夏もある程度すぎた日。僕は最近買ったばかりの半袖ワンピースを着て、駅の付近で待っている。
犬の像が可愛い。写真撮っておこう。1枚だけ。
パシャリ
うん、他の人も写ったけど、いいか。
それよりも少しオシャレしすぎたような。カジュアル、の加減難しくない…?
「あー、お待たせー!って葵もそんな可愛く着こなせるんだ。あおいちゃんって呼んでも違和感なさそう…」
(違和感ないどころか逆にようやくオシャレしたって感じ。下手すればシンプルすぎてもったいないってほどだし。……ほんと、どう二次元を見ればそんなにも自分の容姿に卑屈になれるんだか)
「まぁね。今回はテーマパークに行くし、オシャレしておこうかと思って」
忘れないうちにキャリーケース持っておこう。着替えとか入れたし。
確か以前1泊2日の時に持って行ったら悠希から“他の知人女性より軽いんだな、お前。ま、おかげで他の友人2人とも一緒でも困んないわ”とかって言われたっけ。
「なるほど。あ、ちゃんと着替え持ってきたんだ?そりゃあ1泊2日だし、持ってくるのは当たり前だけどさ」
うん。あの後遅れてラ○ンで“あ、夢の国は1泊2日するよ!”とか来てなかったら持ってきてなかっただろうね。
あとは椿が3日連続になるよう、休みを取ってなければ余計に。
「んじゃ、行こー!」
「はいはい……」
そんなに慌てなくてもゆっくり楽しめるのにね。
そう考えれるのは僕だけなのかな。
とりあえず、ついて行こう。
電車などでついた先はまずホテルだった。
というかチェックイン目的なんだ。すぐに出てきたし。
「僕の荷物、重くなかった?」
(いや、少ししか余計なものを入れないのに重いもなにもないからなぁ。葵ってば、もうちょっと羽目を外してもいいだろうに。あ、呼び方を変えてみるのもいいのかな?あと気持ち褒めてみたり)
「葵ちゃんのは軽いからね。私のより入ってないって感じだし」
そんな得意げな笑みを浮かべながら言われてもなぁ……ってあれ?呼び方違くない?
僕的には気にならないけど、言ってあげた方がいいのかな?さっぱり分からないね。
「そ、そっか。ならいいけど」
「そー、そー。とりあえず行こ?置くもん置いたし、早く行きたいなーってことでレッツゴー!」
ちょっ!手を引っ張らないで!?
少し痛いよ!?
「早く早くぅー!」
やれやれ、と思いながら僕は椿と一緒に入口の方へ向かった。
にしてもほんと、椿もなかなかいいよね。僕よりも可愛いから気をつけてあげないとなぁ。……なんてぼんやり考えた。
夢の国でそんなのないの知ってて考えてるんだけどね!
3日後、僕は自宅の布団にダイブした。痛い。
畳だったのを忘れてた。
なにせ、初日から朝一で夢の国へ向かったし。色んなところを周りながら、乗ったり食べたり。
二日目も似たりよったりと忙しかったけど、気分転換にもなるし、楽しいしと全然気にしてないんだよね。
「交友なしで不老不死人生とか無理でしょ……いや、病気するから怪しいけど、“老いない”と“死なない”の二拍子だしなぁ…」
鬱になりかねないよなぁ……1人だと。
先に行かれるからそれもだろって?
「ペットでも飼うかな…大変になりそうだけど、独り身よりはマシそう。カメとか?」
“いや、あれはあれで面倒くさそうだしなぁ”とかと呟きながら僕は三日ぶりに家の風呂に入り、暖まった。
やっぱり家の風呂はいいね。
「そうだ、久しぶりに神社に寄るのも良さそうだね。仕事をやるのも忘れないようにしつつ…だけど、期限は今回長いから…」
ま、父さんは63と母さんは60で平気だとは思うけど、最近会ってなかったないし、たまにはね。
それにしても一昨日と昨日は大変だった。もうなにを乗ったのか覚えられないほどに。……覚える気がないともいうけどね。
「あ、そうだ。お土産くらい持っていこうかな」なんて弾んだような声で呟きながら。