ライネス・エルメロイ・アーチゾルテの真似をする性転換少女 作:ピトーたんは猫娘
前話の最後にやや未来の事になりますが、楽器についての説明を入れました。結論から言うと、試して没になります。ただ、トリムマウが演奏を覚えるだけのお話です。
本当はゾルディック家で修行する時に試す話でも書いて、没にする予定だったのです。試行錯誤しているところとか、書こうと思いまして。ごめんなさい。
狩人の少女の部分も読みやすいように修正しております。
なお、後半部分。キルア君、モモゼさんごめんなさい!
とある大富豪
最愛の恋人が交通事故により、昏睡状態になってから5年の歳月が経った。私はグリード・アイランドにある大天使の息吹と魔女の若返り薬を欲している。だが、それと同時にもう一つの手段も考えていた。だが、こちらを使えば彼女と共に過ごす事はできない。
『……ボクと……契約して……願いを叶えないの……?』
「叶えない。私が契約したら意味がない」
私の肩に止まっている他人には見えない銀色の鳥。これは銀翼の凶鳥と呼ばれる存在だ。その者の命を使って心から願った事を叶える。その性質上、年老いた我が身では使えないと教えられた。
「旦那様。お客様がお見えです」
「通せ」
執事が連れてきた者は少女だ。彼女の髪の毛は青紫であり、瞳は水色をしている。巫女という役割のためなのだろうか、服装は扇情的だ。彼女の美しい容姿と合わさり、神秘的な雰囲気を醸し出している。身長は150くらいだろうか? どちらにせよ、身長以上の杖を持ち、肩に銀翼の凶鳥を乗せている。
「初めましてバッテラ様。この度は我が教団に多額の寄付を頂き、誠にありがとうございます。私は銀翼教団の巫女をしております。以後、お見知りおきを……」
「うむ。それで、そなたならば治せると聞いたが、間違いないか?」
「はい。私ならば如何なる傷も病も治して御覧に入れましょう。ですが、それはあくまでも我が教団員のみでございます。我等が神を信仰し、我等の活動を支援していただけるのならば、若返る奇跡も得られることでしょう」
ニコニコと笑う巫女の言葉は普通ならば有り得ないと断言できる。だが、銀翼の凶鳥を操る事ができるといわれているこの者達ならば、確かに可能なのかもしれない。グリード・アイランドという夢物語に縋るよりも、こちらの方が確実なのかもしれない。
「いいだろう。ただし、彼女が目覚めて若返ったらだ」
「奇跡を先に渡せということでしょうか?」
「そうだ。ペテン師に用はない。私が求めている事を叶えてくれるのなら、悪魔にだって捧げてやる」
「かしこまりました。それでは治療を行いましょう」
「契約書を交わさないのか?」
「必要ありません。私は貴方様を信じます。ですが、今度でよろしいので恋物語を教えていただけると幸いです」
「わかった。それぐらいならおやすいごようだ」
「ありがとうございます。では、蓋を開けてくださりますか? 死者の蘇生は無理ですので、生きている事を確認せねばなりません」
「ああ、開けてくれ」
「はっ」
巫女が彼女の身体に触れ、生きている事を確かめていく。そして祈りを捧げていく。
「どうか誰も傷つけぬ、傷つけられぬ世界でありますように……」
祈りを捧げ終えると、何時の間にか握っていた短剣を彼女に突き刺した。
「なっ、何をする!」
彼女の下に向かうが、心臓にしっかりと突き刺さっている。これではもう、助からない!
