個性ソビエト   作:ゆっくり霊沙

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特別補講とか言って仮免取らせるのは国立としてどうよ?

『それでは試験を開始します。以後の私語及びカンニング行為は退出処分とさせていただきます。制限時間は90分。始めてください』

 

 バッと回答用紙と問題用紙を捲り、プロヒーロー仮免試験の問題を解いていく……

 

 

 

 

 

 

 

 

「星野、お前に今度の土曜日に仮免を受けてもらう。良いな」

 

 放課後のカウンセリングの後、職員室に呼ばれた私はいきなりそう言われた

 

 ……? 

 

 まぁピント来ない

 

 例えで言うなら数学オリンピックに来年出るために勉強してたら週末に行われる今年のに出ろ、必要書類は出してある……みたいな感じかな

 

「先生? すみません、質問よろしいですか?」

 

「なんだ」

 

「なぜ今なのですか?」

 

「……」

 

 相澤先生は凄い顔をしていた

 

 何も聞くな

 

 たぶん先生のプランでは無い様な気がした

 

「……失礼しました」

 

「……星野、恐らく3学期から別のクラスに移ることになる。準備しておくように」

 

「はい」

 

 

 

 

 

「校長なぜ星野をあそこまで特別視するのですか」

 

 夏休み前、校長から星野に仮免を取らせる話をされた時に俺は対面に座る校長に怒りをぶつけた

 

 確かに見込みは有る生徒だが、教師が一生徒を特別視するのは間違いであると考えている

 

 見込みが無ければヒーローになっても後悔するだけ、夢を諦めさせることも大人の仕事

 

 それを乗り越えた者だけだ一流になれる

 

「確かに特別視しているかもしれない。ただこちらも都合が有る。B組の白神君、A組の星野君……今年はこの2人だけが僕の中で合格ラインをクリアしている。異常だよはっきり言うとね。今の2年生、確かに除籍処分の子も出たさ、ただその子も普通科に編入で、普通科から別の子がヒーロー科に編入した。それだけ普通科にも才能がいる子がいたって事だ」

 

「相澤先生、今年はどうかい? 彼らに自分の家族を守ってほしいと思うかい? 確かに一流とまでいかなくても二流や三流ヒーローでも家族を養うくらいの稼ぎはできる……雄英としては問題だけど別に僕個人では良いと思う。そんな考えのヒーローが居ても……だがどうかい? 彼らは自分の個性を合法的に使いたいだけだ。言ってしまえば誤りでヴィランを故意に殺しかねない人物だと確信しているよ」

 

「確かにその様な雰囲気は感じています。夏休みで改善を試みます。駄目なら容赦なく切り捨てますがよろしいですね。……星野はもうしばらく様子を見ます。ただ校長が思っている特別な存在ではないと一個人として思っております」

 

「……わかった。心に留めておくよ」

 

「ありがとうございます」

 

 

 

 

 

 

 

 

 結果がこれだ

 

 夏休みも明け、数週間、始めは鬱が治ったのかと思ったが、それより別の感情が圧倒的に勝っているように感じて仕方がない

 

 ミッドナイト先生も同じ感情を抱いたらしく、私に相談してきた

 

 根津校長がああなので、夏休み3週間面倒を見ていたブラドキング先生を含めた3人で話し合いを行った

 

 恐らく何かを知っているであろうラグドールに電話してみたが、濁して撒いてくる

 

「想像以上にマズイかもしれないな。……除籍ができないと隔離があっているのか」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 そもそも相澤先生は最初から反対派だ。

 

 心身の成長を見てそれが一瞬期待に変わり、私が恐怖に支配されたと気がついたら失望に変わる……か

 

「失敗作、ヒーローってなに? 私の中で口先だけじゃないヒーロー像が徐々に出来上がりつつ有るんだけど」

 

≪ヒーロー=英雄……この両者は戦争状態でなければ現れることはない。つまりヒーローが必要ということは社会的な戦争状態であると無意識下で認知していることになる≫

 

≪オールマイトの象徴的的平和の実現……不完全ながら効果は確かに有った。だがそれは1個人に頼りきった不完全な社会と言える。これを国是にした国は独裁と呼ばれ破滅に進むこととなる≫

