ライネス・エルメロイ・アーチゾルテの真似をする性転換少女   作:ピトーたんは猫娘

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第7話

 

 

 襲われてから王宮に戻り、モモゼお姉様を医務室に送り届けるとすぐに診察が始まった。王宮の専属医達が治療しているので大丈夫だと思う。

 私は軽く見てもらった後、モモゼお姉様が眠っている病室の外にある廊下。そこの壁に背中を預けてじっと目の前のガラス越しに覗けるベッドを見ている。

 ここでお母様を待っていたけれど、お母様はやって来ない。すでに連絡は入れたというのにだ。

 お父様は一応、こちらに来てモモゼお姉様の無事を確認した。もっとも、私の方を一瞥してからすぐに戻ってしまったけれどね。

 うん、やはりお母様の関心は私達から離れている。そろそろ生まれてくるであろう弟の方に関心が移っているのだろうね。

 それでも、今回のような場合なら来てもおかしくはないと思うのだがね? 

 他にも懸念事項がある。ホワイトキメラ君の攻撃が念能力扱いだった場合、モモゼお姉様が念能力に目覚める可能性がある。コントロールできない場合、死んでしまうのでここから離れる事もできない。

 

「……ふぅ……」

 

 溜息をついた後、トリムマウを何時でも出せるように試験管を反対にし、袖に仕込む。蓋を掴みながら何時でも指で弾き飛ばせるようにしておく。

 そのような状態を維持しつつ目を瞑りながら今回の事を整理する。犯人が誰かなんてどうでもいい。いや、どうでもよくはないが、それよりもキメラ君の事の方が大事だ。HUNTER×HUNTERの世界でキメラがいるかどうか、正直わからない。

 だが、それが私の念能力、銀の鳥によって引き起こされた物なら話は別だね。

 何故なら、念能力とは前にも言った通り千差万別であり、人のイメージが強く関わる。

 発だと特に具現化系などはこれが顕著だよ。クラピカが鎖を具現化するのにずっと触っていたように、私が水銀風呂なんて無茶をして身体に取り込んだように、かなり無茶をしないといけない。

 少なくとも常に具現化する物質が身近にあるイメージが必要だったり、命を賭けないといけないような状況に追い込んでみたりすればいい。少なくとも私は常日頃から水銀の、月霊髄液とトリムマウをイメージし、水銀中毒という命を脅かす危険を承知でオーラを使いながら入って成功した。

 うん、人は追い込めば追い込むほど力を発揮する。本物のお兄様(ウェイバー)がそれを実証してくれている。

 なんせ魔術師として三流でしかないのにロード・エルメロイ二世としてロードの地位を維持していたのだから。このロードというのは組織の指導者的な立場だ。簡単に言ってしまえばその名の通り王様だ。

 そして、時計塔は連合王国。そう考えれば理解できるだろう。他の王は強国で、戦略級兵器を持っているのにこちらは持っていない。その状況でどうにか国を潰さずに運営し、国家をどうにか立て直そうとしているというわけだ。こんなもの生半可な覚悟ではできない。

 だからこそ、私もライネスもお兄様の事は大好きだ。

 っと、話が逸れているね。戻そう。念能力にはイメージが重要だというのは理解できるだろう。ここではそういうことだと思ってくれたまえ。

 では銀の鳥に話を戻そう。キメラ君は前の状況が理解できないから知らんが、ホワイトキメラ君は仮説が立てられる。あの子は銀の鳥が入る事で変化、進化した。これは事実だ。オーラとメモリの回収も行えているから間違いない。

 問題はキメラ君は何を願い、銀の鳥は叶えたか。

 あの現状ではキメラ君は生き残る事と勝つ事を望んだ。術者はすでに死に、支配から解放されていたのだから獣として考えると当然だろう。人のように理性があれば他の為に犠牲になることを選べるかもしれないがね。

 ではハウダニット(どうやってやったか)を考えよう。銀の鳥の特性は深層心理を読み解き、願いを叶えること。だが、明確に願いが決まっていない場合はどうなる? 

 例えばHUNTER×HUNTERのお金であるジェニーが欲しい。この願いの場合は1ジェニーが与えられるかもしれないし、数億ジェニーかもしれない。基本的に曖昧だとランダムになる。つまり、銀の鳥の匙加減次第というわけだ。その銀の鳥の匙加減は基本的に制作者であり、念能力を維持し続けている私に繋がっている知識から選ばれていると考えられる。

 今回の場合はキメラ君がトリムマウに勝ち、生き残るために強さを求めた。その結果、銀の鳥は私の知識からキメラ君の上位種族であるホワイトキメラ君へと進化させたという感じだと思うね。これはキメラ君以外にもウガルまで居たことからあながち間違ってはいないだろう。

 意識がしっかりとせず、漠然と願って私の知識からFGO製のエネミーへと進化。それから繁殖したとしたら、この世界に新たな種が生まれたと考えられる。

 何せ、銀の鳥が叶えるのは死を強制し、死後もエネルギーとして使われる事。これは制約としてはかなり重いだろう。

 種族を次のステージに叩きあげる事もできないことはないのかもしれない。

 しかし、キメラ君やウガル君の事を考えると……これはもしかして私がキメラアントの特殊個体を作り出したのかな? 

