番外編 不老不死達は(篠崎葵視点)
僕こと篠崎葵と篠崎
僕は白髪混じりの黒髪を肩より少ししたまでのばしている。日焼けしにくい体質のせいですぐ赤くなるのがネックだと思っている。大体身長は154cmだったはず。
んで、兄さんは身長170cmジャストの着痩せタイプ。手入れが面倒ってだけの理由でおおよそ半年に1回はその黒髪を切ってる。日焼けしても赤くならないのが羨ましい限り。
まあ、それはさておき僕達がある程度育った頃、お互いが不老不死な上にまさかのどちらも一度しょうもない理由で死んだことがきっかけで分かったという、なんだかこの世は理不尽だなと思ってしまった出来事から5年がたった。
僕は17歳から22歳に、兄は18歳から23歳になった。というか見た目変わらないから20代でいいんじゃないかと思う今日この頃。
そりゃ僕と兄さんは不老不死だから見た目が変わったらおかしいね。
……うん、当たり前だったわ。
「というわけで僕達は20代と名乗ろうと思います」
「いや、実際に私と君は20代だからな。むしろ10代後半でも通じるんじゃないのか?…あとなにが“というわけで”なのやら」
すっとぼけた表情をしてふざけたポーズをしてみる。これが返事だっ!
「おいおい、お前ん中だけで話をまとめられても困るぞ?むしろ葵。……いや、妹よ。私がいつもツッコミに回るとは思わないことだな」
「な、なんだってー!」
(分かってて言ってるだろ、こいつ。むしろ俺以外でこうふざけるのは友人相手だけだし、しゃーないの…か?)
うん、まあ、呆れたような表情になるのも仕方ないね。一応やる相手は僕も考えてるし、セーフセーフ。
「さて、それはさておき…家の掃除でもするか?」
「あー……そうだね、やらないとね」
2階建ての一軒家。
間取りは1階が玄関より右手に寝室扱いの和室、前にリビング、左手にはトイレ。居間には台所と小さめの庭に行ける少し大きめな窓があるぐらい。
階段をあがればすぐ左に洗面所込みの風呂、少し歩いて部屋、正面に部屋がある。ベランダ、ロフトに行けるから便利っちゃ便利かな。…趣味のものが多いのはしょうがない。
(ま、主にやるのはベランダとロフト以外なんだけどな。あ、風呂もか)
「ひとまず私が朝飯適当にちゃちゃっと作っとくからさ、お前は洗濯頼むわ」
「はいはい、分かったよー」
と言いつつ手をヒラヒラと振りながら僕は現在いるリビングの出入口付近にある階段から2階へ。洗濯機は2階だからね、仕方ないね。
全部終わらしたので、僕は兄さんにちょっかいをかけることにした。というか、少しイタズラをした。
しょうもないけど、部屋に入ったら死んだフリをしてるだけ。
「ほんと、なにしてんだか」
「死んだフリ」
(そりゃどう見ても死んだフリなんだ、うけどな。……やれやれ、葵がリストカットやらなんやらしてた頃が懐かしいね。そのせいで左手に縦やら横やらの傷が残ってるけど、もう仕方ないだろう。ま、それはさておき何回かやってるんだ。血のりを片付けるの大変なことぐらい知ってるだろ)
…いい加減立つか。血のりとか落とすの大変だし、面倒くさいし。
“ならやるな”って言われたけど、たまにやりたくなるから仕方ないね。
あ、ため息つかれた。
「……そうか。とりあえず片付けて、朝飯食べるぞ」
「分かった」
そう言ったあと、頷いた。
ひとまず一番面倒な血のりとかの処理からし始めた。ありがたいことに兄の茜も手伝ってくれたからお礼を伝えたら「へいへい」と軽く流されたけど、優しい。やっぱり兄さんってそのうちモテるんでは?
出てきた朝食は白米、たくあん、たまご、みそ汁とシンプル。これは最後にたまごをかけろって意味かな?
「朝はこんなんでも足りるだろ」
「そうだね。んで、朝から茜は大盛りときた」
「ほら、私はちょうど食べ盛りだからな。仕方ないだろ」
食べ盛り……なのかな?
いや、確かによく食べる影響かやたらと身長が高いけどさ…。もう僕も君も高くならないんじゃないの?不老不死になっちゃったし。そこのところどうなんでしょ。
「……そんな半目で見なくても、だな。意外と成長期がまた来たりするかもしれないって不老不死が期待してもいいだろうが」
「はいはい、そうですねー」
(まったく、こういう時は軽いんだよな。というか楽しみの一つぐらいはいいだろ。というか何故に半目?)
とりあえず、ある程度普通に食べ進めた。僕は見て考えてたことをそのまま言った。
「食事の呼吸 壱の型 卵がけご飯!」
「静かに食べれんのか、お前は」
(いくらハマったからって影響を受けすぎだろ、こいつ……)
とりあえずサムズアップしておこう。
「いいんじゃないかな」
「いやあのな…………まあ、いいや」
とまで言うとため息をつく兄。
ハマったら影響をすぐに受けると言うのは昨日今日の話じゃないはずなんだけどね。というか兄さんも一人称“俺”から“私”に変えてるし、なんの影響って聞き返したいほどなんだけど。
「んで?明日遊びに行くんだろ?」
「そうだね、兄さんも一緒に行くんだよ」
さも当たり前のように答えたら兄さんが目を丸くした。あれ?伝えてなかったっけ?
「……いつの間に“俺”も含めた?」
「えっと、そうだね。遊びに行こう、という話が出たころには名前があがってたね」
(マジかー……。決まってるならしょうがない、か。ま、でもふざける奴が多いからツッコミがいるにこしたことはないだろうし、いいか)
呆れたように半目で見てくるけどか、気にしなーい気にしなーい。
家に引きこもるよりはいいし、なによりツッコミに困らない!いや、相手によっては僕もツッコミか。
「ま、というわけで兄さんも準備してクレメンス」
「さらっと外国語混ぜんな。…あー、はいはい。分かったよ。行けばいいんだろ?」
「おー、話のわかる兄さんは好きだぞー?」
(…こいつ、現金だな…。むしろ呆れ通り越して感心するよ)
おーおー、半目で見てくるねぇ。ふざけたりなんなりするのはもう今さらじゃないよ?
ま、兄さんに恋人が出来たら退屈しなさそうだね。もちろん相手が。
「とりあえず行くんだろ?なら準備するぞ」と呆れたようにいう兄さん。準備が僕より早いのだからそういうのも当たり前か。
ってか兄さんのことチラ見してたけど準備早!僕も急がないと!
いつもより急いで出かける準備をした。