ライネス・エルメロイ・アーチゾルテの真似をする性転換少女   作:ピトーたんは猫娘

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難産。


第36話

 

 

 昨日、山でお父さんが居る山に向かおうとしたら、姉であるレティシアに止められた。何時も止めてくるけれど、今日は私を家からすら出す気がないみたいで私達の部屋にある扉の前で陣取っている。というか、部屋からすら出す気がないのかもしれない。

 

「ですからもう行ってはいけません! 今日という今日はなんとしても行かせませんからね!」

「なんでよっ! 私は絶対に行くの!」

「絶対に駄目です!」

 

 無理矢理外に出ようとしてもレティシアがブロックしてくる。次第に取っ組み合いになってしまう。けれども諦める訳にはいかない。

 

「いい加減理解してください! お父さんは……お父さんはもう……」

「ふざけんな! 絶対に助けてみせるんだから!」

「無理です……無理なんですよ! 私だって大切な家族の事なんですから必死に方法を探しました! でも、無理なんです……」

「銀翼の凶鳥があるじゃない! お父さんが変化したのがアレのせいなら、戻せないわけないでしょ!」

「それも無理なんです。いえ、できるかもしれませんが、代償が大きすぎます」

「そんなもの私が支払ってやるわよ! 例えこの命に代えても構わないわ!」

 

 そう言うと、レティシアに頬を打たれた。逆に殴り返してやろうかと思ったけれど、泣いているお姉ちゃんの姿を見て手が途中で止まった。

 

「お父さんは私達を守るために竜の力を手に入れたんです。その代償にお母さんは死にました。二人が命を賭けて手に入れた力を無効化するというのなら、こちらも私とジャンヌの二人は必要だと思います。私はそれでも構いませんが、残されたエリスはどうなりますか? 助けられる保障がないし、最悪の場合はエリス一人になります。それにお父さんがそんな事を望むと本気で思っていますか?」

「ちっ」

 

 確かにレティシアの言う通り、銀翼の凶鳥に賭けるのは分が悪すぎる。お父さんとお母さんはクルタ族の中でもかなり強い人だった。その二人の娘だけれど私一人の命でお父さんを助けられるとは思えない。少なくともレティシアの命が必要というのも納得できる。

 

「でも、それだとエリスが成長してからなら別に構わないんじゃないの? 確かに今の私達だと二人でも足りないかもしれないけど、成長すれば一人でも可能でしょう」

「いいえ、それは無理です。昨日の夜に響いた爆音。アレはお父さんが暴れた物だと思います。もう限界なんです。お父さんの意識は竜に飲み込まれて消えるでしょう。それにもう手遅れです……」

 

 手遅れ? どういう事? 今日に限って徹底的に私を外に出さない事と何か関係があるの? そうなると考えられるのは……

 

「まさか、お父さんを!」

「お父さん自身が討伐依頼を出されていたそうです。それを受けたハンターの人達がやってきました。今、長と挨拶しています」

「させない! お父さんを殺させてたまるか!」

「駄目です! ここでお父さんを倒さないとどれだけの被害が出るかわかっているのですか! 幻影旅団ではなくお父さんがクルタ族を滅ぼす事になるかもしれないんですよ!」

「知るか! お父さんやお母さんが居ないなら滅んでしまえばいいのよ!」

「ジャンヌ!」

 

 二人で平手打ちなんて生温い事はせず、殴り合う。伊達に森で狩りをしたり、農作業をしたりしていない。それにもしものためにお父さんから武術をしっかりと習っている。

 

「オッラァッ!」

「このっ、わからずやっ!」

「どっちがよっ!」

「喧嘩は駄目ぇぇぇっ!」

 

 殴り合っていると、横から幼いエリスが飛び出してきて私とレティシアは必死に軌道をエリスから外す。すると互いの頬に拳が入り、互いに後ろに吹き飛んだ。

 

「クロスカウンターによる相打ちですか……痛い」

「こっちの台詞よ……女の顔を殴るなんて何を考えてんのよ」

「二人共、お姉ちゃんなんですから喧嘩は駄目です!」

「ごめんなさい。私達が悪かったですわね」

「ちっ。確かに悪かったわ。それにこうすれば良かったんだからね」

 

