死んでしまった主人公はその身にチートを宿し、神の手によって生き返った。
「二次元のキャラに変身出来る能力」
主人公はこの能力を使って面白可笑しく生きていく。


※オリジナル作品に二次作品のキャラを出していいのか分からないので教えてくださると嬉しいです。もし禁止されている若しくはあまり推奨されない場合は削除をかんがえます。

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妄想垂れ流し作品です。。生暖かい目で見てください。


マイルドメイドな黒い王

 気付けば白い空間に居た。周りには何もなくて、僕は直ぐに悟った。異世界転生だと。チートだハーレムだ何だと面白可笑しく過ごせるだろうなあと異世界生活に夢を馳せた。

 

 けれど。そんな都合の良い話は無かった。

 異世界転生はアチラの神からお断りを入れられてしまったのだ。何でも地球の神が無差別に転生させ過ぎるせいでチートが溢れ返り世界が混乱しているのだと言う。

 

 そこからベラベラと異世界の神と地球の神が話し合った結果、もう転生はさせないことが決まった。

 

 じゃあ僕はどうなるのかと言うと地球に生き返らせてくれるらしい。

 

 異世界じゃないし、地球かよ。そう思ったのも束の間、望むチートを1つだけつけてくれるらしい。

 

 僕が望んだチートは二次元にいるキャラに変身出来る能力だ。なぜこれを選んだのか、というとまあ簡単に言うとチヤホヤされたいからだ。

 

 二次元のキャラは美形が多いのだ。美男子然り美女然り。

 

 それと女性になれることも大きい。僕としては一度でいいから女性となって男性を翻弄して見たいと思っていたのだ。

 

 無論僕はノーマルだ。女性が好きだし、同性は性の対象ではない。ではなぜ女性になりたいかと言うと早い話、興味本位である。

 

 まあそんなこんなで僕はチートを決めて、二度目の人生面白可笑しく過ごすことに決めたのだった。

 

 目が醒めると、お経が聞こえていた。良かった、まだ骨になる前だった。おそらく葬式の途中だ。

一応、臓器などは新しく造り直されているらしく心臓の音が耳梁に響く。

(取り敢えず、呼吸しようか)

 

 所で呼吸とはどうやるのか。僕は死んだままいた訳だから、今呼吸をしていない状態である。

 

 取り敢えず鼻から空気を吸い込むイメージで呼吸をしようする。

「ゴホッ!」

 

 むせった。

 お経がピタッと止まる。

 

(頼む、バレないでくれ……!)

 家族を驚かそうとしていた手前、むせってしまったことは大誤算だ。

 

 しかし、無情にも僕の頭上に足音が迫っていた。

そして僕の顔に被せてある面布が摘まれる。

 

 僕は悟った。

(あ、ダメだわ)

 お坊さんと目が合った。

 

「……」

 

「……こんにちは」

 僕が挨拶すると、お坊さんは顔を真っ青にして倒れてしまった。

 状況確認のため、身体を起こすと喪服に包む方々が僕を見ていた。

 

 両親と妹は空いた口が塞がらないのか、ぽかんと口を開けたままだ。

「ええっとお、お爺ちゃんがまだ来るなって言うからさ。帰ってきた」

 

 僕が言うと真っ先に母が駆け寄って来てくれた。

 

「これは夢じゃない!? 夢じゃないわよね!?」

 僕の両肩を掴む。凄い力で若干痛んだ。けれど心配掛けてしまったのだからこれくらいは甘んじて受け入れる。

 

「うん。夢じゃないよ。ちゃんとここにいる」

 母が僕の事を抱き締めた。僕も抱き締め返す。

 

「良かった……! 本当に良かった……!」

 抱き締め合う母子。

 未だ硬直状態の親族たち。

 そして倒れたままのお坊さん。

 かなりカオスな状況だ。

 

 僕は母さんを抱き締めながら喪服に身を包む親族たちを眺める。

 

 その中に僕の祖父がいた。母方と父方の祖父両方だ。

 ……お爺ちゃん、生きてたんだった。

 

 

 

 あれから早二年。

 

