皮を広げる。彼等は隅々まで見て、貪欲な、強欲と言えるかのような瞳をしだす。

 

「この毛皮は一番高く買ってくれる奴に売る。ただし、こちらの最低額を超えたらだ。超えない場合は街に売りに行かせてもらう。使った消耗品などを含めて最低金額は……」

 

 私が提示した金額に商人達は顔をしかめる。値段が高いのはわかっている。だが、売れる値段はもっとするのもわかっているのだ。

 

「もちろん、現金以外にも保存食や毛布、衣服など物々交換での取引も応じる。そちらが売った利益も含めれば決して高い値段ではないはずだ」

「なるほど。確かにそうですね」

「うむ……」

 

 私が落札者から商品を購入するので、差額はそれなりに出る。私は即物が欲しいし、彼等は毛皮が欲しいがお金は出来る限り手元に残したい。どちらも折り合いができる値段になるだろう。それに彼等もわかっている。値段が上がっても、私が手に入れた金はすぐに別の商人から品物を買うのでその人達も利益がでるので、他の商人からも比較的恨みは買わないだろう。

 

「ただ、売るのは明日だ。今日中に決めておいてくれ。こちらが欲しいリストは事前に渡すので、そちらも合わせて考えてくれ」

「了解した」

 

 何時もの人が納得すると、後の人も渋々ながら頷く。私はそれを確認してから孤児院に戻り、子供達に大猪の毛皮を見せる。

 

「どうだ、凄いだろう!」

「すげー!」

「お姉ちゃん、さすがー!」

「うむ。ただ、売り物だから見るだけだぞ。触らないようにな」

「「「は~い」」」

 

 子供達に見せた後、あの子達が届かない場所に飾ってシスターに合う。シスターはすでに高齢だ。だが、次のシスターは私の姉に当たる人達がしっかりとしているので大丈夫だろう。

 

「すまないが、必要な物のリストを作ってくれ。こいつを売った金で買う」

「ありがとう、アルテミシア。何時も助かっているわ」

「いや、私もここには世話になっているからな」

「そうね。それにしても随分と怪我をしているみたいだけど……」

「大丈夫だ。止血もしたし、薬草も塗った。後は安静にしていたらいい」

「これほど大きい猪なら無理はないわね」

「ああ。それじゃあ、狩りの成功を神様に祈ってくる」

「いってらっしゃい。今日は泊っていくのよね?」

「そのつもりだ。子供達と一緒に寝る」

「そう、わかったわ」

 

 何時もなら確認をしないのだが、何か不思議な感じがする。まあ、たいした事ではないだろう。死にかけたことで過敏になっているのかもしれない。

 教会に移動し、神像の前で跪いて弓を隣に置いて両手を組みながら神様に祈る。獲物を与えてくれた事と無事に戻れた事に感謝し、子供達の幸せを願う。

 

「おやおや、存在しない神によくもまあ、そこまで願いますねぇ」

「っ!?」

 

 振り返ると、190センチはあろう大男が何時の間にか居た。そいつは司祭様のような服を着ていたが、色は黒色で銀色の綺麗な鳥が至る所に刺繍されている。手には()()()()()()()()()()()()()()()が付いた杖を持つ私より30センチは大きい存在だ。

 

「だっ、誰だ」

 

 そいつが何時の間にか私のすぐ横にいて、手を握ってきていた。思わず弾き飛ばすと、その前にするりと離れられた。

 

「私の名前はプラチドゥスゥゥ・クルトォォォォ! と、申しますぅ」

「そ、そうか。しかし、ここは教会だ。我等が神を愚弄するのならば、立ち去るがいい」

「本当によろしいのですかぁ?」

「何?」

「私ぃはぁ、真なる神を崇める銀翼教団の司教としてぇ、騙されて迷える愚かな子羊を助けにきたというのにぃ!」

「なんのことだ?」

「貴女と貴女の大切なぁ、者達をぉ、すぅぅくいにきたのですぅぅ! 我等が神の神託によりぃ!」

 

 バッと両手を広げて大げさに宣言する奴は、空の鳥籠に頬を擦りつける。意味が分からない。こいつはアレだ。変態だ。子供達の悪影響にしかならない。即座にご退場願おう。

 