「
巫女を睨み付けると、彼女は微笑む。次の瞬間、巫女から溢れる光が部屋を埋め尽くし、その全てが突き刺された短剣を通して彼女へと流れ込んでいく。するとみるみる内に彼女の身体が若返っていくではないか。
「はい。治療を完了しました」
「し、信じられん……本当に、本当に目覚めるのか?」
「もちろんです。我が信徒、18人分の生命力を使いました。一般の方に換算すれば180人分の生命力を使いましたので、しっかりと治療できていますよ」
「ひゃ、180人?」
「ああ、一般の方ならともかく、我が教団の信徒達なら死ぬ訳ではありません。血液が抜けて怠くなるような感じです。数日も栄養ある物を食べればもどります」
一般人なら死ぬような力を使ったという事か。
「そ、そうなのか」
「私の力は
運が悪ければ何人か死んだかもしれません。ですから、我が教団員限定で治療を施しております」
確かにその通りなら、教団員限定にするのも納得できる。
「本当は他の方々も無料で治療したいのですが、そうすれば本当に教団員の皆様が死んでしまいます。ですので、教団員を増やし、誰も傷つかない優しい世界を作るためにバッテラ様のお力をどうか、お貸しください。私の治療の力は教団員が増えれば増えるほど、代償が少なくなるのです」
「ああ、わかった。いくらでも力を貸そう」
「ありがとうございます。それでは、お次はバッテラ様の治療を開始しますね」
「ま、待て。それで刺すのか?」
「はい。痛みも何もございません。神の愛を受けるだけです」
「ま、まっ」
「
身体に短剣を突き刺される。痛くはないが、身体が熱くなっていき、急速に力が湧き上がってくる。腕の皮膚が若返り、筋肉もついていく。
「治療を完了しました。これで癌なども治療したので問題はないと思いますが、身体を動かしてみてください」
「あ、ああ」
動かしてみると、若い頃の身体みたいに自由に動かせるし、まったく痛くない。
「あの方が目覚めるのは1、2時間ほどかかるでしょうが、その前に私は帰らせていただきますね。どうかゆっくりと恋人同士でお過ごしください」
「感謝する。送ろう」
「はい」
外まで送ると、巫女が携帯を取り出してあたふたしながらボタンを押していく。
「あ、あれ? かからないです……おかしいですね。こ、これでいいはずなんですが……」
「間違っているのではないかね」
「こ、ここのボタンですよね?」
「むぅ。私もよくわからんからな……」
「あっ、ああぁぁぁっ! 画面が消えてしまいました! 壊れてしまったのでしょうか!」
「あ、あの、それ電源が消えただけです。私がやりますので貸してください」
「お、お願いします……寝たきりの生活だったので、機械には疎い物で……」
「そうなのか」
「私も神様に助けて頂いたんです。本来なら、死んでいるはずの身を父が願って助けてくれたのです」
「私と同じか」
執事が巫女に質問し、父親にかけるとのことだ。少しすると電話が通じて、巫女が話していく。
「迎えはくるのか? 送らせようか?」
「いいえ、大丈夫です。迎えがすぐに来てくれますから」
「そうか」
「あ、来たみたいです」
「ん?」
周りには何も無い。いや、目の前に黒い渦みたいなのが現れ、それが次第に門へと変化していく。その門が開くと、中から司教のような服を着た男性がでてきた。
「お父様、お迎えありがとうございます」
「ええ、無事にお役目が果たせたようでなによりですぅよぉ」
彼が巫女の父親のようだが、生きているのか。
『早くして。何時までも開けていられないのよ』
「ああ、すいませんねぇ。それでは我々はこれで失礼いたしますぅぅ。後程、ご連絡いたしますねぇ」
「もちろんだとも」
「一応、警告はさせていただきますぅよぉ。我等が神を裏切ればぁ……このように殺されますぅ」
「っ!?」
門から名状しがたい不気味な触手が現れ、彼の首に巻き付いていく。巫女の身体にも巻き付いているが、彼女は楽しそうにしながら、門へと何の抵抗もせずに引きずり込まれた。
「では、さよならですぅぅぅぅ!」
男性も吸い込まれると、門が一人でに閉じて鍵が閉まる音がすると門は消えていった。
「だ、旦那様……悪魔と契約したのでは……」
「……構わん。悪魔であろうと、契約を遵守すればいいだけだ」
「かしこまりました」
「旦那様! お目覚めになられました!」
「そうか!」
メイドの言葉に私はすぐに走っていく。ようやく、再会できるのだ。
◇
「ラヴィニアや創造神様の反応はあったのかしら?」
「ありませんでしたよ。あそこは外れでした」
