ライネス・エルメロイ・アーチゾルテの真似をする性転換少女 作:ピトーたんは猫娘
「すまなかった」
「ライネスぅ~」
「怖かったよね」
モモゼお姉様を抱きしめて頭と背中を撫でながら、あちらを確認する。覚醒したキルア君は即座にやってきたイルミ君によって操作され、事無きを得た。
こちらが操作しても良かったが、彼にはすでに針が埋め込まれているようだし、手を出せない。いざという時は引き抜いてから私が操作するつもりではあったが、それをやれば関係は致命的になりうる可能性が多分にあるからね。
「そちらも無事なようで何よりだ」
「そっちも大丈夫みたいね」
「ああ、こちらは元々覚醒させていたからね」
殺気と共に針を飛ばそうとしてくるが、それはすでにトリムマウが取り押さえた。首に剣に変えた両手をあてて、動けば殺すと伝えている。私はモモゼお姉様を慰めながら、キルア君とキキョウ・ゾルディックの二人と話すとしよう。
「さて、まずキルア君。悪かった。お姉様を起こすのにはどうしても必要な事だったのでね。悪い魔女に呪いをかけられていたんだ」
悪い魔女とはもちろん、私の事だがね。私は自分が善良な存在なんてとてもじゃないが言えない。魔術師なのだから当然ともいえるが。
「そ、そうよ。ごめんなさいキルア。これも必要な事だったの」
キキョウ・ゾルディックも乗ってきたな。さて、お姉様にもしっかりと説明しておこう。
「お姉様、お姉様はピクニックに行った日から気を失っていたんだ。起こす方法を調べていたが、その方法が判明した。それが運命の相手に口付けしてもらう事だったんだよ」
「「え?」」
キルア君とモモゼお姉様、それに他の人も驚いているが、このまま騙してしまう。肝心な所は二人の知らないところで話し合いをすればいいだけだ。今はこの二人の関係が壊れず、順調に進むように誘導する。
「私の配下に百発百中の占いをする子が居てね。その子に占ってもらって複数ある候補から、お姉様に相応しい相手を選別した。もちろん、これはお父様の許可もいただいている」
「それって、私は王位継承から外れるって事……?」
「まあ、結婚した時の形態にもよるだろうね。婿入りならば継承権は残るだろうが、ゾルディック家との契約では嫁入りだ」
「それって、ライネスは私が王になる事を無理だというの?」
お姉様が顔を上げて涙目で睨んで来る。可愛らしくて虐めたくなる。よし、虐めよう。
「そうだよ、お姉様。そもそもお姉様は私に勝てると思っているのかな?」
「無理!」
「即答か」
「だって、ライネスには勝てないもの。私はライネスに何一つとして勝った事はないんだよ?」
年齢の差もあるから仕方が無い事だが、お姉様から見たら妹が優秀過ぎたのか。まだ理解できる範囲で近ければ嫉妬したかもしれないが、私とお姉様では隔絶した差が生まれている。追い付く事は普通なら不可能だ。
「まあ、そうだね」
「でも、わからないからちゃんと説明して欲しい。こういうことは嫌だよ……」
「ああ、それはもうしないさ。それと先程言った事だけど、お父様が認めたという事は事実で、婚約は正式に成立した。後はお姉様が成人したら結婚してホイコーロから籍を抜いてもらう」
「婚約はどうしてなの?」
「お父様は私達兄弟姉妹で殺し合いをさせるつもりだ。これは我が家が代々行ってきた儀式で、お父様も経験なされているから確実だ。だから、私にとって大事なお姉様を婚姻という形を取って逃がさせてもらうことにした」
「……私が近くにいたら邪魔なんだね?」
「今のお姉様では邪魔かな。私の力で守り切れない」
「わかりたくないけれど……私わかった……邪魔したくないから……」
「お姉様、私を手伝いたいのなら、力をつける事だよ。幸い、ここは力を蓄えるには持って来いの環境だ。それに婚約者である彼もいるしね」
「あの子が……?」
「切磋琢磨する相手は大事だよ。それに私達の血筋に相応しい相手だ。悪いけれど、これはお父様も決められた事だから、相手は変えられない」
