僕のヒーローアカデミア~ビヨンド・ザ・リュウガ~   作:魔女っ子アルト姫

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プールに行く黒龍

「よぉ緑谷、今日は誘ってくれてありがとうな」

「お礼なら上鳴君と峰田君に言ってよ、このプールでの体力強化の言い出しっぺは二人なんだから」

「そうか、有難う二人とも。プールなんてあんまり来た事なかったからちょっと楽しみだったんだ」

 

入院も終えて龍牙は家で自主トレをしている時の事だった。雄英は一学期の課程を修了し夏休みに入った、そして林間合宿に入るまでの間の休みを家で過ごしながらできる事をしていた龍牙に緑谷からメールが来たのである。学校のプールにて体力強化訓練をするから来ないか、という物だった。龍牙は本来校長に留守番を頼まれていたので行ってもいいかと電話すると

 

「勿論いいに決まってるよ!!行っておいで、友達との一時を楽しんでおいで!!」

 

と許可をくれたので学校指定の水着をもって雄英のプールへとやってきていた。他にもA組の男子が勢ぞろいしており、皆既に準備運動を始めている。龍牙もそれに続いてストレッチを開始して身体を動かす、所謂動的ストレッチという物である。

 

「龍牙、お前のストレッチなんか違うな。意味あんのか?」

「所謂動的ストレッチって奴、普通の奴だと寧ろ身体を痛めるし筋肉の活動も悪くなるんだって」

「そうなのか、どうやるんだ?」

「肩回し、肩甲骨回し、屈伸、足の付け根を回すとか、後ラジオ体操とかが良いらしいぞ」

「そうなのか……」

 

感心するように言葉を漏らす焦凍は龍牙と同じように身体を痛めない動的ストレッチを開始する。そんな風に身体をストレッチさせていると向こう側のプールサイドに女子たちが現れて同じくストレッチを開始していた。どうやら同じようにプールを使うらしいが、どうにも上鳴と峰田にテンションの落差がある。実は体力強化という名目だが二人は水着姿の女子が見たかったというのが本音であった。

 

しかし、女子たちは学校指定の水着、所謂スク水だったのでビキニなどを夢見ていた上鳴にとっては余りに良くなかったらしい。尚峰田はこれはこれで……と喜んでいる。そんな中で葉隠が声を出した。

 

「ねぇ龍牙君、龍牙君って上着も着るの?」

 

そう、龍牙は男子では唯一水着は上も纏っているので上半身も隠している。どちらかと言ったらウェットスーツに近いような見た目になっている。

 

「そう言えばそうだね」

「ああいや……俺の身体は結構傷だらけだから目に入ったら不快かなぁと思って……」

 

龍牙が上も着ているのは周囲を気遣っての事だった。ギャングオルカとの訓練で自分の身体は傷だらけになっている、時には酷く深い傷まで負った。その痕が物にもよるが痛々しく残っている、自分にとっては傷の一つ一つに意味があり自分の戒めと共に文字通りの糧としているが他人から見たら唯の醜い傷跡でしかない。だから隠している、気遣いのつもりだったのだが周囲は全く気にしないと返してきた。

 

「傷なんて気にしないよ、だってそれが龍牙君なんだもん」

「うむ!!それに此処には誰かの傷を見て卑劣な事を思う者など一人もいないぞ!!」

「……有難う、えっとそれじゃあ……脱ぐ」

 

此処まで言われて脱がないのは逆に失礼に当たると思った龍牙は上着を脱ぐことにした。上着を脱いでそれを端へと投げると露わになった龍牙の上半身に皆は驚いた。男子は更衣室などで見慣れていると思われるが、基本的に龍牙は今までも身体を隠すようなインナーを着ていたので見る機会はなかった。そこにあったのは龍牙の成長の軌跡を描くかのような無数の傷跡があった。

 

年齢に不相応な程に鍛え上げられた肉体、当然のように割れた腹筋に大きく発達している腕の筋肉。戦う時の彼の怪力に納得が行く程のマッシブな身体付きに深々と残る傷跡たち。幾重に走る傷、まるで抉れでもしたかのような傷跡までがあちこちに点在している。だが逆にそれが逞しさを増長しているのかワイルドさまで強調しているように見える。

 

「うおっすげぇっ傷……」

「こりゃ確かに気を使うのも頷けるな」

「でもかっけぇな!!なんかこう、熱いぜ!!」

「……歴戦の証」

 

拒絶されたりするのを想定していた龍牙を待っていたのは意外にも受け入れたり憧れの目線だった。年頃の男子にとっては身体の傷というのはある種の憧れであり、歴戦を潜り抜けた証明でもある。故に男子は傷に憧れたりする。

 

「うおっこの傷なんかすげぇな!?」

「それは期末試験でオールマイトのスマッシュで出来た傷」

「お前、良く生きてたな……」

「我ながらそう思うわ」

 

そんな生々しさが残る傷についての説明をしながらオールマイト相手に戦った龍牙に同情と尊敬のまなざしを送っている男子、しかし女子らの話題はそちらではなく尋常ではなく鍛え上げられていた龍牙の身体つきについて。

 

「無駄のない筋肉ってあんな風に言うんだろうね、超マッシブ!!」

「本当に素晴らしいですわ……あそこまで鍛え上げるのは容易ではありませんでしょうに……」

「師匠がギャングオルカだもんね、しかも訓練の殆どが戦闘訓練だったって言うし、本当に凄いわ……」

「なんか凄い眩しいわ……」

 

彼女らも少なからず身体は鍛えているが、龍牙のそれは正しく別次元。所謂筋トレなどを積んで仕上げて物ではなく戦いの中で積み上げて完成させた戦士の身体、試しに切島にリクエストされてボディビルダーなどがするポーズのサイドチェストをやってみているが本当に凄い。ああいうのを筋肉が躍動するというのだろうか。そんな中、梅雨ちゃんが無言になっている葉隠を見た。

 

「ケロッ葉隠ちゃん如何したの?ボッ~としているみたいだけど……」

「ピャッ!!?い、いやなんでも無いよ!!?べべべべべっ別に龍牙君の身体に見惚れてたわけじゃないから!?」

「葉隠ちゃん、全部自爆で出しちゃってるわ」

「あっ……!!?」

 

慌てて口元に手をやるが時すでに遅し、目を輝かせている耳郎に芦戸、何か嬉しそうな顔をしている麗日に微笑ましい物を見るような顔をする八百万。完全にやってしまったと葉隠は一歩後ろに引く。

 

「ほほう、見惚れてた……ほうほうほう!!」

「いやぁこれはいけないねぇ……いけないねぇ」

「あ、あの耳郎ちゃんに芦戸ちゃん目が、目が怖い……」

「そう言えば龍牙君と勉強会してたんだよねぇ……?」

「それも含めて詳しく聞かないとねぇ……?」

「え、ええと……りゅっ龍牙君助けてぇぇえええ!!!」

「「そこで直ぐに名前が出るのも怪しい!!待てぇぇえええ!!!」」

 

この後、葉隠は耳郎と芦戸から追い回されたり、龍牙の背後に回って庇って貰ったり、様々な事が起きた。しかし龍牙は友達と過ごせた何気ない日常に明るい笑顔を浮かべ、最近付け始めた日記に本日の出来事を嬉しそうに書くのであった。




動的ストレッチについてはダンベル何キロ持てる?を見よう。
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