 壁に掛けてあった剣を腰に差し、同じく壁から槍を取る。

 

「ジャンヌ、貴女まさか……」

「ふんっ!」

 

 そして思いっきり、窓に槍を振るって枠ごと壁を切断し、最後に蹴りを入れて粉砕する。これで大きな穴が空いたので外に出られる。

 

「私は絶対にお父さんを殺させない。お父さんを殺そうとする奴は全員殺してやる!」

「それは困るな」

「っ!?」

 

 声が聞こえて振り返ると、そこにはクルタ族の族長になった金髪碧眼の青年、クリストファーが居た。彼の顔の中心に左から右にかけて刀傷がついている。幻影旅団の一人につけられたらしい。ただ、その代わりに幻影旅団の首を斬り落としている強者。

 

「アンタっ!」

「村の者にも被害が及ぶなら、例えジークの娘だろうと殺す。だから、ジークの望む通りに大人しく過ごせ。安心しろ。散っていった同胞達の願いを引継ぎ、クルタは俺が守る」

「ふざけんな! お父さんを見捨てて何が守るよ!」

「致し方無い犠牲だ。ジークはもはや戻れん。ならば友の願い通り殺してやるのが筋だ」

「ならアンタが死になさいよ! アンタを生贄にしたら叶うでしょ!」

「それはクルタ族の未来の為にできない。例え戻ったとしてもその先にあるのは急激な生命力の衰えによる死だ。それに私とジークの立場が変わっていたなら、ジークも私を殺していただろう。全ては大切な者達を守るために」

「そんなの認められるかぁっ!」

 

 槍を振るうが、簡単に避けられてしまう。コイツと私では実力が違いすぎる。

 

「致し方あるまい」

「っ!?」

 

 何時の間にか手に持っていた刀が鞘に入ったまま振るわれ、私は槍を縦に構えて防ぐ。けれど、力の差が圧倒的でそのまま吹き飛ばされて家の壁に激突してしまう。

 

「事が終わるまで拘束しておけ」

「はっ」

「くそっ、くそぉぉぉぉぉぉっ!」

 

 クリストファーの腰巾着共が私を縄で縛りつけていく。

 

「触るな変態が! 止めろっ! 止めなさいっ!」

 

 叫びながら抵抗するけれど、クリストファーにやられたせいでまともに抵抗する事もできなくて三人の男共に好き勝手にされていく。

 

「へっへっへ、覚悟しろよ。後でたっぷりと可愛がってやるからな」

「何時も村を出る時にボコボコにしてくれやがって……覚悟しろよ?」

「レティシアさんが何度謝ってきてるのかわかってんのか?」

「う……だって、出してくれないし……」

 

 そんな会話をしていると、何処からか風切り音が聞こえてきた。それに反応したクリストファーが刀であっさりと迎撃すると、矢はどんどん増えてまるで雨のようになっていく。

 

「何者だ」

「寄ってたかって女性を嬲る者達に名乗る名などない」

「待て、誤解があるようだ」

「助けて! 犯される!」

「やはりそうか! 問答無用!」

「ちっ」

 

 チャンスとばかりに叫んだら、少し離れた場所にある家の上に立っていた獣耳が生えた奴は弓を構えて次々と放ってくる。しかし、その矢を男の一人が手に持つ大きな団扇で突風を起こして吹き飛ばし、一人が私を押さえつけて最後の一人は突撃していく。手に持つ棍棒を地面についてから上に浮かび上がって振り下ろす。その棍棒は長くなり、ケモ耳女を頭上から迫る。けれど、ケモ耳女は横にずれると矢を連射してくる。それに対して棍棒を短くしてから大きくして回転させることで矢を弾き飛ばした。

 

「ほう、暴漢にしてはなかなかやるな」

「こちとら幻影旅団とも戦って生き残った精鋭だぜ。当然だな!」

「幻影旅団か。面白い」

 