「そもそも、貴女の探し人はまだ産まれていないのではないですかぁぁぁ?」
「そんなはずはないもん。きっといるもん。再会するって約束したんだから……」
「いえ、それは貴女の記憶ではぁ……いえぇ、なんでもありませぇん」
「とりあえずパンケーキを食べましょう! 難しい事はパンケーキを食べれば解決します!」
「……それ、材料不明の無限に現れるパンケーキ……」
「美味しいですよ?」
「元はオーラなので、きっと大丈夫です。オーラをストックするアイテムでもありますしぃ……きっと、たぶん」
◇
飛行船に乗り、数日かけてカキン帝国からゾルディック家にやってきた。メンバーは私、ジャック、メンチ君、エリザ君、スクワラ君、ネオン君、わんこ達。そして、モモゼお姉様が入っているカプセルだ。
「さて、やってきたのはゾルディック家だが、あの門から入ったら襲われる。私達はこの壁みたいな門を動かさないといけないというわけだね」
「これ、重量はいくらよ……」
「良い質問だよ、メンチ君。軽い扉でも4トンらしいね!」
「無理! 私には絶対に無理!」
「ネオン君は無理だろう。この中でできそうなのは私とジャック、メンチ君くらいだろう。スクワラ君達は要修行だ」
「まじか。本当に開くのか?」
「まあ、私が試してみよう」
門番の人はこちらに気付いて慌てて連絡をしているが、しらん。私は両手をつけて、思いっきり押してみる。うん、ビクとも動かない。
「駄目じゃない」
「非力な七歳児だからね。ふぅ~」
オーラを使って全身を強化。スカートから足を前に出して全体重もかけて押してみる。すると、1の扉が動き、開いていく──
──と、思ったんだが、弾き飛ばされた。
「駄目じゃない」
「……トリム!」
「はい、マスター」
「開けてくれ」
「かしこまりました」
トリムが試しの門に近付き、腕を振り上げて変化させる。それは円錐状の螺旋が刻まれた物、ドリルであった。
「待つんだトリム。それは何かな?」
「ドリルです。開けるのには最適です」
「誰に教わったんだ……」
「ウボーさんです」
「……扉は押して開ける物だ。決して穴を開ける物じゃない」
まったく、なんて物を教えてくれる。確かに狩りの時にドリルにして硬い奴を貫かせたりもしているが──
「マスター、開きました」
──考え事をしている間に6の扉まで開かれた。6は確か128トンだ。順調に化け物になってきているね。
「どうだ。凄いだろう!」
「はいはい、凄いわね。トリムマウが」
「トリム、凄い」
「凄いです」
「よね~」
「うっ」
トリムマウは私の力なのに認めてもらえない。こうなれば、月霊髄液を使うか? それなら多分、可能だが……意味がないな。
「おかあさん、わたしたちもしていい?」
「ああ、いいけどジャックならどこまで開けられるかな?」
「えいっ!」
ジャックは4の扉、32トンまで動かせた。もちろん、オーラで強化ありだ。流石は
「メンチ君もやってみるかい?」
「やらないわよ。私は護衛なんだから、疲れたら動きが鈍るわ」
「わかった。それじゃあ、さっさと進もう」
トリムマウと月霊髄液で扉を全て開かせて中に入る。全員で入ると、目の前の森から大きな魔獣がでてきた。とりあえず、睨んできて進路を邪魔されたから睨み返す。
「消えろ。き・え・ろ!」
魔獣君はメンチきったらしっかりと消えてくれた。怯えながらだけど問題ない。シークレットガーデンで隠していても、私の膨大なオーラは獣だてらに感じ取れるようだ。
「何をやっとるんじゃ」
「邪魔だから退かしただけだよ」
「ただの八つ当たりじゃろ」
「見てたのかい?」
「うむ」
「ちっ」
舌打ちしてから、迎えにきてくれたゼノ・ゾルディックに改めて向き直り、遊びは止める。
「キルア君と婚約するモモゼお姉様を連れてきた。しばらく滞在許可を頂きたい」
手を上げて、お土産を運び込ませる。結納品ではないが、婚約に送る品としてはトラック一台分は十分な品物だ。
「どれも高級品じゃな」
「王族が利用している物だからね」
「まあ良い。滞在を許可する。案内するからついてこい」
「あ、執事の人を呼んで荷物を運び込ませてくれ。いっぱいあるから」
「これだけじゃないのか」
「お姉様の荷物がね。私達の分もあるが、他にも依頼したい事があるからね」
「わかったわい。おい、ゴトーに連絡して取りにこさせろ」
「は、はい!」
