ライネス・エルメロイ・アーチゾルテの真似をする性転換少女   作:ピトーたんは猫娘

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幻影旅団のキャラ崩壊に注意。


幻影旅団

 

 クロロ=ルシルフル

 

 

 

 フェイタンが返り討ちにあったとフィンクスから聞いて何人かが集まった。ジャージを着た男性、フィンクスに抱き抱えられているフェイタンは暴れているが、しっかりと押さえられているので大丈夫だろう。

 だが、両手は無く、肩の辺りが謎の銀色の金属に覆われており、まだ油断はできない。

 

「ぎゃはははは、七歳の餓鬼に返り討ちにあうたぁ、腕が落ちたんじゃねえか!」

「五月蠅いね! クルタ族との戦いがなければ勝ていたヨ!」

 

 巨大な大男であるウボォーギンが笑いながらからかい、小柄なフェイタンが反論している。確かにクルタ族との戦いでかなりの痛手を負った。死んだ団員だけでなく、生き残った俺達も怪我や一部の呪いとも呼べる念を受けて回復が阻害されている。

 

「はいはい、そこまでだよ。今回の問題はオレ達の油断が引き起こしたことだ。まさか、天才とは言われているとしても七歳の子供が念能力者だとは思わないだろう。ましてや実力が下がっているとはいえフェイタンを返り討ちにできるなんて予想していなかった。そうだろう?」

 

 シャルナークの言葉に五月蠅かったのが静かになったな。これで本題にいけるか。

 

「ちっ」

「そうだな。それもオーラを一般人のように隠蔽してやがる。ありゃ、かなりの使い手だぞ」

「団長、次は俺にいかせてくれ。ぶっ殺してやるからよ」

「駄目だよ。ウボォーじゃ殺しちゃうじゃん。俺達は情報を聞きたいの」

「そうだ。それに向こうも言っていたじゃないか。配下になるか、ビジネスの関係になりたいと。つまり、それなりの筋を通せば交渉してくれるとのことだ」

「ふざけた餓鬼ネ。ワタシタチの事、舐めてるよ」

「それはどうかわからないが、パク。フェイタンの記憶を読んで俺達に送れ。七歳の時点でフェイタンを圧倒できたのだ。これからの事を考えて相手の念能力は全員見ておいた方が良い。殺す時に被害が減る」

「そんな事ができるのか?」

「可能よ。でも、これは私の切り札だから、新しく入ってくる人には黙っておいてよ」

「ああ、わかったよ。確かに強力な能力だから黙っていた方がいいしね」

「確かにその方がいいわね」

「さて、皆。今からこのリボルバーで撃つけれどダメージはないから、安心してね」

 

 スーツ姿の女性であるパクノダがフェイタンに触れ、特質系の念能力で記憶を読んでいく。次に拳銃に弾丸を込めて俺達に撃ち込んでくる。記憶弾(メモリーボム)という力で記憶を弾丸として具現化するものだ。

 この力によってフェイタンが戦った相手が見えてきた。金髪碧眼の幼く可愛らしい一般人のように見える少女。オーラの量は普通より少し多い程度だが、これは王族と考えれば英才教育を受けているのだから当然だろう。

フェイタンがベッドの上に寝転がった彼女の背中に降りてから、少し話して印象はがらりと変わる。彼女の使う念能力は殺傷性が高く応用性もある。身体から出て来たということは事前に身に纏っていたか、具現化したかだろう。

 

「幼子でここまで戦えるのか……オレじゃ勝てないな」

 

シャルナークじゃ確かに相性が悪い。おそらくあの念能力は操作系の可能性が高い。操作するにも相手がすでに操作しているから、操ることもできない。他の人間を人形にして挑もうにも水銀を突破できる火力がない。

 

「というか、どう見ても水銀じゃない。中毒性とかあったはずだけど、フェイタンは大丈夫なの?」

「やばいな。心臓に打ち込まれているのはどうしようもないが、腕のはどうにかしないといけない」

「まあ、とりあえず話してみていいんじゃないかな? 緋の目が欲しいみたいだし、交換にフェイタンの腕を返してくれるみたいだしさ。腕が戻ってきたらマチだったら繋げられるよな?」

「余裕よ。でも緋の目を渡すって事は前の稼ぎがゼロになるわよ」

「その分は、ワタシが奪って返すネ」

 

 交渉して取り返すか、それとも奪い返すか、だ。

 

「シャルナーク、まずは王女の居場所を探せ」

「ああ、それなんだけどさ……すぐわかる。何せ有名人だし」

 

