車をしばらく走らせ、目的地の付近にある駐車場に停めた。
「安定した走りだよな。最近取ったとは思えないんだが。数ヶ月とかで取れるもんなのか?」
「葵ならいけんじゃね?ほら、特殊な訓練受けてるし」
(いや、だから特殊な訓練ってなんだよってツッコミをしたいんだが。ほんと、なにをしたらそうなるんだか…)
うん、仲良いなぁ……。
にしても湊さんはなにに悩んでいるのかな?不思議。
ま、何はともあれ無事に着いたんだからよしとしようかな。
「んんっ。悠希、湊さん、僕が連れてきたい目的地はこの近くなんだ。5分程度歩けそう?」
「別にそれくらい、歩いたに入らないだろ?」
(う、うーん…確かにそうなのかもしれないけどさ、どこに連れてきてもらったのか俺的にはめっちゃ気になるんだけどなあ。まだ聞かないけど。そういうのが楽しみだしな)
あ、そういえば3D酔いは大丈夫なのかな。これから行くのはVRが多いし。
(にしてもやっぱりあちーな。移動先が涼しい場所だといいんだが)
「なあ、ちなみに建物の中だったりするのか?」
「え?教えたらつまらんでしょ?それに今回は僕も楽しむつもりでお金持ってきたんだよ。タバコも置いてきたほどなんだよ?」
なにせ少し払えば色々と楽しめる屋内アトラクションなどがあるんだよ?
UFOキャッチャーだってそう。
これはもう喫煙所が近くにあったって楽しむしかないだろう!ガム持ってきたけど、それは秘密。
「変なとこじゃないことを祈っとくよ」
「……いや、葵さんに限ってそれはないだろう。悠希の悪友にしては常識人っぽいし」
なんだそのイメージ。
(あれ、俺の悪友ってそんな変なイメージだったか?否定はしないが、そこまで常識外れはいないはずだぞ?)
(悠希の友人らの中で悪友は基本的にふざける時がすっごいからなぁ……。それに反して悪友と称されるこの葵さんはそうでもなさそうに見えるから不思議だよね)
よく分からないなあ、とひとまず首をかしげたけど、気にしないことにした。知ったところで別になんだって話だから。
「とりあえず、こっちだよ」
「あいよ」
「分かった」
んじゃ、レッツゴー。
予算もそこそこ多めだからやれるもんやれるはず。たぶん。
ある程度歩いて中へ入ると目的地の名前が見えた。
「なあ、まさか連れてきたい場所って…」
「…そのまさかだろうね」
「うん、ジョ○ポ○スだよ。そこの方が楽しめて色々と忘れられるっかなー……なんて考えなんだけど、無理かい?」
ホラーとかあるしね。それ以外もあるけど。
あとやっぱりUFOキャッチャーとか。
全員分を払い、悠希と湊さんにチケットを渡した。
一応アトラクション付きでね。
「おお、あんがとな。そういやお前、仕事は別としてもさ、ゲームん時あまり食事とってないみたいだけど、ちゃんと取れよ?」
(いやいやいや、葵さんがそうなんだとしても、悠希だってゲームの時あまり食べてないだろ。“時間が惜しい”なんて言う時はインスタントですませるくせによくいうよ)
「それを言ったら悠希。お前もだからな?」
なんか“ギクッ”っていう擬音が似合いそうなほど図星って顔をしてるね、彼。湊さん、聞いたことか見たことでもあるのかな。
「そ、それは別だろう!?一応俺はインスタントやおにぎりにサンドイッチとか食べてはいるんだから、ゲームにのめり込んでる時に飲食をほとんどしない葵よりはマシだと思うぜ!?」
(そういう問題じゃないだろう…。悠希はまだしも、彼女のことなんて俺はまだほとんど知らないんだぞ?)