さて、ゼノ・ゾルディックについて歩いていく。いや、私は月霊髄液を馬にしてそれに乗って移動する。トリムマウはお姉様が入っているカプセルを運ばせているからね。ネオン君達はばててしまうので、先に私達だけで移動する事にした。彼女達については執事用の館に行ってもらう。メンチ君もだ。彼女はハンター協会と繋がっているから、ここで待ってもらう。
本人は渋っていたが、護衛はジャックがいればどうにかなる。相手もここで私を殺しにはこないだろう。いや、お兄様達から依頼がきてたらわからないがね。
◇
森の中を駆け抜け、険しい道を軽く踏破していく。私とジャックにとってはピクニックだ。いや、私は乗っているだけだけどね。
「そっちの嬢ちゃんは軽くついてくるな」
「彼女、百キロを超えて出せるから、余裕だよ」
「うん、わたしたちはこれぐらい、らくしょーだよ?」
「……スペックが完全に人間を止めとるの」
「魔法少女ジャック・ザ・リッパーだからね」
「なんじゃそれ」
「わかんない。でも、頭の中に浮かんでくるの」
「そうか。まあいいわい」
「確かにどうでもいいね。それよりも、さっさと行こうじゃないか。遠回りなんてせずにね」
「気付いておったのか」
「私の円は広くて隠蔽が可能だ。戦いたいのなら、戦うが……」
「戦うつもりはないぞ。ただのう……」
「ん?」
「早く着きすぎるんじゃ。あちらの準備ができとるかが……」
「ああ、なるほど。では、お茶でもして待つのはどうだい?」
「あるのかの?」
「紅茶なら」
「それでいいわい」
そんなわけで、水銀を操作してテーブルとイスを作り、トリムマウに紅茶を入れさせる。ジャックにはお菓子をあげる。
「おかあさん、探検してきていい?」
「そちらに聞いてくれ」
「おじいちゃん、いい?」
「構わんよ。ただ、あまり遠くにいかんようにの」
「は~い」
ジャックがすごい勢いで魔獣を追い出した。魔獣にとっては災難だろうね。
「それで、何時目覚めさせる気じゃ?」
「気付いたのかい?」
「お主が操って眠らせてるだけじゃろ」
「それなんだけどさ。私に考えがあるんだ。ちょっと協力してくれないかな?」
「内容によるのぉ~」
「私達って本国では王子だけど、本質はお姫様なんだよね。だからさ、やっぱり──」
ゼノ・ゾルディックにお話しすると、呆れられた。ただ、彼女の母親に相談するらしい。
「いや、誰か来たね」
「そうじゃな」
森の方から二人が出てきた。一人は帽子を被り、ゴーグルをつけた女性。もう一人は小さな着物を着た女の子だと、思われる子だ。
「初めまして。私はライネス・ホイコーロだ。そちらはキキョウ・ゾルディックとカルト・ゾルディックで間違いないかな?」
「ええ、お初にお目にかかります。キキョウ・ゾルディックと申します」
「カルト」
「よろしくね」
「よろしくするかどうかは、見極めさせて頂いてからにします」
「戦いは止めておけ。怖い護衛の悪霊に殺されちまうぞ」
「……そのようですわね」
「この子はなんでも女性を殺す事に特化した能力を持っているのでしたか……」
「女性には即死攻撃だよ」
カルトは何時の間にか現れたジャックに驚いているが、動こうとしてもトリムマウが肩に手を置いて押さえつけているので動けない。ゼノ・ゾルディックは優雅に私と紅茶を飲んでいるし、月霊髄液は私とモモゼお姉様をちゃんと守ってくれている。
「まず、愛しいキルアを攫っていく憎い子を見せてもらいましょうか」
「誤解があるが、攫う事はないよ。むしろ、ここで生活させてもらおうと思っているぐらいだからね」
「そうなんですの?」
「言ったはずなんじゃが……」
「あの時は怒っていましたから」
「こちらとしては基本的にモモゼお姉様の安全を確保できたらいい。ゾルディック家とのコネクションもそうだけどね。ただ、結婚は本人達に任せるとして、婚約はしてもらう。そうでないとお父様を説得できなかったのでね」
「ホイコーロの血が私達に相応しいか、どうかですわね」
「相応しいさ。互いに同じような血なのだから」
継承戦について話すと、愉快そうに笑って取り入れようかと、真剣に考えだした。うん、隣のカルト君はガタガタと震えながら、涙目で余計な事を教えるなって睨んできている。
「ところで、その子の性別はどっちかな?」
「カルトか?」
「女じゃよ」
「よし!」
「な、なにっ!?」
思わずガッツポーズをすると、カルト君が驚愕してゼノ・ゾルディックの後ろに隠れてしまった。これでとりあえず、グリード・アイランドに連れていく必要はなくなったか。外道? 知らないね。女の子ではなく、男の子なら、女の子に変えてしまえばいい。この世界にはその力が存在しているのだから!