 ケモ耳女が瞬時に消えると、棍棒を持っていた奴に蹴りを入れて吹き飛ばす。更にそれに追いついて殴ることで地面に叩き付けた。そう思ったらもうそこに居なくて扇形を持っていた奴の頭を鉤爪のようになっている鉄の手で掴んで壁に埋め込んでいる。

 

「おいおい、マジかよ?」

「私がやる。お前達は他の者を守れ。外敵は排除する」

「ほう、面白い。やれるものならやってみろ」

 

 クリストファーが腰に作り出した複数の刀の内、二つに手をつけて抜刀する構えをする。

 

「創生せよ天に描いた星辰を──」「燃ゆる影……裏月の矢……」

 

 二人が同時に何かを口ずさむ。そして、次の瞬間にはケモ耳女が文字通り消えて衝撃波を巻き散らかす。それに対してクリストファーは抜刀して見えない何かをこちらも見えないような速度で刀を抜刀して弾く。空中で何度も何度も金属音が響いているけれど、やっぱり見えない。

 クリストファーの方は抜刀術で使った刀は消してまた新たに生み出しているみたいだけど相手の速さも充分におかしい。

 

「周りの被害を考えろよ……」

「まったくね」

 

 そう言いながら、こっそりと縄から抜けて槍を掴んでから今の間に村から逃げる。こんなところで止まっている暇はない。私はお父さんを助けないといけないんだから。

 

 

 

 

 ◇

 

 

 

 

 村を抜け出して山を駆けのぼる。何時追手が来るのかもわからないし、既にお父さんを討伐する為にハンターが入ってきているかもしれない。それにあのケモ耳女もハンターでしょうしね。もう時間はない。あんな化け物達だと本当にお父さんが殺される。

 

「どうしよう……」

『願い、叶える?』

『力が欲しくない?』

「アンタ達の力でお父さんを確実に助けられて元に戻せるのなら、それでもいいけれど無理でしょ」

『代価、不足』

『無理ですにゃ~』

「本当、役に立たないわね」

 

 コイツ等、私が願いを叶える可能性が高いと感じたのか集まってきた。ある程度の質問には答えてくれるみたいだけど、肝心の事は答えてくれない。

 

「アンタ達の主人が居る場所に案内しなさいよ」

『禁則事項です』

『ですです。ボク達は願いを叶えるだけ。後の事は知らない~』

「ちっ、本当に使えないわね」

 

 しかし、本当に鬱陶しいわね。ここ数日、特に数が増えているのよね。本当に群れで存在しているみたい。明らかに可笑しいわ。まるで一匹みたら数十匹いるみたいな……いや、どう考えてもありえないでしょ。こんな不思議生物が大量にいるのなんて……まるで幻影旅団に襲われた時みたい。

 こんだけの数が居るってことはそれだけ願いを叶える存在が居るってことよね。そもそもコイツ等の存在ってなんなの? 他人の願いを寿命を引き換えに叶えるだけ叶えて消える。でも、これって叶えた奴に得はあるの? 

 そもそも聞いた限りではコイツ等には主人が存在する。その主人に会えば失った寿命すら戻した上で願いを叶えてくれる。そんな魔法使いのような存在。七年前はコイツ等はろくに話もしなかったけれど今は確実に進化していっている。寄生した人から何かを得ているみたいに──

 

「ああ、そういうことね」

 

 ──多分、ピンハネされているんでしょうね。そう考えるとこんな得にもならない混沌を巻き散らかすようなことをしているのもわかるわ。生命体の生命力を集めて収束させて自らの物へと作り変える。おそらく、銀翼の凶鳥でワンクッション置くことで自分に使い易いようにしているんでしょう。

 そして、これだけ銀翼の凶鳥が増えているってことはここに主人が来て居るのかもしれない。コイツ等が集まって居る場所に向かえばいいかもしれないわね。

 そう思いながら銀翼の凶鳥が集まっている場所に向かって移動していくと、山の方から轟音が聞こえてくる。

 慌てて山頂が見える場所に移動する。森がある部分を抜けて岩肌になっている場所へと出た。そこで目したのは無数の魔獣がお父さんに突撃し、そのまま足で踏み潰され、爪で斬り殺され、ブレスで焼かれて食べられていってる姿が見えた。そんな恐ろしい状況だというのに魔獣達は一切気にせず自ら身体を差し出していくみたい。

