病気になるけど不老不死   作:篠崎零花

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少し短めです。


if5話 不老不死の誠意の表し方

それから梅雨が過ぎて夏になったある日。というか約束の日になったので、駅近くの集合場所に思わず早く来てしまった。

しかも10分ほど。タバコ2本か3本は吸える気がする。

たまにライターじゃなくて、自身の手から火が出たらいいのになーという理想を見る。……出ないけど。

 

 

とりあえず、近くに吸えそうな場所は……

ってないんかい!

 

あ、比較的大きな声だったせいか周りの人の視線ががが。

恥ずかしい。いきなり叫ぶ変な人じゃないか、これでは。

 

 

 

 

 

「おー、葵さんは少し早めの到着なんだね」

 

「あ、湊さん…。おはよう」

 

(俺も人の事を言えないとはいえ、この人も10分早く来たんだ。これを“少し早め”といえなさそうだけど、細かいことは気にしない。というかこの人は準備が早いタイプなのか。ん?どうして気まずそうにしてるんだろう。なにかあったのかな)

 

ふぅむ、この人も早い人なのか。なんならこの際、少し話でもしてみる?

タバコ吸えないのもあるし、そこら辺で適当に吸う訳にもいかないし。

もちろん、周りにそこそこの人通りがいるからしないってわけじゃないよ?うん。

 

 

「ところで湊さん。あの後……お肉とか、平気だった?悠希はある程度耐性あったとはいえ、君ともう1人はないっての忘れてふざけちゃったからさ…」

 

(あぁ……気にしてくれるんだね。確かにあのあと俺、肉系を食べるのにためらいがあったし、魚肉にすらそれが起こりそうだったけど…。どう話したもんかなぁ。素直に話す?)

 

あー、もしかしなくても話しにくいやつだよね。

やっぱりアナザーとかそういう辺りみたいな感じだったろうし。ふむ、気づかないでやるのはアレだな。

 

悠希じゃないんだし、さすがに気にしよう。

 

「いや、話しにくいならいいよ。ともあれ悪かったね。今度、君と悠希の知り合いに詫びの品とお金を送るとするよ」

 

「い、いやっ!?さすがにお金まではいらないよ!?」

 

「んいや、そうはいかないよ。僕の思慮不足だったし、精神的苦痛が伴ったと思う。悠希や悠希の知り合いのように耐性がある人ばっかりじゃないのを失念していた僕なりの謝罪だと思って受け取ってよ。ーーーあ、あの釣り船のお兄さんにもちゃんと送ってるよ。後日来るだろうお詫びの品も含めてね」

 

ふぅ。ここまで言ってようやく受けとってくれたか。

僕は当たり前だけど、悠希はそもそも教えてある上に見たことあるし、悠希の知り合いには何故か“特殊な訓練”で通じるしとよく分からない人が多かったからすっかり忘れてたんだよね。ほんとに。

五百万円(これぐらい)渡した上に国産の黒毛和牛とこれまた国産の高い卵を送ったんだ。これで和らげるといいんだけどなあ。

 

ほら、人間ってなにかを楽しむか美味しいものを食べるかとか色んな方法で気持ちをたてなおすでしょ?

それによく言葉だけじゃダメだっていうし、僕なら多少はどうにかなる。

でも、相手は違うから言葉とそれを出す。うん、我ながら保身的な気がする。

 

 

 

 

 

 

はぁ……とりあえず、貯金のし直しだね。それになるべく病気にならないようにしないと。

 

 

 

(し、渋々受けとったはいいけどさ、これ……なんかやけに分厚いような。いや、あまり本人の前で気にするもんじゃないね。かばんにしまっておいて、帰宅したら確認しよう。それよりも気になることが一つあるんだった)

 

「そうだ、俺の好奇心で悪いんだけどさ。葵さんってどれだけ吸ってるの?」

 

あー、なんだ。それか。

 

「別に構わないよ。それなら。……んー、そうだね。少なくて1箱、多くて2箱か2箱半とかじゃないかな。吸いたい気分の時は3箱いくけどね」

 

 

(え、ええぇ……喫煙所をよく探す人だなとは思ってたけど、それなりの喫煙家だった…。周りを気にしてくれてるだけ、良い人なのは分かるけどさ。…………なんか色々とズレてる。っと、悠希が駅から出てきたのが見えてきたな)

 

「おー!お前ら早いなー?」と言いながら来る人が。

その大声のおかげで相手が悪友こと橘悠希だって分かった。この辺りが集合場所にも選ばれるようなとこじゃなかったら余計に目立ってたよね?

 

 

「うーん、一応俺も5分だか3分前にはつくようにしたんだぞ?なのにもうついてるとか驚きしかないんだが」

 

いやまぁ、僕は誘った本人だし。

そうでなくても遅れるのは申し訳ないしね。

 

「まあ、葵はそういうもんだしな。湊はわからんけど」

 

「お前、俺のことは分かるんじゃないのか?からかうのはほどほどにしてくれー…」

 

 

(たまにはいいじゃないか。ま、俺のいう“たまには”は湊にとって高頻度なんだけどな!)

 

んで、とりあえず連れて行こうかな。

……ここまでに運転免許証をとる必要性が出るとは思わなかったけど、約束の日までに徹夜してでも取ったから大丈夫だね。

いやぁ、徹夜してもリセットできるのはいいねぇ〜。僕限定だけど。

 

「んん。とにかく、駐車場行くよ」

 

「えっ?お前いつ取ったよ」

「免許証とったんだ、葵さん…」

 

 

各々の反応がこれまた分かりやすい……っと悠希は気づいたのかハッとした表情になった。彼は僕のこと、知ってるもんね。

なにせ実証済みだし。

 

「この前にね。だから初心者マークついてたりするけど、我慢してね?」

 

「いや、さすがにお前は安全運転するだろ。なにせ平気なのはお前だけだし。特殊な訓練ところじゃねーぞ」

 

 

(特殊な訓練もなにもない気がするよ……!?と、いうかなんで悠希が葵さんの事情を知ってるの?不思議だよ?!ってああ、悠希と葵さん、普通に行っちゃうし……!)

 

「おーい、湊。置いていかれるぞー」

 

「ちょっ、待ってくれよー!葵さん達ー!」

 

あ、後ろから少しかけ足でついてきた。とりあえず、近くの駐車場までっと。

 

車に乗った僕は後部座席に座った2人をバックミラーで確認してから車を走らせた。

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