ライネス・エルメロイ・アーチゾルテの真似をする性転換少女 作:ピトーたんは猫娘
お姉様達を島に閉じ込めて鍛えてもらっている間、私はクルタ族復興のためにかの村を視察に向かう途上に居る。というのも、パリストン・ヒルを処分してハンター協会にもメスを入れたから、そちらの方にまで手が回らないのだ。
まあ、ちゃんと緋の目は確保してあるから問題ないのだが、式典の方を行うために私が直接出向いて指揮を執った方が手っ取り早い。そんな訳でクルタ族の村へと向かう事になった。
もっとも、寄り道はする。クルタ族の近くには欲しいものがあるからね。それにお姉様やキルア、カルトが頑張ったご褒美としてある物を手に入れるためでもある。
そんなわけで、例の物がある田舎へとやってきたんだが、すでにちょっと涙目だ。なんでこんな悪路をはるばる高級車に乗って自分できたんだろうか。人に頼んでおけばよかった。それこそハンターに頼んでもいいレベルだ。
まず、悪路によって揺れ動いて私の、ライネスの可愛らしいお尻が痛くなるだろう。気分的に。あっ、今も何かに乗り上げて上下に揺れた。月霊髄液をクッションにして安全を確保しているが、これでは車内で仕事ができない。それに──
「ライネス、また襲撃よ」
「今度はなんだい? 巨大な狼かね? それとも巨大な猪? もしかして目玉の生物かね?」
「ワイバーンね」
「話の途中だが、ワイバーンだ。という奴か」
「いえ、何を言っているのかわからないんだけど?」
「なんでもないよ。トリム、排除しろ」
──FGOのネタは運転手であるメンチには伝わらない。一応、ベンジャミンお兄様から派遣されている施設警備の人は施設に置きっぱなしなので、気楽にトリムに命じてGE製の30mm ガトリング砲、GAU-8 Avenger(アヴェンジャー)を使わせて迎撃させる。
口径30mm、銃身長2,299mm、使用弾薬30x173mm、装弾数1,350発、全長6.40m、銃本体の重量が281kg、システム重量1,830kg。毎分3,900発。銃口初速1,067m/s、有効射程1,220m。空を行くワイバーンでもトリムの銃弾を空にばら撒くことで撃ち落とし、落ちたワイバーンをトリムの体内に取り込んで銀の鳥をトリムごと回収する。
「なんでこんなに襲われるのよ!」
「さあ、わからないが……案外、私達が美味しそうだからかもしれんよ」
「食べられるのとか、絶対に嫌よ」
「むしろ食べる側だしね。今回の目的も……」
「ええ、美味しい物を求めてよ。っと、到着したみたいね」
私達がここまでやってきた理由は一つ、皆のご褒美に買おうとした物は高級品で人気の商品だ。だが、流通ルートが魔獣に寸断されて供給が途絶えたらしい。だから、生産する村へ出向いて直接、買い付けに来たわけだ。まあ、少し遠回りするだけだと思ったからだが、それが魔獣に襲撃を受けまくっているわけなのだよ。
「やっとか。歓迎は……されていないわけではないようだ」
簡易的なバリケードと門を抜けると車の近くに村人達が武器を持ってやってきていた。彼等の表情は恐怖と安堵がごちゃ混ぜになったような感じだね。
「ちょっと事情を聞いてくるから、護衛対象のライネスは出ないようにね」
「ん~そうだね……いや、私も出よう」
「危険は……いや、ライネスなら問題ないか。見た感じ、使い手は……居るわね」
「居るね。だからこそ、私も出た方がいい。室内では戦い方が限られるしね」
「わかったわ」
外にメンチが扉を開いてくれるので、外に出る。すぐに視線が集まってくるので、私は着ている緑色のワンピースを掴んで挨拶をする。挨拶は基本だしね。
「私はライネスという。面倒な事は嫌だから家名は伏せさせてもらう。こちらは護衛のメンチ君だ。それで、これはどういう状況かな? 事と次第によってはこちらも対応しないといけない。一番偉い人が教えてくれると助かるのだが……」
「それならわしじゃ。わしはこの村で村長をしておる」
「なるほど。では、まずはその物騒な物を下げて文明人らしく話し合いをしようじゃないか。こちらに戦闘をする意思はないのだが、降りかかる火の粉は払わなくてはいけないのでね」
「ああ、これは失礼しました。我々も連日、魔獣の襲撃と先に響いた爆音で警戒しておったのですじゃ」
「なるほどね」
村長が指示を出すとすぐに武器を下げて散っていった。おそらく、警戒に戻ったのだろうね。何人かはこちらを監視しているのがわかるし、間違いはないだろう。
「それでライネス様は国が派遣してくださった役人の方でしょうか? それともハンターの方でしょうか?」
