ライネス・エルメロイ・アーチゾルテの真似をする性転換少女   作:ピトーたんは猫娘

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第35話

 

 月に照らされながら、森の中を馬となったトリムマウに騎乗して突き進む。

 今回の目的は弟子から頼まれてたファヴニールの対処だ。普通ならこの私が自ら動くことなんてしないが、可愛い弟子の為だから、師匠である私が頑張ってやらないとな。

 まあ、どちらも()なのだからこそ、やる気になっているだけなのだがね。そうでないとこんな面倒な仕事は誰かに丸投げしてやる。例えば親愛なる兄上(ロード・エルメロイ二世)とかね。

 こちらの世界ではまだ居ないのが残念である。弟子が用意した代用品はあるが、アレはまだ駄目だ。裏切る可能性がとっても高いからね。そう考えるとここでぶつけてある程度始末するのも妙手かもしれない。

 ただ、あれらは他のホイコーローに対抗するための札に成りえるから今、消すのは得策じゃない。ベンジャミンお兄様の手勢と殺し合って欲しいからね。ツェリードニヒお兄様の方は直ぐにでも殺すのがベストだろうが、そうするとベンジャミンお兄様や他の連中に隙を作る事になるからこちらも保留だ。

 それに最悪、どこぞの魔術使いがやったように船ごと沈めてしまうのも手だろう。邪魔な王族は弟子と姉以外は全て排除できる。その後は弟子が舵取りをすればいいが……被害がとんでもない事になるんだよ。

 流石に私としても生活に国税を使わせてもらっているのだから、国が文字通り消える確率が高い手は実行したくはない。そんなわけでファヴニールの相手は私自身でまずはやってみよう。何、どうにかなるだろう。

 おっと、考え事の途中だが、ワイバーンだ。

 

 

 

 

 

 

 さて、空から森の中へと急降下してくる三体のワイバーン。ワイバーン以外にもそれなりの数の魔獣が私を目掛けて襲い掛かってくる。

 いや、正確にはワイバーンから逃げている魔獣の群れの進路に私が居るといったところだろう。一メートルクラスに巨大化したネズミやカマキリなど多種多様だが、どれも私の敵じゃない。

 

「これはお兄様のものなんだが、我がエルメロイが引き継ぐ遺産ではあるので使わせてもらおう。Fervor,mei Sanguis(沸き立て、我が血潮)

 

 オーラを込めて術式(念能力)を起動させる。すると私の身体から水銀が溢れ出し、空中で停止しながら指示を待つ。それもまるで小動物みたいな感じでだ。

 

Automatoportum defensio(自律防御)Automatoportum quaerere(自動索敵)Dilectus incrisio(指定攻撃)

 

 月霊髄液(ヴォールメン・ハイドラグラム)の起動後に行われる初期設定を行う。弟子の月霊髄液(ヴォールメン・ハイドラグラム)の能力を引き継いではいるが、初期設定はしないといけない。

 

Fervor,mei Sanguis(滾れ、我が血潮)

 

 柱状の棘へと変形させ薙ぎ払わせる。月霊髄液(ヴォールメン・ハイドラグラム)は指示通りに魔獣の群れを吹き飛ばす。何匹は空中にあがったので、柱を操作して空中に居るワイバーンへと打ち出すが普通に回避された。

 

「やはり、速さが足りないか」

 

 弟子が考案した通り、散弾のように飛ばす方がオーラのコストは上がるが効率的だろう。しかし、やってみたい事もある。丁度いいので試してみよう。

 まず、上空に大量の水銀を具現化し、それらを複数の六角形の柱型に形成して地上に落とす。空を飛ぶワイバーンを囲むように巨大な柱を作り上げて隙間なく六角形の陣に囲みいれる。何匹かは形成途中に叩き潰したが問題あるまい。

 ワイバーンは当然のように外へと逃げようと上を目指すので、その上から蓋のようにして巨大な六角形の柱を叩き落す。

 