 テレビをつけるとライネス・ホイコーロの泊っているホテルが襲撃されたというニュースが速報で流れている。続きを見ていくと、彼女は堂々とマスコミの前に立ちながら事情を説明し、後はこの国に任せる事を告げた後、車に乗っていく。その時の質問でどこに行くかという内容が伝えられていた。

 

『何処に行くのかって? ハンター協会の本部だよ。今回の件でまた襲われてもかなわないからね。しばらくはハンター協会の会長さん達と一緒に居て守ってもらおうと思うよ。どうせ会談する予定は決まっていたんだ。前倒しになってもこの事情なら許してくれると思うからね。なんせ泊まるところがなくなったから』

 

 そう言って笑っている。これは明らかに俺達に対するメッセージだ。襲ってくるのなら、ハンター協会の会長、アイザック・ネテロをぶつけると告げている。国も今回の事で他国の王子……こちらでは姫か。姫が暴漢に殺されかけたとなると国の威信をかけて守るだろう。

 ハンター協会は二つの国からの要求を突っぱねることはできない。できたとしてもしない。ニュースで全国的に報道されている中で突っぱねればかなり叩かれる。それを理解してやっているのだろう。

 

「本当に七歳なのかな?」

「違うでしょ」

「それはマチの勘?」

「勘っていいたいけど、なにか微妙におかしい」

「で、どうするんだ。実際にハンター協会に殴り込むか?」

「いや、今回は大人しく彼女の提案に従おう。こちらの戦力をこれ以上減らすのはいただけない。少なくともフェイタンは確実に死ぬ。そして、アイザック・ネテロが相手なら後数人は確実に死ぬだろう。下手をしたら全滅だ」

「ちっ、仕方ないか」

 

 全員を見渡してから、フェイタンを見る。

 

「フェイタン、不服ならコインで決めるか?」

「いいネ。今回はワタシの不手際ヨ。団の存続の為には仕方ないネ。デモ、アイツはワタシが必ず殺すヨ」

「私は反対。コイツは今、殺しておいた方がいい」

「マチが反対か」

「勘だけど、手に負えなくなる気がする」

「マチの勘は当たるからな……」

 

 さて、どうするか。いっそ、ゾルディック家に依頼だけしてみるか? それもありかもしれないが、ライネス・ホイコーロはまるでフェイタンと彼の念能力を知っているかのように喋っている。もしもこちらの念能力を知られていた場合、相手はどう動く? 

 こちらの念能力を知られていて、戦力があるのなら敵対者を排除するだろう。ましてやカキン帝国の特性を考えるに報復は絶対に行う。今回は国もなんとしても解決しようとするだろう。なら、取る手段は……

 

「ゾルディック家に俺達の暗殺依頼が出されている可能性が高い」

「ゾルディック家か……厄介だな」

「やらないのか?」

「ウボォーやマチには悪いが、やはり今回は相手の提案に乗ろう。情報源であるライネス・ホイコーロを殺すのはできなくはないが、こちらの被害が大きい。ましてや殺しては情報を得ることもできずに意味がない。情報を得るには誘拐になるが、現状ではそちらは不可能に近い。よって、交渉につこう」

「それはいいが、配下になるとか言うんじゃないだろうな?」

「それはない。あくまでもビジネスの関係になろうと思う。彼女の立場的に戦力は欲しいだろうが、こちらに無理な命令をして俺達が死ぬのを覚悟して殺しにこられても叶わないだろう」

「そういうことならいいかもしれないね」

「シャル、携帯とホームコードを取ってくれ。それと盗聴についても妨害してくれ」

「はい。でも、大丈夫だとは思うよ。これ、王族とかが使ってる秘匿用の回線みたいだし」

 

 シャルナークから携帯を受け取り、水銀に挟まっていた紙に書かれたホームコードを入力し、電話をかける。すぐに電話が繋がった。

 

『誰かな? 愛しのお姉様かお兄様かい? それとも……幻影旅団団長、クロロオニイチャンかな?』

 

 俺の名前もバレているか。やはりこちらの情報が抜かれている可能性が高い。もしかしたら、パクと同じ記憶を読む力もあるのかもしれないな。

 

「正解だ。ライネス・ホイコーロ」

 

 スピーカーボタンを押して全員に聞こえるようにする。

 

『おや、ツッコミはなしかい。悲しいね』

「御託はいい。こちらが求めているのはフェイタンの腕だ」

『オーケーオーケー。ビジネスの話をしようか、オニイチャン。だが、少し待っていてくれ。こちらは今ハンター協会にいるからね。数分後に連絡を入れるから、それまで待っていて欲しい。すまないね』

「わかった」

 

