僕のヒーローアカデミア~ビヨンド・ザ・リュウガ~   作:魔女っ子アルト姫

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日常を興じる黒龍

職場体験も終了し龍牙は普段通りの学校生活に戻っていた。教室に入ると早速皆が自分達の体験がどんなものだったのかを武勇伝のように語っている。

 

「やっぱりだけど避難誘導とかが主だったな、それでも現場の空気感じられてやばかったぜ!!すげぇびりびり来た!!」

「アタシもそうだったなぁ。人質の場所の確認とかやったりはしたけど、やっぱり直接的な戦闘とかはなかった感じ」

 

矢張りと言うべきか、職場体験というからはあくまで体験させるに留める。普通に考えればまだ高校生に過ぎない雄英の生徒達に同じ活動をさせる訳はなく、守るべき対象とされているのが一般的なのだが……そんな話を聞いて龍牙は本気で衝撃を受けているかのような表情を作っていた。

 

「龍牙如何したんだよ、すげぇショック受けてるみたいな顔しやがって」

「……だって俺凄いスケジュールで、ええっ……?」

「いや俺達が行ったのって職場体験だぞ。そんな凄い事させて貰えるわけないだろ」

 

それじゃあ自分が1週間の間行ってきたあれは何だったんだろうか。数回マジで死ぬかと思った事もあったのだが、主に王蛇関連でだが、それでも危険と隣り合わせでサイドキック扱いされて1週間を過ごしてきた龍牙にとって安全で無理のない1週間を送ってきた皆には驚きしか覚えていなかった。

 

「そうだ龍牙君、君はあの後大丈夫だったのかい?コングさんと一緒だったが」

「大丈夫だったよ。まあ俺はサポートしかしてなかったから記事にはされなかったけどな」

「それでも僕は君を本気で尊敬しているぞ!!君はあのヒーロー殺しと相対していたんだからな!!」

 

飯田の発言を聞いて皆がそうだそれを聞こうぜ!!となった。如何やら龍牙が来るまでの間に緑谷と飯田が自分達の体験で龍牙に助けられたことを話したらしいのだが詳しい話は本人が来てからにしようと待っていたらしい。一応記事になっている事に反するような事にならないように事を話しておく、後さり気なくコングの事をよいしょしておく。

 

「ビーストマンとミラー・レイディはどんな感じだったの?」

「さあっ見ている余裕なんてなかったからな……ぶっちゃけコングさんが一番働いてた気がする」

 

この後は本当な上に全くもって嘘をついていない。見ている余裕なんてなかったし本当にコングが一番頑張っていたのだから。

 

「それにしても皆は結構いい経験出来たんだな……麗日さん見たらわかるわ」

「ええっ……本当に、とても……有意義だったよ」

 

と何やら悟りでも開いたかのように呼吸音を立てながら演武を行っている彼女を見ればわかる、というかなんかもう別人レベルで凄い迫力になっている。

 

「龍牙君はどんな感じだったの?」

 

そんな風に聞いてくる葉隠に皆が同意見だった。トップヒーローの事務所に行った龍牙、同じく轟にも訪ねたらしいがそこまでの事は教えてくれなかったらしくならばとこちらに尋ねてきている。思わず龍牙は言ってしまった。

 

「一言で表すなら……」

『表すなら!?』

「別次元かな、色んな意味で」

『おおっ~!!』

 

何やら好意的な解釈をしてくれているようだが、活動内容的にも色んな意味で別次元なのであった。だがそれをここで言ってしまうとギャングオルカに迷惑を掛けかねないので口にチャックをしておく事にする。一応コングからもヴィランと戦った云々などの事や口外しない欲しいと釘を刺されている。

 

「朝の5時から早朝のパトロールの後に軽い朝食の後は事務仕事とか、その他にもやる事いっぱいあったな……。ぶっちゃけスマホ見てる暇なんて本当になかったよ」

「うわぁ流石ギャングオルカの事務所だな、すげぇ忙しいんだ……」

「っという訳だ葉隠君、龍牙君も多忙だったから勘弁してやってくれないか?」

「もう分ってるってば!!もう言わなくていいよぉ~!!」

 

グループチャットの事で龍牙からの返信が全くない事に対して一番反応していたのが葉隠だった。彼女は個人メッセージを龍牙に何度も送っていた、中身は返信が無い事に対する心配などや何処か怒っていますアピールなどだったりした。結局龍牙はそれに対して返信出来なかった。

 

「なんかごめんなさい……」

「もういいってば~!!」

 

酷く照れながらも嬉しそうにしている葉隠。なんだかんだで彼女は龍牙の事を心配していた、だがそれが杞憂に終わって良かったという所だろう。そして龍牙は改めて思う、ヒーローというのは当たり前の日常を守る為に居るのだと。そんな風に思った直後、視界の端の窓に一瞬だけ何かが映った。

 

「……?」

 

ほんの僅かな切れ目、そこにいた何かを自分は知っているかのような気がした。だが一瞬の出来事だったので結局気に留める事もなくそのまま友達との雑談に興じてしまい、意識の外側にそれを弾き出していた。だがそれは常に龍牙を見つめ続けていた、獰猛に獲物に狙いを定める怪物のように瞳を輝かせながら……。それは蜷局を巻きながら今か今かと牙を研き続ける、その時が来るまで。

 

「―――さあ君の才能を抉じ開けよう、君から奪った物を返そうじゃないか。鏡君」

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