 

「ナニコレ、気持ち悪い……」

「そうかな? とても合理的な判断だと我ながら思うのだがね」

「っ!?」

 

 声が聞こえて少し視線をずらすと、近くの岩に座りながら片手で帽子をクルクルと回している私ぐらいの人形のような綺麗な女の子がいた。長く綺麗な黄金の髪の毛に翡翠のような碧眼。着ている服は本でしか見た事はない青色の軍服とかいう物だと思う。腰には剣を持ち、胸には花の飾りもあって明らかに高貴な身分の者だとわかる。身長は150㎝くらい。

 

「ああ、それと余り前に出ると死ぬから気をつけるように」

「何?」

「おや、見えないのか。もしかしてハンターじゃないのかな?」

「見えない?」

 

 何を言っているのかわからなくて近付こうとしたら、直にこちらを手で止めてきた。そして、彼女が指を鳴らすと彼女の周りにあった岩や地面の形が崩れて銀色の物体に変化し、集まっていく。不定形なその物体は波のように彼女の周りを漂う。

 

「貴女が銀翼の凶鳥の主人……なの?」

「違うね。()()()()()()()()()()()()()()()

「本当に?」

「ああ、違うとも。私は弟子の頼みであの竜に対処しにきたしがないアマチュアハンターさ」

「っ!?」

「今やっているのも倒す為の布石さ。昨日、戦ってみたのだがこちらの攻撃が通らなくてね。仕方ないから方法を変える事にした。今やっているのはその下準備だね」

「今すぐ止めなさい!」

 

 槍を突きつけるようにして近付くけれど、彼女は一切気にしていない。完全にこちらを舐め切っている。その証拠に私を楽しそうにいやらしい笑みで見詰めてくる。

 

「これはこれは困った。正当防衛という事で殺してしまってもいいかな。それとも傀儡として実験台にするか。どちらにしろ、面白い事ができそうだ」

 

 銀色の物体に座りながら、肘を膝の上に乗せた上に顎を置きながら見詰めてくる彼女からは不気味な雰囲気が伝わってくる。

 

「っ!?」

 

 怖い。凄く怖い。コイツは得体の知れない奴だ。クリストファー達と同じ。そんな化け物だ。それでもお父さんを助ける為に一歩踏み出して槍を突き出す。次の瞬間、槍は彼女の周りに漂う銀色の物体に細切れに切断された。

 

「なるほど。これは私達の思惑通り、使い捨てにするには勿体ないかもしれないね。まあ、でも立場はわきまえようか」

 

 そう言った瞬間、私の手足は銀色の物に拘束された上に逆さまに吊るされる。両手を後ろに拘束され、足を閉じた状態になった。その状態で彼女の方へ近付くことになり、剣が銀色の触手に取られて彼女に渡される。

 

「は、離しなさい!」

「い・や・だ・よ。それにまずは攻撃してごめんなさいはどうした? 君がやったことは恐喝だとわかっているのかな?」

 

 そう言いながら剣を鞘から抜いて私の頬をペチペチと剣の腹で叩いてくる。ムカつくので唾をペッと吹きかけてやると銀色の壁が現れて何時の間にか防がれた。

 

「これはお仕置きが必要だな」

「っ!? ちょっ、止めなさい!」

 

 無数の銀色の触手が私の身体に巻き付いてくる。そして胸を強調するような縛り方で全身を拘束されていく。

 

「メタルスライムの亀甲しばり。なかなかにエロイね」

「この変態が!」

「いやぁ、私は変態じゃないよ。ただ他人の不幸、とりわけ真面目な人間が道を踏み外すところを見るのが好きなんだよ」

「最低の人間じゃない!」

「まあ、君は真面目というわけではないが……これはこれで玩具にするのは面白そうだ」

「ふざけんな! 私はお父さんを……」

「ああ、お父さんというのはあの竜の事かね?」

「そうよ! お父さんを絶対に助けるんだから!」

「ふむふむ。君は家族思いのようで大変結構。よし、君は私の物になれ。そうすれば助けてあげようじゃないか」

「誰が……」

 