「違うね。私はただのしがない買い物客さ。こちらの村で作られている物を買いに来たんだ。都会の方で買おうとしたが、流通ルートが寸断されて品切れと伺ったのでね」
「そ、そうですか……で、ですが、魔獣を突破できる実力はあるのですよね?」
「私の護衛は優秀だからね。彼女は私が雇っているハンターだし」
「ま、まことですか!」
「ええ、確かにアタシはハンターよ」
「それでしたら魔獣の討伐をお願いできませんか!」
「ライネス……」
「おいおい、駄目に決まっているだろう。メンチ君は私の護衛だ。二重契約は感心しないなぁ~」
こちらを縋るように見てきた村長とメンチ君の視線に片手を後ろにやってもう片方の手の親指を唇にあてながら笑う。
「ま、そうよね。アタシは無理だけど、ハンター協会や国に依頼は出しているんでしょう?」
「国には依頼しましたが、国の持つ戦力では対処できないので、ハンター協会を頼れと……」
「まあ、ここの国は軍事力が低いしね」
この国は経済を優先し、軍事力は港を守る事に特化させている。国内の事はハンター協会に依頼して解決しているので問題はなかった。軍事力を維持するよりも、ハンターを金で雇った方が格段に安いからだ。それに警備隊や警察ぐらいはちゃんと存在しているのだが、魔獣に対抗するには練度も火力も足りないだろう。
「じゃあ、ハンター協会でいいじゃない」
「それが……」
「依頼料が馬鹿高いのよ!」
「こ、これっ! 下がっていなさい!」
少女が口を出してきた。彼女は黄緑色の髪の毛をしていて、赤い頭巾を頭に巻いている。服装は白いワンピースに赤い上着で田舎娘といった感じだ。私は彼女を見て、思わずニヤリと笑ってしまう。
「いやいいよ。事実だろう?」
「そうね。アタシ達が来る時に出会った魔獣を基本にするとランクCからBってぐらいね。ワイバーンがBね」
「確か依頼料は数千万か」
「群れてるみたいだしね」
狼と猪だけならまだ安いだろうが、ワイバーンまで出るとなると必然的に空への警戒も必要だ。銃弾が効けばいいが、鱗で弾かれる事もあり得る。
「とてもじゃないが、払いきれません。国から支援を受けようにも助成金も安くて……」
「なるほど、ちなみに魔獣の規模はわかっているのか?」
「それは……狼と猪の群れに……」
「後は竜よ」
「竜?」
「これっ!」
「私、聞いたの。あの遠くの山に大きな竜が飛んでいるの」
「聞けるわけなかろう。嘘をつくんじゃない。蜂の話なんて……」
「聞けるわよ。何で信じてくれないのよ」
「そんな事は不可能じゃ!」
もう彼女が誰かわかっただろう。そしてここに来た目的も。そして、先の会話からわかるように、彼女はすでに感染しているか潜在的に覚醒している。
「まあ、落ち着きたまえ。ワイバーンではない大きな竜が居るというのなら、その竜を恐れた魔獣達がこちらに押し寄せてきたというだけだろう」
「その可能性は十分にあるわね」
確か、パリストンから押収した報告書に竜の存在が明記されていたね。クルタ族の誰かが竜に変わって幻影旅団を撃退したとか。その後、しばらく経って村から出て行ったとも書かれていたはずだ。クルタ族が住んでいる場所は彼女が指さした山を越えて少し行った先にある。あながち間違いでもないだろう。
「参考までにメンチ君、竜の討伐代金はいくらかね?」
「億単位は間違いないでしょうね」
「無理です! ですから、せめて魔獣だけでも倒していただけないでしょうか! 出来る限りのお礼はさせていただきますので!」
「群れ二つで数千万ジェニーはいくのだが、払えるのかね?」
「それは……四百万ジェニーが村で集めた限界でして……」
「ライネス、どうにかできない?」
「相場の十分の一以下か。これで依頼を出しても物好きが来ると思うかい?」
「無理でしょうね」
「だそうだ。諦めたまえ。私は買い物に来たのであって、魔獣を討伐しにきたわけではないのだよ」
「そんな……」
「勝てるなら助けてよ! 力があるんでしょ!」
「お嬢ちゃん、何事にも代価は必要なのだよ。私がお金を出すだけの価値が見いだせない」
実際、銀の鳥が関わっているのだから、私の責任だ。助けるつもりはあるが、安請け合いはできない。もし、私が安請け合いをすればその値段でやってくれたのだから、次もその値段でとごねる可能性がある。他のハンターが迷惑を被るというわけだ。もっとも、私達を襲ってきた奴等は排除させてもらうが。