 オニイチャンと呼ばれた時に何人かが噴き出した奴がいたので、電話を切ってから殴る。少しすると電話ではなく声がフェイタンから聞こえてきた。

 

『やあ、待たせたね。あ、あ~。トリム、音声は私のになっているかな?』

「問題、ありません」

 

全員で観察して注意深く確認すると、フェイタンの腕に取り付いていた水銀から聞こえてきている。遠隔操作に音声すら通じさせることができるのか。とんでもないオーラの量だな。やはりあのオーラは偽装されていたか。

 

『では交渉を再開しようか、クロロオニイチャン』

「それは決定なのか」

『だって、私よりも年上だろう? もしかしてオネエチャンだったのかな? それなら失礼した』

「あははは、腹いてえ! 団長がオネエチャンって! 女装したら似合いそうだよな!」

「ぷっ! た、たしかに……」

「黙れ」

 

 殺気を込めて笑い転げている奴等を睨み付ける。すぐに大人しくなったのでよしとしよう。だが、声を殺して笑っているのはわかる。

 

「オニイチャンであっている。で、腕は?」

『しっかりとオーラで包んで保存してある。水銀による汚染もないよ。私の目的は記憶を読んだのだからわかるだろう。緋の目と交換だ。君達が持っていることはわかっている』

 

 ライネス・ホイコーロの言葉に全員が一瞬で静まり、周りを警戒しだす。先程まで俺以外には知らなかったパクの能力まで知られているという事はこちらの情報が確実に抜かれている。秘匿しなければいけないパクの念能力までバレているとなると、尚更警戒しないといけない。まずはジャブから行こう。

 

「買い手は君の兄だったのだがね」

『ああ、やはりお兄様か。予想通りの趣味だ。生憎と私はお兄様が嫌いでね。お兄様が欲しがっている品物を横から掻っ攫って悔し涙を流しながら怒り狂う姿をとても楽しみにしているんだ。だからくれ』

 

 ああ、理解した。コイツ、性格が悪いな。嫌がらせのためだけに手に入れようとしてやがる。価値観がおかしいのは王族だからか。

 

「わかった。くれてやろう。フェイタンの腕と交換だ。だが、その前にフェイタンについている水銀を取ってくれないか?」

『心臓のは断るが、止血させるのと連絡用に着けているのだったら構わないよ。ああ、中毒なら心配してくれなくていい。私がしっかりとコントロールしているからね』

 

 指を鳴らす音がご丁寧に水銀から響くと、フェイタンに憑りついていた水銀が一人でに動き出して地面に落ち、俺達の前で小さなメイド姿の念獣が現れた。

 同時にフェイタンの傷口から血液が噴出するが、すぐにマチが念で作った糸を使って縫い付けて止血する。

 

「もしかして、この念獣で情報を抜かれているのか?」

『その通り。ああ、その子には手を出さないでくれよ』

「もし壊したらどうするつもりだ?」

『交渉決裂になるね。私が知っている君達幻影旅団の情報を全世界に公開し、ゾルディック家に暗殺依頼を出させるし、ハンター協会も動かす。ああ、これだけじゃ君達は死なない可能性の方が高いね。

 うん、貧者の薔薇を使って自爆特攻でもさせようか。これなら死ぬだろう。ああ、逃げようとしても無駄だ。我等カキン帝国の、ホイコーロの情報収集能力を甘くみないでくれたまえ。なにせ、我が家にはとびっきりの情報通がいるからね』

 

 俺達を殺すために何個もの都市を灰塵にすると宣言してきた。こいつは明らかに危険だ。流石はツェリードニヒの妹か。

 

「俺達の念能力をどこまで知っている?」

『それを答えるには配下になるか、ビジネスとして代価を払ってもらわないとね。情報にお金がいるのは常識だろう?』

「そこまで脅しておいて配下になれと強制はしないのか」

『何人かは道連れにできたとしても、私が殺されるのは確実だろう。私も死にたくはないから、ビジネスをしようじゃないか。

 互いに利益が出る関係でいいと思うんだ。どうかな?