「消えろ。さもなければ殺す」

「おやおやぁ、本当によろしいぃのですかぁ?」

「くどい!」

「わかりましたぁ。我が神は偽物の神と違いぃ、何時でもおそばにおりますればぁ、心の底からお願いぃぃ、するといいでしょぉぉぉ!」

 

 弓を構え、矢を引くと、奴は大げさに頭を下げて片手を腹にやってからくるりと後ろを向いて歩き出すと、何時の間にか消えていた。銀翼教団と言ったか。変態共の集団のようだが、私に気付かれずに背後を取り、また警戒して注視していたのに姿を消した。ただ者ではないだろう。これは村の者達にも報告して警戒してもらった方がいいな。

 その後、変態の事を伝えて、私は子供達と遊んで食事を取り、教会で子供達と一緒に寝る。私が泊まる時は私を慕う子供達が一緒に寝ようと集まってくるので、広いここに毛布に包まって皆で寝るのだ。

 シスターからお菓子や果実水の差し入れもあり、夜遅くまで話すが、何人かの幼い子供達は皆、眠りにつきだしたのでお開きにする。私も疲れからか、凄く眠い。

 

「さて、眠くなってきたし寝ようか」

「は~い~」

「う~おはなししたいけど、ねむい~」

「だね~おきてようとおもったのに~」

「なに、また明日に話せばいい。今はお休み」

「うん……」

「は~い」

 

 子供達が私に抱き着き、眠りにつく。私も背中を像の台座に預け、子供達を膝枕してあげながら睡魔に身を任せて眠りについていく。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「起きなさいぃぃぃぃ……起きるのですぅぅぅぅぅ……」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

なん、だ……?

 

 

 

 

 

「貴女の大事な物が壊されていっていますよぉ?」

 

 

 

 

「っ!?」

 

 脳内に響く変態の声に飛び起きる。周りを見ると──

 

 

 

そこは地獄だった

 

 

 

 寝ていた子供達は床から生える剣で串刺しにされたり、身体をゆっくりと燃やされたり、瞳をえぐりとられたりといったおぞましい光景が目の前に広がっていた。

 

「痛い痛い痛いぃぃぃっ!」

「やめてやめてやめてぇえええええええええぇぇぇっ!」

「いぎゃぁああああああああああぁぁぁぁっ!」

「ほらほら、もっと泣き叫べよ」

「おいおい、しっかりと解体して保存しておけよ。子供でも臓器は売れるんだからな」

「了解!」

「助けて、助けてお姉ちゃん!」

「お姉ちゃんはおねんねしてるぜ」

「いや、起きたみたいだぞ」

「マジかよ。かなり強い睡眠薬をジュースや菓子に混ぜさせたんだがな」

 

 男達がこちらを見るが、私はあまりの光景に理解が追いつかない。

 

「なにを、なにしているっ! 子供達に何をしている!」

「何をって、解体?」

「遊んでいるだけだよ。オレとしてはお嬢さんに相手をして欲しいんだがなぁ……」

「依頼はそいつには手をだすなって事だ。諦めろ」

「きっ、貴様らぁあああああああああああああぁぁぁぁっ!」

 

 必死に弓を掴もうとして手を伸ばすが、そこには何も無い。ならば、殴りかかろうとするが、途中で苦しくて止まってしまう。

 今まで気がつかなかったが、私の首と両手両足に枷が嵌められ、神様の石像に繋がれていた。

 

「おお、まるで狂犬だな」

「ワンコはしっかりと繋いでおかないとなぁ」

「ほら、また一人死んだな。頑張らないとどんどん死ぬぞ」

「あっ、ああああああああああああぁぁぁぁぁぁっ!」

 

 苦しいのも構わず、全力で子供達の下へと向かうために力を込める。

 何故だ。何故こんな事になった。子供達にこんな風に殺される罪はない。

 

『ええ、ええぇぇ。無垢なる子供達にはありませんともぉぉ』

 

「おいおい、大切な神様の像がぶっ壊れちまうぞ」

「まあ、その前に死ぬだろうがな」

 

 息が上手く吸えずに苦しくて、身体から力が抜けていく。神様……神様……どうか、子供達を助けてくれ。私はどうなってもいい。だから、頼む。

 

『無駄ですねぇぇ。真なる神である幸せを運ぶ銀翼様でなければ、貴女の、子供達の願いは叶えられませぇぇぇん! 何故ならば、貴女達が祈っていたのはただの偶像なのでぇぇぇす! そう、偶像ぅぅっ! 偶像なのでぇぇぇす! つまりぃぃっ、まったくの無意味ぃぃぃっ!』

 

 そんな、アレだけ願っていたのに、子供達を助けてくれないのか。ましてや、なんで子供達がこんな目に遭わなくてはいけないんだ! 