「キルアが不足だとでも?」
「まさか。素晴らしい相手だと思っているよ。だからこそ、お姉様の相手に選んだのだから。それに幼い頃に会ったのだから、互いに話し合って悪い所を直し合っていけばいい関係を築けるだろうさ。言ってしまえば相手を好みになるように育てればいい」
「「無茶いうな! /言わないで!」」
二人は同時に発言した後、溜息をついた。
「お前も苦労してそうだな」
「あなたも……」
「ああ、それとキルア君もお姉様を娶るメリットはある」
「なんだよ?」
「私が力を上げるし、金銭的にも支援してあげよう。例えば、そこに居る怖いお兄さんを圧倒する力とか、興味ないかい?」
「ある! 無茶苦茶ある!」
「両親を超える力も手に入るかもしれない」
「まじか!」
「私は現時点で一時的とはいえ、ゾルディック家に勝利したから、証明は十分だろう?」
「おお、本当なのか?」
「この婚姻は勝利した時の条件だ。勝負に持ち込んだ対価はこの国もろともゾルディック家を皆殺しにしないことだ」
「ちょ、お前……母さん、事実なの?」
「そうみたいね。業腹だけど、私達が人質に取られ、それでも依頼を遂行しようとしたらしいわ。そこで彼女が持ち掛けた勝負に乗り、シルバ達が負けたの」
「どうやったんだよ?」
「これから教える力についてだから、まだ詳しくは教えない。交渉に持ち込んだ方法は簡単だ。とても強力な爆弾をこの辺りに仕込ませ手勢に爆発させるだけの簡単な仕事さ」
「わかった。お前がやばい奴だってことは理解した」
「か弱い幼女の自衛手段だよ。暗殺者一家に狙われたら死ぬのは間違いないからね。報復する準備は整えておかないとね?」
「ライネスがか弱い……?」
「何か言ったかな、お姉様?」
「ナンデモナイ」
身体強化して、お姉様を抱き上げてキルア君の横に運んで座らせる。すると二人は至近距離で見つめ合った後、すぐに目を逸らした。頬はほんのりと赤くなっているので、キス作戦は意識させるのには成功したようだ。
「初々しいキルアも可愛いわね」
「うむ。だが、ほんのりと照れているお姉様も……」
そう言うと二人に睨まれたので、大人しく出ていこう。
「さて、後は若い二人に任せて私達は外に出ませんか?」
「でも……」
「話し合わないといけない内容がありますからね。護衛は外に待機させておけばいいでしょう」
キルア君の育成について相談があると、オーラで文字を作って見せれば、凝を使っている彼女は納得してくれたようだ。
「それもそうね。イルミ、操作だけはしっかりとしておきなさい」
「わかったよ、母さん」
「ああ、トリム。君も残ってお姉様の護衛を頼む」
「かしこまりました」
私の護衛はジャックと月霊髄液で十分だ。
◇
移動している最中もイルミ君に殺気を向けられたり、針を飛ばされそうになったりしたが、ジャックが遊び相手と認識したみたいで、後ろから首元に抱き着いてナイフをあてようとしたり、飛ばされた針を撃ち落としたり、とても楽しそうに遊びだした。イルミ君も沢山の汗を流しながら楽しそうに駆け回っている。
「それで、あの子にも着物を着せていいと思うのよ」
「確かに似合いそうだ。私はそういう事に疎いから、全部そちらに任せるよ」
「あら、それじゃあ貴女も一緒に選びましょうか」
「え!? そ、それは遠慮したいのだが……」
「駄目よ」
「ま、まあ、じ、時間があればね」
「あら、時間は作る物よ」
「あ、はい」
駄目だ。逃げられそうにない。正直、女性の服を着るのは違和感がある。ライネスが着ているような服ならロールプレイの一環として何ら問題はないのだがね。下着とか、見えない部分はやはり抵抗がある。
「さて、ついたわね。入るわよ」
「うむ。開いている」
「ええ」
扉の中には既にシルバやゼノ・ゾルディック達が座って待っていた。マハ・ゾルディックは我関せずのようで、こちらに干渉するつもりはないようだ。
「さて、キルアが念能力に覚醒したようだな」
「ごめんなさい」
「すまない」