 そちらは戦力を提供する。こちらは情報を提供する。互いに欲しい物を交換する合理的な関係だ。まあ、私としてのベストは君達が盗みをやめて私の部下となってくれるのが一番いいが、それは無理だろう?』

「無理だな」

 

 全員が殺気を出して拒否している。俺達は誰かの下に入るつもりはない。

 

『だったらやはりビジネスで行こう。ツェリードニヒお兄様はマフィアと繋がっている。だったら、私は君達、幻影旅団と繋がろう。悪い取引ではないだろう』

「正気か?」

『ああ、正気だとも。だからこそ、フェイタン君を殺さずに帰した。本来なら王子を襲ったのだから極刑だ。だが、クロロオニイチャン達と敵対する気はないから、腕で勘弁してあげた。ちなみに最初は言葉で交渉しようとしたのだよ? それを問答無用で拷問しようとしてきたから反撃した。私、なにかおかしいことを言っているかな?』

「……正論だな。だが、兄がマフィアと繋がっているからというそれだけの理由か?」

『マチお姉ちゃんがそっちにいるからだよ。彼女を見かけた時に惚れてね。是非とも欲しい。だから、敵対したくはない』

「ガールズラブとか嫌よ」

「らしいぞ」

『おやおや、フラれてしまったね。まあ、分かりきっていたことだが。とりあえずこちらの条件は……ああ、もう一つ、いや二つあった。クルタ族に手を出さないで欲しい。こちらが話を付けにいくから、その結果次第では好きにしてもらっていい』

「いいだろう。二つ目は?」

『こちらは簡単だ。ツェリードニヒお兄様の依頼や情報を全て欲しい。それと依頼次第ではキャンセルしてくれ。代わりに私は君達の情報を公開しない。それと私が知っているのはクロロオニイチャンの念能力も含まれている。流星街から一緒に来た人達の念能力は全て知っていると思ってくれていい。手付金代わりに戸籍や隠れ家なんかも提供しよう』

 

 流星街の方からも抜かれたようだな。これはもう決まりだ。ハッタリやブラフはあるだろうが、こちらの思惑とも離れていない。

 

「契約成立だ。こちらが欲しい情報は銀翼の凶鳥についてだ」

『ああ、アレか。それでアレの何が知りたい?』

「術者についてだ」

『悪いがソレは禁則事項だ。この情報はカキン帝国の継承戦に影響する。私は王位継承権を手放すつもりはないからね』

「いいだろう」

 

 情報は出せないと言いながら、できる限りの情報は伝えてきたか。この銀翼の凶鳥にはカキン帝国の王子か王妃が関わっている。継承権に関係があるとなると王子と王妃しかいないからな。

 

『じゃあ、緋の目は数日中に届けてくれたまえ。代わりにこちらはフェイタン君の腕を渡そう。それと持ってくるのはマチお姉ちゃんとフェイタン君、身元がバレていない人でハンター協会まで来てくれ。くれぐれもクロロオニイチャンやパクノダさんを連れてこないように。私は触れないし、本にも絶対に触らないからね。では、来る前に一報をいれてくれ。公務で時間がとれないかもしれないから、これだけはよろしく頼むよ』

「これは完全にバレているわね」

「ああ、そうだな」

 

俺が念能力を奪う条件の一つが本に相手を触れさせることだ。それを知られているということは盗む事も難しい。

 

『それとこれはサービスの情報だ。あと数分もしないうちにロケットランチャーが複数、そこに撃ち込まれる。急いで逃げた方がいいよ』

「おい」

『私だってクロロオニイチャン達みたいな怖い人との交渉に保険を用意するのは当然だろう? なんせ私はか弱い七歳児なのだから』

「「「こんな七歳児が居てたまるか!」」」

『あははは、これがホイコーロクオリティーだよ。ちなみに毒ガスも用意されているから、本気で攻撃して壊さないように逃げるのをお勧めする。チビトリム、先導してセーフティーハウスの一つに案内してあげてくれ』

「了解」

「ではクロロオニイチャン達、楽しい鬼ごっこを堪能してくれたまえ」

 

 それから二日ほど、逃げ続けた。連中は本当に毒ガスなどを準備してきていたので、下手に攻撃するわけにもいかない。襲ってきたハンターについてはウボォー達が処理したが、下水道なども使うことになってしまった。

 それに加えて定期的にライネス・ホイコーロから連絡がきて楽しそうにチビトリムなるもので俺達を導いていく。ナビゲーションは確かに完璧だが、下水道で変異した魔物とかを相手にしなくてはいけない上に数が多かったので大変だった。

 また楽しそうにこの場にいない状況で遊んでいるライネスのせいで胃に久しく感じていなかった痛みが走った。

 

 

 

 

 




ライネスちゃんのハッタリ。貧者の薔薇なんて用意できなくはないが、色々と大変だからやらない。ましてや被害がちょっと目も当てられない。だけど、クロロ達にはツェリードニヒのせいで本当にやる可能性があると思われている。
だが、情報網は確かである。なにせ銀の鳥達の視界が奪えるからね。クロロオニイチャンへの回答も嘘は言っていない。

幻影旅団のライネスに対するヘイトが上昇。一応ビジネスとして付き合う事は決定。相手は国家と金の力を全力で使ってくるから仕方ないね!

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