「そうじゃ、キキョウ。彼女から提案を受けたんじゃが……」
「なんですか?」
内容を教えていくと、大いに策には賛成してくれた。ただ、その後の教育方針については互いに譲る事はなかった。
「だから、念能力は早急に覚えさせる必要があるんだ」
「それはそちらの理由です。キルアにはまだ早い」
「平行線じゃから、もう互いに望むようにすればええじゃろ」
「だが、それをするとキルア君が可哀想だよ? 念能力者とそうじゃない者には明確な差が生まれる。つまり、キルア君はモモゼお姉様に勝てない。男なのにね」
「そんなものいらないわ」
「いや、男の子として考えると必要だろう。そうだよね、ゼノ・ゾルディック」
「うむ。そうじゃの。それとゼノでええぞ」
「わかった。私の事もライネスでいい」
私達が教育方針について話し合っている間にジャックはカルトと一緒に鬼ごっこをしている。鬼? 当然ジャックで、追われるのはカルトだ。楽しそうなジャックの笑い声と、カルトの悲鳴が聞こえてくるのがアクセントだね。殺人鬼VS暗殺者。どっちが勝つかなんてわかりきっているけれど、楽しそうだ。
「妥協点として、念能力については教えず、オーラを伸ばす訓練はさせるとかかの?」
「それ、無理だ。お姉様は既に覚醒させている。後は意識を戻すだけなんだ」
「……やはり、キルアについてはこちらの方針を優先させてもらいます。そちらはそちらで行いましょう」
「ふむ……それしかないか」
「というかじゃ、その子はライネスのコントロール下なら、そのまま操って修行をさせればええじゃろ。記憶を残らんようにできるかはしらんが」
「それは考えたけど、流石に……」
「なら、妥協して発展は教えずに基礎だけを教えるべきじゃな」
「それでなら私も納得しよう」
「……こちらもいいでしょう」
「じゃあ、計画を始めよう」
「ええ」
「やれやれ。わしは子供を連れていくから、先にいっとれ」
ゼノの言葉に従い、先に屋敷へと向かう。そこでキルア君と初めて出会ったが、ちっちゃい生意気な少年だ。隣に居るシルバ・ゾルディックに紹介してもらい、こちらも紹介していく。
「キルア、話した通り、お前の婚約者になる者の妹だ」
「ライネス・ホイコーロだ。こちらはモモゼ・ホイコーロ。今は眠っているが、起こす役目は君に担当してもらう」
「いや、待てよ! 俺はまだ婚約なんて認めてないぞ!」
「では、私と勝負して、私が勝てば婚約者になって言う事を聞いてもらう。君が勝てば好きにすればいい」
「いいぜ。聞いた限りじゃ同い年だからな。俺が負けるはずない」
「では、勝負開始の合図をお願いする」
「いいだろう。開始だ」
シルバ・ゾルディックの言葉に私に向けて飛び上がってくるが、私は彼の後ろから月霊髄液に押さえ込むように命令し、同時に言葉を放つ。
「跪け」
「なっ!?」
隠を行った月霊髄液がキルア君を押し倒し、顔をこちらにしか向けないように固定していく。当然、月霊髄液は彼からは見えない。だらだらと汗を流していく彼は、必死に抵抗するが、無意味だ。月霊髄液のオーラを解放してやれば気絶するだろう。
「私の勝ちだ」
「ま、まだ俺は負けてない!」
「そうか。なら、次は頭を踏みつけてぐりぐりしてあげよう。それでも負けを認めなければ尻でも叩くか。だが、それぐらいじゃあゾルディック家の者が屈するはずもなし。よし、負けを認めるまで水銀に埋め込んでオブジェにし、試しの門に飾ろう。それとも母親と常に一緒にいてもらい、下の世話とかも──」