まず、座ってから二人でしっかりと謝る。これに関しては私達が悪乗りした結果だしね。
「まあ、覚醒しちまったもんは仕方ないわい。それよりもこれからどうするかじゃ」
「そうだな。親父の言う通り、育成計画がかなりずれた。その責任は取ってもらうぞ」
「わかってるよ。こちらは元々、お姉様を鍛えるつもりだったんだ。一緒に面倒を見ようじゃないか」
「キルアの育成について、私もしっかりと参加させてもらいますからね」
「むしろ、この四人でお姉様も含めて話し合おうじゃないか。掛かる施設や物資などの資金は全てこちらで用意するし、教材も準備できている」
「まあ、それが一番無難じゃの」
「ああ。これが元々キルアを育成する計画だ」
「拝見する」
キルア君の育成について渡された書類を見て確認していくと、なんというか厳しすぎる。逃げだしたくなるのもわかるね。鞭ばかりで飴がほぼない。
「訓練にゲームや遊びを入れるとして、ご褒美を入れた方がいいね。自分から頑張るように誘導した方が成長しやすいし」
「そうじゃが、どうするんじゃ?」
「遊園地とかに連れていったらいいんじゃないかな。防衛の観点から買い取って運営し、こちらが必要な時に貸切るか。普段は一般客に開放すれば資金調達もできるし、珍しい生物の研究と展示をすれば喜んでもらえるだろう」
「その辺は任せる。俺にはわからん」
「私も男の子の事はあまり……」
「まあ、そっちは任せてくれたらいい。逆に戦闘技術に関しては私はよくわからないから、そちらに任せる。互いに得意分野を持ちよって教育しようじゃないか」
「うむ。それでキルアの能力についてだ」
「そちらが想定していたのはなにかな? この計画書からして電撃に関する事だろうが……」
「その通りだ。素早く移動し、敵の命を刈り取る。だが、計画の変更によってキルア本人の意思が重要になる」
「それは任せてくれないか。私に考えがある。少しミルキ君を借りるが、キルア君が電撃に興味あるように誘導してみせよう」
「どうするんだ?」
「何、アニメとゲームを一本ずつ作るだけだ」
ちょっと多額の金を投資して、雷系の主人公が活躍する話を作る。それに敵として針使いとかも出せばベストだ。利益など必要ない。最新技術と念の技術をふんだんに使ったアニメとゲームだ。それにキルア君をプロファイリングして、彼の好みそうな要素を突っ込みまくってやる。
「こんなので誘導できるのかしら?」
「間違いなくできる」
「では、それが完成するまでは基礎訓練でいいな」
「ああ、基礎はとても大事だ。私も未だに続けているしね」
「まだまだ幼いじゃろ」
「まあね」
詳細を詰めていこう。ちなみにキルア君とお姉様だけでは可哀想だから、他の皆も同じ訓練をさせる。オーラが足りなければ私が供給してやればいいだけだから、なんの問題もない。自前のオーラを限界まで使い尽し、私のオーラで身体を維持して訓練を続けさせる。操作能力はとても上がるだろうし、私のオーラに刺激されて容量も増えるかもしれない。とっても楽しみだ。ああ、本当にスクワラ君、早く犬の魔改造をしてくれないかな。モフモフしたいぞ。
◇ キルア
「えっと、何を話したらいいんだ?」
「……自己紹介からお願い、します……」
「そっか。俺はキルア・ゾルディック。よろしくな」
「モモゼ・ホイコーロよ。よろしく」
とりあえず、自己紹介は終わった。キスの事は謝った方がいいのだろうか? でも、俺が悪いわけでもないし……
「ごめんなさい。その、ぶってしまって……私を起こしてくれるためだったのに……」
「あ~いや、俺も悪かった。言われた通りにしただけなんだ。だから、その……な?」
先に謝られて、泣き出したので慌てる。
「それに婚約者なんて親が言っているだけだし、気にするなよ」
「わ、わたしの初めてを取ったのに、責任を取ってくれないの……?」
「そ、それは……」
「……もう、死ぬしか……」
「なんでそうなるんだよ!」
「婚約者として相手の所に滞在して、身体の接触を終えたのよ? このまま戻されたら、出戻りと言われて……」