 

『簡単な理屈ですねぇ。人は嫉妬し、羨む者でぇす』

 

 そんなことはない! 

 

『ならば彼等の声を聞かせてさしあげましょう!』

 

 頭の中に声が響いてくる。

 

『何故、何故、あの親の居ない子供達は肉を喰える。俺達は飢えて死にそうだっていうのに』

『なんで私達にはわけてくれないの?』

『あいつらなんて役にも立たないいらない奴等なのに……俺達の事を優先しろよ』

 

 村の大人達がそう言っている姿がみえ、聞こえる。だが、大人である私達が子供を優先するのは当たり前だろう。

 

『だったら、なんで子供のボク達にはわけてくれないの?』

『私達もお腹が空いて、死にそう……なんで、なんであの子達だけなの?』

 

 そ、それは親がいるから、子供を食べさせるのは親の役目で……私達には、あの子達には親がいないから……

 

『『だったら、そいつらなんかいらない』』

『『そうだ必要ない。むしろ邪魔だ。害悪だ』』

『ならば、殺してしまおう。臓器や身体を売れば金になる。アルテミシアにはこのまま猟師として我が村にお金を降ろしてもらおう。なに、目の前で子供達が殺されれば目も覚めよう』

 

 

『『『それがいい』』』

 

 

 そ、そんな……わ、私のせいだと言うのか。この子達がこんなに無残な最期を遂げるなんて……

 

『いいえぇぇぇっ! いいえぇぇぇっ! 貴女のせいでも、子供のせいでもあぁぁりませぇぇぇん! 全て悪いのは偽りの神を信仰させ、救いの手を差し伸べもしないのにただ強請る強欲にしてぇぇぇ、たぁぁぁいだぁな存在ぃぃぃ! すなわちぃぃ、この村の者達でぇぇす!』

 

「あっ、ァァァァァァァァァァァッ!」

 

『子供達は真なる神にぃぃ、死の間際や恐怖に震えながらもぉぉっ、貴女の事を思いましたよぉぉっ! 貴女には生きて欲しいとぉぉっ! 貴女と共に居たいぃぃ! 一緒にぃぃ生きたいとぉぉぉっ! 貴女はどうですかぁぁっ!』

 

 子供達を助けたい! 

 

『では、真なる神に願いなさぁぁい。貴女には我等が真なる神の加護がついておりますよぉぉ!』

 

「……頼む。私はどうなってもいい。子供達を、子供達を助けてくれぇえええええええええええぇぇぇぇぇっ!」

「あ? 無理にきまって……」

「待て。凝と円をしろっ!」

「は? 無能力者相手に……」

「銀翼の凶鳥があるだろうが!」

「いや、ここは念空間で封鎖しているから大丈夫なはずだろ」

 

 私の目の前に何時の間にか、あの変態が居て、その背後には銀色の大きな、大きな鳥が舞い降りた。変態はその鳥に大猪の毛皮を恭しく差し出していく。

 

『ああ、あぁぁ、我等が神ヨ! 神託は成就されましたぁ! 願い奉るぅ、我等が神よ! 哀れなる子羊達に真なる祝福をぉぉぉ!』

『我に勝利した者がこのような生物を愚弄する者に負けるなど許さぬ。呪え、喰らえ! 奴等に思い知らせてやれっ!』

 

 

『一定以上のオーラを確認。一定条件を達成。最適な魔法少女の姿を生成。神の信者。狩人。弓使い。魔猪の討伐者。魔猪のオーラが譲渡されたのを確認。アルテミシア……ギリシア神話の月の女神アルテミスに由来するギリシア語。該当アリ。該当条件の魔法少女を生成。オーラが不足しています』

『なぁぁぁらばぁぁぁ、狩ればよろしぃぃぃぃっ! かの者は我が神に捧げる巫女なのだからぁっ、我等も快く差し上げましょうぞぉぉぉぉっ!』

『契約条件を確認。確認完了。銀翼教団の祈りに乗せられたオーラの供給を確認。不足分は……こいつらから奪えばいいさ。その方が効率的だね』

 