 私が声を上げようとすると、風切り音が聞こえる。すると空から大量の矢が雨のように降ってきた。それをなんでもないかのように彼女は銀色の傘で覆って耐える。

 

「どうやら招かれざる客のようだ」

 

 そう言いながら立ち上がった彼女は森の方へ視線をやる。そちらに私も視線をやるとあのケモ耳女と族長のクリストファーが立っていた。どちらも臨戦態勢だ。

 

「あ~君達は何かな? 私は今、この子に折檻をしている所なんだ。邪魔をしないで欲しいのだが、それとも君達は盗賊か何かかな?」

「ふざ、け……る……な……子供?」

「見ての通り、15歳だ」

「事情を聴いていいか?」

「山頂に住む竜の討伐準備をしていたら彼女にいきなり襲われた。だから、拘束した。それから唾を吐かれたので折檻中だ。何か問題があるかね?」

「ないな」

「ああ、ない」

「ちっ。助けなさいよ!」

 

 とりあえず地面には降ろしてもらえたけれど、私の口には猿轡がされて喋れなくなった。その間に三人は集まっていく。

 

「一応、発見の知らせを送る」

「頼む」

 

 ケモ耳女が空に向けて音の鳴る矢を放つ。

 

「それで、お前は何者だ。私はクルタ族の族長をしているクリストファーだ」

「私の名前は司馬懿。ライネス・ホイコーロ―の頼みであの竜への対処をしにきた」

「そうか。本人は何処に居る?」

「今は少し離れた村で待機中だ。道中の安全を確保してからじゃないととても王族を移動させられないのでね」

「もっともな意見だ。それでジークを倒す手段はあるのか?」

「ああ、とりあえず外からでは攻められなかったからね。内側から攻める事にした。その下準備中だよ」

「あの魔獣達は?」

「私の水銀をたっぷりと含ませて操っているだけだ。アレを喰らったら水銀ごと体内に入る。後はわかるだろう?」

「えげつないな」

「効率重視だ。だが、まあ……これはあくまでも殺す為の方法だ。助ける事も可能だ」

「っ!」

「だが、もちろん無料(ただ)とはいかないな。正直、助けてあげたとしてもすぐに殺す事になるだろう」

 

 コイツの言葉に思わず口にあるのを噛み切って飲み込んで声を出す。

 

「ぷふぁっ! どういう事よ! 助けられるなら助けてくれてもいいじゃない!」

「君、ご飯は食べないのかな?」

「は? 食べるに決まってるんですけど!」

「ジャンヌ。司馬懿殿が言っている事は単純だ。ジークの巨体を維持できるほどの食料をどうやって調達するか、という事だ。村にはそんな余裕は一切ない」

「森で狩りをすればいいじゃない!」

「無理だね。生物が数ヶ月で喰い尽されるだろう」

「獲物の維持ができなければ村の食い扶持も稼げないだろうな」

 

 私の隣にやってきたケモ耳女がそう言ってきた。私は三人の言葉に反論する事はできなかった。ここの食べ物を食べ尽くしたら次の場所に移動する。そう考えたけれど、そうなればお父さんは確実に殺される。何せ手っ取り早く数が居てそれなりに大きな食べ物って人なのだから。

 

「その顔は正解にたどり着いたようだね。彼の巨体を維持するための食事量は凄まじい事になるだろう。そんなもの、大金持ちぐらいしか維持できないだろう」

「村には不可能だ。そして、ジークを人に戻す事もまた不可能。よって殺すしかない。そうしなければジークを生み出したクルタ族自体が排除する対象となるだろう」

「それでも、お父さんなの……助けてよ……」

「確かに助けられるのならば助けた方がいいに決まっている」

「まあ、そうだね。我々としてもかの竜の力は魅力的だ。幸い我が弟子……ライネス・ホイコーロは金と地位を持っている。竜の一匹や二匹ぐらい飼う事は可能だろう。だが、なんの利益も提供せずに趣味として飼うには少々金がかかり過ぎる」