詳しい話を聞いていくと、お姫様として色々と仕来りとかがあるみたいだ。このまま連れ戻されると、殺されるか、数十歳は年の離れたおっさんとかに嫁がされて、酷い事をされるらしい。よくわからなかったが、何が嫌なのか聞いたら、自分の母親と裸で一緒に寝たり、風呂に入ったり、四六時中一緒にいたりしないといけないらしい。それは凄く嫌だ。母親以外にも色々と説明されたらマジで嫌だった。
「悪かった。俺が悪かった。最悪だな」
「だから、捨てないで……」
縋り付いて泣いてくるモモゼに悪い気はしない。俺が面倒をみてやればいいだけだしな。こいつも出来過ぎる妹を持って凄く苦労しているらしい。俺の場合はくそ兄貴や親の期待だけど。逆にこいつとあのライネスっていう妹は母親から見捨てられているらしい。羨ましいとは思うが、周りが敵だらけの所らしいので、俺よりもひどい状況だと思う。
「捨てないから泣き止めって。泣かれると困るんだ」
「わ、わかったわ」
「それでいい」
少し離れると、さっきまでモモゼを抱きしめている部分が温かくて、少し濡れている。それに良い匂いもして、ドキドキしてきた。
「で、これからどうしたらいいんだ?」
「わからないの」
「では、僭越ながら私がお教えします」
「トリム、だったかしら」
「はい。このお見合い項目をどうぞ」
「えっと、ご趣味は……? 私は編み物やぬいぐるみを作る事です」
「俺は……なんだろ? お菓子を食べる事か?」
それから、お見合いとかいうのに必要な項目について互いに話し合い、嫌いな事や止めて欲しい事。逆に好きな事ややって欲しい事とかを話していった。それでわかったのだが、アルカみたいに接すればいいのかもしれない。アルカと同じく、モモゼは本当に弱いから、俺が守ってやらないと駄目だろう。
半年ほどが経った。モモゼと一緒に過ごしながら親父から教えられた念とかいうのについて修行する。ちなみにくそ兄貴はライネスに喧嘩を売って俺達の教材代わりによくボコられていた。ジャックという子供と親父や爺ちゃん達。それにライネスも戦っていたりするので、ライネスの強さがやばいという事はだんだんと理解しだした。いや、アイツの場合はトリムってのがやばい。トリムを攻略すればライネスはくそ弱かった。多分、俺でも勝てそうだ。本人もトリムがやられたら負けると言っていたので事実だろう。
モモゼの方が寝ている間に修行させられていたらしくて感じる力は大きくて嫉妬するが、それ以外は順調に仲良くなっていると思う。
「ずるいよな。寝ている間も修行できるなんて……」
「ライネスに聞いてみればいいんじゃないかしら?」
「ライネスか……アイツ、こっちにあんまり居ないんだよな」
「ライネスなら、こっちに居るわよ」
「わかるのか?」
「双子だから、なんとなく?」
「そんなもんか」
モモゼが案内していった先に、爺ちゃんと二人で赤い傘をさして庭に敷かれた畳とかいうのの上で座ってお茶を飲んでいる姿があった。二人共、着物を着ていて、お菓子を食べている。
「ずるいぞ!」
「お、キルアにモモゼか。丁度ええわ。お前達も座るといいぞ」
「ふむ。二人か。お菓子は充分だが、飲み物は子供が飲めるような物ではないな。ジュースを持ってこさせよう」
「いや、俺だって飲める! なめんな!」
「いいだろう。モモゼお姉様はどうする? お勧めはジュースだが……」
「キルアと同じで挑戦してみるから、お願いできる?」
「わかった。二人の挑戦に敬意を表して入れてあげよう」
「やれやれ。じゃあ、作法を教えてやるわい」
爺ちゃんに教えてもらいながら、正座というのをしながら待つ。拷問の訓練でやった事があるから平気だ。逆にモモゼは辛そうだ。観察していると、ライネスが正座しながら変な形の大きなコップっぽい物に緑の粉を入れてお湯を入れてからシャカシャカとかき混ぜていく。
爺ちゃん曰く、回して互いに飲んでいくようだ。飲んでみると無茶苦茶苦い。でも、ああ言った手前、ここで諦めたらかっこ悪い。