「ぁっ、あぁあああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああぁぁぁぁぁぁっ!」

 

 肉体が、身体が膨れ上がり、小さくなり、大きくなり、作り変えられていく激痛。私が私でなくなっていく。

 

「嘘だろ!? なんでだ!」

「そこか!」

「おやぁぁぁ、バレてしまいましたねぇぇっ!」

「何時からそこに居やがった!」

「最初からですがぁぁぁっ! 私は彼女の中に居たのですからぁぁっ!」

「待て、その姿は銀翼教団……狂信者かっ!」

「狂信者とは失礼ですねぇ! 我等は真なる神の威光を知らしめ、救われぬ者達に救いの手を差しのべる崇高なるぅぅぅ一団でありますぅぅ!」

「どこがだ! てめえらのせいでどれだけの犠牲が……」

「それがどうしましたかな? 多数の幸せ、大いに結構。ですが、報われない小にも幸せになる権利があるのですぅ! ましてや、ましてやぁぁぁ、自らの為に小を犠牲にしようとするのなら、自らが犠牲になる覚悟をしなくてはなりません。だから、我等は願うのですぅぅっ! どちらも幸せになれるように、願いを叶えられるようにぃぃぃっ! そう、貴方達も願いなさい。我等が神にぃぃ!」

「ふざけっ」

 

殺すコロス殺すコロス殺すコロス殺すコロス殺すコロス殺すコロス殺すコロス殺すコロス殺すコロス殺すコロス殺すコロス殺すコロス殺すコロス絶対にコロスゥゥゥゥゥッ! 

 

「おお、新たなる巫女、魔法少女の誕生です! いやぁ、素晴らしい。これでまた我等が神のお役にたてましたねぇ~」

「魔法少女だと!? そんな禍々しいのが……」

「おや、こうしたのは貴方達なのですがねぇ~」

 

 

 

 

「──■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■ッ!!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「おや、お気づきになられましたかぁぁぁ。いやはや、流石はぁ、我等が神の寵愛を受けし巫女さまぁぁっ! 素晴らしいぃ、素晴らしいぃぃ!」

 

 周りを見ると、そこは月明かりに照らされる廃墟だった。いや、廃墟になったばかりだ。周りには夥しい数の肉片があり、血の跡がしっかりとわかる。私の手は銀色に光る金属のような何かに覆われていて、髪の毛も伸びて銀色になっていた。

 その手は人を貫き、心臓を握り潰している。そいつの顔を見ると、それは首無しの死体だった。不思議に思って周りをみると、半分ほど獣に食われたような跡がある村長の頭があった。更に周りをみると、建物は爪で切り裂かれていて死体に関しては大部分が食べられていた。

 

「うっ……」

 

 手を振るって村長の死体を外そうとすると、村長の死体は吹き飛んでいって残っていたまともな家屋を吹き飛ばしてそのまま貫通し、遠くの木に激突して血溜まりを作りだした。

 私は気持ち悪くなって口元をもう片方の手で拭うと、口にも血が、肉片がついていた。

 

「な、なんなんだこれは……」

「喰らっただけですよぉぉ。足りないオーラを、他者の命で食事をする。まさに獣の魔法少女ですねぇ。しかしぃ、狩人が獣になるとは、これも因果応報と言うのですかねぇ?」

「っ!?」

 

 頭を抱えると、頭部に耳の感触があった。それもふさふさでどう見ても獣の耳だ。前髪も変化しているし、後ろを見れば獣の尻尾だってあった。ただ、手を除けば他は普通の人間で黒い首輪をつけ、白い肌着に黒に暗い水色のアクセントが施されたドレスのような物を着ていた。腕もアームカバーに覆われていて、一部の姿だけをみれば高貴なお嬢様にもみえるが……

 

「この姿はいったい……」

「それは子供達の願いが反映されたんでしょうねぇぇ」

「なに?」

「子供達はぁ、貴女に着飾ってもらいたいとも思っていましたよぉ。なんせ、貴女と来たら、女なのに女らしい恰好なんてしていませんものね」

「狩りには邪魔だ。人の匂いは邪魔になる。獣の臭いをつけねばならぬ。服は毛皮で十分だ」

「まあまあ、子供達の遺言ぐらい聞いてあげたらどうですかねぇ」

「遺言だと!? そうだ。子供達はどうなった!」

「自らの胸に聞けばよろしぃ」

「ま、まさか……喰った、のか……」

「彼等の場合は統合という感じですねぇ。魔法少女とはその性質上、一人の力では成りえませんからぁ。複数人のオーラがいかなる手段においても必要なのですよぉぉ。例えばぁ、貴女は子供達の願いと貴女の願いによりオーラと融合しぃ、共に生きたいと。故に我が神は貴女達を統合した。しかし、それでもオーラが足らない。だから、そこに居た念能力者と村人を殺して喰らい、不足分を回収したのですよぉ」

