煉獄さんinオラリオ   作:ケツアゴ

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まさか一年以上開くとは


激怒

 やっべー!!  本当だったら他の派閥には見せる予定が無かった銃まで大っぴらに使ったあげく、よりによってLv.6が複数掛かりで倒し切れない相手に喧嘩売るような事になっちゃって……。

 

 

 いや、まだです。未だ私は安全ですよ、リリ! 詮索は別ファミリア間ではマナー違反ですしなんでか知らないけれどモンスター用の毒で苦しんでいますし、後は詳しくは制作したファミリアに聞いて欲しいとゴブニュ・ファミリアに丸投げすれば万事解決! 私の目指すスローライフには何一つ影響は出ない筈です!

 

 

「さて、現実逃避は此処までにしましょうか。ははっ、本当に世の中って糞ですね」

 

 さっきまで食人花とリヴィラの街の住人が戦っていた場所では一カ所に集まって行く食人花。あれは吸収されてる?

 

 

「わえあっ!? どうなってるのさっ!? 依頼の品がー!」

 

 あっ、あの女の人が何かしちゃったみたいですね。もしかしてあの被害者の荷物を漁った殺人犯の探し物? いや、今はそんな事を気にしている時じゃないですね。気を引き締めて巨大化する食人花に意識を向ける。中心部分は花みたいな感じになって根みたいになった食人花達が大暴れフィリュテ姉妹の妹の方が一匹の頭を切りとばすけれどそれでも動いて……。

 

 

「どうやら随分と不利らしい。アリアの事は今回は諦めよう。……そっちの小娘へのお返しもな」

 

「うげっ! 目を付けられやがりました」

 

 ロキ・ファミリアの幹部は何やってるんですか! 見事にあの女に逃げられているし、リリってば完全に目を付けられちゃいましたし。

 

「……最悪です」

 

 あの酒造りしか興味の無い糞みたいな神と、酒に溺れる糞みたいな連中の肥溜めみたいな場所から師匠にすくい上げて貰って、戦う力と同時に冒険者以外で食べて行ける手段も身に付けました。今の主神と団長も商売人としては無料配布やら女性の客を追い返そうとか色々問題は有る方達ですが善寄りの人達ですし、居心地は悪く無い。

 

 後は外の限界とされる3、一応4程度にしたら平和な田舎で医者をしつつ年下の旦那を見付けて悠々自適な生活を。そんな人生設計が順調だった筈なのに……。

 

 

「……糞が」

 

 リリの中で何かが切れる音がしました。丁度前方には今回の事件に関わりが有りそうな巨大なモンスター。つまり何をしても許される相手。気が付けば笑いながら向かっていました。

 

 

「あははははははははっ! ……『凍れ 凍えろ 永劫震えよ その先に救いが待っている。万世極楽浄土へと誘おう』」

 

「あの子、詠唱しながらあの速度でっ!?」

 

 犯人を逃がしたロキ・ファミリア(役立たず共)が何か叫んでいるし何かをやる気だろうけれど私には関係有りません。彼奴はリリのサンドバック……もとい獲物です。魔法の詠唱に釣られて寄って来る食人花の隙間を縫い、伸ばしてきた腕のツタをジャンプで避けるとそのまま真上を駆け上がる。小柄で軽い小人(パルゥム)だからの軽業芸当。

 

 お師匠様、言いつけを破って使いますね、あの魔法。何故か凄く癪で、知らないけれど腹が立つ顔が浮かぶ気さえしますけれど。

 

「『血鬼術(ケッキジュツ)氷魔の扇(ヒョウマノオウギ)』」

 

 リリの片手に現れる氷の扇。持っているだけで手が凍傷になりそうですし、既に腕に霜が張り付いています。ですが、それがどうしました? 殴られ蹴られ、金を奪われ、ランクアップ後に色々とお礼参りをした後であの神を事故に見せかけて排除する日まで続いた地獄に比べればこの程度なんて事はない、

 

 扇を振るう、それだけで足場にした腕のツタが凍って動きを止める。背後だけでなく左右や上からも食人花が迫って来てますが……この魔法、師匠に止められてから殆ど使っていないのに何故か使い方が分かるんですよね。

 

「冬ざれ氷柱」

 

 空中に現れた氷柱が真上から食人花の頭を貫いて互いを縫い止める。良し、これで邪魔なのは沢山減りました。

 

「さっさと帰って不貞寝したいですし、ちょっと大技を使わせて貰いますよ。……霧氷・睡蓮菩薩」

 

 菩薩が何かは知りませんが、この技の名前は自然とリリの頭に浮かんだ物です。リリを肩に乗せる形で現れたのは周囲を更に凍らせる巨大で大質量の氷像。近くの食人花を纏めて凍らせ、本体っぽい女性の部分に組み付く。でも、その程度じゃ倒せません。自分さえ傷付く代わりに強力なこの魔法ですが、結局の所はLv.2が使った物ですからね。でも、良いんです。だってリリには……。

 

 

「全集中・蟲の呼吸 蜻蛉ノ舞 複眼六角」

 

「グガッ!?」

 

 お師匠様から教わった全集中の呼吸と刺突のみの剣技。こんな魔法よりも余程頼りになりますね。人型だろうとモンスターはモンスター、弱点である魔石はどうせ胸の辺りでしょう? だから六撃を胸の周囲に集中させた。ああ、少し動きが鈍りましたが即死ではないと……。

 

 

「貴女、リリが取るに足らない雑魚だと侮ったでしょう? だから攻めの手が緩かった。ふふふふ。毒蟲は小さくても恐ろしい物ですよ?」

 

 食人花に向かって撒いていた毒の粉末の袋を掴んで無理やり傷口にねじ込んで銃口で更に押し込む。じゃあ、これでサヨナラです。

 

「さっさとくたばれ」

 

 笑顔を向けて引き金を引く。体内で毒の粉末が広がり、銃弾が魔石を傷付けたのか巨大なモンスターは絶命、灰になって崩れる寸前に凍らせて足場にしたリリは見事に着地しました。さてと……。

 

 

「やっべぇ、やらかした……」

 

 適当に情報を流して関心をベルの方に押し付ける予定だったのに感情に流されて言い付けを破った上での大立ち回り。これ、お師匠様に知られたらどんなお叱りを受ける事やら……。

 

 掌が霜焼けになっていますが今はそんな事は気にならない。

 

 

「あの……大丈夫ですか……?」

 

 剣姫がこっちを心配した様子ですが、出来れば無関心で居て欲しい! あーもー! 雑魚に関わるなって街中で口にしてるって噂のベートさんはどうして居ないんですかー!

 

 ……落ち着きましょう、リリ。今やるべき事は怪我人の治療。緊急の治療所を用意して貰って、怪我の具合に分けて、えっと、薬草やポーションの準備も……でも、その前に。

 

 

 

 

「あ、あのぉ、生姜の佃煮が美味しいお店って知っていませんか?」

 

 こうなったら好物でご機嫌取りを……まあ、困り顔からして知りませんか。ええ、何となく分ってました。

 

 ああ、静かに見守ってたお師匠様の視線が痛いです。

 

 

 そして四十代の同族の興味を強く引いちゃったみたいですね……。

ベル君の魔法は?

  • 原作通り
  • 何でお前は燃えてないんだ
  • オリジナル
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