石兵八陣(かえらずのじん)なんてね」

 

 銀の囲いで作った処刑器具だ。地面も水銀で覆っているので、無数の杭でも形成しておけばこれでワイバーンも魔獣の群れも終わりだ。

 後はこのまま磨り潰して月霊髄液(ヴォールメン・ハイドラグラム)の中に取り込んでオーラに変えてしまえばいい。念のため、銀の鳥に関してはこのまま解放すれば疑われることなくオーラとメモリを回収できると言ったわけだ。

 

「お兄様の真似をしてみたが……効率的じゃないな。そもそもお兄様の宝具は私と同じで攻撃系じゃないからね。どう思う?」

「おっしゃる通り、無駄かと」

「だよね。うん、止めだ止め」

 

 手を叩いて解除し、月霊髄液(ヴォールメン・ハイドラグラム)を手元に呼び寄せる。空中や地面から戻ってきた血塗れなそれらを見て次の指示を出す。

 

命令(オーダー)ire:sanctio(追跡抹殺)だ」

 

 月霊髄液(ヴォールメン・ハイドラグラム)を細かく分離させ、バグと言ったか。アレと同じ形状にして吹き飛ばした生き残りに向けて追跡させる。そのついでに地形を把握する。

 これが出来れば作戦が立てやすくなるし、村へと向かうかもしれない危険生物を排除できる。その上、オーラの回収にもなる。

 

「トリム、このまま狩りながら山へと散歩しに向かうよ」

「かしこまりましたお嬢様」

 

 トリムマウに乗りながら山へと駆ける。乗馬経験はライダーの騎乗技能で問題ない。この身はサーヴァントでもあるのだから騎乗スキル程度は持っているのだし、運転はトリムマウにお任せだからね。

 

 

 

 

 ◇◇◇

 

 

 

 

 無事に山の八合目ぐらいへと到着し、人の出入りを示す足跡がある洞窟を見つけた。おそらく、ここがファヴニールの住処へと繋がっているのだろう。情報にあった少女の背丈から考えられる大きさの靴跡と一致しているし、間違いないだろうね。

 普通なら彼女はここに来る事はできないだろう。何せ、無数のワイバーンを始めとした魔獣が無数に居たのだ。だが、山に近付くにつれて魔獣はおろか、普通の生物すら居なくなってきた。そのため、彼女は普通にこれるのだろう。

 また、山に近付くにつれて緑も少なくなって空気も淀んできている。これらの影響は考えるまでもなく、ここにファヴニールが居るからだろう。かの邪竜を恐れて魔獣や動物、虫などが逃亡し、邪竜ファヴニールが発する毒素で空気が淀んでいるというわけだ。

 このまま放置すれば山を中心としてこの辺り一帯の草木は毒に汚染されて枯れた大地となり、毒がそこかしこに湧く地獄へと変わるかもしれない。ファヴニールは毒のブレスも吐くから、普通の人間じゃ近付く事すらできない危険生物だ。

 まあ、彼女が近付いていたという情報があるから、今はそこまで竜化は進んでいないみたいだが、時間の問題だろうね。

 

「トリムマウ。掃除を頼むよ」

 

 馬状態のトリムマウから降りた私は彼女に指示を出して先に進んでもらう。

 探査用としても使える銀の鳥は如何せん、動き回るので視界がコロコロ変わってしまう難点があるので詳しく知る場合にはやはり複数の運用とトリムマウや月霊髄液(ヴォールメン・ハイドラグラム)による探査が必要だ。

 

「かしこまりました。少々お待ちください」

 

 トリムマウが銀色の水、スライム化して洞窟へと進んでいく。

 私はしばらく待機になるので、護衛を月霊髄液(ヴォールメン・ハイドラグラム)に任せて銀の鳥を使ってこの辺り一帯をもう一度調べ直す。

 俯瞰すると山頂には大きな穴が空いているのが確認できた。休眠状態の火山なのだろうが、これは開発すれば色々と使えそうだ。

 