「そんな、私はなんてことを……」

「それよりも、食い残しがございますねえ」

「っ!?」

 

 プラチドゥス・クルトが指さした方向には震えて逃げようとするポックルの姿が見えた。その近くにはクックルさんもいる。私はそちらに近付くと──

 

「来るなっ! 化け物めっ!」

「ひっ、ひぃぃっ! ゆ、許してくれぇっ!」

「くっ、クックルさん、ポックル……?」

 

 ──彼等は怯えていて、近付こうとすると矢を放ってくる。その矢には毒が塗られていて、反射的に掴み、何時の間にか持っていた弓に番えて放っていた。

 

「お、おやじぃいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいぃぃぃぃっ!」

「ぐっふっ……に、逃げろっ、ポックル、母さんや俺のぶん、まで生きて、くれ……頼む。どうか、どうかポックル、を、安全な場所にぃいいいいいいいぃぃぃぃっ!」

「すっばらしぃいいいぃぃっ! 我が神は貴方の願いを聞き届けました!」

 

 ポックルの身体が光り、何処かに消えていった。クックルさんの身体は銀色に変化していく。

 

「喰らうといいですよぉ。それでオーラが回復されますのでぇ」

「っ!? そんなことできるか! あれは、クックルさんなんだぞ!」

「そうですか。では、失礼して。ひょいっと」

「なっ!」

 

 変態が鳥に変化する途中の者を捕まえて身体に取り込んだ。

 

「なん、だと!?」

「改めてぇ、私はぁ、銀翼教団、司教ぅ、私の名前はプラチドゥスゥゥ・クルトォォォォ! と、申しますぅ。役目は各地を回りぃ、銀翼教団の素晴らしさを説き、正しき魔法少女を生み出すことでぇ、あります。はいぃ」

「ま、まさか、貴様が手引きしてっ!」

「いいえ、いいえ、滅相もありませぇん。我等が教義は願いを叶えることぉでありますればぁ、自らが起こすことなどありませぬぅ。導くことはあれ、そのようなことはしないと誓っておりますぅ。えぇ、命にかけてぇぇ!」

「そ、そうか……」

「我等はぁ、教団員の一部がぁ魔法少女の誕生しそうな場所についての神託を受けてぇ、その場所に転移いたしますぅ」

「さっきのポックルみたいにか」

「はいぃ。そこで、今回のように可能性がある方に近付き、お助けしております」

「助けるだと! なら何故子供達を助けてくれなかった!」

「我等はぁ、誠に残念ながらぁ、直接的に干渉できませぬぅ。できるのはあくまでも、導いて願いを叶えやすくすることでありますぅ。故にこそぉ、我等は我が神の代行者として力を貸し与えられておるのですぅ。これは制約と誓約というものでしてぇ……」

 

 詳しい話を聞くと、自ら枷を作り、力を得るかわりにそのルールに従うようだ。こいつらは魔法少女の誕生を導く代わりに誕生しそうな場所を教えてもらい、魔法少女について教え、自ら干渉して魔法少女になるように仕向けることはできない。もし行うと死ぬそうだ。

 これらの代わりに様々な特殊能力を共有しているとのこと。ただし、一人でも破ると死ぬ上に神について誰かに話すと私も死ぬらしい。

 また、例外として魔法少女となった者には情報を与えても死なないようだ。いや、一部についてのみ知る事が許されていると言った感じだ。

 一つは死後、その魂と力は神の下へと召され、仕えることになるらしい。もう一つは神の本体を探せば願いを叶えてもらえる上に支払った願いの代償を戻してもらえるとのことだ。これらの情報は司教から魔法少女にのみ伝える事が許される。それ以外の者には聞こえないし、何を言っているかも理解できないようにされているとのこと。念能力というのは不思議なものだな。

 