 それはそれで面白いが、可能性は低いか。銀の鳥が叶える規模は生命力に比例する。小さな虫達にはそれほどの生命力があるだろうか? 

 ムカデなどはあるだろうが、蚊などはない。蟻はどうだろうか? 

 おそらく簡単な願いしか叶えられない。それこそ数世代に渡って女王に憑依でもしない限りは大丈夫だ。

 この世界にはハンター達もいる。彼等がきちんと危険な奴等は殺して、私のサイクルを早めてくれる。彼等は私にとって兵隊アリだ。最終的に私の得になるのだからこちらからも支援させてもらおう。

 まあ、全ては仮説だ。本当に存在しているのかもしれないし、違うかもしれない。卵が先か、鶏が先か、なんて私にはわからないさ。ましてやこの世界には暗黒大陸まである。

 どちらにせよ、銀の鳥は私や人類に福音を与えてくれる。簡易的な念能力者の量産と敵生体の強化による練度の上昇。来たるべき暗黒大陸との戦いにおいて、何よりも必要な事だろう。

 私とて人はあまり殺すつもりはない。オーラとスペックの回収は動物や虫の方がメインだ。人よりも巨大で強靭な海洋生物とかの方が効率良くオーラを回収できるのだからね。だから、除念されることによってハンター達が増えてくれることはありがたい。

 ハンター達からしたらたまったものではないのだろうし、止めたいのだろうが……人の欲望とはとどまることなどないのだから止められないだろう。それに銀の鳥によって救われる者達もいる。例えば──

 

「やあ、ライネス」

 

 ──この変態人体収集家のお兄様に殺されていく女達とかね。本当、さっさと死んでくれないかな。そうすれば私の相手はベンジャミンお兄様だけになるのだけど。

 

「ツェリードニヒお兄様、お見舞いにきてくれたのかな?」

「当然じゃないか。可愛い妹が魔獣に襲われて意識不明だと聞いたのだ。来ないわけにはいかないだろう?」

 

 どうせ死んだら死体を回収し、刺青とか入れて標本にするんだろう。少なくとも生きた女性を拘束して刺繍や器具などを生体に植え付けてから殺し、飾っていた。今回でも同じだろう。

 

「それで、ライネスの様子からして君は大丈夫みたいだが、モモゼはどうなんだい?」

「意識が戻らないが、大丈夫だよお兄様。明日には目覚めるはずさ。目覚めなければ私がこのまま国外に連れていって治療するからね」

「この国の医者では信用できないのかな?」

「これはおかしな事を言うね。護衛として監視をつける王妃に、暗殺者を差し向ける者達もいるのだから、当然の処置だろう。お兄様が私の立場でも同じ事をするんじゃないかな?」

「オレの事を信じられないの? 今回の件はベンジャミンの仕業だろ」

 

 信じられるかと言われたら絶対に信じられない。アマイマスクの下にある本性を私は知っているのだからね。原作通りじゃないかもしれないが、それでも警戒に値するのは事実だ。

 

「そう見せ掛けた他の誰かかもしれないよ。何せ今回の件で不利になるのは私達を除けばベンジャミンお兄様なのだからね」

「確かにそうだな。で、答えてないけどどうなの?」

「嘘と本当、どっちがいいかな?」

「本当で」

「じゃあ、信じられない」

「へぇ~」

 

 堂々と言ってやると、お兄様の表情が一瞬だけ崩れて物凄い形相になったね。これは楽しませてもらおう。現状では私がツェリードニヒお兄様に負ける事はない。無能力者なのだから、襲われたら返り討ちにできる。

 

「むしろ、信じられる要素があるとでも思っているのかな? お兄様、マフィアと協力して何人もの女性を殺して飾っているだろう?」

「そんなことはしていないさ。誤解だよ」

「表情が引きつっているよ、お兄様。まあ、私も人の事を言えないがね。すでに何人も間接的とはいえ、殺しているわけだし。それに今日も私のせいで護衛が死んだんだ。彼等の場合は仕事だが、巻き込んだのは事実だ」

「……ライネス、お前は……そんなに死にたいのか……?」

 

 ツェリードニヒお兄様が怖い怖い顔で近付き、私の横の壁を叩きつけて至近距離から覗いてくる。

 