「まあ、捕らぬ狸の皮算用か」

 

 呟くと同時に視界に月の光に照らされた黒色の鱗に覆われた巨大なドラゴンの姿が見えた。全高だけでも6メートルから7メートルはありそうだ。ドラゴンにしてはまだ小振りなのかもしれない。これ以上成長したら手が付けられないかもしれないが、その前に寿命で死にそうだね。巨体を維持するにも相応のエネルギーが必要だし、あくまでも銀の鳥はその者が持つ生命力とスペック、寿命を対価に願いを叶えている。

 今回の場合は明らかに必要なエネルギー量が不足して、一般人じゃ維持できるはずがない。だが、素体は特殊な魔眼を持つ化け物な才能を持つ種族なんだから維持されているのかもしれない。なんせ、クルタ族は念能力が使えないのにウボォーギンに強かったと言わしめたほどの者達だ。

 

「まあ、生物には変わりないのだからやりようはあるさ」

「お嬢様、お待たせいたしました。目標が居る場所までの安全は確保致しました」

「お帰り、トリム。それとありがとう。じゃあ行こうか。エスコートを頼むよ」

「はい。どうぞこちらに……」

 

 トリムマウに案内を任せて洞窟の中を進んでいく。既に夜になっている上に洞窟は光源など無くて真っ暗なのでトリムマウに手を引いてもらわなくてはいけない。彼女の視界をもらえば問題ないだろうが、こっちの身体が無防備になってしまうからできない。

 

「ひゃうっ!?」

「大丈夫ですか? 一応、地面は均しておきましたが……」

「だ、大丈夫だ、問題ない! 気にせず進みたまえ」

「はい」

 

 その上、たまに水滴が落ちてきて背中や髪の毛に当たって不覚にも悲鳴が出て身体が飛び上がってしまう。こんな声を出すのは嫌なので、月霊髄液(ヴォールメン・ハイドラグラム)を傘にして進む事にしよう。ただでさえ、トリムマウが地面を削り取って歩きやすくしてくれているし、これ以上迷惑はかけられない。それにひ弱な令嬢の身体と違ってこの身はサーヴァントだ。身体能力の強化もされているのだし、大丈夫だろうさ。

 

「お嬢様、到着いたしました」

「ご苦労様だった」

 

 洞窟の先に広い空間が見える。そこは天井から月の光が差し込んでいる幻想的な場所なのだが、月の光を浴びているのは漆黒のごつごつした鱗を持つ巨大なドラゴン。鱗に覆われた巨体とそれに見合う鋭い爪や牙を具え、毒や火のブレスを吐いてくる。

 その内包している生命力は強く、一目で人との格が違う事を見る者にわからせる。ブレスの一撃で街を吹き飛ばし、防衛がしっかりとしているオルレアンを消し飛ばす事が可能と言われるだけはある。空飛ぶ戦車などの戦術兵器などではなく、まさしく戦略兵器と言えるだろう。

 そんな相手の顔がこちらを見詰めていて、しっかりと私を認識している。それも待ち構えていたかのように口を開いていた。

 

「トリムマウっ!」

「Yes,Master」

「■■■■■■■■■■■■──ッ!!」

 

 あちらは通路に居る私に向かっていきなり火炎のブレスを放ってきた。その対応としてトリムマウが盾を展開するが、即座に水銀が泡だって消失していく。

 

「形状を変更し……いや、必要ないか」

 

 私が指示をする前にトリムマウが円錐状に盾を変形させ、なおかつ高速回転する事で炎を後ろに流し込んでいく。高速回転させる事で熱を流すと同時に冷やしているのだろうが、後ろはファヴニールの炎に煽られて地面が結晶化していっている。

