僕のヒーローアカデミア~ビヨンド・ザ・リュウガ~   作:魔女っ子アルト姫

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試験で頑張る黒龍

「それにしても……オールマイト先生が相手なんて予想外だねぇ……」

「いやはや全くだ……合格させる気ってあんのかね……」

 

試験の担当がオールマイトである事が判明して早々に困ってしまっている龍牙と葉隠。あの№1ヒーロー、平和の象徴たるオールマイトが相手、これの受難に感謝しよという事なのかもしれないがそれでもその受難が余りにも強大過ぎる。幸いなのがこの試験の内容が担当試験官の打倒ではない所。

 

制限時間は30分、生徒は事前に渡されているハンドカフスを教師にかけるかチームの一人が試験場から脱出する事が出来れば条件を達成した事になる。逃げる事も許可されている、ある意味戦闘訓練に似ているのだが問題は実力差が激しい教師陣が相手という事。ただ逃げるだけでもある種至難の業ともいえる、なので教師陣はハンデとしてサポート科制作の超圧縮重りを装着する。重さは各教師の体重の半分、古典的なハンデだが動きづらさは増していくし体力も削られていく。

 

「……だけどオールマイト先生に体重の半分程度って意味あるのか……?」

「うん、それ私も思った」

 

あの超絶パワーを発揮するオールマイト、あの人ならば体重の半分程度の重りなど苦にもせずに動いてきそうなのが頭の中で再生される。恐らく余裕で動いてくる、ある意味自分達が一番ハンデが無い状態。これは本当にちゃんと考えられて組まれているのか、問い質したくなってきたのだがもう何を言っても無駄なのでやるしかない。

 

「葉隠さんハッキリ言うけどさ、先生に相対した時に取るべき行動って何でしょうか」

「逃げの一択!!」

「うん俺もそう思うわ」

 

ヒーローにとって大切なのは見極め。自らの実力と相手の実力の考慮し、それを見極めたうえで自身がどんな行動を取るべきなのかを思案し行動する事。余りにも相性が悪い個性、実力差がありすぎる場合にはサポートや援軍を呼びに行くのが最善。つまり自分達が取るべき行動は如何にオールマイトを突破して脱出判定となるゲートを突破するか。

 

「でも私は透明だからきっと行けると思うよ!!」

「俺もそれは一瞬考えた、オールマイトには葉隠さんは見えない……だからこそ取る選択肢は限られるんだよ、オールマイトは多分―――待ち構える」

 

 

『黒鏡・葉隠チーム、演習試験……Ready Go』

 

遂に始まった演習試験。ビルが密集している地域が再現されている演習場を舞台に平和の象徴を相手にする試験が始まった。龍牙はいきなり完全に個性を発動して臨戦態勢を取る、葉隠と共に慎重にゲートへと迫っていく。

 

「ぅぅぅっ……緊張するよぉ……コスチュームは先生から指摘を受けて個性同調型にしたから全裸にならなくて良くなったけどそれでもなんか寒気が止まらないよぉ~……」

 

ビル影に隠れながら慎重に進んでいく中で、思わず葉隠が弱音を吐いた。彼女は個性の関係上で個性をフル活用しようとした場合には全裸にならなければいけないというハンデがあったのだが、それでは現場で身体を傷付けて怪我をして透明の意味がなくなるうえに危険という事で、個性同調型の物へと変えられていた。彼女の意志一つでコスチュームは消えたり、現れたりする。そんな中、龍牙の手が消えている筈の葉隠の手を強く包み込む。

 

「ぴゃっ!?」

「大丈夫だよ、俺が付いてる。寒かったら俺が温める、怖かったら俺が抱きしめる。だから安心して、一緒に頑張ろう」

「りゅっ龍牙君……う、うっうん私頑張る!!」

 

力強い言葉を受けて葉隠は頬を叩いて気合を入れながら返事をする。気付けば震えは止まっていた、代わりに顔が凄い熱くなっているが、本当に透明で良かったと思いながら龍牙の後に続いていく。10分ほどを掛けて漸くゲートが視認出来る場所に到達する。が、そこにはオールマイトの姿が無かった。

 

「あっあれっ?先生いないよ?」

「まさか……どっかから見張ってるのか?いやでもなんでだ、そんな事したら何時葉隠さんがゲートを通過するのかも分からないのに……」

 

予想に反して姿が見えないオールマイト。葉隠の事を考えるとゲート前で待機するのが最も妥当な筈、それなのに姿が無いというのは自分達がそう考えていると予想して敢えて隠れているという事なのだろうか。だとするとこれは罠なのだろうか、それだとしても態々ゲート前の優位性を捨てるとは思いにくい。

 

「ど、どうする龍牙君。このまま行っちゃう?」

「……いやオールマイトがゲート前で待機するっていう優位性を捨ててるのかが分からない。だって、一歩間違えたら葉隠さんをスルーさせる事になる」

「だよね……って事はワザとで罠って事?」

「そう思うのが妥当だろうね……このまま突っ込めば何をされるのか分からない、だけど待ち続けてもタイムアップでジ・エンドか……」

 

透明人間の葉隠がいるのにもかかわらず、それを活かしきれない。寧ろこれではオールマイトの方が透明人間の優位性を保持している。全く真逆の立場に立たされているような気分になってくる。

 

「残りは15分……半分か。ねぇ葉隠さん、自分の姿が見えないのを見えるようにする場合ってどうすると思う?」

「えっどういう事?」

「先生は罠を張ってる、それは葉隠さんを把握する手段を持ってるって事。それって何だと思う?」

「う~ん……何かを被せるとかかな、色を付けたりとか」

「色を付ける、被せる……何を……」

 

突破まであと少しという所、だが姿なきオールマイトを警戒する二人。一体どうするのか……!?




「後の緑谷少年と爆豪少年の試験の事を考えると少しでも温存しないと思ったけど、やっぱり正解だったなぁ……警戒心が素晴らしいぞ、黒鏡少年に葉隠少女!」

実はオールマイト、全く罠張ってません。
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