1話 不老不死は友達と
気がついた時には、不老不死だった。
両親は神の加護がどうのこうのといってたけど、そうじゃないと思うんだ。
恐れるなり違和感を感じるなりしてよ。普通の両親から不老不死は常識的に考えて産まれないから、ね?
あと、もう一つ。
何故不老不死な僕が風邪とかひけるの?おかしくない?
おかげさまで2日、3日風邪で寝込んだことあるんだけど。つらいわー。
その時は実家でもある神社から見て左の一軒家に独り暮らしをしてたから余計に……。やはり持つべきは友達である、と思い知った。
いや、僕に友達がいないみたいな言い方をしたけど、ちゃんといるよ。友達何人か。
何人いるか忘れたけど。数えてないし。
「いやー、だからって春は暇だなー。ゲームのイベントはまだしも、リアルのイベントがそんなにやらないからなー」
とかいいつつ、ベッドでごろごろ。
気持ちいい!………いやいや、ダメでしょ。うん。二度寝しかねなくなるし。
「……あ、ラ○ンになんか来てる」
とか言いつつ、さっきバイブで震えたスマフォのラ○ンアプリを開いてみた。通知は見てないから内容は知らない。
ええと、女友達の
“おはよ”
“今日ヒマ?”
なら、僕は“おはよう。今日は予定あいてるけど、どうしたの?”……と返信。
うわ、来るの早い。
“よかったら私達と今から遊ばない?”
こんな朝からなにしてるのやら。ゲーセンだってあと少しだろうに。
というか他にも人がいるのかな。
それなら“分かった。ただ集合場所はどこにする?”にしよう。
送信、っと。
“駅から徒歩数分の喫茶店にいるよ。待ってるね”
…なるほど。なら、あそこだろうし、行く準備して行きますか。たぶんそのまま遊ぶことになるだろうし。いや、今日みたいなラ○ンの時はいつもだったのを忘れてた。
早くつく方、どっちだったかなあ……。
あれから準備とか移動時間などを含めて数十分。
前についたものの、入りにくい。
ス○バとかそういうやつは友人とかと一緒にはいるから平気なのであって、1人じゃ慣れてないと緊張するんだよ!?
でもまぁ、入らないと始まらないからなぁ。
〜♪
「いらっしゃいませー」
デスヨネー。
「あっ、きたきた。こっちだよー!」
と、この少し大きめな声で呼ぶのは四ノ宮椿かな。ってだいぶ見えやすい位置に…。
あいてすぐに入ったのかってぐらいだね。そうでもないのはまだ空きのある席を見れば分かるけど。
ん、あとはこっちに背後を向けた人が2人…どっちも黒い髪をあそこまで切ってる辺り、男かな。
もう少し近寄れば分かるかな。
焦げ茶の髪をポニーテールにしたラフな格好をしている椿の前にいる2人はどちらも黒い短髪…だけど片方が腕、首周りの日焼けした男とほぼ白い男、だね。どっちも春で暖かいだけあって半袖だけど…と。
あれ、この部分日焼けしてる1人に心当たりがあるような
「あ、なんだ。椿が呼んだ友達って葵のことか」
「あれ?悠希、お前の知り合いだったのか」
「まぁな。ゲームで少し…いや、かなりか?それで会って遊んでる相手だからな」
(相変わらず白髪混じりの黒髪、か。肩あたりにつくかつかないかでちょうどいいよな。もう少し伸ばしたら遊びがいがありそうなんだが……)
なんかすごい髪の毛を見られてるような…。
「なるほど、俺達にはよくあることか。椿は違うけど」
「ちょっと
ハハハ、と気にした風もなく笑う日焼けしてない方の男。へぇ、そっちの人の名前は湊っていうのか。
……って待って。幼なじみがいるとか聞いてないんだけど。
「椿、幼なじみって…いたの?」
「ん?あぁ、うん。いたんだよ。いやー、この前まで忘れててさ」
(ったく、普通は忘れないよな。数年前まで遊ぶ仲だったんだぞ?)
「湊曰く数年前までは会っていたらしいけどな。あとこいつの名前は
あ、なるほど。彼のフルネームはそうと。
それにしてもここの4人の中で2人だけ苗字が一ノ瀬、四ノ宮……これ以上はやめておこう。
「そうなると今来た子が
「ネトゲ友達の中で唯一の常識人だからな。ついでに俺のツッコミ役」
「君だけじゃないんだよなぁ…これが」
(あー…なんかありえそう。葵ってばなにかとツッコミをいれることが多いし。他の人もやってるけど、単純によくつっこんでいるところを見かけるってのもあるしなぁ)
「ほとんどその通りみたいだからなんとも言えないんだよなぁ……。もちろん、俺は話でしか知らなかったけどな」
幼なじみがいたこと自体は知ってるんかい。あ、いや。名前を知ってる時点でそれもそうか。
ほんといつの間に知り合ってたんだろうな、この3人は。…やっぱり、ネットか?ネットを多くの人が遊んでるからなのかな?