「では、洗礼を行いましょうぅぅ。貴女は新たなる魔法少女、神罰の野猪(アグリオスメタモローゼ)アタランテェェェ! それが神より与えられしその身体と力の名ですぅ!」

「アタランテ……そうだな。アルテミシアは死んだ。願いを叶え、子供達を蘇らせるまではアタランテとして生きよう」

 

 それが無理なら死のう。それが私が背負った罰だ。もう、私はポックルが言った通り、化け物なのだ。人ではない。魔獣だ。狩人に狩られて死ぬ魔獣なのだ。そう、だな……ポックルに殺されて、仇を討たせてやるのも一興かもしれない。

 

「ではぁ、ではぁ、これで失礼しますぅ。我が教団は何時でも魔法少女をお助けいたしますので、困ったことがあればこちらを使って教団本部までぇ、連絡をくださいぃ」

「あ、あぁ……」

 

 そう言って携帯電話? 確か、そんな風に言うのを渡された。私は機械には疎い。全てクックルさんやポックルに任せていた。だが……クックルさんは私が殺し、ポックルはいなくなった。彼にはもう、私をアルテミシアと認識すらできないだろう。それほど姿が変わってしまった。

 

 

『『『生きて。一緒に生きて、幸せになろう』』』

 

「ああ、そうだな……私はお前達を蘇らせるまで止まらない。魔猪よ、貴様の力も貸してもらうぞ。我が名はアタランテ。神罰の野猪(アグリオスメタモローゼ)アタランテだ!」

 

 叫ぶ事で自らの存在を決定つける。同時に咆哮となって周りを吹き飛ばしたが、もはや碌な物は残っていないのだ、問題は──

 

「……回収する物は回収するか」

 

 ──あったので、大切な物だけ回収する。まずは教会を探して子供達の遺体を探す。一部だけ見つかったが、大部分は私の中にあるようだ。だから、墓を作って皆の名前を刻む。それからペンダントに皆で取った写真をいれて首からかける。首輪はどうしても外れないので、そこにつけて胸元に入れておく。鎖なのでますます飼われた獣みたいだな。

 まあ、いい。金や食料を回収し、旅立とう。目的はただ一つ。神たる者に会い、子供達を蘇らせてもらう。それができないようならば……狩る。確かにこの力は子供達を救う事もあるが、同時に野生動物や魔獣を劇的に強化し、子供達を怖がらせ、最悪は殺されてしまうのだ。ならば私が止めてみせる。

 

 

 

 

 

 




アタランテ・オルタ。第一再臨。
そして銀翼の凶鳥を信仰する狂信者達 キャスターのジ・ル元帥を改造した感じ。戦う事はない。何故なら、ジャンヌ(魔法少女)を生み出すだけだから。制約と誓約によって自ら進んで魔法少女になるよう強制したりはしない。願いを叶えませんか?と誘導はする。あくまでも本人の意思が重要なため。

そして、周りがそうなるようにも誘導して調整する。しかし、過度な干渉はできず、あくまでも選択肢は本人に委ねる状況にしないと彼等自身が死亡する。
彼等が保有する念能力はライネスも知りません。何故なら、銀の鳥が勝手に、自らの意思で力を与えて魔法少女を増やすために日夜頑張っているからです。

銀の鳥「魔法少女が増えたらマスターが喜んでくれるよね!」
銀の鳥「魔法少女が死んでもマスターの力が増えるし大丈夫、大丈夫!」
銀の鳥「魔法少女がマスターを探して、会いに来てくれたら嬉しいよね!」
銀の鳥「会いに行ってもらうために、少しぐらい情報をあげないと駄目だよね!」
銀の鳥「制約と誓約で決めたんだから間違いないね!」

ライネス「orz」

このような思考回路です。なお、ライネスが破ったわけでもないし、司教はあくまでも教団員として銀の鳥本人より許可を貰ったもののみ、情報を伝えても死なないというものを得ています。
銀の鳥をたたえる言葉が思いつかなかった。


ひとつ思い付いたのですが、ハンター試験にでてくる人をソードアートオンラインのシノンにするというのを考えたので魔眼の次にアンケート取ります。

魔眼決選投票

  • 浅野セット 歪曲の魔眼+千里眼
  • 天眼
  • 泡影の魔眼
  • 遷延の魔眼
  • ヴィイの魔眼 見た場所が弱点になる

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。