「貴女の使っていた毒と、あの呼吸をした後に強くなった事に興味がある。……何か教えて欲しいです」
あっ、この人面倒なタイプだ、リリは直ぐに理解しました。マイペースって言うよりは天然が入っていてお師匠様と似た人ですね。まあ、あの人は色々黒いですけど。
さて、どうすべきか。誤魔化そうにも難しそうですし、ロキ・ファミリアといえば大手。下手に目を付けられては面倒なんですよね。ミアハ・ファミリアはロキ・ファミリアと揉めているとか自分勝手で無責任な神様達に噂を広められる可能性も有りますし、かと言ってどう誤魔化すか。
あっ、全集中の呼吸を教えるのは論外です。お師匠様が駄目って言いましたから。
「広めた結果、どの様な方にどの様にして伝わるか分かりませんし、リリルカがちゃんと責任を持って教えられる人にのみ教えて構いません」
って風にニコニコ笑いながら言っていましたが、少なくても余所の大手ファミリアの団員に責任持つとか無理ですよ、リリには。この人、天然だからうっかり漏らしちゃいそうですしね。
そんな事を思いながら剣姫の顔を見るけど、天然以外にも頑固気質が入っていそうですし、調べている最中に変な噂が流れても厄介。……妥協案を出しましょうか。
「呼吸についてはお師匠様から許可を得ていませんので無理ですが、毒についてなら少しはお話出来ます。ちょっと条件が有りますが。……実はリリは一緒に潜る仲間が居ないので深くは潜れないのですよ。明日一日だけご一緒して下さるならちょっとはお教え出来ますよ?」
情報は武器だ。特にリリみたいに呼吸を使っても非力な者にとっては。常中は日常生活だけなら寝ている時も持続出来ますが、訓練とか毒の調合時など体や神経を使う最中はどうしても解けてしまう。まあ、ちょっと調べれば分かる範囲で済ませましょう。
「うん、分かった。丁度お金を稼がなくちゃいけなかったから」
「では、明日正午に。何方かついて来るのは構いませんが、その方にも詮索は無用とお伝え下さいね」
寧ろ目立つ数人が居た方がロキ・ファミリアと懇意にしてるって噂されてプラスかも知れません。敵対している大手ファミリアはウチみたいな木っ端の弱小ファミリアにワザワザ手出しをしないでしょうし。
「あっ、それと必要な品を所属しているミアハ・ファミリアのお店で用意して下さるなら口が滑りやすくなるかも知れませんよ?」
さて、帰ったら大急ぎで上位のポーションやらを調合しましょう。新作の
ああ、本当に何方か信用出来る仲間が見付からないものでしょうか。呼吸に関して隠す必要が無い方ならサポーターでも良いのですけどね。リリもサポーターでしたし、それなりの待遇と先輩としてのアドバイスが出来るのですけど……。
取り敢えずお師匠様が見えるのが最低条件ですが、そもそもリリにだけ見える理由が分かりません。何らかの縁が有るのでは? とお師匠様が言っていましたが……。
「どうもリリルカは知っている誰かに似ている様で似ていない、そんな気がします」
前に言われたこの言葉が関係しているのでしょうか……?
「ベルくーん。まだやる気かい? さっき気絶したばかりじゃないか」
「もう少しだけ見逃して下さい、神様」
憧れだった魔法を手に入れた僕だけど、その経緯は決して嬉しい物じゃない。絶対に倒さなくっちゃいけない人達から渡された力だ。売ってしまいたかったけど、どんな力だって使う人次第だって思うようにした。
どんな力で、どれだけ使えるのかを調べるのが今日の目的だ。先生は見届けると言ったけど、何時もお世話になっている先生が楽しみにしていた興行の日だから強引に説得して送り出した。うん、専門分野以外で頼り切ったら駄目だよね。
「【悪鬼滅殺、魔を焼き祓え ヒノカグツチ】」
詠唱と同時に呼吸によって全身を駆けめぐる血に熱い物が流れ込む感覚に襲われる。ナイフで既に塞がっていた傷を軽く開いて血を出して刀に塗る。次の瞬間、僕のイメージと同時に血が爆ぜた。爆炎が燃え上がり周囲を照らすけど僕も神様も熱さを感じない。それどころかその辺の草すら燃やせないんだ。
でも、決して虚仮威しの魔法じゃないってのはステイタスに刻まれた説明文で分かった。
ヒノカグツチ
詠唱文 悪鬼滅殺、魔を焼き祓え
・付与魔法
・自分の血液に魔に属する存在を燃やす力を付与
・自らのイメージで発動
これだけじゃ分かりにくいけど、もしかしてと思って灯りに使っている魔石を燃やしてみたら一瞬で燃え尽きた。多分モンスターだけを燃やす力なんだと思う。それに何となくだけど他にも分かりにくいだけで他にも何か有る気が……。
「明日、ダンジョンで使って確かめよう」
事前に魔法について調べて初めて知った精神力の枯渇に関しての実験も済んだし、後は特性を知るだけだと張り切った時、向こうから先生が戻って来た。まだお芝居は途中の時間帯なのに。それに隣に綺麗な人が居るけど……。
「えっと、先生? 未だ早いですし、其方の人は?」
「貴方も私が見えているのですね。初めまして、ベル君。私は煉獄さんと同じ柱の一人だった胡蝶しのぶ……此方に合わせるなら忍・コチョウですね」
「は…初めてまして……」
「ベル君、また誰か幽霊が居るのかい? デレデレしているけど美人じゃないだろうね!?」
神様が言うように僕はコチョウさんに見蕩れていたけど、先生の顔が気になった。まるで誰か大切な人を失ったみたいで……。
「あの、先生?」
「……気付かれたか。俺が忠義を捧げていた御方の死を知らされてな。だが、それと同時に俺が次を託した若手が俺を殺した強い鬼を倒したとも聞かされたとも聞いたのだ」
……これ以上は詮索しない方が良いよね。あれ? 先生がヒノカグツチの炎を見て驚いているけど……。先生も
「この炎は禰豆子の炎と感じが似ているな。……何? 人を燃やせず魔に属する物だけを燃やすだと? 凄いな、其処も同じだ」
禰豆子の名前は僕も先生から聞いた事がある。人を食べる怪物にされたのに人を食べず守ろうとする子だって。でも、その子が使う魔法みたいな力と僕の魔法が似ているって偶然かな?
「あの、世界にはそっくりな人が三人居るって聞いた事が有るのですが……ベル君はもしかしたら禰豆子さんと存在の質が酷似しているのかも知れませんね。だとしたらその炎の力は……」
……どうも僕の読みは当たっているのかも知れない。コチョウさんの話を聞いた僕は目覚めたばかりの力に強い期待を抱いた。これは人を守れる力なんだって……。
「所で煉獄さん。食べられる物が素手で食べる物に限定されるって仰ってましたけど、箸なり匙なりで食べさせて貰うだけじゃないですか。薬の試験にもそうしていますよ、私。え? まさかその程度に気が付かなかった訳はないですよね、煉獄さん。どうして感心したって顔で居るんですか、煉獄さん?」
ベル君の魔法は?
-
原作通り
-
何でお前は燃えてないんだ
-
オリジナル