「菓子を一緒に食べると苦味が減るぞ。そのためにかなり甘く作られとるしの」
「そうなんですね」
「うむ。ほら、食べるとええ」
「はい」
「わかった」
二人でお菓子を食べると、確かに甘くて不思議な感じがした。わざわざ苦い思いをして甘い物を食べるなんて不思議だ。
「ところで修行は順調かな?」
「ああ、それなんだけどモモゼだけずるいんだ!」
「ずるい? 何かしたのかの?」
「ライネスがしているというか……」
「ああ、もしかして寝ている間に自動で訓練してくれるアレか」
「そんなのがあるのか。便利じゃな」
「操作系能力で無理矢理操っているだけさ。寄生型の念だと思ってくれ。だから、キルア君には使えない」
「なんでだよ!」
「それにはシルバお義父さん達の許可がいるからだよ。それに聞いたかも知れないが、操作系能力はすでに操作されている場合は受け付けないんだ」
「それってもしかして、俺って……」
「イルミ君の仕業だよ」
「あのくそ兄貴!」
「ライネス、どうにかできないの?」
「それに関してはあくまでもゾルディック家の事だしね。私はあまり関与できない。お姉様についてはさせてもらうが、その辺はどうかな?」
「シルバに相談するしかないの。キルアを殺さんための安全装置じゃし」
「ちっ」
まあ、親父を説得すればいいだけだな。それに疑問に思った事についても色々と聞いてみるか。ライネスに質問していくと、色々と教えてくれた。
「私は今、君がイルミ君を圧倒して倒せるように育成計画を進行している。だから、基礎訓練をしっかりとして欲しい」
「本当に俺が兄貴を倒せるのか?」
「ああ、むしろ私の想定通りに行くと相手にすらならんよ」
「まじか!」
「マジだ。丁度いい。完成した物を見せてあげるよ」
「なんだ?」
「ライネス、私には?」
「お姉様の分もちゃんとあるよ。私の個人資産から数億だして作らせたからね」
そう言って、どこかに連絡するライネス。少しすると執事の奴が大きなテレビを持ってきた。デッキもセットだ。そして、カルトも来た。
「なんで兄さんたちがいるの?」
「それはこっちの台詞だ」
「ボクはライネスに呼ばれたの」
「うむ。カルト君は和服を着ているからね。こういう催しはいいと思うんだ。それに彼女にとっても今から見せるのはためになるからね」
「なんでカルトは特別なんだよ」
「義妹だからだよ。何か問題があるかな?」
「あ~」
「ライネス……」
「なんで私の方が後に生まれてきたんだ……そうしたら、ジャックのようにかわいがるのに」
「いや、あれは遠慮したいよ」
「まあいいか。それより、今から見せる映像はこれから能力を開発するのに勉強になる」
そう言って、渡された眼鏡をつけて見せられたのはアニメだった。もう一度言う。アニメだった。登場人物は雷使いと人形使い、紙使いが邪悪な針使いを倒すというストーリーで立体的なアクションシーン。派手なエフェクト。雷を身に纏った奴が針使いの攻撃を避けたり、飛んできた針を電磁波で止めて跳ね返したりと、やりたい放題だ。
人形使いは様々な特殊能力を持つ人形を操り、戦うタイプみたいだ。こっちも結構強いけど、速さが圧倒的に雷使いの方が高いので勝てるようだ。紙使いは色々とえげつない戦法とかが多かった。紙を折り紙にして飛ばすのは普通で、その折り紙が爆発したり、発火したり、凍ったり、紙で巨人を作ったり、攻防一体の便利さだった。逃げる時も紙吹雪でかく乱し、大きな鶴にのって逃げるなど本当にすごかった。
「どうかな。これが私なりにキルア君がイルミ君を攻略する方法として考えてみた」
「なるほど。確かに針を防ぐか回避すればいいわけだ」
「当たらなければどうということはないのだ」
「当たりそうになったところで、電磁波で撃ち落とすと。確かに考えられとるが、これはちと難しくないかの?」
