昼食を食べたあと、僕達はーーーといっても3人なんだけどーーー悠希の知り合いの釣り船に乗っていた。いや、訳が分からない。教えられずについてきたわけだし。
「んで、なにしにいくの?沖になんて向かって」
「そうだよ。何気に悠希の知り合いが釣りの準備万端だったのが驚きなんだが」
確かに。何を釣るとか話してないわりには漁船で沖まできてるし。
なにをするつもりなんだろう。
(あ、まさかあのラ○ンで来た釣りの誘いが来たから行こうぜって……そんなのないよね?)
(……あの子、本当に不老不死なのか?どう見ても普通の人間だろ。まあ、悠希のことだ。俺に直接教えきたのには理由があるんだろ)
「それで結局なにを釣るの?」
僕がそう聞くと悠希だけはさも当たり前のような顔をして
「葵を釣り餌にして、サメを釣るつもりだが?」
といった。
………………
…………
……
はい?今なんて?サメ?サメって言った?
「おいおい、悠希。サメを釣るとなると葵さんが死ぬじゃないか。お前それってなくないか?」
うーん、と腕を組んで悩んでいた僕をおいて聞く湊さん。気にしてくれてるんだね。ありがとう。
でも、僕なら平気なんだよね。
「だったらじょ○○えんでランチメニューね。もちろん君達のおごりで」
「あー、だよな。俺も入るか。まあ、釣り以外にも収入が俺にはあるから俺が少し多く出すとするよ」
(半信半疑とはいえ、サメはサメで食べれるからな。あ、この話は葵と湊にしてなかったわ)
「そういや葵さ、サメって食べてみないか?」
(……巻き込まれた俺も払うの前提なのな。やれやれ、今日は知り合いもいるとはいえ…悠希がいつもよりアクティブだからまいったもんだな)
「ん?あぁ、食べる。興味あるし。それならおごりってのなしにして、僕も少し払うよ」
「おっし、ならその話で行こうか。悠希、篠崎お嬢さんにあれ渡しといて」
「はいよ」
そう話して僕にナイフを渡してきた。
包丁とは別だよ?
僕が今からそのナイフで足を軽く切ろうとしたら湊さんが止めてきた。
腕をつかんで。…真剣な顔してどうしたの?
「いや、でもやっぱり危ないよ。相手はサメなんだし……」
「大丈夫大丈夫。僕ってば特殊な訓練受けてるからサメとこう、格闘できるんだよ」
(はあ?いくらなんでも無理があるような。それに喫煙家でお酒も飲んでるらしいし。…悠希曰く“飲みすぎてお互い医者から呆れられてる”ってのもあるからな。まあ、それは関係ないとして。ーーーそれを抜きにしても危ないだろ)
ほんと怪訝そうな顔をするね。とりあえず今のうちに切ってしまおう。
……あ、そうだ。たまには違う方法もしてみようかな。前はよく足に噛みつかせて僕がサメのエラを掴み、釣り上げるってしてたわけだし。
…普段より痛くなりそうだし、あとでタバコも請求しようかな。メンソールのやつで度数の高いやつでも。
と、そうだ。返しておこう。そう思って酸素ボンベなどと交換で悠希の知人男性とナイフを返した。
ニコニコと笑いながら僕は
「ちょっと汚すよー」
といいつつ、酸素ボンベの管を持つ。
(汚す?…あぁ、もしかしてそういうことか。ならこっちは針でもたらしとくか)
あ、悠希がやっぱりすぐに気づいた。ニヤッて得意げにしだしたし。
あとでたまにしか吸わないメンソールのタバコ要求するけど、いいよね。いいよ。
よっしゃ、一方的に許可をもらったとこでやりますか。
(ん?いきなり酸素ボンベの管を片手に葵さんが海に入って……あ、悠希の知り合いの方が呆れ顔になった。いや、俺は俺でよく分からなくなってきたんだけど。誰か説明して欲しい)
「ってうわぁあ!?なんか口に入れて少ししたら葵さんがなんか死んだぁ!?」
「うわぁあ!?タイミングミスって投げ入れられた針のところに生き返っちゃった!?」
「え、ええぇ?!」
「ハハハ!なんか面白いことになってるな!」
「やれやれ……僕にとっては面白くもないんだけどなー」
さあ大変。僕が酸素ボンベの管を痛みなどガン無視で肺に入れ、そのままサメの撒き餌に化けたタイミングで悠希が悠希の知り合いに見られつつ?一緒にサメを釣るための針を投げ入れていたようで大混乱。主に湊さんが。
僕は単純に失敗したって気分だから入れないでおく。というかサメきたよ?