 僕の黄泉がえりは大々的に報道されることになった。テレビ局や雑誌の取材が度々あり、中々落ち着ける日が無かった。

 

 まあそれも一年前ことだ。今では悠々自適な大学生活を送っている。

 相変わらず友達は少ないし、彼女も居ないが個人的には順風満帆と言って良いだろう。

 

 神さまから貰ったチートに関しては分かったことが二つ。

 

 まずは変身。

 二次元のキャラになることはもちろん空想上の生物にすら変身出来ることが分かった。

 

 持続時間は一週間。同じキャラに一週間変身した後、また同じキャラに変身するためには二日のインターバルを挟む必要がある。

 キャラが持つ身体的能力が変身している間、使えるようになることも分かった。

 

 これはもうチート。軽く世界を滅ぼせるレベルだ。もちろん、そんなことはしない。

 面白可笑しく過ごすと決めたのだから。

 

 

 

 

 

 僕の目の前に立つビルの一室にはメイドカフェがある。

 

「コスプレカフェ.メイメイ」

 

 時給1360円。しかも交通費支給とのこと。店長は女性の方で女の子の日は無理せず休んでいいと言ってくれる優しい方だ。(それが普通なんだけれども)

 

 初出勤の日は厨房で料理の基本を教えてくれるらしい。

 

 因みに僕、新田了の初出勤が今日だ。

 

 早速ビルの裏手からエレベーターに乗り五階にある更衣室へ向かう。

 

 うぅむ。緊張する。上手く出来るか不安だ。先輩方は優しく教えてくれるだろうけど僕は要領が悪い。先輩方を困らせないよう気をつけなければ。

 

 ただまあそれとは別に自信がある部分もある。何の自信かと言うと容姿だ。

 

(ふふっ。多分一番の人気者になるだろうね)

 病的なまでに白い肌は稚拙だけど白磁器のようだと思う。もう文句のつけようがない位に綺麗でシミひとつとて見当たらない。

 

 金色の瞳は美しくまるで宝石を見ているみたいだと思う。髪も同じく金色で絹のようにサラサラ。束ねた髪を後ろで纏めたシニョンはあの人の代名詞とも言える。

 

 しかも声まで同じだ。

 そう、今の僕はアル◯リア。しかも黒い方である。

(僕以上に可愛い子は居ないだろうね、ふふふ)

 

 そんな風に自画自賛しているうちエレベーターの数字が徐々に近づいていった。

 

 それに比例して僕の緊張のレベルも高まっていく。

 エレベーターのドアが開き、丁度先輩と思しき方が目の前にいた。

 ポニーテールで僕より背が高い女性だ。結構可愛いけど僕よりは劣ると思う。

 

 相手は先輩。挨拶は重要だ。噛まないようにしないと。

「おはようございましゅ」

 ……やってしまった。初日からこれだと先が思いやられるな。調子に乗った罰だろうか。

 

「おは……え?」

 先輩は目を見開いて僕を見ていた。時が止まったかのように微動だにしない。

 

 多分だけどこれは僕が悪い。噛んでしまって変な僕風に思われたのだろう。僕は謝罪の言葉を述べて直ぐ脇を早足で通り抜けた。

 

「あ、あれってf◯teの……」

 僕の背中に届いた声に、沈みつつあったモチベーションがうなぎ上りに上がった。

 

 

 

「おお……」

 全身鏡に映る僕のメイド姿はまさに女神だった。こう言う時自分の語彙の少なさを激しく痛感する。

 

 可燐な白い冠。黒のワンピースの上に白のエプロンを装着。

 くるりとターン。そしてウインク。

 

「ぐはっ!!」

 や、ヤバイぞ。もう僕人間国宝確定じゃないか。こんなにもキュートで美しい。あまりの破壊力に僕は心が震えた。

 

 その後も色んなポーズを取ったり、ちょっといかがわしいポーズを取ったりして楽しんでいると。

 

 控えめに更衣室の扉がノックされた。

 

「アルトリアさん、着替えは終わりましたかー?」

 

