あれから数十年後。僕は25歳の最後の冬の頃を思い出していた。といっても今はもう54歳なんだけどね。
いやぁ、最後に集まったのがクリスマスパーティーなのだから、ふざけて楽しんだ以外の記憶を思い出すのが大変だった。
お酒、そんなに飲まなかったはずなのに、おかしいなぁ。
まあ、そうやって思い出していたのは今の僕は病み上がりなのにも関わらず、悠希達3人とその他子供たちとで近くの公園へ遊びに行こうということになってから。
なにも悠希からなにか教えてもらった…というより変な知恵をつけてもらった小学生辺りの子供達がやたらと遊ぼうとしてくるせいで思わず思い出さずにはいられなかった。いやだって、死んだら死んだで痛いし、遊び盛りの子達を3人同時はキツい。
不老不死だからってそんな命懸けの遊びを提案してくるんじゃない。
闇のゲームとかじゃないのに。そもそも死ぬ時の感覚、案外残るもんだよ?
特に2人。僕の子と椿の子が影響を受けまくっていて、大変なんだよ。ほんと。
「ねーねー、おねばあさん」
「お姉さんかどうか分からないんだったら普通に僕の名前を呼んだ方が楽だと教えたはずなんだけど…」
「えー、それだとつまらないんだって、お父さんが」
「そうそう、僕もさ、僕の父さん母さんの知り合いの橘悠希って人が面白く呼んだ方が退屈しないって教えてくれたんだぜー?」
なにを教えてるんだか…。自分らの子供でしょ?
あと我が子にも変な知識を教えるんじゃない。最近我が家でも驚くことされるんだから。
例えば“不老不死の確認です”と朝包丁持ってきたり。それはある意味心臓に悪かった。どんなホラーにも勝てるんじゃないかと思うほどに。
ひ○らしの真似をしてこようとしてきた時はもっと焦ったけどね。処理とかどうするつもりだったんだろうか…。やれやれ。
「ハハハ、葵。楽しそうだな?」
「楽しくないよ!?」
30代か40代になった悠希が楽しそうに笑いながら話してきた。
対岸の火事みたいだと思ってるんだから。ほんと、全く困った人だよ。
でも、退屈するよりはマシ……なのかな?いや、両親が家にいるからそうでもないな。
僕のことを“歳を取らないなんてまるでサーヴァントのようだ”という元気な父さんに、その父さんの手に油性ペンの赤色で令呪もどきを書く元気な母さん。
ある意味1人じゃ見きれないので申し訳ないと思いつつネッ友に依頼した。資格もあって車もあるから大丈夫らしいし、そういうのはしっかり支払っているので最近そこまで苦労しない。
「あっ、そうだ!篠崎おねばあさん!」
「違うよ。お母さんは見た目がお姉さんで中身がおばさんなんだから、お父さんがそういうのをサーヴァントや美魔女っていうんだって教えてくれたんだよ」
「え、そうなの!?」
いやいやいや。全然違うし、それ以前にフォローになってないよ、と思ったら悠希が笑った。なるほど。君だったのか。
…40、50代になったその体で僕と競走させてやろうかと思った僕は悪くないはず。ちょっとした意地悪扱いされるだけのはずだし。
(いやぁ、彼女の家族は面白い勘違いみたいなことをしてて退屈しないな。でも、こうやってふざけてた方が楽しいってことぐらい知ってるだろうに。…って、俺も良い歳だからやめようやめようとは思ってたんだけど、やっぱり楽しくてやめられないな!)
ため息しかでないんだけどなぁ…。
「全く……。ほら、あっちで椿お姉さんや湊お兄さんが色々準備してくれたし、突撃したら?」
「「「はーい!」」」
そう返事した3人の子供は公園の反対側にいた2人にかけていった。
…もしかしてさっきまでの流れに混じらない辺り、1人だけ真面目だったのかなぁ。
さて、ふざけだしたら未だに手におえない悠希と僕だけになったことだし、普通に話すか。
「全く……最近もふざけてるけど、肩とか大変じゃなかったのかな?」
「え?さすがに診てもらった。んでもってどうやれば軽減できるか教えてもらったから楽だな」
もしかして四十肩じゃなかったと。
…あれ?じゃあ、ただの肩こり?
「いやぁ、そんな呆れたような半目で見なくともお前ならなんとなく分かるべ?とにかく大したもんじゃなかったし、マッサージとかはやっぱ受けると楽だよなって話」
「あぁ、そう。それはよかったね」
原因は子供混じりだったか。なら仕方ないね。……もしかして腕にぶらさげたりしてる?
「あ、そうだ。子供達がお前に東方projectかなんかのコスプレをしてほしいってよ。確か同じ不老不死の奴を。そんでその格好で遊んでほしいってさ」
「えっ?……えぇー……あの人の?確かに今の僕は病気になる点以外は似てるけどさ、ヴィッグつけるの大変なのに」
(まあ、前は子供相手にヴィッグまでしたコスプレで遊んでたっけか?ただ子供らと遊んでると外れるし、動きにくいと諦めてたんだったな。俺的にはそりゃそうだとしか思わんけど)
うん、やっぱりコスプレで遊ぶのはやめた方がいいよね、と思うようなスカート類を選ぶ僕が悪いんだろうけどね。仕方ないね。
あ、でも今回の子はもしかしたら……
「ま、それはおいおい買えばいいんじゃないか?今はともかくあいつらが安全にふざけるよう近くにいるぞ」
「いや、安全にふざけるとかどんなんだし…って行動早いな!?」
そうじゃないだろ、と言う前に悠希は5人の元へ少し駆け足で向かった。
僕はそれを見て少し笑みを浮かべながらあとを追った。
ああ、この後どのようになるんだろう。
そんな期待を胸に。