「おーい、葵ー!頑張ってサメ捕まえてなー!」
「んじゃ、ウエストポーチの中身投げてくれるー?今日実用できるレベルにしたいい道具があるからさー!」
「ん?あいよー!」
(ってこれ、ア○スボー○でモ○スターに張り付き攻撃ができるようになったヤツと同じもんじゃないか。…なるほど、こいつは色々と面白そうだっと)
「おっ、ナイスー!んじゃ、逝ってくるー」
僕はそう言い残すと顔だけつけようとした。あ、シュノーケルマスク投げられた。
(悠希の女友達は少し抜けてるのか?というかあれは下手にサメを呼びそうでこっちも怖いんだが。大丈夫かね)
「なあなあ、今の葵さんのいってくるのニュアンス、おかしくなかったか?」
「気のせいだろう。な、悠希」
「そういうことにしておくよ。とりあえずヒットするまで待つとしようぜ」
どうしたものかなぁ…なんて考えていたらサメが見えてきた。なんか大きいような?
よし、嫌がらせに1回漁船に当てよう。そうしよう。
頭に無理やり張り付き、強引に漁船へと当てつける。水中にいるけど、たぶん彼らは慌てふためいてる。というかサメが僕に狙いを定めてきた。こりゃヤバいかも。
「うわぁっ!?ちょっ、葵さん!?」
「やめろナイスー!」
「おいおい、そうじゃないだろ悠希?!」
船の上はどうなってることやら。
あとでタバコ吸いながらシラでも切ろう。バレてるの前提で。
しばらくした後、まーた死んだ僕は今度こそ“なにも無い”漁船の上に蘇った。ってもう港についてるんだ。
(あいつ、サメを引き上げるの大変そうだなー)
「え、あ!葵さん!?なんかこう、色々と大丈夫だった?」
そ、そんなに焦らなくても。相手はサメなわけだし、不老不死と確認のために2回か3回崖の上から突き落とされるよりはマシだと思うよ?
いや…痛み的には突き落としだね、うん。
「あの程度の痛みだったら我慢ぐらいできるからねぇ。あ、悠希。あとでタバコ1箱おごりね。ついでにメンソールで宜しく」
「えぇー……。ま、じょ○○えんのおごりはここにいる4人全員で分割になってるからいいわけだし、別にいいか。今回はマルボロがいいのか?それともセッター?」
(え、そんな冷静に会話するもんなの?俺がおかしいだけ?……ってあれ、あのお兄さんも遠い目をしている。ってことはあの悠希の友人も似たような考えである、と?…むしろそうあってほしい)
「いやぁ、今回もお任せするよ。たまに面白いのがあるから楽しみだし。それに僕はお願いする立場だからね」
「あいよー」
「お前達は自由だな……」
「いやぁ、褒めなくても」
「褒めてねーよ!?」
おお、さすが仲良しなだけある。
ツッコミにキレがいい。
「いや、あのな…お前ら、サメを食べないのか?」
「「食べるー」」
「え、食べれるんだ……というかさばけるの?」
うーん、どうなんだろ。
「葵さん、だったか?考えなくてもさばけるぞ。俺と悠希とで手本な」
「えっ、俺も!?えー」
あ、悠希が面倒くさがってる。
「えー、じゃない。というか言い出しっぺはお前なんだから責任もてよ」
と言われたかと思うと悠希が連れていかれた。
「……俺達も行こうか、葵さん」
「そ、そうだね。そうしようか、湊さん」
お互いの顔を見合わせ、頷きあってあとを追うことに。
サメをさばいたり、食べたりしている時に話し合ったけど、じょ○○えんは今度全員の都合のいい時に行く話でまとまった。
うーん、やっぱりサメは面倒だな、と感じた日だった。
一部表現不足だった為、追記しました。