 

 ここまで言われたら、流石の私でもわかる。コイツはさっき言っていた。狙いは私だ。

 

「私がアンタの物になればいいの?」

「いや、それだけじゃ足りないな。君の家族全員も頂こう」

「二人まで……」

「いや、正直に言うとだね。竜の宝は家族だというのは調べてわかっている。なのでその宝を全て手に入れないと操る事もままならない。それに世話をするのは君達にお願いしたいからね」

「家族と一緒に過ごさせてやるって事だな?」

「まあ、簡単に言えばそうだね」

「なら、問題ないわね」

 

 四人で一緒に居られるのなら、お母さんだって喜んでくれるだろうし大丈夫よね。

 

「方法を聴いてもいいか?」

「簡単だ。銀翼の凶鳥を使う」

「でも、それは無理だって……」

「無理なのは竜を人に戻す事だ。変化した物は戻せない。だが、外部からの刺激で操作する事はできる。竜を操る魔女とかね」

「わかりました。それについては我々も協力させて頂きましょう」

 

 何時の間にか銀翼の凶鳥が描かれたローブを着た連中が周りに居て驚いた。その中から一人の綺麗な水色の髪の毛をした少女が出てくる。

 

「君達は誰かな?」

「我々は教団の者です。そちらのアタランテ様に依頼を伝えて紹介したのは我々です」

「ほう」

「お前達が協力する目的を教えてくれ」

「布教活動と共に救われない者に救いの手を。それが我々銀翼教団の目的です。それに新たな魔法少女が生まれるのです。何の問題もありません」

「その魔法少女というのは止めてくれ……」

「嫌です。いいじゃないですか、魔法少女。何が嫌なんですか?」

「それはその……」

「こほん。こちらとしても問題ない。それでどうする? 全ては君の決断次第だ」

「……まずは相談させてちょうだい。お姉ちゃんやエリスと話して決めないとなんとも言えないわ。私だけでいいならすぐに決められるけど……」

 

 これからの事を決めるのなら、流石に相談しないといけない。本当に私の命でお父さんが助かるのなら別に構わないけれど、お姉ちゃんやレティシアも含まれるなら一人だけで決められない。

 

「わかった。ではまず村に戻るとしよう。それでいいか?」

「ああ、こちらとしても問題ないよ族長。私もそろそろオーラがきついのでね」

「アレだけ操っておられればそうでしょうね。むしろ、貴女も魔法少女では?」

「私はどちらかと言えば魔法軍師になるかな?」

 

 何言ってんのコイツ等……宗教関係はやばい奴が多いってのは本当なのね。でも、お父さんが助かるのならなんだってしてやるわ! 魔法少女? その程度受け入れてやろうじゃない! 後悔する事になりそうだけど……。

 

 

 

 




族長はクリストファー・ヴァルゼライドの能力を弱体化して持ってます。名前も考えるのが面倒なのでそちらから。ただし閣下じゃないのでまだだはそんなにできません。ただのクルタ族の守護者ですので村からは動きませんし寿命もそんな残っていないので、クルタ族を戦闘集団に作り変えて原作前には居なくなります。ソシテ、クラピカのオニイサマ設定。つまり、クラピカ強化フラグなだけ。
ちなみにクリストファーさんの能力は具現化系で、オリハルコン製の刀を作り出し、それにガンマ線を放つ能力が付与されています。なお、この刀は自らの命と引き換えに具現化したまま残るようにもしておられます。故にクルタ族の守護者として延々とその意思は引き継がれていくのです。
クラピカの初期装備がオリハルコン製の刀、二刀になるだけ。ナニモモンダイナイね!

ジャンヌダルク・オルタの名前

  • ジャンヌ
  • エリス
  • レティシア
  • その他適当にランダムジェネレータ
  • ルーシャ
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