ライネス・エルメロイ・アーチゾルテの真似をする性転換少女 作:ピトーたんは猫娘
メンチについて現状16歳なのでシングルハンターにはなっていないと教えていただいたので修正しました。確かに四年でシングルなんて普通はとれませんよね、うん。
部屋を出ると何時もとは異なっていた。部屋の外に普段は張り付いて離れないはずの護衛がいなくなっていた。護衛を派遣していた王妃はわかるから、後で調べてみようか。それでどの王妃がかかわっているのかがわかる。
このような事を考えながら厨房に移動して肉を幾つか貰い、部屋に戻って床に飛び散っていた血液を採取し、肉にぬりたくっておく。続いてベンジャミンお兄様が飼っている猛獣達に与える餌の中に混ぜておく。これで私が死体を処理した方法として伝えても問題ないだろう。
動物達を見に相手の本拠地に行きたいが、碌なことにならない感じがするから止めておこう。それよりも私には色々とする事がある。
「そこのメイド。お父様は今、何処にいる?」
「王様でしたら──」
「ありがとう」
教えられた場所に移動し、扉を守っている兵士の人に伝えて入れてもらう。しばらく待たされたが、無事に中に入れてもらえた。
「ライネスが来るとは珍しいホイ」
「お話があってまいりました」
床は畳になっており、上座に王であるお父様が座っている。その近くまで移動し、正座する。
「言ってみるがいいホイ」
「実はメイドに水銀風呂に入るように言われて殺されかけたので、ご報告にと」
「ほう。して、そのメイドは?」
お父様から重圧が放たれる。これは念による威圧といった感じかな。普通の子供なら過呼吸とかをおこしそうだ。流石に初代から延々と蟲毒より発想を得て、王位継承戦を延々と行って念能力を鍛えぬいてきた家系なだけある。
「返り討ちにしました。死体の処理もしておいたので、そちらは問題ありません」
「なるほどなるほど。七歳にしてはライネスは優秀ホイ」
私の態度に嬉しそうに微笑むお父様。どうやら、気に入られているみたいだ。
「ありがとうございます」
「それで、問題とはなんだホイ?」
「止めるべき護衛がその時に限って全員、離れていました」
「ほほう。して、何を願うホイ?」
「役に立たない護衛の処分と、自分で護衛を選びたいと思います。その為にスカウトしに行く許可を頂きたく」
「留学したいともいっていたホイね」
「駄目、ですか? 駄目なら代わりに報復する許可をください」
誰に、とは言わないが、私が言いたいことは伝わっただろう。これで外に出られたら万々歳だ。今の私では上位陣にはまだ届かない。司馬懿のサーヴァントとしての肉体スペックを発揮しきれないし、情報が伝わらない場所で鍛えたい。
「報復は駄目ホイ。だが、護衛は好きに選んでよい。そうホイね……護衛をつければ留学も認めてやるホイ」
「それは人限定ですか?」
「いいや、別になんでもよい。用意できるのなら、なんでもホイ。ライネスは使えるはずホイね」
「なんのことですか?」
「嘘は駄目ホイね。ワシは王子達の敵でも味方でもないホイ」
これはもうバレていると考える方が自然か。お父様の立場からしたら、継承戦に生き残りさえすれば跡を継ぐのは誰でもいいのだろう。
「念を覚えてるはずホイね」
お父様から漏れることはないだろうし、みせるか。
「念というのはよくわかりませんが、もしかして不思議な力を使えるこれの事ですか?」
懐から試験管を取り出して蓋を外し、水銀を溢れ出させる。そして、身体を形成させた。
「ほほう。水銀で作られた子ホイね」
「この子はトリムマウと名付けました。私を助けてくれた子です」
「なるほど、護衛扱いとして認めてやるホイ。毎月、小遣いは課題と一緒にやるホイ。それをやり続ける限り、自由にしていいホイよ。行き先と連絡はするように」
「ありがとうございます」
これである程度は自由にできる。定期的に連絡は入れないといけないが、こればかりは仕方がない。暗殺者に狙われる可能性は高いが、生半可な存在ではトリムマウを抜くことはできないし、大丈夫だろう。
しかし、お父様はよく許可をくれた。普通ならむしろ死ぬ可能性が高くて許可を与えない。いや、違うか。お父様からしたら、死んでも構わないはずだ。私が強くなればそれでよし。弱いままなら継承戦で死ぬだけだ。それに私をここに置いておくと本当に王妃を殺しにかかるとわかっているのだろう。そして、その対象が王子にも向く可能性がある。そうならないためにも認めたと思われる。
「王。行事には参加してもらわねばならないので、定期的にお帰りいただきますよう、条件をお願いいたします」
「ふむ。それもそうホイね。ついでに国外に行くのなら、外交も任せるホイ」
「め、面倒な……」
「よろしくお願いいたしますね、ライネス様。必要な事は今から詰め込まさせていただきます。なに、念能力者になられたら数日寝なくても問題ないでしょう。ライネス様の優秀さなら、数年もあれば問題なくなるかと。それとやはり念獣だけでは護衛が足りませんので追加しましょう」
「しれっと数年間拘束されてるじゃないか! というか、念獣? 話の内容的にトリムマウのことかな?」
「そうです。念に関してもお教えします。ですので、ますます監視は必要ですからね」
「ぐっ……お父様!」
「護衛と家庭教師をつけるのは仕方がないホイ。その辺りは執事に任せるホイよ。うん、代わりに家もくれてやるから安心するホイ」
こればかりは受け入れるしか仕方がない。まあいい。他の王妃の監視はなくなるのだし、あったとしても排除すればいいからね。しかし、教師と護衛か。護衛はハンターが無難だろうな。だったらこちらから指定させてもらおう。
「護衛について、私からも意見がある。構わないだろうか?」
「どうぞおっしゃってください。先程の話から、ライネス様が選ばれる権利を王から貰ってらっしゃいますので構いませんよ。費用はこちらで持ちますのでお好きにどうぞ」
「でしたら、ハンターを雇ってもらいたい」
「ハンターですか、構いませんよ」
「では、美食ハンター・メンチ。彼女がいい」
彼女の料理は美味しいらしいし、食べてみたい。彼女の戦闘力ならば護衛としても問題ない。それに加えてあわよくばトリムマウに料理の技術を覚えさせられれば私としては大変助かる。
「美食ハンターですか」
「料理人兼用でお願いできないかな?」
「依頼してみましょう。一人じゃ不安なので何人か。それで何処にしましょうか? ご指定はございますか、王」
天空闘技場がいいが、そこまで自由にはさせてくれないか。
「そうホイね……なら、あそこに派遣するホイ」
「かしこまりました」
本当に面倒な事になったが、確かに公務はしないといけないからこれは仕方がない事と諦めよう。
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