ブツブツブツブツ
「あんなに焦って私はなに支離滅裂な事を喋ってるんだろ、あんなんじゃ落ちるに決まってるよ……ヒーローを目指すための学科なのに自分の個性を探究したいだなんて……自己中も甚だしいじゃん、社会のゴミだ死のう」
「鈴!! バカ言ってるんじゃないの、毛布なんか被ってないで上履きでも洗いなさい!!」
「……はい」
お気に入りの毛布をひっぺがされ、仕方なく洗剤とゴム手袋、たわしと上履き、ついでに複数足をバケツに入れて庭にある蛇口で洗い始める
「……」
足のサイズが28.5と身長に伴い大きいため洗う部分も多くて大変
父親は自分より1.5も靴のサイズが大きい事を気にしていて
「良いなぁ足が大きくて」
「大きすぎて男子に間違われるんだけど!!」
「……ゴメンね」
がお約束の会話だ
そんなことを思っていると
「こんちゃーす、郵便でーす」
「あ、どうも」
「ここの家の人だよね? 手紙ですよー」
「はい」
「どもーあざっしたー」
ブロロロロ
「……!! 雄英から」
雄英からの手紙と封筒が届いた
「母さん手紙来た!! 雄英から!!」
「ちょっと待って今テーブル片付けるから」
「手伝うね」
「それよりも洗いっぱでしょ、靴とか一応家の中に入れておきなさい」
「はーい!!」
「まったく、いつもあれぐらい元気なら助かるのに……」
手紙を開けると小型の投映機と書類が入っていた
『先ずは合格おめでとう君の担任をする相澤消太(あいざわ しょうた)だよろしく』
「何だか不健康そうな先生ね」
「う、うん」
髪と髭がボサボサで目が少し充血している先生が投映された
なんでも担任らしい
『時間は有限なので口頭では伝えづらい面は別の封筒が届いているからそちらをみろ』
『……話していくぞ、筆記試験はギリギリだが合格、実技は30ポイント、ただこの実技試験は審査制のレスキューポイントがある、これが星野は5ポイントの合計35ポイントで合格ラインに達した』
『しかし、星野は精神面で不安が残るため適性検査の意味を込めて面接をおこない教職員の過半数が合格に賛成した』
『ただ、他人よりもメンタルで劣ってるのは自覚していると思う、よって自分の判断で星野には宿題を出させてもらった、まぁ筆記試験でギリギリだから仕方ないよな』
「ギリギリでも合格は合格よ!! 鈴良かったじゃない!!」
「うん!!」
『あと、これは星野と親御さんにお任せしますが星野を我々教職員は通学よりも寮生にしたいと考えております。理由は放課後にメンタルケアを実施したいと校長の提案です』
『何よりも我々も星野の個性の可能性を高く評価しているため期待の意味も込めてます、投映機と同封してある書類に寮についての説明と利点が書かれているのでお読みの上で判断してください、以上だ、課題こなせよ』
「これはお父さんと話し合ってから決めないとね。一応私もお父さんが帰ってくる前に読んでおくから先に鈴は読んでおきなさい」
「はい」
宿題を先ず見る
内容はパニックになってなければ普通にとける問題ばかりで英語以外は問題ない
……英語は辞書を片手に頑張るしかない
ペラペラっと全体を見ていると、数学の宿題の一番後ろの数ページにコメントが書かれていた
〔星野、これは親御さんに見せるな……例年であればお前の筆記、実技共に落ちている、実技は例年約40点が最低合格ラインだ〕
〔36位という数字で分かるな、今のお前の現状だ、そして俺は正直お前をこの学校に入れることに反対だ〕
〔健康的な学生でもこの学校で脱落する者が毎年出ている〕
〔ただでさえギリギリなお前をボーダーラインに乗せるのには特殊カリキュラムが必要だと俺は判断した〕
〔一部からひいきだなんだと言われるかもしれないがそれも耐えろ、それを踏まえての寮生活だと思え、以上だ〕
手で口を押さえて声を殺して泣いた
私……落ちこぼれだ……と
本当に落ちこぼれならばこの学校に入ることすらできないが、星野の性格と糞雑魚メンタルではその様にしか考えられなかった……
「良いんじゃないか? 資料を見ると夏休み、冬休み、春休みは戻ってこれるようだし」
「でも心配じゃない?」
「先生方も見てくれるんだろ、それにここから雄英まで電車で通うと2時間かかるだろうし」