「まっ、まぁ…この話はもう不毛だからやめようか。とりあえず中へ入ろうよ」
「そ、そうだな」
なんか呆れられてるような気がする…。
「……はいはい、そうだな」
まあ、その後普通に皆で楽しんだんだけどね。
意外と湊さんにもエイム力があって驚いた。曰く“悠希に鍛えられた結果”とのこと。
……あのほとんどゲームに時間を費やすっていう練習をしたのか。学生の頃にしか出来なさそうな芸当だよなぁ。
え?僕?ほら、死ねばリセットだから。そのうち慣れるって。
例えば空腹とかそういった感情に、ね。あと自らの死体とかよく見たし、しょうがないね。
ひとしきり頼んしだ頃には夕方になっていた。時間が経つのはやいね。
(むぅ、ホラーに連れていかれた時はどうしたものかと思ったよ。葵さんや悠希は平気そうにしてるし、悠希は苦手だったんじゃないのか…!俺が怖がってたから平気ってか!?ぐぬぅ…)
「楽しかったな、けっこう」
「俺はホラーアトラクションに乗せられた時は大変だったよ」
ま、まさかあそこまで苦手だとは知らなかったからなぁ…。乗るまで怖いかどうかなんて分からない!とか言ってたし、てっきり平気なのかと思ってた。
うぅむ、苦手ならそれらしいこと言ってくりゃ乗らせんかったのに。
「まあ、次からは言ってね。湊さんだけ置いてく、というのも酷いかもしれないけど、楽しめないんじゃよくないからね。あ、なんなら最初に僕が見てこようか」
「……ある意味凄いね。男前すぎない?」
(いや、こいつの慣れはおかしすぎるから別に俺やお前が普通なんだって。俺だって苦手なのを湊は知ってるはずだろ?)
んー、そうでもないと思うけど。
それにさ、出てくるのは機械か生身の人間だよ?何を驚く必要があるのやら。
一番怖かったのは死んでも死んでも生き返る僕だっての。ゾンビかなにかか。……訂正。記憶とかもろもろ引き継ぎだからコンテニューできるプレイヤーでいいや。
「そんなことないよ。ほら、雰囲気が分かれば入りやすいでしょ?」
「……た、確かに……」
あ、うなりながらだけど納得してくれた。僕にも丸めこみができ「先に注意しておくと、彼女…いや、こいつのホラーへの耐性はハンパないからな。1人で入れても真顔で出てくるレベルだから」
「うわ、なにそれスゴイ」
(うん、想像してたが、棒読みになってるな。そりゃそこまでのホラー耐性持ちって早々近くにいないし。今の湊の気持ちが分かる気がするよ、ほんと)
「ホラー耐性ハンパないって言うけど、そこまでないからね?ただそこら辺のホラー程度なら一服つけるほどに平気ってだけで」
「それを世間一般ではホラー耐性のすごい人っていうんだよ、葵さん…」
「葵の場合、無自覚だからしょーがないな」
い、一体これのどこが無自覚なんだろう。これが全く分からない。
「…そうやって悩む姿を見ると本当に無自覚なのかな、って思えてくるね。本人にとってそうだとかそうじゃないとか関係なく」
「はいはい。……ほら、車乗るよ?」
「へーい」
「分かった」
という流れでそれぞれの家に送り届けた僕は家に帰った。
次の日、ラ○ンで“え、あの札束なに!?”なんてきてたけど、そんなに驚くかな?
うーん、あれはお詫びなわけだし、普通に受け取ってくれるようにとお願いした。
…小さめな庭で喫煙中にまた来た。受け取ってってば。
“そういうのは受け取るんだよ。それでも君にとって申し訳ないって思うんなら宝くじに当たったとでも思ってよ”
“う、うーん……わ、分かったよ。受け取る…”と来てから返事が来なくなった。
謝罪の気持ちなんだから、そういうのなしで受け取ってほしかったけど…真面目なのかな?彼。
なんて考えながら僕は2本目のタバコに火をつけた。