 水銀のドリルが壊れそうになったら、もう片方の手をドリルにして防ぎつつ修復する。物凄い勢いでオーラを消費しているが、余裕はまだまだある。いざという時は弟子から奪えばいいだけだし大丈夫だろう。

 

「■■■■■■■■■■■■──ッ!!」

 

 ファフニールがこれでは埒が明かないと判断したのか、更に火力を上げてくる。だが、なんというかトリムマウの方も可笑しかった。

 

「無駄です。わたしたちは一分前のわたしたちよりも進化します。一回転すればほんの少しだけ前に進む。 それがドリルなんです!! 」

「弟子はトリムマウに何を教えているんだ」

 

 グレンラガンの台詞のようだが、実際に水銀のドリルは熱で完全に崩れる事はなくなっている。どうやら、より硬質化して回転速度を上げ、更には耐熱コーティングのように本体部分を守る膜を作り、それが剥がれる直前で交換しているようだ。

 私自身、何もしないわけではなく、月霊髄液(ヴォールメン・ハイドラグラム)の一部を地面からあちらへ流し込んでいる。だから、こんな事もできる。

 

「っ!?」

 

 地面から月霊髄液(ヴォールメン・ハイドラグラム)を突撃させ、ブレスを吐いているファヴニールの顎を六角形の柱で叩きあげる。当然、ブレスの方向は上に逸れたのでそのまま突撃だ。

 

「マスター、そこはドリルで……」

「五月蠅いぞトリムマウ!」

 

 確かに私もその方が良かったかと思ってしまった。だって、相手は無傷だしね。それよりもファヴニールは即座にブレスを諦めてドラゴンテイルを振るってくる。

 

「無駄です」

 

 トリムマウがドラゴンテイルを受け止めている間に私は全力ダッシュをして広場の端へと移動する。トリムマウの方は身体を叩き潰されたが、逆に尻尾に絡みついてその身を刃に変えてチェーンソーみたいな形状へと変えて切断しようとする。

 

「貴様こそ無駄だ」

 

 ファヴニールの言う通り、尻尾の鱗とチェーンソーの刃から金属音が響くだけで切断できていない。

 

「マスター、対処方法を変えます」

「許可する。存分にやりたまえ」

「Yes,Master」

 

 トリムマウの両手がガトリング砲へと変化して重低音を響かせながら銃弾をまき散らしていくが、そのほとんどが強靭な鱗によって弾かれていく。弾かれた弾丸は壁を貫通して遠くへと飛んでいく。

 生物の弱点である目を狙うも、腕でガードされる。比較的に柔らかく見える腹や喉を狙うも、こちらも弾かれるので対処ができない。では、ハンマーによる物理攻撃はどうか? 

 

「っ!?」

 

 少し吹き飛ぶ程度で普通に対処されてしまう。体内から入れば問題はないのだろうが、定石は口からだろうな。だが、それは当然のように相手も警戒している。そうなると……やはり、アソコか。

 

「小さき者共よ、我が財宝を狙いに来たカァァァァッ! 万死に値する! 誰にも渡さぬぅぅぅっ!」

「財宝などどこにもないのだがね」

 

 片腕でもう片方の肘を支えながら頬に手を当てて考える。もちろん、周りは月霊髄液(ヴォールメン・ハイドラグラム)でガードしているし、とある作戦を実行中だ。

 

「否! 我が財は……財は……無いっ! 無い無い無いないないないぃぃぃ! 何処へやったぁぁぁぁっ!」

 

 ファヴニールは周りを見渡すが、そんな物は何処にもない。そもそもファヴニールが言っている財とはなんだ? 金貨か? 宝石か? それとも……

 

「いや、知らないよ。トリムマウは知っているかい?」

「いえ、知りません」

「だよね。というわけだ。私達じゃない」

 

