病気になるけど不老不死   作:篠崎零花

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少し文章が短めです。


5話 不老不死と仲の良い人達

初夏に入りそうな頃、健康診断の結果が来た。うん、問題なし。

でもなんか年齢のところが30にされてる……。僕はまだ25歳なのに、四捨五入されてる。

なにをどうしたらこーなるのやら。というか酷くないか?泣くぞ?泣いちゃうぞ?

 

あ、玉ねぎないと無理か。ってそうじゃなくて。

どうも天神陸って人は僕のことをからかいたいらしい。そんなに不老不死が珍しいのかな?……あ、いや珍しいか。

 

 

 

 

まあ、今日は休みってのもあって衣替えとかを家でしていた。

もう全部をやったけど、たぶん問題ないはず。寒くならなければ、ね!

 

 

それで、外に出たら玄関先に悠希と男友達がいた。

まあ、男友達の外見はどこにでもいるような感じで、4〜5歳の歳の違いがあれど、男の平均値は少し越してるんじゃなかったかな。

 

「どうしたの?君達。僕の家の近くになんて来て」

 

「ガ○プラ作ろうぜって誘おうと思ってな。な、悠希」

 

大きく悠希が頷いた。

それにしては悠希だけちょっと手さげ袋が大きくない?

 

「そうそう。あとついでに作ろうぜってガン○ラを一つ持ってきた」

 

(単純に作らせたくて持ってきたんだけどな。葵は異性の中で比較的そういう手の話の分かる数少ない方だからな)

 

なるほど、作らせるつもりだと。

まだ僕には組み立てると園児か小学生くらいのサイズのある赤いモビ○スー○を作ってる最中だっていうのにさ。

塗装も大変とか泣くぞ。

 

「…今作ってるのが終わったら作ることにするよ」

 

(あー、今作ってるのって前回持っていったらしい“ネ○・ジ○ング”だったもんな。そりゃ苦労もしそうだ)

 

もしかして、悠希は忘れてたり…はしないよね?僕に持ってきたのは悠希だし、男友達は誘われて持ってきてるっぽいし。

まあ、塗装とかその他道具を僕が持ってるからってのもありそう。良い値段するんだよ?あれ。

 

「ん、そうか。それもそうだな。ちなみに今回のは俺の好みだ」

 

「なら自分で作った方がいいと思うけど……」

 

「いやぁ、スト○イクフリー○ムとユ○コーンとで悩んでな。んで両方買ったはいいが、1人じゃ時間が足りない。ならば一番作り方の近いお前が適任ってね」

 

これはひどい。

いやまぁ、ネ○・ジ○ングについては悠希も手伝ってくれてるからいいんだけど。僕にとって時間は有限だし。……無限だろ、と思った人は回れ右。

 

って、誰に言ってるんだろうか。僕は。

 

「共同作業ってか。俺だって最近は上達したろー?」

 

「「そりゃ最近()の家に来てるからでしょ」」

 

「君らさ、ちょっと辛辣すぎない?そんな最近ってほどでもないと思うよ?…そりゃあ、確かに俺は清掃業だし、なかなか休みが取れないしと遅れはとってるけどさぁ…」

 

「休憩時間もあってないようなものだし…」とまで呟き始めた。

少し意地悪しすぎたかな。まあ、僕の方は“気分転換”を兼ねてるし、あまり度が過ぎないようにしないと相手に悪いからね。

 

 

というか僕だって納期とか色々と大変なんだよ?あまり間違いがないようにしないとだし。

 

「趣味のことをする時ぐらいはそういう話なしでしょ?」

 

「そういうお前はたまに口から出てるけどな。(さが)なのか?あれ。いや、お前…いや、葵が自営業みたいなことをしてるのは前にゲーム中教えてもらってたが、そうなるとお前達ってよくBFのあれについてこれたよな」

 

(BF?……あぁ、あれか。あのありえないほどの練習か。篠崎さんは普通に最後まで出来てて凄かった記憶しかもうないな)

 

「僕は特殊な訓練を受けてるからってテンプレを使うとして…君はよく平気だったね」

 

「平気もなにもきつかったけどな!最初辺りから最後しかもう覚えてないよ!?ほんと、あれ以来徹夜はしないと心に決めてたほどだからな」

 

あぁ、それで“有給休暇がなかったら大変だった”って話になるのかな?

……うん、やっぱり僕の感覚が他の人と比べてややおかしくなってるね。感情を押さえ込みすぎてるわけじゃないはずだけど…不老不死だから、かな。

それこそ身体的な病気にならなかったら、気づかぬうちに感覚が麻痺しそうな気もする。

 

「そりゃ普通は大変だからな。俺だってやれたのは学生だからだな。…でもなんだ。巻き込んだのは悪かったな」

 

「全くだよ」と呆れたように言う男友達。ところでそろそろ家に入らないか聞くかな。すっかり話に夢中になってて忘れてたけど。

 

 

「あ、あー…今さらだけど、君達。ガン○ラ作るんならあがってくよね?」

 

すんなり頷いて「おう、今日は休みだからたまには作りたくなってな」と言って玄関に上がる短い階段をあがってきた。

 

「いや、俺は置きに来た。ちゃんとした休みの時にでも作りに来るよ」

 

「あ、そうなの。なら預かっておくね。……ちなみに今日はどうしてきたの?」

 

「そりゃあ…君達と少し話がしたくてね。独り身であんまり遊びに来る人が少ないと寂しくもなるんだぞ?っと、そろそろ帰るな。じゃあ」

 

「うん、またね」と言って別れたあと、僕も自宅へ入った。

玄関から入って前にある扉をあけると悠希がテレビをつけて中間に置いてあるテーブルの方にいた。

いやね?リビングに入ればテーブル、椅子があるのが見えるとはいえ、慣れすぎだと思うんだ。

まあ、悠希自身の塗装分も置いてってくれてるから助かる。マスクとか含めてね。

 

「おう、あいつ帰ったのか」

 

「仕方ないね。たまにはまともに休みたいんでしょ?……んで、今日は時間になったら帰るの?」

 

そう聞くとすぐに首を横に振られた。

え、あの手さげの中にお泊まり用も入ってたの?もしかして、その少し大きめな肩掛けかばんもそうだったりするのかな。泊まる気満々じゃない。

 

「泊まるつもりだ。んなもんで夕食分のある程度は冷蔵庫に入れさせてもらったぞ」

 

「はいはいどーも。とりあえずお昼と明日の朝食用ぐらいは買ってくるよ」

 

「へーい、んじゃ俺は軽く組みたてしてるわ。それかスマフォで遊ぶ」

 

「そうか。ま、ならいつもの通り僕の部屋には入らないでね。2階にある書庫兼寝室とか風呂にトイレならいいから。あと正面に見える部屋も平気だからね」

 

(ふむ、やっぱりダメなのか。……手をヒラヒラさせながら出てったし、時間がかかりそうなら少しだけ、見てもいいかね。一緒に読みたい本があるとか言ってたのに忘れるあいつも悪い。ってなわけで)

 

 

とりあえず、近くのスーパーでいいかな?

そう考えながら家を出た僕だった。


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