 店長の声だ。

 危ない、変な世界にトリップする所だった。今日は初出勤。しっかりしないと。

 

「今行く」

 

「……」

 

「どうした店長、どこか可笑しい所でも?」

 

 更衣室から出るなり店長は固まった。たぶん、僕の姿を目で捉えた辺りからだ。

 

 一応「可笑しいところ」とは聞いたけど十中八九僕の美しさに驚いているんだと思う。

 

「店長? どうしたのだ店長」

 

「……はっ!」

 

 僕が呼びかけ続けているとやっと戻ってきた。

 

「ご、ごめんなさい。ちょ、ちょっと今日は具合が悪いのかしらねー」

 嘘だ。僕には分かる。

 

「じ、じゃあ今日は前も言ったように厨房に立って貰うからね。君のことは伝えてあるから指示に従って動いてちょうだいね。あ、接客もお願いしちゃおうかなっ」

 

「ふむ。了解した」

(僕の可愛さと美しさは凄まじいからね。うんうん)

 

 店長が事務所に消え、僕は厨房に向かった。

 厨房は三人。冷凍庫を弄っている女性と野菜を切っている女性。最後にドリンクを作っている女性だ。

 僕の気配に気付いたのか、野菜を切っていた女性と目が合った。

 

「今日よりここで貴様らと共に働くことになったアルトリアだ。宜しくな」

 

(いきなり初対面で、しかも初出勤で敬語じゃないのはアウトかも……)

 しっかりと頭を下げたが、先輩方からの反応が全くない。恐る恐る僕が顔を上げると先輩方は固まっていた。

 

(一応セーフかな?)

 彼女たちの驚いた反応を見るのはポニーテールの女の子、店長と続いて三組目だ。

 

 うん、癖になりそう。

 

 小一時間ほどで三人の先輩方と自己紹介を交わした。

 「声までそっくりだね」と言われるのは素直に嬉しかった。まあ本物に限りなく近いから当然と言えば当然なのだけど。

 

 三人の先輩方から手取り足取り指導を受け続けること二時間と少し。

 

 ホール担当の方が入って来た。休憩らしい。

 

「厨房組ー。あの人が来たよ。アタシ休憩取るから宜しく。あら、貴方は……」

 彼女は僕の姿を認めるなり、目を丸くした。

 うん、やっぱりそう言う反応いいね。

「今日からここで働くことになったアルトリアだ。宜しく頼む」

 

「う、うん。宜しく。それにしてもアルトリアさんコスプレの再現度高いんだね。……羨ましいよ」

 

「なに?」

 

「あ、いや。そう言うのはご法度だったね。じ、じゃあアタシ休憩取るから」

 彼女は足早にその場から去っていった。

 

 何だあの女は。僕は一応天然モノなのに失礼過ぎる。

 一週間しかなれない制約はあるけれど本物なんだぞ。

 ……ていうか僕は彼女から名前も教えてもらってない。これはあれか、貴方とは仲良くしませんという合図なのか?

 

(ま、別にいいけどね)

 他人は関係ない。僕が良ければそれでいいからね。

 まあけど名前は知っておくべきだろう。

 

「羽染先輩、あの女は?」

 

「ふふ、成りきってるわね。彼女は楠木さんよ」

楠木さんね。珍しい苗字だ。

 

「ほう、楠木か。私に冷たかったようだが」

 

「ああそれはね、彼女、貴方が成りきっているキャラのファンなのよ。それもかなりのね」

 

「なるほど。私が現れて嫉妬した、と言った所か」

 

「多分ね」

 そう言えば彼女が言っていた「あの人」とは何だろうか。

 

「追加で聞く。あの人とは何だ」

 

「んーと、何て言えばいいんだろう」

 

 羽染先輩が他の先輩たちを見る。

 

「毎週毎週来てくれてね、料理とか美味しそうに食べてくれるんだけど、ちょっと注文が多いと言うか、何て言うか」

 

「つまりは面倒な客と言うことか」

 

「そ。けどアルトリアさん、そんなことあの人前で言わないでねー」

 

「見くびって貰っては困るな。そこまで人の心が分からぬ私ではない」

 