「やれるものならやってみるといい。ただし、その場合はツェリードニヒお兄様は最低でも継承権を失っているだろう。最悪は言うまでもないね」

「自分の兵力を持たないお前が何をできると思っているんだ?」

「私が何もしなくてツェリードニヒお兄様が手を出せば失脚するよ。なにせ、ベンジャミンお兄様が見逃さないだろう?」

「ちっ」

「それに私は私達に被害がなければ別にどちらが王になっても構わないさ。その場合はしっかりとカキン帝国が続く限りは仕えてあげるさ。もっとも、チャンスがアレば奪いにいくけどね。だから、継承戦で遊ぼうじゃないか。むしろ、私にチャンスがあるのはそれぐらいかな」

「……というか、誰からその与太話を聞いたのかな?」

「誰だったかな。詳しくは何年も前だからわからないけれど、軍人さんだったよ」

「……それ、アイツの策略だよ。踊らされているよ、ライネス」

「そうなのかな? そうなのかもしれないね。私が直接確認したことではないのだし、断定はできないか。うん、ごめんなさいお兄様。私が悪かったよ」

「いいさ、気にしないでくれ」

 

 これでツェリードニヒお兄様は私を潜在的な敵と認識し、ベンジャミンお兄様との対立を更に深くした。襲ってきたらその手勢を減らすことができるし、証拠を残せば糾弾だって可能だ。

 流石にゾルディック家に暗殺を依頼されたら無理だが、その時はこちらも依頼すればいい。ただ、こちらに関してはあまり危惧していない。

 ツェリードニヒお兄様の事だから、自分の手で私を殺そうとしてくるだろうしね。それに私達に手を出せば他の連中も黙っていない。今は手を出さない確率の方が高い。ベンジャミンお兄様と互いに牽制しあってくれている方が大変助かる。それに私はベンジャミンお兄様の方がまだましだ。

 

「ライネスにツェリードニヒか。ライネスはともかく、お前まで来るとはな」

「ベンジャミン……妹の事なんだから来るのは当然だろう?」

 

 ベンジャミンお兄様が現れたことで、私からツェリードニヒお兄様が離れ、二人が対峙する。

 

「どうだかな。ライネス、話がある。来い」

「断る。私はモモゼお姉様の傍から離れるつもりはないよ」

「オレの部下を護衛につける」

「悪いけれど、信じられない。今日のようなことがあったんだからね」

「ライネスは疑心暗鬼になっているのさ。日を改めた方がいい」

「……なら、これだけは聞こう。お前は誰の味方だ?」

「私は私とモモゼお姉様の味方だよ。それが王位継承権に関することなら、順序通りでいいと思うよ。私は王になりたいとも思うが、軍師になりたいとも思っているからね。だから、軍部を頂けるのなら正直に言って誰が王になっても構わないさ。全てはお父様が決める事。私達が決める事ではないのだから」

 

 王の統治を確認してから、それが司馬懿として不合格ならばクーデターを起こし、簒奪してやる。なので私としてはどっちが取ろうと変わらない。

 

「なら、軍部を手に入れてどうする?」

「決まっている。この地に更なる繁栄をもたらす。それが私が生まれてきた役割だと思っているさ。少なくともV5は並ぶか超える。それだけは決めている」

「よかろう。お前がこの国のために尽くすというのなら構わない。ライネスのようなはねっかえりを使えてこそ王といえるだろう」

「おや、これは思ったよりも高評価だね」

「聞いてる話じゃライネスはとっても優秀みたいだからね」

「うむ。俺の代わりに軍を預かるというのは問題ないかもしれない。父上も乗り気のようだしな。まずは外交からとの話だろう?」

「ああ、そうだ。外交官として他国との折衝だよ。面倒だけどね」

「まあ、精々励むがいい。働き次第で望み通り軍の権限をくれてやる」

「本当かい、お兄様!」

「ああ、そうだ」

「やった! じゃあ、演習とか指揮してみたいなぁ!」

「……コイツ、戦争狂か?」

「……人の事は言えない、ね」

 

 ふふふ、本当に楽しみだ。二人が私の掌で踊ってくれるさまを想像するだけで楽しい。私達三人は誰もが自らが勝ち抜くと信じて疑っていない。だから、何れは激突する。それまでにしっかりと準備を整えないとね。それまでは精々困らせて胃に穴を開けてやろうじゃないか、オニイサマ。

 

 

 

 

 




ベンジャミンもツェリードニヒもライネスを警戒しています。それをライネス自身も知っています。今回の事件でより準備を加速させます。

問題はモモゼの念能力をどうするかです。彼女、念能力を覚える前に死んでいるんですよね。ですから、マチみたいな糸使いか、布使い、ぬいぐるみ使いを考えています。どれがいいと思いますか? というわけでアンケートです。

モモゼの念能力を募集

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