ううーん、風邪引いたりとかさえなければ徹夜でもして、ネット友達増やすんだけどねぇ。いや、薬が普通の人みたいに効くからまだマシ…か?
こんなんでも不老不死なんだから我ながら笑えてくる。
「そればっかりは仕方ないな。湊はそもそも他にも友達がいるからそっちとも遊ばんとだし。だろ?」
「まぁな。というかここで話をしてるのもなんだし、移動するか」
「あ、それ僕も賛成」
(えっ!?遊ぶとは聞いてたけど、どこへ行くの!?)
「んじゃあ、そうしようか。葵と悠希は後ろで平気そうか?」
「平気だよ」
「あーい」
後ろだのどうだのと話してるのはいいけど、車で移動するよってことを椿には教えてないの?
ラ○ンとかなんか教える手段があるはずなんだけど。じゃなきゃ椿からなにを言われても反論はーーー
「ねぇ、どっかへ遊びに行くとか聞いてないんだけど?!」
ほら、言わんこっちゃない。……と思ったけど、計画たてる人は僕か湊しかいない。運転するのも湊だけど。
今回は確か悠希が誘ってきたような気がするから…あー、うん。目的地があればいいレベルだな。
「あー、それはあとで教える。湊、平気そうか?」
「あーい。んじゃ、行ってるよ」
といって席を立つ湊。ちなみにここは注文して支払いを済ませてから席に座るから無銭飲食とは無縁なんだ。
ーーーというのは皆知ってるし、黙っておこう。
移動して全員車に乗った。4人で集まることが多いせいか車も4人乗りなんだよね。
それでときおり考える。もう僕のことは不老不死じゃなくて、普通の人間扱いでもいいんじゃないかなと。
なのに現実はひどいよね。そんなに病気にかかってるわけじゃないけど、かかりつけの病院と“僕担当”の医師までいる。
ちなみに僕の方が寿命がありまくるから、1回担当になった医師は異動するか、仕事を辞めるまで担当になる。
だからってたまに僕で治験しようとするのはやめてほしい。
っと、話がそれた。だいぶ横道にそれた気がするほどに。
んで今は運転手側にいる湊と僕の右横にいる悠希が行き先を教えている。
えーと、確か…どこだったかな。テーマパークだった気がするんだけど。
「とりあえず、これから遊園地行くぞー」
「こんな暑いのにぃ!?遊園地へ行くの!?」
「いやだって水族館だと悠希が飯の話するだろ?動物園だと葵が動物相手に大変だろ?キャンプとか旅行するには準備が足りなさすぎるだろ?……他にもあるが、そこがちょうどいいとしか、な」
(まあ、俺は湊が運転するし、楽だからなー。それに椿とか葵といると楽しいからな。あと葵とは色々と遊べるし。いやー、趣味が近いって助かるわー)
「あー……それもそうだったね。もしかしたらどの遊園地も混んでそうだけど…」
いやぁ、それは仕方ないでしょ。夏だし。あと休みの人もいるんだろうから…うん。家族連れも多そうだなぁ。それを言ったら水族館や動物園もそうなんだろうけどね。全部一緒ってね。
「あー、それな。でもたまにゃ遊園地でもいいだろうって湊が」
「そりゃあね。ゲーセンとか以外で、かつ皆で楽しめそうって言ったらそこしかないからさ」
(あー、確かに。特にゲーセンは私とかあんまり楽しめないしね。遊んでるのが少ないのもあるし。…あとはカードゲームも私がやってないのばかりだし。審判はやってるけど。それ以外だと一生ゲームとかなら楽しいんだけどなー。ま、仕方ないか)
「とりあえず、後ろはあんまりふざけるなよ?特に一緒にすると危険な2人なんだからさ」
「ふふん、僕なら大丈夫だと思うよ……たぶん」
とりあえず自信たっぷりに言っておけば…いいよね?
「俺も平気だな……きっと」
(2人共、最後が聞き捨てにならなかったような…。まあ、いいや。出そう)
なにかをどこか不安げに考えてそうだった湊が「出るから椿、ちょっと手伝ってね」と言って車のエンジンをかけた。
椿は「分かった」とだけ言うと少し真面目な顔をしたような気がした。…そういや、近くの遊園地か。最近いってなかったし、楽しみだなー。