 トリムマウは片手をハンマーにして、もう片方の手を細い剣にする。それでファヴニールを殴り、体勢を崩した所で剣を鱗と鱗の間に突き刺す。しかし、傷がつかないようだ。皮膚ですらかなりの硬さを誇っているように見える。

 

「嘘だ、嘘だ! また貴様等は俺から! ()()()! 大切な者を奪っていく!」

 

 やはり、物ではなく者なのだろうね。まあ、あくまでも仮説だが、弱点は判明したな。彼女達を利用したら殺す事も懐柔する事もできそうだ。

 

「ふむ……」

「次はこれです」

 

 またトリムマウが腕をガトリング砲に変えて弾幕を展開するが、今度は跳弾せずに相手に貼り付いていく。鳥もち弾と言ったところかな? 

 

「無駄だ! こんな物!」

 

 身体を回転させて貼り付いた水銀を振るい落としてくる。それも高速回転なためにドラゴンテイルも一緒でちょっとした台風のようになって吹き飛ばされた。

 私とトリムマウはそれぞれで壁に着突しながらも水銀を操作してクッションに変化させる事でダメージを防ぐ。だが、そのまま何度も吹き飛ばされてビリヤードやパチンコの玉のようにあっちこっち行かされて目が回ってくる。

 

「鬱陶しい! こうなれば……」

 

 ファヴニールが空へと飛び上がりながら、口を大きく開いて紫色の物体を口の中へと集めていく。

 

「おっと、それを放っていいのかい? 君の宝も()()()()()()()?」

「っ!?」

「彼女はまた明日も来るんじゃないのかな? 果たして君が放つ毒に耐えられようか? まあ、結果はわかるだろう。不可能だ」

 

 ファフニールが両手を口にあてながら、口に溜めた物を必死に飲み込んでいく。これで確定だ。色々と仕込みはしておいたし、現場を()()()()()してから帰るとするか。

 

「トリムマウ、帰るよ。次は君のお宝を確保してから来るとしよう。それならば話を聞いてくれるだろうしね」

「Yes,Master。次は倒します」

「ではさらば。また会おう」

「■■■■■■■■■■■■──ッ!!」

 

 ファフニールが激怒して普通のブレスを放ってくるが、その前に戦闘で空いた壁の穴から飛び降りて逃げる。当然、相手が追ってくるが、その前に距離を取ればいい。

 

「トリムマウ、箒になってくれ」

「Yes,Master」

 

 箒に乗ったら、アーバレストの形に月霊髄液(ヴォールメン・ハイドラグラム)を変化させてセットする。矢は箒だ。馬鹿みたいな力で引き絞った状態で崩壊するのも気にせず放てばいい。

 

「逃がさぬぞ盗人!」

「私は言ったぞ。また会おうとね。だが、今じゃない。さらばだ」

 

 矢を放たせる。音速を超えて衝撃波を放ちながら空を駆け抜けていく私とそれを見たファヴニールが雄叫びを上げる。

 

「あはははははははっ!」

「■■■■■■■■■■■■■■■■──ッ!!」」

 

 愉快な旅だ。とてもとても楽しい。そのままオーラで身体を強化しながら突き進んでいると島を超えていく。

 

「おっと、行き過ぎたね」

 

 うん、いやな事を思い出した。

 

「……ねえ、トリムマウ……」

「なんですか?」

「これ、どうやったら止まるのかな?」

「知りません。マスターが考えた方法では?」

「私が確かに考えたが……これはお兄様が考案した方法を真似したのだが、上手い事はいかないね」

 

 こいつは本当に困ったね。魔術じゃないのだから、到着地点なんて設定できない。つまりこのまま飛び続ける事になる。うん、アレだ。トリムマウを戻しても慣性が働いてそのまま飛んでいく。パラシュートみたいなのを後ろに展開すればどうにかなるかな? 