「さて、私は蜂蜜を買いにきたのだ。先程の話を聞く限り、君は蜂の話を聞けるらしい。それなら、美味しい蜂蜜を売っている店を教えてくれるかな?」
「それならうちだけど、アンタに売るものなんてないわよ!」
「それは困った」
「蜂蜜と交換で助けてくれるならいいわよ」
「流石に対価があわないな。ああ、そうだ。とりあえず、君のご両親の所に案内してくれるかな? 話をしたら、もしかしたらお金を出せるかもしれないよ」
「わ、わかった……」
さて、彼女の家に案内してもらうとしよう。
◇
彼女の家はカフェもやっているようだ。蜂蜜茶や蜂蜜酒なんてのもある。
「ポンズ、お帰りなさい。あら、お客さんかしら?」
「ええ、蜂蜜を買いにきました」
「それはありがとうございます」
「売っちゃ駄目だからね! こいつは……」
「こら! そんな事を言ってはいけません!」
「ご、ごめんなさい」
ロリポンズがしょげている姿は彼女のファンからしてくるものがある。ああ、安心したまえ、ちゃんと君は助けてあげるし、悲惨な運命を辿らないようにする。
「とりあえず、蜂蜜茶とお菓子を適当にくれないか?」
「わかりました」
「メンチ君もそれでいいかね?」
「いいわよ。味を確かめてから買うかどうかを決めるから」
「食事はメンチ君に任せているから、好きにするといい」
「むぅ~」
12歳前後のポンズは大変可愛らしい。まだクールで冷静な性格をしていないようだ。
「どうぞ」
出されたのはホットケーキと紅茶だ。蜂蜜を好きなようにかけて頂けばいいらしい。紅茶を何も入れず香りを確認してから飲んでみるが、やはり余り美味しくない。普段から高級茶葉に慣れていると仕方がない。
蜂蜜を少し入れると、味が全然違う。格段に美味しくなった。ホットケーキにも蜂蜜を垂らして食べてみるが、これはいい。
「素晴らしい蜂蜜だ。在庫を売れるだけ買い取りたい」
「ありがとうございます。出荷ができないので沢山ありますが……」
「全部買わせてもらう。メンチ君、味はどうだい?」
「ええ、これならライネスの食事に使っても問題ないレベルだし、合格よ」
「なら個人用だけじゃなくて、お土産として確保かな」
蜂蜜に満足したので次の話をしようか。
「ポンズだったか」
「なによ」
「君、蜂と話せるんだったね」
「そうよ。どうせ嘘だって言うんでしょ……」
「いいや、私は信じるよ。私もメンチ君も君と同じ特殊な力を持っているからね。私達が魔獣を倒しているのも君と同じ力だ」
「ちょっとライネス!」
「このまま下手に覚えられるよりは教えた方がいいだろう。下手をして洗礼を振りまかれてもかなわんからね」
「それは……」
「信じられない」
「うむ。もっともだ。先に私の力を見せよう」
パチンと指を鳴らしてトリムマウを呼び出す。彼女は一礼をしてから私の後ろに控える。
「この子が私の能力だ。君は蜂と会話したり操ったりできるようだが、大元は同じ力だ。その力は非常に危険でね。正しい使い方を知らないと最悪、死に至るし沢山の人を殺す事になる。だから、私の下で修行してみる気はないかね?」
「え?」
「あの、話が見えないのですが……」
「簡単に言えば彼女のスカウトだよ。代金はそうだね……10年。10年間、私の下で修行し、私に仕えてくれるなら現状、この街で起こっている魔獣の件を解決しよう。それとこの店を買い取るか、資金援助をしてもいい。もちろん、給料もしっかりと支払う」
10年もあれば原作も大幅に進んでいるし、ポンズの強化も終わっているからそう簡単に死ぬ事はなくなるだろう。
「本当に?」
「ああ」
私の個人通帳を見せて実際にお金がある事を確認させる。
「こう見えても王子様……いや、わかりやすく言うとお姫様だから、お金は持ってるわよ」
「こう見えては余計だよ。お母様の方はまだ理解できていないだろうから詳しく説明させてもらおう」
念能力についてもしっかりと教えていく。実践して教えると理解してくれた。危険性もしっかりと教えたので、すぐに夫も呼んで話し合いが行われた。交渉に交渉を重ねていく。
「私、ハンターになりたい」
「正式なハンターはもれなく全員が念能力者と言っても過言ではないよ」
「でも、この話を受けたらハンターにはなれないのよね?」
「試験を受けるのは自由だよ。休みの間に取りにいってもいいし、私が12歳になったら取りに行くつもりだから、その時にでも一緒に受ければいいんじゃないかな? サポートしてあげられるし、そんなに欲しいというわけでもないからポンズを優先してもいいし」
「なるほど……」