「イメージしきれないだろう。だから、ゲームも作ってみた。VR用対戦格闘ゲームだ。オンラインで多種多様なプレイヤーと対戦できる……といいたいが、流石にそれは無理だ。これは念能力者専用ゲームだからね。しかも自分の念能力を登録しないとできない。私の配下達や執事達の訓練ツールとして開発した。だから、ゼノお爺ちゃんも登録して欲しい」
「よかろう。孫のためじゃしの」
「三人は一応、こちらで能力を考えてみたので試してみて使い勝手が悪ければこちらのツールで改造及び修正してくれ。君達のメモリよりは少なくしてあるから大丈夫だとは思う」
「では、キルア君。質問だ。君は直流と交流、どちらが好きだね?」
「何言ってんだ?」
「いや、これからビリビリ訓練が始まるからね」
ライネスに説明された内容は単純だった。念を電気に変えるためには電流を浴び続けないといけない。そんなわけで小型のビリビリ君なる装置を開発してきてくれたらしい。持っているだけでバッテリーから大量の電気を流し続けてくれるという優れ物。本当は体内に小型の炉心を搭載するのがいいらしいが、そこまで小型化には成功していないようだ。話を聞いて思ったのは、ライネスはガチでやばい奴だ。
「ちなみに自分の身体で試してみたがすご~く痛くていっぱい泣いた。電磁加速砲はロマンなので、諦めはしないが……私の柔肌が大変な事になっているよ。やれやれ」
「解決法はないのかの?」
「個人で完結しなければあるよ。要は電力を生み出す装置があればいいんだ。なら答えは簡単だ。お姉様の人形に搭載して、キルア君が溜めた電力が無くなればそこから補充すればいい。いざという時は装置ごと人形を自爆させれば特攻兵器としても使えるから一石二鳥だね」
「ら、ライネスぅ~」
「ああ、泣かないでくれお姉様。お姉様の大切なぬいぐるみだと理解はしているが、お姉様やキルア君の安全の為ならば使い捨てるべきものだ。そうすればまた作り直せるからね。でも、お姉様やキルア君は死んだら戻らない。それをしっかりと覚えてくれ」
「う、うん……」
モモゼはぬいぐるみを作るのが趣味との事でもらった。俺とモモゼが手を繋いで中心にいるもので、俺達の隣にはカルトとライネスがいて、後ろには親父達がいる。ちなみに俺や親父達にはそれぞれ小さいぬいぐるみのキーホルダーと大きいぬいぐるみが贈られていて、母さんは喜んでいたけど親父達は扱いに困っていた。くそ兄貴はモモゼの前で捨てやがったけど。ブタ君はなんともいえない表情だったが、フィギュアと一緒に置かれているのが前に訪ねた時に見えた。モモゼは特に気にせずにブタ君とも付き合っているし、ライネスに至っては何故か意気投合しているからな。たまに言い合ったりもしているけど。ちなみにアルカの事を話して、アルカのぬいぐるみを作ってもらったりもしている。
「ミルキ君に作らせた電子回路と動力炉を搭載し、ミサイルとか積み込んだら面白いと思うのだが……」
「それもうぬいぐるみじゃないだろ!」
「ライネス……怒るよ?」
「……戦闘用にいくつかは作ってくれ、素材は提供するからさ。モモゼお姉様達を護衛する戦力は必要だから。イルミ君に狙われる可能性もあるからね。もし、それでお姉様が死んだら、ゾルディック家と戦争になるからね。ホイコーロとしても、妹としても、手段や犠牲を厭わずに報復する事になってしまう」
「わかった。ライネスが私の為に色々と考えてくれているのも理解しているから、頑張ってみる」
「お願いする。さて、カルト君はどうだね?」
「うん、凄い。これ為になる」
「他にもこんな物がある。ザ・ペーパーと言ってね……」
ライネスがカルトに世話を焼いている。それを少し嫉妬したような視線で見ているモモゼ。そこまで思われているライネスに俺は……いや、何を考えている。それよりも今はくそ兄貴を叩き潰す方法を身に付ける事が先決だ。
それからしばらくして、俺は無事に電撃を覚える事ができたし、モモゼもぬいぐるみを操る事ができた。カルトも折り紙を操るようになって、成長が凄く速くなった。最初は勝てていたのに電撃が切れるまで勝てないようになってきた。モモゼの協力があれば勝てるが、なければやばい。成長したカルトの能力に親父や母さん達はかなり喜んでいて、カルトも満更ではないようだ。
