僕のヒーローアカデミア~ビヨンド・ザ・リュウガ~   作:魔女っ子アルト姫

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謝罪を受ける黒龍

「皆……土産話っ……ひぐっ……楽しみに……ううっ、してるっ……がらねっ!!」

「お、落ち着いて皆!!まだ採点基準が明かされてないからまだ大丈夫って可能性も……」

「緑谷、言いたい事は分かるがそれは逆効果だ」

 

そんな風に教室内は実技で赤点を取った芦戸、上鳴、切島、砂藤が大雨は降りだす前の曇天並みに落ち込んでいる。緑谷は何とか慰めようとするのだが、瀬呂にそれは逆効果だと窘められる。彼自身も合格はしているが、それは相方の峰田のお陰なのが大部分で当人は速攻でミッドナイトに眠らせられてしまっているので、赤点ではないかと内心ではひやひやしている。そんな所に相澤が入ってくるのだが……右腕をだらしなくだらんとさせている龍牙とそんな彼を支えるかのようにしている葉隠が入ってくる。

 

「りゅっ龍牙君!!?もう動いて大丈夫なの!?」

「凄い大変だったのにもう大丈夫なん!?」

「ああっ心配かけた……だぁっくそ、まだ右腕が痺れてやがる……葉隠さんも悪い」

「この位なんでもないよ、龍牙君のお陰だしね」

 

そう言って龍牙が席に着くまでのサポートを終えると彼女は自分の席に着いた。龍牙と葉隠の試験は2番目、皆の試験の中でも序盤も序盤だった。しかもその相手があのオールマイト、それをモニターで観戦していた緑谷と麗日は特に驚いている。最後のボロボロになった姿も見ているのでその驚きは凄い。

 

「さて、黒鏡と葉隠も席に着いた事で今回の期末テストだが……残念ながら赤点が出た。したがって……林間合宿は全員行きます!!」

『どんでん返しだぁぁあああああ!!!!』

 

そもそもが林間合宿は強化合宿の側面があるので赤点者ほど合宿にいき、力を高めなければ意味がないと相澤は語る。今回の試験はプロヒーローの教員たちはヴィランとして対峙しながらも敢えて勝ち筋を残してくれていた、そこを如何突破するかを審査するのが主な審査基準。故に、瀬呂も赤点者に含まれるとの事。

 

「まあ一応言っておくが赤点なのは事実だ。赤点者には別途の補修時間を設けてある、学校に残っての補修よりもきついから覚悟しておけ」

『―――……』

 

歓喜から一変、沈み込む補修組。

 

「そしてまあ最後に言っておくが黒鏡」

「はい」

「お前、よくもまあオールマイト相手にあそこまで食らいついたもんだ、お前と葉隠に対してプラスα採点をやっといたからお前らの単独トップだ。それと、ほらっオールマイト」

「わ、私が心に溢れる申し訳なさいっぱいで潰れそうになりながら、来た……!」

 

教室にやってきたオールマイトは普段の堂々たる姿ではなく、冷や汗をダラダラとかきながら身体を震わせていた。リカバリーガールが終わった直後からずっと説教をされていると聞いていたが、一体どんな説教をされていたのだろうか……。普段は画風の違いすら感じる姿も酷く小さく感じられる。

 

「今回黒鏡と葉隠の試験においてオールマイトはぶっちゃけやってはいけない事をやった」

「や、やってはいけない事……?」

「試験としての逸脱、試験だってことを忘れて力を出し過ぎた。その結果黒鏡は急遽、ギャングオルカ事務所のスイーツァに来て貰わないと治癒させられない程の重傷だった、確り反省してくださいよオールマイト」

「く、黒鏡少年本当にすいませんでしたぁぁっ!!」

 

誠心誠意を込めた謝罪の言葉と共に思いっきり頭を下げるオールマイトだが、頭を教壇にぶつけるのだがそれを大きく凹ませてしまった。頭突きでスマッシュをした場合、一体どんな名前になるのだろうか……。

 

「いや俺は気にしてませんよ。いい経験が出来たと思っておきますよ」

「黒鏡、お前よく瀕死の重傷になっておいてそんな事言えるな」

「えっ訓練とか試験で怪我するのって当然じゃないんですか、俺のはたまたまその比率が重かっただけで」

『どんな当然だよ!?』

 

思わずぽかんとするオールマイト、そして相澤は不憫な者を見るような目で龍牙を見た。長年ギャングオルカに扱かれてきた龍牙にとって怪我なんて日常の一ページ、次の段階に進む為の試験では怪我なんて当たり前であった。そんな龍牙にとっては今回の怪我もそれに分類される物と認識しているのか、そんな気にしなくても……と感じているのだろう。

 

「(これもギャングオルカの指導方針の弊害か……哀れだな、これは根津校長に報告した方が良いだろうな。痛みに慣れ過ぎてる)」

 

兎に角厳しく辛いギャングオルカの指導、それを受け続けてきた龍牙はある種痛みに耐性が付いているのか怪我などに対して反応が可笑しくなりがちになっている。仮に龍牙の皮膚をナイフで軽く切ったとしても彼はそれに動じる事無く行動を起こして相手を確保する。そんな事も可能なレベルで痛みに慣れてしまっている。ある意味、鎧を展開するような個性に依存しない為とも言えるが……まだ15~16の子供が持つべき感性ではないのは確かだろう。

 

そんなこんなでオールマイトの謝罪やら必要事項の通達も終了したので相澤はオールマイトとともに姿を消すのであった。そしてその直後に龍牙は皆からどんな試験だったんだと問い詰めるような質問攻めを受けるのであった。そして翌日の休みにみんなで林間合宿に必要な物を買い物に行くことを決めるのであった。

 

 

「さてとっ……君に聞きたい事がある―――鏡 龍牙君。君は……親を恨んでいるかい?」

「何、をっ……!?」

 

時計の針が、進む。

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