病気になるけど不老不死   作:篠崎零花

5 / 25
少し短めです。


4話 不老不死は不老不死だった

初夏の頃、梅雨にもなりそうな時に僕は……いや、僕を含め数人かで病院に来ている。

会社でもう健康診断を受けた人もいるけど、その健康診断に含まれない健康診断も込みでやりに来ているらしい。

 

生真面目な。そう思ってたけど、単純に僕をからかえるから、だそうだ。

訳が分からない。

 

「そんな複雑そうな顔をしない。だからからかわれるんじゃないの?」

 

「……他の友人がからかってくるのは僕が健康診断に来てるからじゃ、ないんだよなぁ」

 

「へっ?」なんて言って困惑した表情をする女友達。この人はからかってこない少数派の人だから普通にね。

あれ、というか前に教えてたような気がするけど。忘れたのかな。

 

「ほら、僕の担当医。その人が健康診断の時も担当になってるんだけど、僕のことをたまに不老不死って呼んじゃうんだよ」

 

不老不死ってのは間違ってはないけど。

 

(あー、そんな感じの話を聞いたことあるような。忘れてたんだっけ。うーん…いっか)

 

「健康診断に来てるのに不老不死って呼ぶなんて変わった担当医だよね。中二病ってやつなのかなー…」

 

彼はさすがに違う。中二病(そっち)じゃない。

とは言えないんだよね。まさか不老不死が、健康診断しに来てるなんて普通は思わないし。

しかも健康診断をする理由が病気の初期発見だからもう。“普通の人間かっ”とかって言われそうだからまだ担当医にも黙って……あ、バレてそう。

 

「……とりあえず、僕はそもそも呼ばれるのがだいぶあとだから一狩りする。たぶん反応にぶくなるかも」

 

「へぇ、そうなんだ。それにしてもゲーム機は持ってないようだけど?」

 

「スマフォでするから」

 

“へぇー…”なんて納得したような声の後

「でも、呼ばれるのが遅いからって一狩りしてて行けないとかないよね?」

 

「…そうだね、それはそれで面倒だから別のゲームにしておくよ」

 

(あ、もう時間決まってるんだね。なら、少し困り顔で笑うのも納得。……それにしてもあおいちゃんも律儀だよねぇ。こうやって毎年健康診断に来てるみたいだし)

 

「んじゃ、また今度ー」

 

「ん。また今度ね」

 

なんか行く前に微笑ましいものを見るような目を向けてきたな。こういう時、心を読める力があったら便利そうなのになー。

あーぁ、なんて考えてたら僕も呼ばれた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

呼ばれたと言っても、やることは普通の健康診断と同じなんだけどね。

違うことなんてむしろしないし。たまーにアルコール値?だったかな。それが怪しい数値になるだけで、それ以外は健康そのものだし。

 

「んで、不老不死の篠崎葵さん?最近なんともないよな?」

 

僕の時だけ敬語やめるのはどうしてなんだか。

というか看護師も同伴なのね。他の人だと看護師だけ、とからしいのに。というか3人きり?といっても不老不死とハッキリいうのは危ないんじゃないかと。なにが危ないとかよく分からないけどね!

 

「うん、まあね」

 

「あ、そうだ。水瀬(みずせ)紫苑(しおん)、あれ聞いといて」

 

「…なら天神さんが席を外してから聞きますよ。まがりなりにも殿方っていうのを忘れないでいただきたいですね」

 

あぁ、そういうのを受けますかって話かな。確かに陸さんは男だし、そういった手の話はしづらいわな。

 

……目を、キラキラさせていなければ余計に。

 

「忘れちゃいないさ。でもね、やっぱり医師として興味がわくというかなんというかーーー「はい、それ以上はダメですよー、天神せんせ?」」

 

(俺だって分かってるさ。そういうことぐらい。言い訳にすらならないとはいえ、やっぱり不老不死が病気になるっていうのに興味がつきないんだよな)

 

天神陸って人が奥に渋々行ってから、その質問に対して頷いておくと看護師の水瀬紫苑って人が“とりあえずあとでしっかり(・・・・)伝えておきますので、採血の方へどうぞ。あ、気分悪くしたことありませんか?”とか聞いてきたのでとりあえず“いいえ”とだけ言った。

 

 

……その人、色々と大変そうだなぁ、と他人事ながら思った。

そのあとは何事もなく進み、健康診断の診断待ちとなった。

ただ帰り道、ラ○ンを見たら遊ばないかって感じの誘いが来ていたから暇だし行くことにした。

 

とりあえず家を知ってるらしいから一狩りしてよう。

来たらチャイム鳴らしてね、とか僕も行くよとだけ返してひとまず帰ることにした。いつまでも空腹でかつゲームしないってのは気持ち嫌だ。いや、しないといけないわけじゃないからいいんだけどね。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

モ○スターハ○ター:ワー○ドのア○スボー○で一狩りすみそうな時にチャイムが鳴った。タイミング悪い。今雷顎竜にドクロマーク出たばっかりなのに。

捕獲しよ。

 

……あれ?友人ならまたチャイム鳴らすなりなんなりでそれらしいことしてくるのに。

まさか最近噂の空き巣?テレビとかでやっていたような気がするけど。確か我が家は防犯ガラスだし、窓も二重ロックだからしてある場所が全部だしと……まあ、遊んでやるにはちょうどいいかな?

 

 

僕はこっそりと自室を出ると玄関側に出て、鍵を二つかけた上にチェーンロックもした。開けるのに苦労するだろうなぁ。反応が楽しみだ。

ま、せいぜい不老不死の住む家に不運にも侵入してしまったと後悔するがいいんだ。

 

 

 

 

 

そこまでしてから相手を探したら、2階にいた。

わざと音を立てて近づいたので、驚かれた。

 

なっ!住民いるじゃねーか!

 

「いない時間の方が多かったから分かるわけねーだろ!?」

 

いや、そんなに家あけてないんだけど。確認不足すぎない?それか他の家と間違えたか。不用心な。

あ、相手は男2人だからそうでもない?

 

(な、なんだこいつ。急にニヤつきやがって。まあいい。どうにか縛っておくか)

 

「なあ、こいつどうする?」

 

「どうするもこうもーーー」

 

ふふっアハハアッハッハッハッハッアーッハッハッハッ!

 

うん、普通は突然笑いだしたら“なんだこいつ”にもなるよね。でも知ったこっちゃない。

なんとしてでも我が家から穏便に出てもらおう。

 

 

 

 

その後、何回か殺されかけたり、思わず殺されたりしたけど、狂ったかのように笑い続けていたら向こうの方から逃げ出した。

おまけに「うわぁあぁー!!」なんて情けない声を出しながら。

 

あーぁ、片割れはおもらししてたのに。それのことを最後の最後に教えようとしたのに、今の叫び声で逃げるんだよ。酷くない?

 

 

それでさらに後日、とある男2人組が自首してきたと言うニュースが朝流れた。むしろ拘留所にいたいだとかどうとか。

うーん、僕がしたことといえば、出来る限り素人なりに相手を逃げ出しにくくしながら笑い続けるってだけなんだけどな。そんなに酷くしたっけか。

 

ちなみにそのあと、椿達友人から“あの時の血はどうしたの!?大丈夫!?”とか“空き巣に入られてたとか平気だったの!?”とかと質問攻めにあった。

うん、平気平気。楽しくて悪ノリしただけだから問題ない。

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。