「鈴はどう?」
「できれば寮に入りたい」
「じゃあそうしよう」
家長鶴の一声である
「えっと要るものはこれぐらいかな?」
寮には基本的な備品はあると言われたので実家からは愛用してる型落ちのノートパソコンにお気に入りの毛布数枚、枕と大量の本を既に段ボールにしまい、残りの足りない物の買い出しに来ていた
「これとかこれは要らないの?」
「愛麗さん、電マはちょっと……ほら鈴も困った顔してるし」
無事雄英のサポート科に合格した愛麗さんと友人のあやねの3人でですけど
「でも鈴本当に良かったじゃん雄英合格なんて友人として鼻が高いよ!」
「これで私達は堂々とパートナーと言えますね!! 最初のコスチュームは企業に譲りますが、学校でサポートアイテムが必要になったらまずは私に声かけてね!! 作るから!!」
なんて言ってたけど愛麗さんが終始暴走
気がつかないうちにどこから持ってきたのかジョークグッツをかごに入れようとしてくる
それをあやねがガードしながら私が本当に必要な物をかごに入れる
そんな攻防を45分……買い物を終えてランチをしていた
「鈴ちゃん……すごい食べるんだね」
私のランチは大食いチャレンジ系だ
個性が出てきてから大食いチャレンジ系は店主に個性が書かれたカード(学生なら学生証、大人なら保険証か免許証、マイナンバーカードに記入されている)を見せて店主がO.Kを出せばチャレンジできる仕組みになっていた
だから個性の名前でいかにもなのはダメだが……
「まぁ初見じゃ鈴の個性が大食いにも通ずるなんてわからないし」
「個性ソビエトってわからないよ普通!」
「あぁ、やられた……嬢ちゃん賞金分も食べる気だな。あと5000円だから気を付けろよ」
店主も馴れてるのかこの対応
チャレンジ用特大盛りカツ丼、チキン南蛮ご飯大盛りセット、カレーうどん大盛り、マヨネーズ3本、天丼大盛り3杯でフィニッシュ
「タダ食い最高」
「いやぁゴチ!」
ちゃっかりあやねと愛麗もタダ食いしていた
まぁあやねと食事するときはだいたいこれ
「て言うかチョービックリ、なにマヨネーズ注文って」
「超高カロリーで昔から食べてるから普通普通」
「これから鈴ちゃんに着いていけばタダ飯!!」
「……雄英の学食滅茶滅茶安いよ……恐らく税金で……」
「おぉ、夢が広がりますな」
「雄英組は良いなぁ~あぁ私にも普通科で良いから受かる学力が有ればなぁ……」
「あやねは千葉県で一番人が多い公立高校だっけ」
「あそこは綺麗で文化祭も楽しいことで有名じゃん」
「雄英が全てにおいてトップだからなんとも言えないけどね~、あぁ比べちゃダメだぁ……」
「……でも千葉県のヒーロー科がある高校全部ぱっとしないよね」
「全部東京に吸われてるからね南房総までいくとメイン水産高校のついでにあるヒーロー科が強いけど男ばっかしだもんねー」
「なかなか敷居高いよね」
なんて下らない話をしながらたまにの息抜きをした後の星野鈴の姿は……
「ふんぬぅぅぅ!!」
市民体育館の地下にあるジムで個性を使用しないで鍛えていた
宿題ではないけど鍛えないとすぐに太る
スタイル維持ではなく普通に筋肉が欲しいのと、運動してうつ病の緩和を目的にトレーニングをしていた
「お嬢ちゃんスゴいね!! 何キロだいそれ」
「120キロです」
「おぉ!! 若い頃でもそんな重さ無理だよ」
だいたい夜ギリギリじゃなければ老人か、ダイエット目的の主婦ぐらいしか居ない
だから本気で鍛えてる私はけっこう浮くけど
「ふんぬぅぅぅ!!」
考えないくらい鍛える
「星野さんお疲れ様です2時間210円になります」
「はい、お疲れ様です」
「星野さん凄いですね、ほぼ毎日来てますが筋肉痛にならないんですか?」
「なるときはなりますけど最近はあんまりですね、あ、シャワー室のタイルが割れてましたよ」
「わかりました、ありがとうございます」
「じゃあまた来ます」
「はい! お待ちしてます」
自宅までダッシュしながら考える
私がドベだということは他の人は私より優秀だということ……
「不安……着いていけないかもしれない……ダメだ考えるな……考えるな……」
入学までにもう時間はない