 

「いや、それよりも解除した方が……もったいないな」

 

 それ以上にかなりやばい。このままだと暗黒大陸まで行ってしまうかもしれないし、仕方がない。まずは月霊髄液(ヴォールメン・ハイドラグラム)でパラシュートを作り、トリムには箒の後ろからオーラを放出して移動できるようにしてもらおう。箒の方も航空力学を考えなければいけない。翼を作って風を下へと流せばいいはずだ。

 

「よし、減速と方向転換だ……」

「マスター、敵です」

「……マジか……」

 

 雲の上から数十メートルは超える巨大な白い鮫が降りてきて、大きな口を開いてくる。私とトリムマウはそのまま食べられた。

 

 

 

 

 ◇◇◇

 

 

 

「コフッ。師匠が死んだ。何故なんだい?」

 

 血を吐きながら、後ろを見る。私を膝の上に乗せて後ろから抱きしめている綺麗な身体の師匠が答えてくれる。

 

「巨大な空飛ぶ鮫なんて想定外さ。一応、体内から攻撃してみたんだが、ろくにダメージが入らなかったし。頑張ってみたんだが……アレは駄目だ。元となったのが本物の幻想種では相手にならん」

 

 師匠の頭が私の上に乗ってくる。少し重たい。

 

「それで、どうなったのかな?」

「水銀の散弾を大量に用意して薔薇を連鎖爆発させた」

「それで殺せたのかな?」

「知らないが、確認してみるといい」

 

 銀の鳥を向かわせて確認してみたのだが……生きてやがる。全身から血を流しながらもフラフラと飛んでいるが、すぐに死にそうな感じはしない。

 

「もっと強い兵器が必要だね」

「まったくその通りさ。薔薇がこの程度しかダメージを与えられないとは驚きだったよ」

「この世界は魔境だね」

「ところで弟子よ。あの鮫に銀の鳥をまとわりつかせておくといい」

「死にそうにないけどね」

「自然界には食物連鎖があってね。弱った者を狙うのは当然だろう?」

「それもそうかも」

 

 白鮫に銀の鳥をまとわりつかせながらしばらくすると、他の小さな魚やクラゲと戦いだした。空の上にある雲海は危険生物がいっぱいみたいだ。その時に囁かせて白鮫を強化させ、周りの連中を処理させる。相手が弱ったら、相手にも憑依させて延々と殺しあってもらう。

 しかし、ちょっとメビウス湖から出るとこれだ。ここが楽園だというのがわかるね。やれやれ、本当にどうしようか。あ、今の間に精神操作とか卵の植え付けとかされないように対策だけ施しておこう。師匠と私をバックアップ同士にして、外部にも身代わりを用意しておくとしよう。どちらにせよ、白鮫のオーラとメモリが来たら、それで月霊髄液(ヴォールメン・ハイドラグラム)を強化してみるか。銀の海に生息する具現化生物。とても面白いね。

 

 

 

 




現状、ファフニールは正面から倒せません。体内からならウボォーさんやネテロ会長クラスならなんとか倒せます。例外は竜殺しの能力です。つまり、狙いはアレ。

白鮫:数十メートルもの巨大な白い鮫さん。雲海にて生息中。暗黒大陸を浮遊しているもよう。たまにメビウス湖の高高度も通るぞ。現在は毒状態でありながら、銀の鳥を憑依させて他の生物としのぎを削っております。体内には大量の水銀と薔薇の毒、傷が残されており色々と大変。拾い食いするからこうなった。

「私は悪くない」



ライネス・ホイコーローは武器開発に万進します。
火山での爆発。高速の飛行物体。またメビウス湖の外縁部での爆音。これらによりV5国の警戒度が上昇しました。
ちなみにライネス自身はダメージを受けましたが、毒は身体が違うので受けません。幻痛みたいな感じですね。

ジャンヌダルク・オルタの名前

  • ジャンヌ
  • エリス
  • レティシア
  • その他適当にランダムジェネレータ
  • ルーシャ
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