煉獄さんinオラリオ   作:ケツアゴ

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オリジナルの執筆にはまってました 今後はオリジナルの感想が一定ごとや気が向いた時に頑張って更新します


受難

 聞いた話では、お師匠様が相手をしていた鬼という怪物は相当厄介な相手だったらしい。特別な金属の武器で首を落とすか太陽の光に当てる、または特別な毒を打ち込む。そうでないと頭を貫こうが手足を切り落とそうが再生して、更には魔法みたいな技を使うのまで居るそうで……。

 

(それを考えたらモンスターの方が楽かも知れませんね)

 

 全集中蟲の呼吸 蝶ノ舞戯れ をミノタウロスの群れに放ちながらそんな事を考える。先ず、タフなのは居ても其処までの再生力の持ち主は聞いた事が無い。第二に特殊な技を使っても強い鬼みたいにバリエーションに富んでは居ない。そして、この通り生物としての急所を貫けば首を切らずとも倒せる。

 

 急所への突きと共に打ち込んだ毒はミノタウロスの魔石の働きを阻害して肉体に力が供給されなくする。未だミノタウロスなら打ち込んだ場所によっては即死する程度の毒ですが、それは今後の課題としましょう。まあ、実際に戦って比べた訳ではないですし、鬼と違ってモンスターは研究が進んでいますから対策も楽なのですが。

 

「うっひゃ~。あの子、Lv.2になって日が浅いんでしょ? 凄いね!」

 

 背後ではティオナ様が感心したような声を上げ、フィン様の視線が注がれているのを感じましたが非常に厄介です。あの人と違って私には種族の誇りを取り戻すとか興味が無いのですよ。ずーっと昔に挫折してそのままって引きずるにも程があるでしょう。

 

「……毒を使ったの?」

 

「ええ、その通り。詳細は秘密ですが、魔石の力を抑える毒を打てば丈夫なモンスターでもらくにたおせるのですよ。さて、ミノタウロスの魔石を取り出すのは少しお待ち下さいね」

 

 もう直ぐ目的地である十八階層、約束では其処でお別れする事になっています。色々買っていただきましたし、新商品の売り込みもしたので義理は果たしますが、もうお別れです。毒についてはこれ以上は秘密で、呼吸についても教える気は有りません。十七階層への階段を前にして私はミノタウロスの死骸を担ぎ上げました。

 

「……死体をどうするの?」

 

「え? 十八階層で解剖しようと思いまして」

 

「……え?」

 

 アイズ様は随分と驚いた様子ですが、裏では剣姫ならぬ剣鬼だと呼ばれている方に引かれるのは少しショックです。それに変な噂が広まれば面倒だとお師匠様に目で合図すれば頷きましたし、説明しましょう。

 

 

「医術だって人間の死体を切り刻んで構造を知って発展したのですよ? モンスターの死骸は魔石を取らなければ消えませんし、内臓や筋肉の付き方を理解すれば倒すのだって楽になります。特に動物とはまるっきり違った姿のモンスターを相手にするには知っておいて損では無いですよ?」

 

「……その研究だけど、情報は売って貰えるかな?」

 

 予想はしていましたがフィン様が興味を示し、リヴェリア様も様子を伺っている。恐らくは深層のモンスターにも応用出来ないかと思っているのでしょうが、下手に有用だと広まれば厄介ごとの種でしか有りません。

 

「えっと、情報は武器って事で内緒です、あはははは……」

 

「そうか、残念だね。でも、気が変わったら教えてくれると嬉しいよ」

 

 諦めてはいないって感じですが今はやり過ごしました。……あっ、今朝の更新で発現していた魔法の試験を忘れていました。生物の保存に便利そうですし、商売に使えそうだから忘れずに使っておきましょう。

 

 

「おや、階層主が居ないのですね。……残念」

 

 十七階層嘆きの巨壁にてお師匠様が何やら不吉な事を呟いています。どうやらリヴィラの方々が邪魔だからと倒した様子ですが、居たら私に何をさせる気だったのでしょうか。いえ、怖いし聞いたら実践させられそうなので聞きませんが。

 

「では、ベル君がランクアップしたら少し稽古をして連携を身につけた後で挑むとしましょうか……」

 

 ……オーマイゴット。助けて下さい、ミアハ様。ついうなだれる私をロキ・ファミリアの方々は不審そうに見ていました。

 

 

 

「……リヴェリア、どう思う?」

 

「とてもランクアップしたばかりとは思えんな。そう言えばティオナ、ミノタウロスの一件で巻き込んだ少年も彼女と同じで変わった呼吸音をしていたと言っていたな?」

 

「うん。こうシューとかゴォオオって感じで息を吸ったら凄く動きが良くなったよ」

 

「酷似したスキルが発現したか……未知の技術か。興味深いね、色々と」

 

「団長、まさかあの子に興味持った!? で、でも好みは年下で尻に敷ける家事が出来る人って言ってましたよ!?」

 

「……そうか。それはそうとして彼女に剣術と毒の調合を教えたという先生だが、既に死去されているという話に少し指が疼くんだ。嘘ではないけど何かを隠しているっぽいよ」

 

 

 

 尚、これらの話は全部お師匠様が聞いて教えてくれました。そうですか、ベル様が原因で私にまで興味を持ったのですね。……顔も知りませんが覚えていて下さい、畜生。……もう一週間でランクアップ可能になったとか口を滑らしてしまいましょうか?

 

 

 そんな誘惑に駆られながらも皆様と十八階層に辿り着いた私はリヴィラの街まで同行する事にしました。

 

 

 

「へぇ。あの町の方と親交が有るんですね」

 

「まあ、偶然ですよ、レフィーヤ様。いくら耐異常のアビリティを持っていても疲れが溜まれば調子を崩しやすいですし、元気な時に潜伏していた病原が一気に暴れ出すケースも珍しく有りません。……それに」

 

 ちょっと失礼と口にしてレフィーヤさんの腕を取る。事前に触られても気にしないエルフだとは聞いていますので軽く握れば僅かに顔をしかめました。

 

「矢っ張り少し捻ってますね。私の戦いに目を向けながら杖で戦った時に変な風に手首を痛めたのでしょう? ……私、医術の心得があるので軽く処置しておきますね」

 

 常備している治療セットで彼女の手首に軽く処置を行う。隠していた事にリヴェリア様が怒っているらしいですが、私の知った事では無いですね。

 

「この町の冒険者ともそんな感じで?」

 

「ええ、少し調子を崩した方が多発しまして、少しの期間、治療と予防の為の指導に当てたら感謝されましてね。冒険者は体が資本なのに体調管理の為にもう少し医療知識を……」

 

 此処まで口にした所で失敗したと気付く。私に向けられる視線に含まれていた興味の色が濃くなっていました。どうにか話を逸らそうとした時です。顔役であるボールス様が駆け寄って来たのは。

 

 

 

 

「おい、矢っ張りアーデの嬢ちゃんか。ちょっと来てくれ。宿で殺しがあったから死体を調べて……ってロキ・ファミリアァ!?」

 

 ……どうやら厄介事の様子ですが、この場から離れる事は出来そうですね。

 

 

 

 

「リリルカ、妙な人が居たので注意して下さい。包帯を巻いて誤魔化していますけど、他人の顔の皮を被っている方を見掛けました」

 

 ……どうしましょう。凄く厄介な予感がします。八つ当たりですが心の中で叫びます。おのれ、ベル・クラネル!

 

 




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ベル君の魔法は?

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