ただ、常に本を読んでいないと落ち着かなくなるほど本好きになったのは問題だと思う。後、元にしたザ・ペーパーよりも明らかに強い。だって、陰陽師みたいな事までできるようになってるし。その上に式神召喚ってなんだよ。この式神はブタ君とライネスが作ったロボットらしいけど、装備がやばい。ガトリング砲にミサイルとか、どこの戦艦だよっていうレベルだ。ちなみに動力はライネスが事前に貯めておいたオーラだ。カルトじゃすぐに枯渇するらしい。親父達でも無理な量のオーラが使われている。それほど、ライネスのオーラは総量が馬鹿みたいにあるようだ。
まあ、カルトは強くなったおかげか、俺とも普通に話すようになったし、モモゼと良くおしゃべりして、母さんと買い物に行くようになった。俺もたまに付き合わされるが、その時はモモゼが基本的に横で話し相手になってくれているので助かる。
そんな日々が過ごす中、理不尽なイベントが巻き起こった。
「ちょっと三人で狩りに行こうか」
俺達が訓練と称してライネスにボッコボコにされた後で気絶する前に告げられた言葉だ。そして、次に気付いたら三人で無人島に放り込まれていた。手紙が残されていて、自力で指定された獣を狩ったり、獣の角を取って帰ってくるようにとの事だ。相手は仮面の怪物でくそ強く、何時襲撃してくるかもわからない危険な存在だった。島全体も常に霧がでていて、視界も悪く、恐怖しかない。
「じゃあ、後はよろしく頼むね。シルバ・ゾルディック」
「了解した」
「一応依頼だが、殺さないように頼むよ」
「当たり前だ」
「この前、実験でうちの部下と執事達を叩き込んでやったら殺しかけたじゃないか」
「アレは、まさかネオン・ノストラードまでいるとは思わなかったからだ」
「まあ、事無きを得たからいいけどね」
「おかあさん。わたしたちも遊んでいいんだよね?」
「姿を変えて遊んでおいで。ただし、禁止事項は覚えているね?」
「うん! 殺さない! 手足を切り落とさない! 軽く斬ったり痛めつけるだけ!」
「そうだ。これはあくまでも遊びであって殺し合いでもない。仮面の角を取られたら終わりだからね。それと島に設置した宝箱はくれぐれも壊さないように」
「は~い。じゃあ、いこー!」
「ああ」
「肩に乗ってると、まるで親子だね」
「おとうさん?」
「待て。それをキキョウに聞かれると俺がやばい」
「おじいちゃんが正解だね。まあ、楽しんでおいで。私がやばくなれば召喚するから、それまで決まり事さえ守れば好きにやるといい」
「うん。またね、おかあさん!」
「いってらっしゃい」
カルトの能力を見てザ・ペーパーだと思った人は少なくないはず……
ちなみに書くつもりは今の所ないですが、キルア君達三人の訓練はハガレンで師匠によって無人島に放り込まれた感じです。
鬼はシルバ・ゾルディックとジャック・ザ・リッパー。手加減はしてくれるけれど、強さはとんでもないです。
カルト君の念能力、式神召喚はゾルディック家の倉庫にある式神ロボットを召喚、転送及び送還するだけの力です。事前に神字を書き込んだ札で陣を形成して、ロボットを置いておきます。続いて呼び出すところに陣を作って召喚する感じです。つまり、趣味的な感じなのでほぼ使えない。兄と義理の姉のお願いだから仕方なく聞いているだけです。なので普段はこれを使って本や紙を召喚します。
キルア君は原作通りで、神速と放電を覚えたぐらいです。ヨーヨーはまだありません。
モモゼの念能力は自分で作ったぬいぐるみを操作するだけ。現状では三体までです。一つは発電機搭載型。もう一つは竜の爪装備の近接戦闘タイプ。最後はガトリング砲装備の射撃タイプ。念弾を放つ感じですね。ライネスのオーラがないとまともに運用できない物です。
ジャンヌダルク・オルタの名前
-
ジャンヌ
-
エリス
-
レティシア
-
その他適当にランダムジェネレータ
-
ルーシャ