「そう? なら良いんだけどね。はぁーあ、この間、田中さんやったから、今日は私かー」

 羽染さんは気怠げに呟く。

 

 しかし面倒くさいお客様か。これはアレだな、「もえもえきゅん」とかに感情を込めろとか言う人だろうか。

 

 ……もしそうだったら、そのお客様のお相手してみようかな。僕の可愛いさと美しさにハートが射抜かれしまうかもだけど。

 

(ふふふ、そのお客様を翻弄してやんよ)

 

「羽染先輩、あの人とやらの相手、私がやろう」

 

「そー……へ?」

 

「その耳は飾りではあるまい。もう一度言う。私がやると言ったのだ」

 

「ええ!? でも大丈夫なの? 」

 

「王に二言はない」

(実は結構自信あったりするんだよね)

 

 早速ホールに行くとメニュー表片手にきょろきょろと店員を探している男を見つけた。

 

 オーダーだろう。向かい合うようにして座る二人の男たちの元に僕はツカツカと歩み寄った。

 そのうちのひとりが僕の姿を見て

「なあ、おいあれ。レベル高くね?」

 

「ん? どれ。マジじゃん。ちょ、写真撮る」

 っと、確か写真は許可を得ないとダメだったはず。

誰の許可かと言えば撮られる本人のだ。僕は許可してない。

 

「おいお客様。写真は許可を得てからだ。テーブルにそう書いてあるだろう?」

 

「っ!! こ、声まで!?」

 

「やっべ、オレ死んでいいわ。あ、すいません、写真一緒に撮ってもいいですか?」

 

「許可しよう、だが注文を取った後でな。それでご注文はいかがなさいますかお客様?」

 

「もえもえオムライス2つで!」

 

「畏まりました。ではお客様よ、行儀よく待っていろ、直ぐに持ってくる」

 

「「はい!」」

僕は踵を返し、厨房へ伝票を届けようとすると。

 

「ぼ、僕も注文いいですか!」

 

「オレも注文お願いします!」

 

「拙者のほうも頼むでござる!」

 

 周囲のお客さんからも続々とオーダーの声が上がった。

 みんな僕の姿を見てのことだろう。

 

(うぅん! めちゃくちゃ気持ちいい!)

 ぶっちゃけ絶頂しそう(小並感)

 

「フッ、待っていろ。一人ずつだ」

 僕は不敵に笑った。

 だがホールの隅の椅子に深く腰掛けるひとりの男だけは静かに僕のことをじっと見つめているだけだった。

 

(多分、あの男が「あの人」なのだろう)

 確かに、こう小言を言ってきそうな雰囲気だ。

 

 短く切り揃えられた髪はツーブロックに刈りあげられ、銀縁の眼鏡から覗く瞳はとても鋭い。今もなお僕を射抜くように見つめる瞳からは凄い眼力が伝わってくる。

 

 黒のスーツを着こなしており、とてもこのような場には似つかない異質な存在に思えた。

 

 僕が全ての伝票を厨房に届けた後、不意にその男の手が真っ直ぐに上がった。

 

「フッ、漸くかお客様。ひとり案山子を決め込んでいたようだが……。まあいい注文を聞こう」

 

「……を頼み…す」

 

「? 何をボソボソ言っている。しっかり話せ」

 

「きょ、今日の……ぱいを」

 

 「あの人」は俯きながら拳を握り締め、またボソボソと何かを口にする。

 本当に何言っているか分からないんだけど。

 

「だから、分かるように話せと言っているだろう」

 

「え、えっとだからその……」

 

「……よもや私に喧嘩を売っている訳ではあるまいな?」

 ちょっとだけ苛ついた風を装いながら言った。僕自身としては苛ついていない。

あくまでもキャラであるのだ。

 

「っ!! す、すみません。だからえ、えと今日の、一杯をお、お願いします……」

 

 「あの人」がスッとテーブルの上にピンク色のカードを置いた。[今日の一杯]と書かれている。

 

「? 今日の一杯だと?」

(何だそれ)

 