「つまり、ポンズの夢のため、修業期間というわけだ。後、メイドとして教育もするし嫁の貰い手は十分にできるだろう」
あの手この手で説得し、メリットとデメリットを伝えていくとしっかりと納得してもらえた。その過程で両親も念能力を覚える事になった。蜂の世話をしてより良い蜂蜜を作るのに便利であり、蜂や村を守るためだね。それにポンズが操る蜂を選別し、強い個体を生み出す必要もあるので、そこの管理人としては丁度いい。
メンチ君は反対したいようだが、現状では魔獣が増加しているためにハンターが不足している。その事を考えると致し方あるまい。ご両親もハンター登録してもらうか、契約を交わして外部に漏らさないことを誓ってもらうことで納得していただいた。ハンター試験の協力者となったりもできるだろう。
「では、契約はなった。明日は散歩に出かけてくるからメンチ君は適当に過ごしていていいよ」
「待ちなさいよ。アタシは護衛なんだけど?」
「竜相手にメンチ君を守りながら戦うのはしんどいんだが……」
「竜までやるつもりなの!?」
「まあ、その予定だが、流石に村の周りを片付けてからだ。その間、メンチ君はポンズの修行を見てほしい」
「まあ、確かに護衛は要らないかもしれないけど、駄目よ」
「むぅ」
「それにポンズも連れて行ってどんな力が必要か見せた方がいいでしょう」
「それもそうだね。なら、三人でピクニックといこうか」
楽しいピクニックだ。それと宿がなかったのでここで泊めてもらう事にした。皆が寝ている間に例の竜について調べる──
◇
山の山頂にある洞窟。そこに視界が飛ばされた。
『もうここに来るなと言っただろう』
「嫌よ。なんでお父さんに会いにきたら駄目なのよ」
『私がもはや人ではないからだ』
「関係ないわ。人じゃなくなっても私の、私達のお父さんなのよ。それなのにお姉ちゃんもエリスも、村の奴等も何も分かっていない! お父さんが竜になるぐらい頑張ってくれたから助かったのに!」
『仕方のないことだ。私はもうまもなく私ではなくなる。ただの本能に生きる獣となってしまい、最後には死ぬだろう』
「お父さん?」
『そうなれば愛しい娘であるジャンヌを襲って食べてしまう。それだけは避けなくてはいけない。だから、ここにはもう来るな』
「いやよ。絶対に何か方法があるはずなんだから、私は諦めないわ!」
どうやら、少女の名前はジャンヌというらしい。金髪の素朴な少女だ。父親が竜へと変じても変わらず会いにきているようだな。ただ、どう見ても私の知っているジャンヌには見えない。
『無理だ。銀翼の凶鳥で一度変化したら戻る事はない』
「それこそ、ソイツの主を見つければ願いが叶うって言われてるじゃない!」
『眉唾物だ。それに七年以上の月日が経っているが、誰も見つけていない』
「それでもお父さんを諦めない。それにいざとなったら……」
『やめなさい。私はお前達を守れただけで満足だ。それに母さんの所に行くだけだ』
「お父さん……」
『さあ、帰りなさい。これ以上ここに居たら下山する途中で夜になってしまう』
「わかったわよ。また来るからね」
『もう来るなと言っているだろう』
「い・や・よ」
『まったく、レティシアと同じように素直に成長してくれればよかったのに』
「ふんだ。どうせ聞き分けは悪いわよ。じゃあ、またね」
ジャンヌと呼ばれた少女が洞窟から出て山を駆け下りていく。その身体能力は高く、流石はクルタ族といえる。
『私の理性が持っている間に……誰か、私を殺してくれ。頼む……娘を襲いたくはない。私はファヴニールでは……いや、ファヴニール……違う! 私は人間だ! 人間は食料……わからない。くそ、くそっ、誰か、誰か! 頼む、私を止めてくれ! 獣に落ちる前に!』
悲鳴をあげる竜の声は周りには雄叫びにしか聞こえず、意味を理解していない魔獣は恐怖にかられて少しでも距離を空けようと移動していく。
◇
やれやれ、これは竜退治が決定だ。銀の鳥をばら撒いた私の責任だろう。しかし、一人でファヴニールとバトルとは、流石に無理じゃないか?
せめてジークフリートかアサシンが欲しい。いや、アサシンは居るな。ジャックを呼び出して、幻影旅団も……駄目だな。クルタ族を余計に刺激するだけだ。やはり、まずは責任を取って一人で戦ってみるか。無理そうならジャックを呼ぶとしよう。
三姉妹決定。
父親:ジークがファヴニール化
母親:死亡
長女:レティシア
次女:ジャンヌ
三女:エリス
ジャンヌダルク・オルタの名前
-
ジャンヌ
-
エリス
-
レティシア
-
その他適当にランダムジェネレータ
-
ルーシャ