 

≪ナポレオンが一番有名だな。ナチスのヒトラー、イタリアのムッソリーニ、死後だとユーゴスラビアのチトーが有名だな。まだ独裁とはなってはいないがオールマイト並のカリスマの持ち主がいるか?≫

 

「いない」

 

≪貴様はわかっているのだろ? その役目を自分がしなければならないと、恐らく貴様の名はここに羅列されることとなるだろう。目指すべき社会それは≫

 

「監視社会。私の代でヴィランを撲滅する……いや、わかっちゃった。私は一瞬で消される様な外傷以外では死ねない。あと数年で私は肉体が無くても生きていけてしまう様に個性が進化する」

 

「現に少しだけできてしまった……空間を支配することが……」

 

 最初は部屋、次が寮、そして校舎……

 

 監視社会……建物を支配下に置く

 

 その建物の中で起こっている情報を盗める

 

 怖くない? 

 

 私は怖い。

 

 この力、鍛えれば物を動かしたり支配下に置ける建物の数いや、広さを拡大したり、直接攻撃したりできる

 

 干渉中は肉体を捨て、精神体で動くことになる

 

 まだ私が肉体を捨てるのに抵抗が有ること、支配中にカロリーやエネルギーがゴリゴリ削れるから時間制限が有るけど何かに干渉できる……個性を探究しはじめてまだ半年で自分の個性がいかにぶっ壊れているかわかった。

 

 干渉できる力が上がればソ連に地上の情報を書き換えられると思ってる

 

 というかできる

 

 物を創り出せるんだから書き換えもたぶんできる

 

 ……まぁそこまでいくには数段階手順を踏まないといけないけど……

 

 そんな力をもし手にいれてもオール・フォー・ワンに勝てる気がしない

 

 燐から聞いた話だとパンチ一撃で都市を崩壊させ、火、水、光を操り、不老で凄まじい戦闘経験を蓄積している化け物

 

 オールマイトでも無理じゃない? 

 

「でもこの化け物を取り除かない限り日本の戦争は続く……確実に潰せれば戦争ではなく犯罪に落とすことができる」

 

 こんな相手にまともに勝つためには想定外の奇襲しかない

 

 でないと私の恐怖は絶対に取れない

 

 ……相澤先生ごめんなさい。

 

 私はヒーローでは無い何かになる

 

 でもヒーローの肩書きは必要なんだ。

 

 精神病患者が唯一社会的信頼を得るためには……

 

 

 

 

 

 

 

 

 学校から頭に流れてくる情報で私は相澤先生だけでなく複数の先生から不信感を抱かれていることを知った

 

 仕方がない事

 

 割り切るしかない

 

 ……けっこう心に来るよそりゃ

 

 でも仮免を取れたら大きい

 

 高校1年で仮免習得なんて過去に50人も居ないんじゃないかな? 

 

 仮免が取れれば公で個性使用がだいぶ緩和されるし、なにかと便利

 

 社会的信用もアップ間違いないし、できることをして試験に挑も!! 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 梨の妖精がいる国チバ

 

 ……はい、地元でまさか仮免受けることになるとは思いませんでした

 

 引率は13号先生

 

 東京の仮免会場は2、3年生のA組が、名古屋会場は3年B組、大阪会場は3年B組、大福はなんか修羅の国に飛ばされたらしい

 

 ……千葉県に会場有ったんだ……

 

 受験人数1400名、合格点数突破者は晴れて仮免取得らしい

 

 会場ギチギチなんだけど……

 

 最初は筆記試験

 

 1年の授業範囲外でーす

 

 ……確実に2年の中期までの範囲だわこれ

 

 3年生はほぼ実践訓練にヒーロー学課変わるらしいから復習すれば良いし、2年生は数日前に習ったところが出るから良いよ

 

 詰め込んだけど良くて7割だよこれ

 

 英語で何かを書けとか無かったからなんとかなったけど、国際的なほにゃららとか言って英語がでたら死んでた

 

 ……さてさて合格なら次の会場だけどどうかな~


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