「アルトリアちゃん、アルトリアちゃん。ちょっと」

 僕を呼んだのは羽染先輩だった。厨房の陰から手招きしている。

 

「少し待っていろ、お客様よ」

 一先ず僕は先輩の元へ向かった。

 

「あのピンク色のカード、あれって会員様限定の特典で今日の一杯って言うものなの」

 

「む、何だそれは」

 

「アルトリアちゃんがお客様と一緒にドリンクを飲むものよ。勿論、アルコールじゃなくて普通のね。でね、一番大事なのは」

 

 なるほど。コーラなりコーヒーなりを一緒に。

 

(けど、僕と一緒だと緊張しちゃうんじゃないかな。たぶん)

 と、僕が能天気なことを思っていると爆弾発言が飛び込んで来た。

 

「同じグラスで飲むことが重要なの」

 

「……ほう。そうか」

 僕は驚きながらもどうにか言葉を紡いだ。けどそうか、つまり間接キスだな。

 

「どうする? もし無理なら違う娘に変われるけど」

 不安そうに聞いてくるが心配はいらない。

 僕はアルトリア。やるときはやる男(女)だ。

 

「私に出来ないことはないぞ」

(もうアルバイトの鑑だね、僕は)

 

「分かった。アルトリアちゃん、頑張って!」

 先輩に声を掛けてもらい、僕はあの人の元へ向かった。

「待たせたなお客様。今日の一杯、注文を聞こう」

 

「だ、だぁに!? アルトリアちゃんと今日の一杯だとお!?」

 

「ど、どう言うことだ!?」

 

「拙者のアルトリアちゃんが……」

 

 おい待て。僕は貴方のじゃあない。

あとアルトリアちゃんは僕の物だ。勘違いしないで欲しい。あ、アルトリアは僕自身だから僕の物ってことだけれども。

(これも僕の美しさの弊害かな。うぅん、いいねえ)

 

「じ、じゃあメロンソーダで、お願いします。うぅは、恥ずかしいな」

 

「よかろう、だが恥じることはないぞ。少し待っていろ」

 厨房に伝票を届け、メロンソーダの入るグラス片手にあの人の元へ戻った。

 

 因みに間接キスだと思ったがどうやらそれは僕の思い違いのようだった。ストロー二本でグラスを共有するのだ。

 

(あれ? グラスの中に唾液入るよね?)

 つまり間接ディープキスになる。まあ僕としてはそこまで気にはしないから問題はない。

 

 ただお客様からしてみれば僕みたいな美少女と間接キスする訳だから緊張感は半端ないだろう。

 

「お待ちどうさまだ」

 

 僕はテーブルの上にメロンソーダを置いた。彼の向かい側に座りストローを渡す。

 

 相変わらず彼は下を向いたままだ。

ちょっとだけからかってみようかな。

 

「お客様。私は、実は今日が初出勤なのだ。だから、その。今日の一杯は今日が初体験になる」

 

 バッ。

 彼は恐ろしく早く顔を上げた。

 

「漸く顔を見せたな。さてお客様。

問おう。貴様が私のマスターという奴か?」

 

 僕はあの名セリフを恥ずかしげもなく告げた。同時にストローを差し出した。

 

「っ!! そ、そうです。お、オレがマスターです!

じ、じゃあ早速飲みましょう!」

 それからものの五分ほどでグラスは空になった。

 

 僕自身、もしかしたら緊張するかなあと思ってたけどそんなことは無く終始無言で終わった。

 

 と言うより僕としては一言二言話したかったけど彼が緊張しすぎてなのか凄い勢いでメロンソーダを飲んでいたのだ。

 

 ……何て言うか、それはそれで凄い可愛らしかった。母性?とは違うだろうけど。一体どうしてだろうか。

 

 彼が写真を撮りたいというので一緒に写真を撮ることになった。

 

 二、三枚撮り終え、僕が業務に戻ろうとするとSNSに投稿したいと言うので一度先輩に相談。

 

 余りおススメはしないらしいが僕としてはウェルカムだったので許可を出した。

 

 その後の僕は営業終了まで濃密な時間を過ごしたのだった。

 

 

 

 


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