「俺の負けでいい! だから止めてくれ!」
「うむ。いいだろう」
「ライネス・ホイコーロの勝ちだ」
「では、これからキルア君はモモゼお姉様の婚約者だ。早速、私のお願いを聞いてもらう。拒否権はないからね」
「な、何をさせる気だよ! 変な事だったら親父が止めるからな!」
解放してあげると、すぐに父親の後ろに隠れるキルア君はまだまだ可愛らしいね。
「簡単な事だよ。すごく、ね」
「ええ、そうよ。あ、準備しないといけないわね」
私が彼に伝えた内容は簡単だ。私達は別室に引き上げ、同じくキルア君の部屋へと運ばれたモモゼお姉様。隠しカメラでキルア君の部屋にあるベッドに移されて残されたモモゼお姉様の様子をワクワクしながら見る。
キルア君は顔を真っ赤にしながら、モモゼお姉様に近付いて、その唇に……キスをする。そのタイミングで操作して、お姉様を目覚めさせる。
「やっぱり、お姫様を起こすのは王子様の役目だろう」
「ええ、そうよね!」
キキョウ・ゾルディックと二人でモニターを見詰めて楽し気にしているが、シルバ・ゾルディックは呆れていた。肝心の現場では──
『っ!? っ~~~~~~~~~!!』
『いってぇええええええええぇぇぇぇぇっ!』
──目覚めたモモゼお姉様に思いっきりビンタされてキルア君が吹き飛んだ。
「キルアっ!」
「あ~よくよく考えたら……お姫様側からしたら、いきなり知らない男にキスされているわけだし、こうなるのは必然か」
二人で部屋に突入して、ベッドの上でシーツを身体に手繰り寄せて涙目で怯えているモモゼお姉様の所に向かう。キルア君にはキキョウ・ゾルディックが向かっているので大丈夫だ。
「ら、ライネスぅぅぅぅっ」
「あ~ごめんね、お姉様」
お姉様を抱きしめて撫でていると、キキョウ・ゾルディックの悲鳴が聞こえてきた。また、聞き捨てならない言葉と一緒だ。
「キル! そのオーラを身体に纏うイメージをするのよ! イルミ、イルミィィィィ! キルが、キルがぁぁぁ!」
ビンタが洗礼になってしまったようだ。そりゃ、モモゼお姉様は念能力者として覚醒しているわけだから、そうなる可能性は十分にあった。これは悪ノリした私のミスだな。しっかりと謝ろう。とりあえず、キルア君をコントロールして、死なないようにしてあげようか。イルミ君にコントロールされていなければだけど、その時は許可を取ってから針を抜いて改めてコントロールしよう。
お姫様は王子様のキスで目を覚ます。これを実際にやったら、どうなるかということを、キルア君とモモゼにやってもらいました。ごめんなさい!
き・え・ろについては知っている人がいるはず。傘を持った天族の方。
教団員の魔法少女は二名。アタランテを入れれば三名。
回復と神託担当の巫女(侵食率49%)
移動担当及び攻撃担当の魔女(侵食率86%)
なお、回復担当は信者のオーラを集めて保存する事ができます。その集めたオーラを無限のパンケーキにもできます。食べたら他の人もオーラを回復できるよ! 材料に何が使われているか、知っている人なら知っている。だが、彼女達はよく知らない。
アタランテ(侵食率13)
ジャック(侵食率92%)
ジャンヌダルク・オルタの名前
-
ジャンヌ
-
エリス
-
レティシア
-
その他適当にランダムジェネレータ
-
ルーシャ